今年も、幻想滅失録をよろしくお願いします。
「運命は不変ではない」
「運命というものは変えられるものである」
「変えるために必要な材料は行動であり、その者の意思」
「意思というものは覚悟であり、決意であり、時には殺意であり、憎悪でもある」
「着飾らなくてもいい……不格好でも、醜くても、それが意思というものであり、運命を変える原動力である」
「行動が変われば未来が変わる。未来が変われば運命も変わる」
「選択というものは人生の中にある未来への分かれ道」
「運命というものは道中ですれ違う旅人」
「運命は常に選択の先にある」
「今宵は二人、運命が変わった」
「そして明日、世界の運命が大きく変わる」
「今宵変わった運命が、その変化にどれ程の影響を与えるか……」
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朝日が昇り、世界を照らす。
楽園は今日も、変わらぬ日々を始めようとしていた。
「咲夜」
フランは側にいるメイドに話し掛ける。
「はい」
メイドはそれに返事を返す。
「あなたには行ってもらいたい場所があるのだけど」
「お嬢様のご命令とあらば何処へでも──」
「フフッ、そう言うと思ったわ」
「あなたに頼みたいことは二つ──」
「一つはその場所に行くこと、そしてもう一つはそこにいる彼女の手伝い」
「場所はここに記したわ」
フランは懐から一枚の紙を取り出し、咲夜に渡す。
「ここは……」
咲夜は紙に書かれた場所を見て、そう言葉を漏らす。
「少し悪いことをしてしまったようだから、そのお詫びよ」
「よろしくね、咲夜」
「はい、お嬢様」
◆◇◆◇
「これで全員?」
紅魔館の前に降り立つ魔理沙の姿を見て、エリシアはそう呟いた。
この場にいるのは、魔理沙、フラン、咲夜、彩乃、エリシア、そしてアリスの六人。
魔理沙は周りを見渡して、この場に全員がいることを確認する。
「ああ、全員揃っている。後は──」
確認を終え、六人は彼女が来るのを待つだけだった。
「準備ハイイカシラ?」
そんな場に八雲紫がスキマから現れる。
「お前はもっと早く来いよ」
魔理沙は最後に現れた紫に愚痴を溢す。
「少シクライイイジャナイ」
「それじゃあ、行ってくるわ」
フランは咲夜にそう告げる。
「行ってらっしゃいませ」
主へとそう返した咲夜は、次に魔理沙たちを見た。
「あなたたちも、後武運を」
────────
空間が広がるこの場所に、その者は一人佇んでいる。
「我はいずれ全てを手に入れる」
「天を、地を、その全てを統べる王となる」
静けさが広がるこの空間では、その声が普段より響くように聞こえる。
その者は空間の中央へと歩みを進める。
「キー……それがあれば……」
あれを手に入れる。
後はそれだけだ。
中央で立ち止まり、一度上を見上げる。
周囲には柱が立ち並び、重厚感やある一種の神秘性を見る者に感じさせる。
「しかし、よく邪魔が入るな……」
その者を──ガラを囲むように、柱の影から人影が現れる。
現れた人影は五つ。
それぞれが魔力を溜めたり、武器を構えてこちらを狙っている。
「……」
まず放たれた二対のレーザーを、ガラはその軌道を見ることなくかわし、直後に飛んできた弾丸を体を軽く反らして避け、同時に飛んでくる弾幕を片手で防ぐ。
大剣による一閃をスレスレで避けると、お返しとばかりに蹴りを放つ。
剣を盾にしてフランは直撃を避けるが、それでも勢いで体は後ろに吹き飛ばされる。
「クソッ……」
(完全に不意打ちだったろ……)
魔理沙はこの事態に不満を漏らす。
全員、気配は消した。
完全なる不意打ち。
気付かれていたとしても、どれか一発は当たる想定だった。
(フランがああ言うだけはあるか……)
体勢を立て直すと、皆次の攻撃へと移る。
「よってたかって、この程度か……」
エリシアが、彩乃が、アリスが、フランが立て続けに攻撃をするが、そのどれもがガラにダメージを与えることなく終わってしまう。
「何度やったところで結果は変わらんぞ、エリシア」
「クッ……」
エリシアは即座に弾丸を放つが、ガラは容易く弾丸を掴み取る。
その隙にフランは背後からガラを狙う。
「
「──ッ」
フランは攻撃を中断し、急に飛んできたそれを防ぐ。
紅い細身の槍がフランに迫る。
