異世界ファンタジー世界でカードゲームしてる   作:nyasu

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こんなのデュエルじゃない

半透明なコボルトがそこにはいた。

中央にはデカい砂時計、うーむ分かりにくいから要改善して欲しい。

頭上には20という数字、よく考えたらこの世界は数字があるんだろうか。

人の手足の数が一緒だし、10進法かもな。

 

「俺の魔法がカードになってる……コスト1を消費して、ファ、ファイアー!」

「うおっ」

 

兄貴のカードが急に光ったら、カードから炎の塊が飛んできた。

それも俺を飲み込めるくらい、1メートルくらいの塊だ。

メートル法とか、あるか知らんけど。

炎が俺の半身を飲み込む、おぉ痛くないぞ。

ビビったけど、今の俺へのダメージは幻になるらしいからな。

あぁ、でも効いてない感じだと気味悪がられるか。

よーし、俺の大人顔負けの演技を見せてやるぜ。

 

「ぐあぁぁ!?あ、熱い!あぁぁ!うわぁぁぁ!」

「えっ、う、ちが……」

「ハァハァ……ターンだ!ターンを終了しろ!」

「お、おい……」

「早くしろ!」

「タ、ターンエンド……」

 

俺の名演技に兄貴がビビってる。

全然痛くも痒くもないのだが、なんか片腕が損傷していた。

うわぁ、ケロイド状の皮膚と炭化した指、火傷も肩まであるぞ。

すごいな、特殊メイクみたいだ……指が欠けてるけど人差し指と中指があるから何とかなるか。

 

「そ、そこまでして……」

「俺のターンドロー!よいしょ、手札のコイツ……2PPを消費して血に酔ったウルフを召喚!コイツはすごいぞ」

『グラァ!』

 

半透明の狼が召喚され、そして俺に向かって反転すると同時に胴体に噛みつく。

そうなんだよな、テキストにはダメージを与えるって書いてあるもんな。

その代わり、召喚酔いみたいな1ターン目から攻撃出来ないを無効化できる。

そうスピードアタッカーって訳だ、早く説明したい。

 

「おい……」

「あっ、ぐっ……くっ、コイツは俺の血肉を食らうことですぐに受肉出来る」

「もう辞めろよ!お前、死ぬぞ!」

「いや、ゲーム中は死なないし、終わったら大丈夫だから安心してよ!」

「サ、サレンダー!サレンダーする!」

「……はぁ?」

 

フィールドが光輝く、俺達の前にいたコボルトやウルフがまた透明になっていく。

兄貴の身体から光が吸われて、兄貴が倒れる。

その周りには、兄貴の魔法が書かれたカードが落ちている。

そして、周りから叫び声が聞こえた。

いや、違う、これ悲鳴か!

 

「坊ちゃん!」

「あぁ!マルセル!マルセル!」

「いけません、奥様!まずは……」

 

俺の身体を抱きしめるようにして拘束する騎士、兄貴の側には兄貴の派閥の人間が抜剣して守るように立ち塞がる。

見れば、手とかは元通りになっている。

 

「坊っちゃん、何故傷が……いけない。私の後ろへ」

「おい、どういうことか分かってんだよな!」

「剣をしまえ、お前こそ自分が何をしてるか分かってるのか!」

 

俺を拘束していた騎士が俺の前に出る。

離れたと思ったら今度は母親が抱きしめてくる。

あの、見えないんですけど、てか何でお互いバチバチなの?

 

「そちらが先に仕掛けた事を、神聖な決闘を愚弄するか」

「抜かせ、手続きも行わない私闘ではないか」

「それはそちらの落ち度であろう!やる気か!」

 

いや、いやいや、やる気かじゃねぇんだよ。

あっ、なんか展開早くて何だとか混乱してたけどイライラしてきた。

 

「おい!剣なんか捨てて掛かってこいよ!」

「坊っちゃん!?」

「デュエルしろよ!デュエル!」

 

俺を中心にフィールドが形成され始め、母親が背後に押されて転がっていく。

騎士も前に倒れて顔から引き摺られて転がされ、なんか逃げようとしていた騎士がフィールドに飲み込まれた。

兄貴は何か派閥の奴に抱えられてフィールドの壁にぶつからずに済んだようだった。

 

「な、何だ!おえぇぇ!?」

「連続展開……ぐあぁぁ!?」

「う、うおぇ……魔力酔いか!大丈夫か!」

 

適当に発動したからか、兄貴のとこの騎士が3人くらいフィールドにいる。

こういう場合はどうなんだ、ルール考えたけど俺もよく分かってない。

っていうか、なんか一人はメッチャ頭抱えて膝から倒れたし、一人は吐いてるし、一人だけしか立ててない。

おい、俺は兄貴のせいで満足にデュエル出来てねぇんだよ。

ウチの騎士とチャンバラするなら、俺を満足させろよ!

