異世界ファンタジー世界でカードゲームしてる   作:nyasu

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かませの癖に生意気だぞ!

時は少し遡る。

1年の猶予を与えられた俺は来る吸血鬼対峙と別に有力貴族の取り巻きの仕事があった。

カードゲームと貴族両方やらないといけないのが、辛いとこだね。

って奴である。

 

「さぁ、今日は護衛をしっかり頼むよ」

 

俺は1ヶ月のトレーニングを終えた奴隷兵士を連れて狩猟パーティーに行くことになっていた。

まず、元魔法使いのおじさん。

風使いのジョン、本名はジョンソンらしいけど長いからジョンにした奴。

次に呪われた戦士エリザ、こっちもエリザベスだったけど改名。

あと、人狼のルゥとエルフのシャル。

みんな名前は短くした奴らだ。

 

おじさんはおじさんのままで、エリザは実験がてら簡単なゲッシュが思い付いたら本人に誓わせてたりする。

本人が覚えてなくても破ろうとすると奴隷契約が反応して軽い痛みが走るから、毎日ゲッシュを誓わせても困らない。

人狼のルゥは魔力を含んだ鉱石由来の塗料でタトゥー彫ったり魔石の粉末飲ませたり魔力増大の実験に使ってる。

エルフはいつか性欲処理に使えんだろと今んとこは何もしてなかったりする。

 

「今日はジョンだけ連れてきます。他は欲しいとか言われたりすると面倒だから留守番」

「まぁ、腕の分くらいは仕事させてもらいますよ」

 

昼行灯の強キャラ感が出てて割と気に入ってるおじさんを連れて、パーティー行きの馬車に乗る。

マナーとかは異国の人間だし、お察しだけどね。

さて、手土産にカード化して作ったスターターセット。

そう、俺の秘策とはスタータセットを作って渡す事だ。

カード嫌いな子供はいないし、カードがあれば壁とデュエルが出来る。

喜ばない奴はおらんやろ。

 

今回行くお宅はちょっと前に特許に尽力してくれて、家の派閥の真ん中あたりに位置する地位の侯爵家だった。

ターゲットは、余り出来は良くない次男。

名をロベルトという。

ロベルト・アディンうんたらかんたら、ロベルト様とか呼べばいいやろで覚えてきてない。

どうせ偶にしか合わないし、生意気だぞみたいな取り巻きが仕事だろうしな。

主人公に絡むヤベー奴の横にいる奴らだ。

 

家の魔法は信仰系とかで、神話のエピソードを再現とかするらしい。

こう、絶対外れない矢とか消えない炎とかそんなんである。

なので絵画とか好きらしい。

 

絵画ってのは文字が分からない平民が逸話とか知るために作られるから宗教関係が多いらしい。

後は家の娘はこんな感じみたいなお見合い写真代わりだそうだ。

派閥としては有力な第1王子、王子は3人いるけど一番多い派閥らしい。

政治家の政党みたいなもんなんやろな。

 

会場に来ると、護衛は側に居るけど基本離れたところで見ている感じだった。

おじさんは好きにしていいよと、他の護衛と合流させて早速挨拶に行く。

ロベルト様とやらは、取り巻き4人くらいに囲まれてる奴だったので分かりやすかった。

 

金髪にプクッと太ったクソガキ。

デブはそれだけ食えてることだから、金持ちなだけある。

うーん、カマセ感がすごい。

 

俺が近付くと、早速取り巻き達が俺を見てヒソヒソ耳打ちする。

挨拶は大事、聖書にも書いてある。

つうか、しないとしないで絡まれるからな。

 

「星の大家、レオンハルト・ベルグ・ドン・ホロス・マティーナの次子、マルセル・マティーナがロベルト様に挨拶申し上げます。お近付きの印に此方を……つまらない物ですがお受け取りください。精霊の導きに感謝を」

「つまらないものだと!」

「まぁ待て、受け取ろう」

 

恭しく会心の出来のスタータセット40枚のカードデッキを献上する。

どうだ、素晴らしいだろ。

ロベルト様は俺のカートを受け取ると、早速絵柄を見始めた。

分かる、デッキチェックは大事、ルールブックにも書いてある。

 

ロベルト様はひとしきり見たあと、何やら真顔になって、その後俺を見て残念そうな顔をした。

うーむ、レアの比率が少なかったからだろうか。

コモンとしてのゴブリンとか多かったかな。

 

ロベルト様は、いや、ロベルトは俺の与えたデッキを放り投げた。

パサパサと俺に当たって散らばっていくカード達。

 

「もっとマシな物かと思えば何だこれは」

 

ロベルトの野郎は呆然とする俺の前でカードを1枚拾うと、それを両手で持って眼の前で引き裂きやがった。

 

「何だこの羊皮紙のパチモンは?チマチマとした絵なんぞ描いて耐久性もイマイチだな、それにモンスターなんぞ題材にするとは天使や僧侶の方がいいだろ」

「おい、デュエルしろよ!チャラ付いた陽キャ野郎、俺の前でカードを破くとはいい度胸だ」

 

まさかの捨て台詞を吐かれた俺は許せなかった。

ロベルト!テメェ、デュエルしろよ!