フランは剣でそれを弾き、すぐにその場から離れる。
(……右)
キンッ、という金属音が鳴り響く。
槍は弾かれても、フランを狙うことを止めない。
空中で軌道を変え、四方八方からフランを狙う。
フランは迫り来る槍を全て弾き返す。
一方、アリスは魔法でガラを狙う。
単純だが発動までの時間が短いレーザー。
しかし、アリスの魔法はガラが腕を振っただけで弾かれる。
その間に魔理沙はガラとの距離を詰める。
御札を構え、ガラに向けて振るうが、ガラは片手でそれをいなす。
「お前が博麗の巫女か……」
「ハッ、私も有名になったもんだな……」
「一度どんなものかと見に行こうと思ったのだが、よくわからん奴や邪精霊に邪魔されたことはよく覚えている」
ガラは魔理沙の腹に向けて蹴りを放つ。
魔理沙は間一髪でそれを防ぐが、その体は後方へ飛ばされる。
実力差
それをこれ程までに実感したことは今までに無い。
魔理沙の頬を冷や汗が伝う。
彩乃はガラの背後から打撃を、エリシアは距離を詰めての至近距離からの発砲を仕掛けに行く。
「……貴様らをチマチマ相手するのも面倒だ」
その言葉と共に、五人の周囲に魔法陣が展開される。
吹き飛ばされている魔理沙はその先に、攻撃を仕掛けようとしている二人にはその進行方向に、フランとアリスは足下に魔法陣が現れる。
五人の体は魔法陣の中へと吸い込まれるように入っていく。
(転移魔法……⁉)
魔理沙はいち早くその魔法陣の正体に気が付いた。
しかし、それに抵抗することはできず、五人は何処かへと飛ばされた。
ドスンッ、と大きな音を立てて槍は地面に突き刺さった。
この場にはガラだけが残った。
再び静けさが、この場に訪れた。
「少しは楽しめるといいのだが──」
────────
ガラとの戦闘と同刻──
「何であなたがここにいるの?」
彼女はそこに居た者にそう聞いた。
「お嬢様からここに行けと」
「あの吸血鬼が?一体何のつもり?」
「あなたを手伝ってやれと申し付けられました」
咲夜は淡々と答える。
「ああそう」
それに対し彼女──さとりは適当に返す。
『ほら、無駄な時間を過ごしてないでさぁ~』
「ええ、分かっているわ」
さとりは目的地へ向けて歩き出し、咲夜は後ろからそれに着いて行く。
◆◇◆◇
暫く歩いて辿り着いたのは、あの日のあの場所──
戦いの跡が残る、地底への入り口があった場所。
そこに
「よく会うなぁ、妖怪」
後ろを振り向き、彼はそう言った。
「ログ……」
ログは次に咲夜の方を見る。
「ん?そっちは初めましてか?」
「ええ、そうね」
「そうかそうか、初めましてなら仲良くしようぜ?」
作ったような笑みを浮かべて、ログは言った。
「お断りさせてもらうわ」
「──だろうな」
ログは最初から分かっていたというような雰囲気でそう言った。
「で?二人して俺に何の用だ?」
「聞かなくても分かるでしょ?」
さとりはログを睨んでそう告げる。
「ああ……まあ、そうだなぁ」
「じゃあ、相手は頼んだわよ」
さとりは咲夜にそう言って、後ろに下がる。
「結局逃げてばっかだな、妖怪」
そうログが言い放った瞬間、ログの眼前に無数のナイフが現れた。
「──ッ」
ログは即座に影から狼のような獣を出してナイフを防ぐ。
「話してる最中だろォがッ!!」
その叫びに呼応するかのように、影から次々と獣が溢れ出てくる。
しかし次の瞬間、獣たちへとナイフの雨が降り注ぐ。
それに対しての獣の反応は三種類あった。
ナイフをかわす、または弾く
ナイフが刺さるが物ともしない
ナイフが刺さり、溶けるようにして消える
(個体差がある?)
咲夜はそれを見て、獣の分析をする。
(また……)
先程の攻撃と言い、攻撃の予備動作が全く分からない。
ノーモーションで発動するタイプの能力?
それとも、こちらが見逃しただけ?
さっきからいきなり現れるナイフは何だ?
空間に関する能力か?
対してログも、咲夜の能力について考察していた。
(まあ何にせよ……)
「──殺すだけだ」
ログの周りに新たに獣が現れる。
咲夜は新たに取り出したナイフを構える。
こうして、ガラとの戦いの一方で、ログとの戦闘が幕を開けていた。
新年プラス五十話記念でもあります。
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