幻想滅失録   作:メイア・カルテシア

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バレンタイン、みんなはチョコ貰えた?


紅魔と星聖─参─

星の海(ウィア・ラクテア)

その言葉と共に、カリエルを中心に星雲のような光景が広がったかと思うと、すぐにカリエルの中へと収束した。

 

何かしらの能力を使ったのだろう。

カリエルの纏う雰囲気が一変した。

感じる圧がより高まり、周囲の空気感さえもより重いものとなった。

 

 

その変化を受けて、フランとエリシアは何時でも対応できるよう、それぞれ武器を構える。

 

戦いの幕開けは突然だった。

次の瞬間にはカリエルがフランへと接近し、打撃を繰り出していた。

フランはそれを剣で防ぐが、その威力を抑えきることができなかったのか、そのまま後ろへと吹き飛ばされた。

 

フランが着地して勢いを殺そうとしているところへカリエルは追撃する。

フランは頭部に向けて放たれた打撃を躱すも、拳が通過した際に生じた風で頬が切れる。

 

「未来が見えるのならば、速度で叩き潰すまで」

「単純だけど、良い作戦ね」

フランは即座に剣で横に薙ぎ払うが、その時には既にカリエルの姿は空中にあった。

 

「けどそれは、私があなたの速度に着いていけないことが前提じゃないかしら?」

 

カリエルはそこから踵落としを繰り出すが、フランはそれを剣で防ぐ。

 

「ああ、だから魅せてくれ、お前の本気を──」

攻撃を防ぐとカリエルはすぐに飛び退き、再びフランへと距離を詰める。

「そして私を超えてみせろ!!」

 

 

『彗星・壊閠(かいぎょく)

フランに向けて放たれたのは一突きの蹴り、フランは先程と同様に剣を盾代わりに防ぐ。

 

「──ッ」

真正面から確実に防いだ攻撃、しかしフランの身体は大きく後ろへ飛んでいく。

 

 

勢いを殺し、一度体勢を立て直すフランは同時に手の感触を確かめる。

(やるわね……)

伝わって来るのは両手が痺れるような感覚。

先程の一撃を防いだ時、剣を伝って腕にまで衝撃が届いた。

 

それ以前の攻撃とは比べ物にならない威力、フランの口角が少し上がった。

 

「今の私を超えてくれ、フランドール。そして私もお前を超える」

先程の一撃により巻き起こった煙が晴れる中、カリエルはフランへと言葉を掛ける。

「お前を超えた時、私は更に成長しているだろう」

 

「今の自分を超えるってことね、良い向上心じゃない。あなたさえ良ければ門番にでも雇いたいくらい」

「悪いが断ろう。私はあの方に尽くすと決めた。何があろうとそれを曲げるつもりは無い」

 

カリエルは拳を握り締め、まだ空気中を漂う煙を一気に振り払う。

「だから悪く思うな、エリシア」

煙が突然晴れたことで露になった上空に居るエリシアに向けて、一言そう放った。

 

 

「──ッ」

エリシアは下に居るカリエルへ向けて引き金を引く。

「憎むなら憎め、お前にはそうする権利がある」

カリエルが弾丸を手で受け止め、そう話す中エリシアはカリエルに勢いよく接近する。

 

「今更!!」

エリシアは銃身をカリエルへと振り下ろすが、それは片手で受け止められた。

「今更言ったところで何も変わらない、寧ろ腹が立ってくる!!」

どの口が言っているのだと、そういう思いが籠められたような言葉だった。

 

エリシアは銃ごと投げ飛ばされるが、すぐに着地してカリエルに向き直る。

「あなたが何をしようとどうでもいい!!私が求めているのはあなたの謝罪でも贖罪でもない、ガラの死だ!!」

エリシアは再度カリエルへと向かう。

今度はカリエルの上半身へと飛び乗るような形で接近し、そこから二丁の銃でカリエルの頭部目掛けて弾丸を放つ。

 

「憎しみは時に己の原動力となる」

だがカリエルはいつの間にかエリシアの背後へと回っていた。

「──なッ⁉」

そのままカリエルはエリシアを地面へと蹴り飛ばす。

「──しかし、憎しみは常に己を破滅へと導いている」

 

 

「何……?説教?」

どこか諭すようなその言葉、この状況でのそんな説教染みた言葉が引っ掛かったのだろう。

エリシアは瓦礫の中からそう聞いた。

「好きに捉えたらいい。だがこれだけは断言しよう」

 

「私は何があってもここを退かん、あの方のもとへ行きたければ私を倒せ!!」

 

 

「私には私の使命があるのだ!!」

 

 

その瞬間、フランがカリエルの背後に現れる。

剣を振り上げ、カリエルの首を狙う。

だがカリエルはその攻撃をいなすと、フランの懐へと入り込む。

拳を強く握り締め、鳩尾目掛けて下から振り上げる。

 

「──!!」

だがその拳は狙い通りに入ったかと思った瞬間、空を切った。

(消えた……?)