 

「何をしているか、マルセル!」

「親父!」

 

俺がデュエルの宣言をしようとした瞬間、タイミング悪く親父がやってくる。

邪魔されるに決まってる。

 

「ロベルト様、申し訳ありません」

「レオンハルト、お前のところの子供か。よく躾とけ」

「ハッ、しかと言い聞かせます。マルセル、謝りなさい」

 

何も知らない親父が、何も知らない癖に謝罪を要求してくる。

嘘だろ親父、俺許せねぇよ!

 

「……どうもすいませんでした。まさか、物の価値も分からないとは」

「マルセル!」

「いやぁ、魔法で決着着けたかったけど親父の顔もあるしな。後で何か言われると思うと、言う通り謝罪しときますよ」

 

親父殿がブチギレて魔力をぶつけてくるが、別に身体の震えが止まらないだけである。

真冬に水を被ったように寒くて仕方ないし、痛くすらある。

だが、それだけだ。

 

「貴様、それは挑発のつもりか?どけレオンハルト、邪魔をするな」

「お待ち下さい」

「そうですよ、勝っちゃうからやめましょうよ」

「どけ!貴様も同じ意見か、レオンハルト!」

 

親父が睨まれて魔力の威圧を辞めて、仏頂面で黙る。

そして、俺の方を見てくるロベルト。

俺は既に、デッキに手を伸ばした。

 

「二度も言わせるつもりか」

「レオンハルト、良いではないか」

「ち、父上!」

 

俺とロベルト、取り巻きと親父が互いを見ていると、そんな声が聞こえた。

大人達を引き連れたオッサンが一人、ロベルトの発言からして、この場で一番偉い人である。

 

「貴殿の息子の話は聞いておる。あぁ、何も言うな。私の息子も無鉄砲な所がある。似た者同士だ、喧嘩もあろう。しかし、時に衝突は友情を深めるやもしれない」

「父上、何を!」

「ロベルト、胸を貸してやりなさい。私も彼の魔法には興味があるのだ」

「なるほど、分かりました。おい、お前!決闘だ!」

 

鶴の一声と言うのだろうか、親父は黙ったままだし、決闘を申し込まれた。

何か言いたそうだが、黙って俺達から離れていく。

偉い人に言われたら従わないといけないからな。

 

「受けて立つ!手加減なんかしないぜ」

「フン、生意気な奴め」

「デュエル!」

 

俺の魔法が展開され、ロベルトと俺を包む結界が発生する。

半球の透明な膜が膨れ上がり、ドームのようになって俺達を区切る。

真ん中には砂時計、互いの頭上には炎で出来た数字。

そしてロベルトの手元にはカードが発生する。

 

「くっ……ルール、だと……」

「先行は貰うぜ、ドロー!」

「ルール改定?後攻は2枚だと、精神攻撃の類か?」

 

何やら混乱してるが関係ないぜ。

俺は手元のカードを1枚掲げ、宣言する。

 

「来い相棒、コボルトを召喚!」

「コボルト如きが相棒だと」

「今だけだぜ」

 

やってやるぜと半透明なコボルトが俺の眼の前に現れる。

さぁ、お前のターンだぜ。

 

「俺のターン、2枚ドロー!なるほど、コスト1を使い信仰の宝石を召喚」

「ふむ……」

 

よく分からんが、何やら順応している。

それなりの教育を受けてるだけあるか。

 

「信仰の宝石はアミュレットカード、2ターンのカウントダウンを行う。効果はカウントダウンが0になった時に敬虔なる信者を召喚する」

「なるほどな。俺のターンドロー!コスト2血に酔ったウルフを召喚!」

「フン、攻撃力は2と高いようだが体力は1の雑魚モンスターか」

 

あっ、これは!

 

「それはどうかな、血に酔ったウルフはプレイヤーにダメージを与える事で瞬時に受肉する」

 

久しぶりだな、と血に酔ったウルフが俺の腕を噛みついて受肉する。

腕の一部が削れたが痛みはない。

 

「何!?召喚酔いがないのか!しかも自分を攻撃だと」

「バトル!コボルトとウルフで攻撃だ」

「うわぁぁ!……うん?」

 

いや、イメージなので痛くはないので不思議そうにされても困る。

ロベルトの頭上の数字は20→17になっていた。

 

「なるほど、弱い分すぐに攻撃してくるデッキだな」

 

コイツ、嫌いだけど理解力あるぞ!

 

「分かってきたぞ、俺のターン!ドロー!」

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