 

「俺のターンドロー!ゴブリンを召喚!ターンエンド!」

「くっ……ターンエンド!」

「ドロー!ゴブリンを2体召喚!受肉したゴブリンで攻撃!」

「くっ、逃げれぬか……来い!」

 

半透明のゴブリンが2体、受肉した迷彩柄の猿みたいなゴブリンが棍棒片手に騎士に向かって走っていく。

そして棍棒で殴りかかって、騎士の剣で防がれた。

他の奴らは何かライフが0を表記されてるし不戦勝になってるようだら、

おっ、ちゃんと19って騎士の頭上には表記されてるな。

なんか防がれてダメージ入ってないように見えるけど。

 

「俺は……俺は騎士の剣を発動してターンを終了する」

「おぉ、アミュレットか!素晴らしい!」

 

カードから飛び出すように剣が発生して、地面に突き刺さる。

おい、どんな効果か説明しろよ。

兄貴は魔法系だったけど、騎士は……平民だからあれかな武器とか召喚してモンスターに持たせるとかそんな感じなのかな?

アグロで強化して顔殴りとかそんなんかな?

つまり、雑魚とかバンバン出して強化しながら殴ってライフを削るスタイルだ。

 

「俺のターン!ドロー!コスト2PPを消費して占星術!これはカードを2枚ドローする!コスト1PPを発動して、身体強化!ゴブリン一体の攻撃力と体力を増やすぜ!」

 

奇しくも同じ構え、アグロ対決だ。

手札は手札5枚、モンスターはゴブリン3体、1体はちょっと大きくなっている。

 

ゴブリン、攻撃力2体力2

ゴブリン、攻撃力1体力1

ゴブリン、攻撃力1体力1

 

みたいな状況だ。

手札も初期手札と同じくらい、場のアドは取れてる、幸先いいぞ。

 

「俺のターン……なんと卑劣な」

「はぁ?」

「魔法さえ無ければ、くそ!ぐぁぁぁ!」

「えっ?」

 

なんか戦っていた騎士の頭上にあった数字がどんどん減っていく。

そして胸を抑えて騎士が倒れる。

騎士が手に持っていたカードが宙を舞い、地面に落ちた。

 

「一体何が……まさか!そういうことか!」

 

俺は理由にすぐさま気付く、この騎士の男は今のターンドローしていなかった。

つまり、ライブラリアウト……デッキ切れで負けたのだ。

魔法使いじゃないから、いや召喚獣を持ってたりしてたら、多分騎士なんてなんちゃって貴族階級だからデッキに出来るような物が足りてなかったんだ……そもそも魔力が全然ないやつは立つことすら出来ないなんて、これじゃあ俺はどうやってデュエルしろと……全然楽しくねぇ。

こんなのデュエルじゃない、ガチすぎた魔法だ。

 

「ん?あっ剣のカードと兄貴の魔法カードだ……あれ?」

 

えっカード化された奴がなんで消えてないんだ?

どっちも使ってた奴だな、残るのか?

もしかして倒したらカード手に入るのかな、ええやん。

デュエルができなくてもカードが手に入るのは嬉しいし、ちょっと元気出たぞ。

 

「なんの騒ぎだ!」

「あっ」

 

ゴゴゴと魔力を滾らさた親父がやってくる。

家人の者達が泡を吹きながら倒れていたり、気持ち悪そうにして立っている。

この世界の貴族は魔力があるから、リアルに覇王色の覇気が出来るのである。

霊圧でも可、普段は抑えているのに怒ってる。

 

「マルセルよ!あの子が私の子を、あの子は悪魔よ!」

「レオンです!レオンが私達の子の命を奪おうとしたのですよ!」

「……ええい!誰か、この二人を部屋に閉じ込めておけ!マルセル!お前もだ、私がいいと言うまで部屋から出るなよ!」

 

スンッと威圧感が消えたと思ったら、うんざりした顔で親父が額を押さえる。

あんなに魔力があるという事は、親父から出るカードは強いかもしれない。

 

「デュ――」

「マルセル、死にたいのか?」

 

メッチャ睨まれた……うわ、パンツ変えなきゃ。

 

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