まるで霞に巻かれたような、そんな違和感のした瞬間だった。

次にカリエルは再びエリシアの方を見るが、そこには瓦礫があるだけでエリシアの姿は無かった。

 

(いや──)

代わりに、少し遠くにエリシアとフランの姿があった。

フランの身体には傷一つ無く、エリシアを脇に抱えて立っていた。

「大丈夫?」

そう言いながら、フランはエリシアを地面に下ろす。

「ええ……」

 

 

「──分身か?」

カリエルは単刀直入に聞いた。

幻影や幻覚というよりも、質量を持った分身というものがカリエルの出した結論だった。

「さあ、どうでしょう?」

だがフランははぐらかすようにそれに返す。

まあ、普通答えることはないかとカリエルは思った。

 

その直後にフランはカリエルとの距離を詰めた。

剣を振り上げ、それが躱されるとすぐさま蹴りを放つ。

カリエルは腕で蹴りを防ぎ、フランの足を弾く。

その間にエリシアはカリエルの背後へと移動し、銃で狙う。

 

その後に放たれた銃弾をカリエルは難なく躱し、同時に行われたフランの追撃を防ぐ。

だがその隙にエリシアはカリエルに接近し、攻撃を仕掛けようとする。

 

二人でカリエルを挟み込むような形となったところで、カリエルは動いた。

 

『流星・流我(りゅうが)

 

「──ッ!!」

その時放たれたのは、目にも留まらぬ連撃。

一瞬の内に何十発と放たれる打撃、フランは何とかそれを防ぐが、エリシアは防ぎきれずに攻撃を受けてしまう。

 

その様子を見たフランはすぐにエリシアを連れてこの場から離れようとするが、それを妨害するようにカリエルは技を繰り出す。

 

星槍(せいそう)刻割き(こくさき)

凄まじい速度で放たれた突き、フランは剣でそれを受け止めるが、その衝撃は防御しても尚抑えきれず後ろへと下がってしまう。

 

(一点集中で貫通力を上げ、剣を破壊しようとしたのね)

先程の突きを受け止めた剣には微かにヒビが入っていた。

だが、そんなことはフランにとって何も問題は無い。

 

「──!」

グングニルに付けられた傷は忽ち直っていく。

そして次の瞬間には何事も無かったかのように、新品のような状態へとなる。

 

フランは剣を再び構えて即座に距離を詰める。

一方のエリシアは攻撃を受けた横腹を押さえながらも銃をカリエルへと向ける。

 

 

魔剣グングニルはフランの持つ能力の副産物に近い。

それは魔力で形作られた剣に能力を流し込み、魔剣と成ったものであり、幾ら傷付こうとも、壊されようとも魔力での修復が可能である。

 

 

幾度かの攻防を経るも、進展らしい進展は生まれなかった。

しかし、戦いに変化は訪れた。

 

「『常住氷星(じょうじゅうひょうせい)』」

その言と共にカリエルは地面へと打撃を繰り出す。

すると、打撃によって生じた瓦礫が飛び散るのと共に殴った部分を中心に氷が広がった。

 

「──ッ」

その攻撃に対し、フランは剣で氷を切り刻み、エリシアは弾丸で氷を破壊して対処する。

 

 

砕けた氷の舞う中、カリエルはエリシアに蹴りを喰らわしフランへと接近する。

対してフランは剣を構えて迎え撃つ。

 

フランとカリエルは剣と拳を交え、互いに激しい攻防を繰り返す。

 

「あなたはガラの腹心なのでしょう?」

そんな中でも、二人は言葉を交わした。

「私が言うのも何だけど、ご乱心の主人を止めるのも従者の役目じゃないかしら?」

 

「……これはただの我儘だ。従者ではなく、一人の強さを追い求める者としての我儘でしかない」

「私は会いたかった。お前のような、まだ見ぬ強者と……」

 

「だから私は止めなかった」

 

「……本当にそう?」

「ああ、その証拠にこうして強者(お前)と出会えた。止めなかったからこその出会いだ」

そう言うカリエルの瞳に迷いは感じなかった。

「……それも一つの本心という訳ね」

フランはどこか納得したような言葉を口にした後に、カリエルへと告げた。

 

「これで心置きなくあなたを倒せるわね」

「そうか、それは良かった」

 

「心置きなく、越えてくれ」

そう告げたカリエルは拳に魔力を籠め、フランに放つ。

「『歳星樹撃(さいせいじゅげき)』」

 

大きな衝撃音が鳴り響く。

フランは剣でその拳を防ぐのだが、その大きな音と共に剣は砕け散り、拳がフランの身体に到達する。

 

「……ッ」

(重い……)

放たれた拳は、他のどの打撃とも違う果てしなく重い一撃。

 

 

そこへカリエルはさらに拳を捩じ込み、追撃をする。

 

 

「『太陽(ソル)』」




おまけ

四天にインタビュー!!あの人のことどう思ってる?

ガラ編
エリシア「殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す」
ログ「殺す、偉そうに俺に命令しやがって。あいつの死に顔をさっさと拝みたいぜ」
ツドラ「怖い、あまり関わってほしくない。というか、正直死んでほしい、あいつ気に入らないんだよね。自分以外ゴミしかいないとでも思ってるんでしょ。殺せるならさっさと殺したいんだけど」
カリエル「何があっても、私はその背中についていくと決めた。私がいる限り、きっと守ってみせるさ」

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