「ふんふふ~ん♪」
優しく、優しく結んでいく。
そっと、崩さないように、壊さないように。
細いお花の茎と茎をしっかり結んで……
形を崩さないように……
「できた!!」
そうして、完成したお花の冠を天に掲げて、達成感を噛み締める。
その花冠を頭にのせて走り回る。
あっちへ行ったり、こっちへ行ったり。
ここは私だけの花畑。
大人には内緒の私だけの秘密の場所。
「~~♪」
鼻歌を歌いながら、走り回って、花畑に寝っ転がる。
「?」
そんな私だけの空間に私以外の足音が聞こえてきた。
音の聞こえた方向を見ると、そこにいたのは私と同じくらいの女の子。
「だぁれ?」
「私?私は鈴風。あなたは?」
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「──そうか、ありがとな」
町行く人の話を聞き終えた魔理沙がこちらへと歩いてくる。
「はぁ……手がかりなしか……」
残念そうな顔をした魔理沙はため息混じりにそう言った。
シフと名乗った妖怪に逃げられた日から二日がたった。
そこで、魔理沙と昨日に引き続き、人里での聞き込みをしていた。
「あれから新たな行方不明者は出ていない。そして、行方不明になった子供を見たという話もなかった」
「まるで手がかりなし。どうするんだ?」
聞き込みをしているものの、状況はよくない。
「…奴が今どこにいるのかもわからんからなぁ……」
「そもそもまだ人里にいるのか?」
「ああいうのがそう簡単に諦めるとは思わんからな……」
「──どうしたものか……」
そう言った魔理沙は再びため息をついた。
シフの手がかりは見つかっていない。
奴が今どこにいるのか、何をしているのかなど知るよしもない。
さっさと見つかればいいのだが……
「彩乃ー、次行くぞー」
「はぁ……まだやるのか……」
今日も長くなりそうだ、と思いながら魔理沙のもとへと歩いていった。
────────
(あれは……博麗の──)
「……っ」
「わあ…巫女さんだー。何かあったのかな?」
こちらの気を引くように引っ張られた服の裾をつかむ少女がわざとらしく言った。
「……」
「巫女さんの邪魔したらダメだから、あっちに行こう?」
「……」
言葉は出ない、体が声を出すことを拒んでいるかのようだ。
「どうしたの?」
「お母さんと会えなくていいの?」
「……」
「ねぇ、何か言ってよー」
「私はいいんだよ♪巫女さんの所に行っても」
「──どうするの?おとーさん♪」
「……」
唇を噛み締め、渋々その場を後にした。
「フフッ、お父さんえらーい♪」
博麗の巫女はどうしようもなくて困っているみたいだし、この調子でいけばいずれは人里以外も探しに行ってくれるはず。
潔く諦めてくれたらいいんだけど……
巫女ちゃんがいくら頑張ったところで私の手がかりは見つからない。
以前に拐った奴の体を使うなんてヘマはしないし、念のため巫女との接触は極力控える。
新たに行方不明者が出たという話題も作らせない。
ちょっと方針変更してみたけど、うまくいってるし……初めからこうすればよかったかな?
