「それにしても……お、お前……どれだけ寝相悪いんだよ……」
魔理沙から出された朝食を食べている時、魔理沙は笑いをこらえながら言う。
笑いをこらえる魔理沙の体は小刻みに震えている。
あの後、部屋中を探すも掛け布団を見つけることはできなかったのだが、朝、魔理沙が鳥居に引っ掛かっているのを見つけたらしい。
そして、そのことで朝から魔理沙にいじられている。
「ほ、本当に布団が吹っ飛ぶことってあるんだな…」
「ふっ、フフ……」
「ハッ…ハハハハハハハハ」
魔理沙は笑いをこらえようとしていたものの耐えきれずに笑った。
「はぁ…」と、ため息をつき、笑う魔理沙にたいして彩乃は何か反論や弁明を言うことを諦めた。
◆◇◆◇
「準備できたか?」
外で待っていた魔理沙はこちらを振り向きそう言った。
今日、魔理沙と共に人里に行くことになり、その準備をしておけと言われたため、準備を済まして外に出てきたところだ。
まあ、荷物は何も持っていないため準備することなんてなかったが……
「…で、どうやって行くんだ?」
魔理沙に人里への行き方を尋ねる。
「ん?あー、ここから人里は離れているからなぁ」
「お前、空は飛べるか?」
「まあ、飛べなくはないが…」
「よし、決まりだな。飛んでいくぞ」
その答えを聞いた魔理沙は飛んで行くことに決定した。
◆◇◆◇
「とうちゃーく」
そう言って、魔理沙は人里の入り口の前に降り立つ。
魔理沙に続き地面に着地する。
「そういえば、何を買いにここに来たんだ?」
「まあ、基本食材だな。お前の分も買わないとだしな」
「俺の分?」
「ああ、どうせお前行く当てないだろ?」と魔理沙は言った。そのことについて、特に反論はできなかった。
「あとはまあ、人里の見回りと、何か困ってることがないかの聞き込みだな」
「聞き込み?」
「ああ、異変についてのこととか、何かしらのトラブルがないかとかの聞き込みだよ。これは、博麗の巫女としての仕事だな」
それにしても、博麗の巫女は大変なんだなと思いながら話を聞いていた。
「じゃ、行くか」と言いながら魔理沙は歩き出す。
その背中を追うように彩乃は魔理沙について行った。
◆◇◆◇
人里の中は騒がしかった。
物を売る商人の声
店員と話す客の声
世間話をする女性たちの声
子供の遊ぶ声
里の至るところから人の声が聞こえてくる。
それを騒々しいと言うべきか、賑やかと言うべきか……
なんにせよ里には活気があった。
それにしても──
「お、魔理沙さんお久しぶりです」
「おー、久しぶりだな」
「あー巫女さんだー」
「はは、元気いっぱいだなぁ」
「おや、これはこれは、巫女さんじゃないか」
「お、元気そうだな、ばあちゃん」
ずいぶんと魔理沙は好かれているらしい。
魔理沙のその性格故だろうか?
少なくとも博麗霊夢よりは人気があるだろう……たぶん。
「……」
立ち止まり、耳を澄ます。
「あら、このお魚安いじゃない」
「いらっしゃい!!見てらっしゃい!!いい品そろってるよー!!」
「ねえねえ、知ってる?お隣の─」
「こっち、こっちー」
「あはは、待ってー」
「最近物騒よねぇ」
「また焼死体が見つかったらしいぜ。これで──」
「そんなに走ると危ないわよー」
「──さんのお家の娘さん、まだ見つかっていないらしいわよ」
「最近、子供の行方不明が多いわねぇ……」
里の人たちの会話に耳を傾けると、様々な話が聞こえてくる。
「おーい、行くぞー」
魔理沙が少し離れた所からこちらを呼び掛けている。
再び歩き出した魔理沙に追い付くために少し歩を早くして歩く。
「迷子になっても知らないからなー」
魔理沙に追い付いた時、そんなことを魔理沙が言った。
「母親かよ……」
◆◇◆◇
「ん?」
少し歩くと、そこにはあるものがあった。
到底この人里にあるとは思えない、いや、あるわけがないとまで言えるもの──
「木……?」
木、それも大木とも言えるほどのもの。
到底この人里のど真ん中にあるとは思えぬほどのもの。
それはまるで、森からそのまま持ってきたかのようだった。
「ん?これか?」
魔理沙がそう聞いてきた。
「なんで、こんなところに木があるんだ?」
「これはまあ、異変ってやつだな」
「?」
「もともとここには郵便ポストがあったんだよ」
「じゃあなんで木になってんだよ?」
「さあな、気づいたらなってた」
「え?」
魔理沙はさっぱりわからんといったような顔で言う。
「仕方ないだろ……本当に気づいたら木になってたんだからな……」
「あの日は大変だったなぁ」と、魔理沙は懐かしむような感じで言う。
「あの日、手紙をだそうとポストへ行ったんだ……」
その日は寄り道などはせず、いつもと同じ道を通って向かったのだが、本来ポストがあるはずの場所にあったのはこの木だった。
私はその後、里の人からのお願いもありポストを探すことになった。
私は主に森を中心として、探すことにした。
そして、幻想郷中をまわり、日が落ちてきた頃についにそれを見つけた。
「──で、ポストはどこにあったんだ?」
回想に浸っている魔理沙に彩乃がそう聞いた。
「……森」
「……?」
「森にあった」
「……森?」
「ああ、里から少し離れた森の中だ」
「だが、さすがに場所が場所だからな……」
魔理沙は木の近くにある箱を指差した。
「今はあれが代わりだ。手紙を出したいならあれに入れろよな」
そう言って、魔理沙は再び歩き出そうとしたが、すぐに足を止めた。
「どうかしたか……?」
「いや、ここでいいか……」
そう呟き、魔理沙は懐から何かを取り出し彩乃に投げた。
「?」
魔理沙が投げた何かを彩乃は片手で受けとる。
「これは……」
受け取ったものを見ると、それは小さな財布だった。
「小遣いってやつだ。それで好きなのを買ったらいいさ」
「本当に母親みたいじゃないか……」
「私は私ですることがあるからな。そうだなぁ……昼頃になったらここに集合ってことで」
「好きに見てまわるといいぜ」
「案内のために連れて来たんじゃないのか……?」
「……悪いな」
何食わぬ顔で魔理沙は言った。
「ああ、それと、体のことで何か心配だったらあっちの方に行ったらいい」
ある方向を指を差して魔理沙は言う。
「医者がいるからな。私は大丈夫だと思うけど、信用できないなら行ったほうがいいぜ」
「じゃあ、また後でなー」
そう言った後、魔理沙はどこかへと歩いて行ってしまった。
休日が終わるわけがない!!GWは不滅だああぁぁぁ!!
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