幻想滅失録   作:メイア・カルテシア

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書くことがない!!


異物

白月彩乃──

私がこの世界に連れてきた、別の世界の幻想郷で異変を起こした人物

 

私があの子に望むのは変化──

 

拮抗状態の三つ巴、私たちを入れて四つ巴の今の状態を崩す。

そのための存在。

 

 

歪に完成された今の状況を変えるため、

そして、今この世界に巣くう奴らを一掃し、終止符を打つために呼び寄せた──

 

 

 

 

 

──異物

 

 

 

 

 

 

─────────

 

 

「そろそろかしら」

ココアを飲んでいるとフランがそう呟いた。

 

 

その直後、「戻ったぜー」と言いながら魔理沙がこの場に戻ってきた。

 

「パチュリーはどうだったかしら?」

「相変わらずって感じだったな」

「そう、元気だったならいいわ」

 

 

「じゃあ、私たちのお茶会はここでおしまいね」

フランは飲んでいたミルクコーヒーを置き、そう告げた。

 

「彩乃、この館の近くに大きな湖があるでしょう?そこに行ってきてくれないかしら?」

「湖に?なぜ?」

フランが唐突に言ったそのことに疑問を呈する。

 

「それは行ってからのお楽しみよ」

フランは微かに悪戯っぽい笑みを浮かべてそう言った。

「咲夜、一緒に行ってあげて」

「はい」

 

 

「ついて来てください」

そう言って、銀髪のメイド──咲夜はこちらを先導するように歩き始めた。

 

「行ってらー」と言いながら魔理沙は手を振りこちらを見送る。

 

仕方なく、咲夜について行くことにした。

 

 

 

 

 

────────

 

「さて…二人きりね、魔理沙」

「ああ、そうだな」

 

 

「じゃあ、本題(・・)に入りましょうか」

 

 

◆◇◆◇

 

 

「……」

咲夜に連れられて来たのは何の変哲もない湖の近く。

 

「ここで何するんだ?」

咲夜にそう聞く。

「さあ?」

しかし、返ってきたのは予想外の返事。

 

「聞いていないのか?」

「ええ、私がお嬢様に命じられたのはあなたをここに連れてくることだけ」

「ここで何をするのか、何が起こるのかは私にもわからないわ」

そう言われ、少しだけ嫌な予感がした。

 

 

 

そしてその予感はすぐに的中することになった。

 

 

草むらからガサガサと言う音が聞こえ、そちらを振り向くと、それは現れた。

 

 

「……犬?」

現れたのは、四足歩行で耳と尻尾のある黒い犬……いや、狼のようなもの。

サイズとしても、普通の狼と同じか少し大きいくらい。

 

(妖怪……にしては気配の感じが違う……)

(あれは……)

 

「魔物……」

そう咲夜は言った。

 

「魔物……あれが?」

 

 

「来るわよ」

目の前にいる魔物とやらを見ていると咲夜が言った。

 

その直後、魔物は自身の目の前にいる存在を獲物と認識したのか、こちらに向かって飛び付いてきた。

 

 

彩乃と咲夜はそれを横にそれて難なくかわす。

 

 

「あなたがどこまでやれるのか見せてもらうわ」

そう言った後、咲夜は姿を消した。

 

 

魔物は唸り声をあげて、こちらの動きを伺っている。

 

どこか既視感のある状況だが、今はやるしかないのだろう。

リハビリついでにやるとしよう。

そうして、こちらもいつでも対応できるように警戒する。

 

 

先に動いたのは魔物だった。

 

魔物は先程のように飛びかかる。

それに彩乃は先程と同じように避けた後、魔物の胴に蹴りを入れる。

 

キレイに入った蹴りにより、魔物は吹き飛ばされる。

 

魔物は弱々しい声を出して地面に叩きつけられる。

 

魔物は起き上がって、体勢を立て直す。

それと同時に、魔物の背後の草むらが揺れる。

 

 

「……こいつもかよ」

 

その草むらから出てきたのは目の前に居るものと同じ見た目の魔物。

新たに出てきたのは三体。

それぞれが仲間を攻撃された怒りからか、唸り声を上げて威嚇している。

 

二体の魔物がこちらへ向かってくる。

飛びかかってきた魔物を避け、地面を駆けて向かってきたもう一体を蹴り上げる。

 

残った二体が左右から迫ってくる。

それを上に飛んでかわす。

 

下に向かって弾幕を放つ。

弾幕が爆ぜ、魔物を吹き飛ばす。

 

地面に着地して、先程蹴り上げた魔物へと瞬時に近づき、魔物の頭へ拳を振るい、そのまま地面へと叩きつける。

叩きつけられた魔物の頭は潰れ、地面に血溜まりができる。

 

 

最後に残った一体は背後からこちらへ向かい、背中を狙う。

 

魔物の爪が背中を切り裂かんとする瞬間、後ろ蹴りを魔物の頭に命中させる。

 

魔物は勢いよく吹き飛ばされ、その先にあった木に叩きつけけられた。

 

 

魔物との初戦闘はあっけなく終わった。

「……?」

魔物は力なく倒れ、次第に体が崩れていく。

 

 

「なかなかやるようね」

崩れゆく魔物を見ていると、背後から咲夜がそう言った。

「あれは?」

 

魔物(あれ)は魔力を動力源としている──魔力の塊」

「大きなダメージを負ったことで、その形を保つことができなくなり、体を構成していた魔力が飛散して、そのうち消える」

「死体が残るのであれば、いろいろ調べようがあったのだけれどね……」

「それじゃあ、戻るわよ」

そう言って咲夜は紅魔館へと歩き出した。

 

 

 

 

 

 

 

────────

 

「──お前が直接手伝ってくれてもいいんだぜ」

「今回はあなたたちに任せるわ」

 

「……お前はどうするんだよ」

「あの子がどこまでやれるのかを、今回の件で見極める。そのためにも、私は手出ししない。私のすることはここまで、後はあなたたちで頑張りなさい」

「……そうか」

 

 

「……あちらも終わったようね」

フランは湖の方を見て、そう言った。

 

 

◆◇◆◇

 

 

あの後、何かあるわけでもなく、すんなりと戻ってきた。

「おかえりなさい」

フランがこちらを向いて言う。

「こちらもちょうど用事が済んだところよ」

 

「てことだ、そろそろ帰るぞ彩乃」

「ええ、お茶会もこれでお開きとしましょうか」

 

魔理沙は席を立ち、テラスを出ようとする。

彩乃も同様にテラスを出ようと背を向ける。

 

「健闘を祈っているわ」

テラスから立ち去ろうとしている二人にフランは言った。

 

 

◆◇◆◇

 

 

「それでは、お気をつけて」

紅魔館から出ていく二人を見送りにきた咲夜が言う。

 

「じゃあな」

魔理沙は咲夜にそう返し、背を向け空へと飛び立ち、彩乃もそれに続くように飛び立った。

 

そうして、二人は紅魔館を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

空を飛ぶ二人の姿が小さくなっていくのを見届ける。

「──ご武運を」

咲夜は飛び去っていった二人に向けてそう言った。




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