まあ、もう過ぎたことだし考えても仕方ないか…
今回私はちょっとだけやり方を変えてみた。
いつもは子供を拐って、じっくりと悲しみと絶望で満たしてから残りを喰らうのだけど、それだとバレちゃうから、今回は子供を拐わない。
そう、私がその家族のもとに戻る。
子供がいなくなったのにどうしようもないという絶望は与えられないけど、近くに居ればいくらでも苦しめようはあるしね。
行方不明になったと言われなければ、関わりのない人間がその人がいないとは分かるわけもない。
ならば、関わりのある人間にそいつがいなくなったと言わせなければいい。
我ながらなかなか良いアイディアだと思う。
子供がいなくなったという絶望から、感動の再会という喜びを与え、再び絶望のどん底へと叩き落とすあの感覚
──そして、溢れんばかりの感情で満たされた魂というのはそれはもう美味なものなのですが……
博麗の巫女がいなくなるまではこれで我慢かな。
「……」
「どうした?彩乃」
「いや、何でもない」
----------------
「このままじゃあ埒が明かない」
あの後も何人かに話を聞いたものの、これといった情報は得られなかった。
「──そこで」
「二手に分かれようと思う」
魔理沙は真剣な眼差しでそう言った。
「……なんで今までしなかったの?」
「忘れてた」
「えっ……」
「冗談だ
──半分は」
「……そ、そんな目するなよ……わ、悪かったって」
────────
「じゃあ、私はあっち」
「──彩乃はそっちを頼む」
魔理沙はそれぞれの方向を指差しながら言う。
「それと、何かあったら……なんとかして私を呼んでくれ、すぐに行くからな」
「……善処しよう」
「頼んだぞー」と言いながら、魔理沙は自分の担当する方向へと歩いていった。
それを見届けた彩乃も言われた方向へ歩いていった。
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「さて、こんなものかな」
荒れた部屋を見て、少女はそう呟く。
部屋の中心には天井から力なくぶら下がっている男の姿があった。
「さすがにあれをお咎めなしとはいかないし、不安要素はなるべく潰しておかないといけないからね。あなたが悪いんだよ」
「悩まずにさっさとあの場を離れればよかったのにね」
男の近くにあるテーブルの上には一枚の紙があった。
「妻子殺害の果ての自殺。完璧なシナリオだね」
「遺言もあるし、妻子の死体は巧妙に隠したってことでいけるね」
少女は背を向け玄関へと行く。
「じゃあね、おとーさん♪」
あの父親も違う……
なぜ皆して私には愛を与えないの?
自分の子供と同じ姿だというのに……
なぜ……?
いや、そんなことはどうだっていい。
今はもっと力を蓄えなければ……
もっと力を……
魂を……
「次は誰にしようかな~?」
────────
「ねえ……本当にこっちにあるの?」
森の中を進む少女の後ろを歩く、同い年くらいのその少女は恐る恐るといった感じでその疑問を投げ掛けた。
「うん!すっごく綺麗なんだよ」
それに対し、前を歩く少女は満面の笑みで答える。
「そ、そうなんだ……」
やはりガキはいいカモだな。
綺麗な花畑があるとか、面白いものがあるとか言ってればホイホイついてくる。
自分と同じくらいの子供だったらろくに警戒もしない。
本当に哀れで愚かだ。
私はそんな哀れな魂を有効活用してあげてるんだ。
むしろ感謝してほしいよ。
(ここでいいかな……)
森の中を歩き続け、人里からもある程度の距離ができたところで、私は後ろをのこのことついてきた少女の方を向く。
「…ど、どうしたの?」
「……君はお父さんとお母さんのこと好き?」
「う、うん。好き…だよ……?」
「二人は君のことを愛していると思う?」
「…?わ、わからない……」
「ふーん、まあいいや」
「…わ、私…もう、帰らないと……」
少し怯えた声で言いながら、少女は一歩後ろに下がる。
「え?どうして?」
「だ、だって……森には行くな、って言われているし……」
「……」
「ご、ごめんね……私、帰るね……」
そう言って少女は背を向け歩き出そうとする。
──それを私は腕を掴み引き留める。
「えっ……?ど、どうしたの……?」
急に腕を掴まれた少女は怯えていた。
「そんなに怖がらなくていいんだよ」
「それより……あなたは二人に愛されているんでしょ?」
「あなたを愛しているから危険な場所には近づくなと言ったんじゃないの?」
「それは家族愛というものかしら?」
「……あなたはそれが何なのか分かる?」
「私にはわからないの……」
淡々と語る少女を見る目は恐怖で満ちていた。
「だからさ、お願いがあるんだ」
「お願い……?」
「うん──」
「あなたの愛を私にも頂戴」
「えっ……?」
少女の腕を掴む手の力が強くなっていく。
どうすることもできない少女の目には涙が浮かんでいた。
自身の腕を掴む手とは逆の手が、首を掴む。
「ぅっ……」
その手は首を絞めつけ、息ができないようにする。
(ごめんなさい……私が……約束を守らなかったから……)
「それじゃあ、さようなら──」
その時のことだった──
「現行犯……といったところか?」
私とも目の前の少女とも違う声が森に響いた。
Q&Aコーナー的なのしてみたいなー、とか思ってます。
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