幻想滅失録   作:メイア・カルテシア

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ここからかなりオリジナルな世界に突入していきます。
苦手な方はご注意を。


博麗

「博麗……魔理沙……?」

「ああ」

 

目の前にいる金色の髪の少女は『博麗魔理沙』と名乗った。

(どういう事だ……博麗霊夢ではないのか……?そもそも…こいつはただの魔法使いだったはず……それなのに、巫女服を着ているどころか、『博麗』だと……?)

「…?おーい、どうしたー?」

 

(おかしい、明らかにおかしい……)

神社にいたのは自身の予想とは異なる人物だった。

そして、その人物は博麗神社(ここ)が自分の場所であるかの様にそこに居る。

 

「おーい……」

 

 

霧雨魔理沙──

博麗霊夢とよく一緒にいた魔法使い

自分の記憶が正しければこいつは博麗の巫女ではないし、姓は博麗でもない。巫女ですらないはずの者のはず。

 

しかし、自分の記憶とは違う形で目の前の魔理沙がいる。

魔法使いではなく博麗の巫女として、霧雨ではなく博麗としてそこにいる。

 

自分が知っているものとの違いに理解が追い付かず、戸惑うことしかできない。

(なぜだ…?どういうことだ……?ここはいったい何なんだ……?)

 

 

 

 

その時──

「わっ!!」

「──⁉」

魔理沙は気を引くために、驚かすように叫んだ。

 

「おいおい、本当に大丈夫か……?そんなにボーッとしてよ。本当に妖怪に襲われたのか?」

「……悪い、少し考え事をしていた」

咄嗟にそう返す。

「ふーん」

 

 

この異常事態でも、いや、だからこそ下手な事はできない。今は少しでもここの情報を知らなければならない。

ここで争う必要はないはずだ。

別にこいつに恨みがあるわけでもなんでもない。

だから、まずは対話をするべきだと。そう、心のなかで思いながら博麗魔理沙と向き合うことにした。

 

 

「少し聞きたいんだが、ここは何だ?」

「ここか?ここは博麗神社だ。まあ、ただの神社と思ってくれていいぜ。そして、この神社の巫女であり、幻想郷の治安を守っている博麗の巫女、それがこの私だ!!」

魔理沙は自信満々にそう言った。

 

「そうか……」

「…で、どうなんだ?」

「どうって…?」

「それ、襲われたのか?」

魔理沙は少し汚れた服を指差して言った。

「……まあ、そうだな」

「そうか……見たところたいしたケガとかも見当たらないが……どっか痛いとこはないか?」

魔理沙はこちらの体を一通り見ながら言った。

 

「いや、特には…」

「……そうか」

「…本当に博麗の巫女なのか……?」

念のためもう一度聞いた。

「…?ああ、正真正銘私が博麗の巫女だ」

「……」

 

魔理沙はさも当たり前のことのように答える。

その言葉からは手伝いだとか、そういうのではなく元からそうであることのように感じられる。

 

(本当にこいつが博麗の巫女だというのか……?)

(だとするなら、ここは……俺の知る幻想郷ではないというのか……?)

考えた結果たどり着いたのは、ここは別の世界の幻想郷なのではないかというものだった。

 

「立ち話もなんだしさ……ゆっくり座って話そうぜ?お茶も出すぞ」

別世界の魔理沙──博麗魔理沙は後ろの方を親指で指差しながら言った。

「わかった」

それに同意し、歩き出した魔理沙の後をついていく。

 

「あと、本当にケガがないかも、ちゃんと見てやるからな……えーっと……」

名前を聞いていないため、魔理沙はそこで詰まってしまった。

 

 

「──彩乃」

「『白月彩乃(しらつき あやの)』だ」

前を歩く魔理沙にそう名乗った。

 

 

 

----------------

 

 

 

「はは、そりゃあ大変だったな」

「笑い事か?」

隣に座っている魔理沙にあきれたような顔をしながら言った。

「ああ、悪い悪い」

そう言う魔理沙の顔に悪気などは一切見られない。

 

