「準備できたかー?」
昼頃、魔理沙は外で彩乃を待っていた。
「一応できたが、どこに行くんだ?」
一夜明け、今日の朝唐突に外出の準備をしろと言われた彩乃は、一応準備をして外に出てきた。
「紅魔館、ってとこだ」
「やけに急だな」
「悪かったな」
今日外出するということは急に言われたことだったため、まだ少し困惑がある。
「まあ、急用だから許してくれ」
「急用?」
その急用という言葉から若干面倒くさそうな予感がした。
◆◇◆◇
「お、見えてきたな、あれだ」
飛んで紅魔館に向かっていると遠くに紅い建物が見えてきた。
あの後、特に用事の内容を聞かされることなく、魔理沙と共に紅魔館へと向かうことになった。
門の前に降り立ち、目的の建物を見る。
目の前には大きな門があり、奥にはその大きな門が相応しいサイズと言えるほどの大きな紅い館があった。
(いつ見てもでかい館だな……)
そんなことを思いながら館を見ていた。
「いくぞー」
館を眺めていると、そう言って魔理沙は門を開けて入っていった。
館へと進んでいく魔理沙を追いかけるように、門を潜り、魔理沙の後ろを歩く。
それにしても、こんなに大きな館の割に門番もいないとは不用心なものだ。
そんなことを思いながら館へと向かった。
◆◇◆◇
魔理沙は館の入り口であろう大きな扉を引いて開ける。
ギィィと館の玄関扉が音を立てて開く。
扉を潜り、魔理沙と共に中へと入った。
館に入り、中を見る。
さすが紅魔館と呼ばれるだけはあると言うべきか、外観もそうだったが内装も全体的に紅い。
ずっと見ていたら目が痛くなりそうだ。
その時、魔理沙とは違う人物の声が聞こえてきた。
「いらっしゃい、魔理沙。思ってたより早かったわね」
館の中を見ていると、銀色の髪をしたメイド服の女が突然目の前に現れた。
「善は急げって言うしな」と魔理沙は突然現れた人物に返す。
「急がば回れということも忘れないようにしなさいよ」
「わーってるって」
そう言う魔理沙にメイドは呆れたような表情をする。
「はぁ…いつか痛い目を見るわよ」
魔理沙は突然現れたメイドと親しげに話している。
「そして……」
魔理沙と親しげに話していた、銀色の髪のメイドがこちらを向いた。
「あなたは……初めて見る顔ね」
メイドは軽くお辞儀する。
「はじめまして。紅魔館へようこそおいでくださいました」
「私の名前は『十六夜咲夜』、この紅魔館でメイドをしております。以後、お見知りおきを」
「…白月彩乃、特に語る肩書きは無い」
メイド──十六夜咲夜にこちらも挨拶を返す。
「挨拶はすんだか?で、あいつはどこに─」
魔理沙がそう言おうとした時、
「ここにいるわ」という声が聞こえてきた。
「久しぶりね、魔理沙」
声の主はコツコツ、と中央にある階段を下りながらそう言った。
「そしてようこそ、白月彩乃」
階段を下りてきた少女は、片手を胸に軽く添え、もう一方の手でスカートの裾をつまみ、一礼する。
「私はこの紅魔館の主、『フランドール・スカーレット』。あなたを歓迎するわ」
フランドール・スカーレット──
レミリア・スカーレットの妹の吸血鬼、のはずだが……
目の前にいる彼女は宝石のような結晶が釣り下がっているような特徴的な翼に、深紅の瞳、薄い黄色の髪を持っている。
黒色の洋服を着る彼女からは元の世界の彼女よりも大人びた雰囲気があり、それはまるでレミリア・スカーレットの様だった。
「それじゃあ早速、ティータイムにしましょうか」
フランは唐突にそう言った。
「咲夜、準備してちょうだい」
「かしこまりました」
そう言った直後、咲夜は姿を消した。
「こっちよ、案内するわ」
フランはそう言い、こちらを先導する。
◆◇◆◇
「お待ちしておりました。用意は整っております」
「ありがとう、咲夜」
フランに連れられて来たのはテラスのような所だった。
少しばかり日陰のあるテラスには、すでに用意のすんでいるティーテーブルがある。
ケーキスタンドに飾り付けられた洋菓子があり、洒落た雰囲気が漂ってくる。
「おお、気合い入ってんなぁ」
魔理沙もそれを見て感心していた。
「お飲み物はいかがなさいますか?」
咲夜がそう聞いてきた。
「飲み物…」
「私はいつものやつでいいぜ」と魔理沙は即決する。
「咲夜は紅茶とコーヒーの腕がいいわよ」
悩んでいるこちらを見て、フランがそう言った。
「遠慮ならさずとも、何でもご用意いたしますわ」
「じゃあ……」
「──ココアで……」悩んだ末にそれを頼むことにした。
「かしこまりました」
「お嬢様は…」
「私もいつものでいいわ」
「かしこまりました」
そう言って咲夜はまた姿を消した。
「そう緊張しなくてもいいわよ、楽にしてちょうだい」
そう言い、フランは椅子に座ることを促す。
その後、椅子に座り少しだけ待つと咲夜が飲み物を持って戻ってきた。
フラン、魔理沙、彩乃の前に飲み物が置かれる。
彩乃の前にはココアが、
魔理沙の前にはオレンジジュースが、
フランの前にはミルクコーヒーが置かれた。
「それじゃあ」とフランが口を開く。
「お話をはじめましょうか」
ちょっとおしゃれな皿のタワーみたいなやつがケーキスタンドという名前なのはじめて知った。
ちなみにこのフランはブラックコーヒーは苦くて飲めません。
咲夜のコーヒーの味を評価してくれたのは里にあるコーヒーの美味い喫茶のマスターです。
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