あの後、魔理沙にケガがないか確かめられた後、縁側で魔理沙の淹れたお茶を飲みながら何があったかを話していた。

 

 

「それにしても……あいつらか……」

「何か知っているのか?」

 

「ああ、あの妖怪……『ルーミア』どもには時々困ってんだよなあ…」

魔理沙は困ったような顔をして言う。

「あいつら、森に入った奴を食っちまうからな。まあ、基本的にはみんなあの森には近づかないようにしているが、たまに何も知らない奴とか、子供が好奇心で入ることがあるんだ」

「あの森には目印になるようなものもないし、どこを見ても変わらないから迷いやすいんだ。そんでもって、あいつらに見つかって食べられちまうことが度々あるんだよ」

 

「あれは人間だけを食うのか?」

「いや、あいつらは生物ならなんでも食べる。人に動物、妖怪だって例外じゃない」

「おかげで、あの森には動物は一匹もいないし、妖怪もあいつら以外はほとんどいない」

 

「……あいつらは光に弱いのか?」

「…何でだ?」

魔理沙は一瞬考えた後、聞き返してきた。

「森を出たらあいつらは追ってこなかった」

森を出た時のことを思い出しながら魔理沙に言った。

 

「……ああ、なるほど」

思いあたる節があるのか、納得したような顔で言った。

「どうなんだ?」

「いや、別にあいつらが光に弱いって話は聞いたことないな。あいつら昼夜問わず森を徘徊してるし……まあ、光が嫌いっていうのはあるかも知れないが……」

 

「じゃあ、何で……」

「それはあいつらなりの縄張り意識って感じのやつだと思う」

「縄張り?」

「あいつらが居る森。あそこ一帯はあいつらの縄張りのようなもんなんだ。だからなのか、あの森の外には出てこないんだ。まあ、私も詳しくは分からん」

「そうか…」

「まあ、なんだ、あいつらに襲われた時は全力で森から出ろってことだよ」

 

 

 

「……がんばったな」

魔理沙はこちらを向いて優しく言った。

「……」

その労いの言葉に返す言葉は見つからなかった。

 

「あの森から自力で出られる奴は少ないからな……」

魔理沙のその言葉のなかにある真意を深く考えることはしなかった。

 

 

「ごちそうさま」

飲み終わった湯呑みを置いてそう言うと、魔理沙は「お粗末様」と返した。

 

 

それにしても、正直疲れた

この短時間でいろいろあった。

知らない場所にいて、妖怪に追われ、神社には博麗霊夢ではなく博麗魔理沙が居た。

博麗魔理沙とは少しばかりは打ち解けた気もするが、もう少し警戒を続けることにしよう。

 

幻想郷と思われるこの場所は、自分の知るあの幻想郷とは違った。

疲労も情報量も多い。

少し休みたい。

 

「……疲れてんなら休んでいいぜ」

こちらのことを知ってか知らずか、魔理沙はそう言った。

「ほら、横になれよ」

 

「…ああ……」

そう言って、縁側に横になった。

 

横になると無理に走り続けたのが祟ったのか、だんだんと眠くなってきた。

 

 

 

 

「…ん?」

横を見ると、彩乃は寝ていた。

「……だいぶ疲れていたみたいだな」

 

湯呑みに残っているお茶を飲み干し、気になったことについて考える。

「それにしても、気づいたら森に居た……か」

彩乃が言うには目が覚めたら森に居たとのことだ。

なぜそこにいたのか、どうやって来たのかもわからないらしい。

「記憶喪失…ってわけでも無さそうだし…なら、外来人ってとこか……?」

「……」

少し考えると、何か知っていそう……いや、何か関わっていそうな人物が一人いた。

 

 

 

「…紫の仕業か……?」




どうも、3話(プロローグを含むと4)目でやっと主人公の名前を出した者です。
今回は会話メインになったなぁ。
ちなみに、前回のワケわかんないことを話すルーミアの言葉を解読した人っているのかな?

感想等お待ちしております。
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