「──うッ…」
突如として、下に落ちたかと思ったら、案の定地面と思われるものに落下した。
背中から落ちていったため、落下の衝撃で背中が痛む。
「ここは……」
周辺を見渡すも、人の影も気配も見当たらない。
あるのは、一緒に落ちてきた掛け布団と辺り一面に浮かぶ目の数々だけ。
しかし、突如として連れてこられたこの少し気持ちの悪い空間には覚えがある。
何もない空間を見渡しその人物を探す。
「……オヒサシブリ、ネ」
──その時、聞き覚えのあるようでいて、
後ろを振り向き、音も無く現れた人物の方を見る。
そこにいたのは、まるで空中で座っているかのようにいる金色の長い髪を持つ女だった。
やはりと言うべきか、こいつ以外にいるわけがないと言うべきか──
この(気持ち悪い)空間を見た時にある程度わかっていたが……
「……八雲紫」
八雲紫──
異変を起こすにあたって最も警戒していた人物の内の一人
幻想郷において賢者とも言われる大妖怪
そんな奴が一体何の用で自分をここに連れて来るのだろうか?
幻想郷にとって害になりそうな異物の排除?
それとも、他の何か……
どちらにせよ、ろくなことではないだろう。
警戒を強め、八雲紫を睨む。
「何の用だ?」
「アラ……そ…ナにけ…カイしな…てモ、イイノヨ」
「私はアナタとア…ソウ縺、繧ゅjハないわ」
八雲紫は「まあまあ」と言うように両手で宥めるような仕草をする。
そらにしても聞き取りづらい。こいつの声はこんなものだっただろうか?
声が重なっているように聞こえたり、聞き取れなかったり、何を言っているのかわからない部分もある。
八雲紫の見た目にたいした変化は見られない。
強いて挙げるならば、顔を隠すように垂れ下がっている黒い布。
それのせいでただでさえミステリアスでつかみどころのない雰囲気に拍車がかかっている。
それに加えこの聞き取りづらく、訳のわからない奇妙な声。
警戒をしない理由はない。
「ウーン。ドウシタ……カシら」
わかりづらいが、動作から困ったような雰囲気は感じられる。
「何の用かと聞いているんだ」
「ダカ…ソんナ…警戒シなく…モ……アア、縺昴≧縺?縺」縺ワネ」
紫は何か納得したような身振りをした。
「ゴ…ナサイネ。閨槭″蜿悶jヅらくテ」
紫は軽く謝罪するが、やはり聞き取りにくい。
「まダ喉…調子…ヨクなくテ……まだ…だ調整ガ必要ナ…ヨネ」
「まア、頑…ってミるワ」
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『読みニクいと思うからここカラ先ハ翻訳シテあげルわネby紫』
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「さて……」と言うように八雲紫はこちらを向く。
「本題に入りましょうか…」
「本題?」
「ええ、あなたも気になっているでしょう…?この世界のこと」
「……」
一泊置き紫は話し出す。
「第一に──」
「この世界はあなたの知る世界ではない」
「もうあなたもわかっているでしょうけど、ここはあなたのいた幻想郷とは別の幻想郷」
「あなたの知るものとは少し違う……いえ、かなり…かしら」
「この世界は複雑に歪み、捻れてしまっている……」
それを言う紫はどこか物悲しそうだった。
「たとえば、博麗魔理沙……彼女はその影響によって生まれた存在。彼女はあなたの知るものとは違った形でここに存在しているのでしょう?」
「彼女以外にも、他の世界にはない『異常』はこの世界には多くある」
「この世界がこうなってしまった原因。それは『世界の融合』。この世界はいくつもの世界が混じり、一つになっているの」
「世界と世界が混ざり、歪につぎはがれたのがこの世界」
「──世界同士の融合、それはそこにいた存在にも大きな影響を与えた……」
「──存在の融合。基本、まったく同じ存在が一つの世界に同時に属することができないことから生じる現象」
「人も場所も関係なくそれは起こる」
「例えば、同一の存在同士が融合した者」
「存在の融合において一番メジャーなタイプ。私はこれにあたるわね」
「そして、別々の存在同士が融合し、新たな形となった者」
「──博麗魔理沙はそのタイプにあたると思うわ」
「普通、自身と一番存在の形が近い『同一の存在』同士で結合されるはずなのだけれど……」
「どう言ったわけか、自身とは違う『別の存在』とも融合してしまった者がいるのよねぇ。血縁者とかならまだしもそれ以外は……よほど深い縁があったのかしら?」
「まあ、他にもいろいろとあるけれど……まだまだわかっていないことは多い。……けど、中には存在そのものが消えてしまった者もいるの……」
「存在同士の融合…それに耐えきれなかった者。そして、存在の矛盾により世界に消されてしまった者」
「世界の融合によって生じた矛盾といったものを世界が取り除こうとして、存在そのものが消され、それが欠けたことで出てくる新たな矛盾を補完し、その存在は完全になかったものとなる」
「世界が融合したことでその存在のつじつまが合わなくなった
「消えてしまった人は私もこの世界の存在である以上把握することはできない。あなたの知る者の中にも消えてしまった人がいるかもしれないわね……」
「世界に消されてしまったら、その人を思い、悲しむこともできない」
「世界はつねに整った形でいようとするもの……矛盾があればそれを消して、修正しようとする。そこに善も悪も関係ない。ある意味これは、自然の摂理のようなものでもあるのよ……」
「まあ、消えるだけではなく、また違った形で存在する場合もあるのだけど……」
「まあ、長くなってしまうし、このあたりは私もわかっていないことが多いから、このあたりで止めておきましょう……これは結構複雑な話だもの……」
「これ以外にも他世界との違いはまだまだあるかもしれないけど……」
「この世界の『異常』、それはこの世界に存在する者が観測することは難しい。私はスキマを通して他の世界を見ることができるけれど、それでもその『異常』は元からあった『普通』のこととして私の中に根強く残っている……」
「あなたから見たらこの世界はおかしな所だらけなのかしら?」
紫は少し首をかしげ、こちらに尋ねてきた。
「……少し話しすぎたかしら…?結局何が言いたいんだって顔をしてるわね…」
「難しい話で頭が疲れちゃったかしら?それとも、話の長すぎ?」
「……まあ、だらだら喋るより、簡潔に伝えるべきよね」
八雲紫はこちらを向き直し改まって言い始めた。
「私があなたに求めるのはただ一つ」
その声色から並々ならぬ思いが伝わってくる。
「──この世界を消し去ってほしいの」
自分で考えていることをちゃんと書けているか不安になったけど、ちゃんと伝わっているのかな?
完全に理解できなくても、雰囲気だけでも伝わってくれたらいいですけど……
必要そうだったら解説みたいなものを出そうかなとも思ってます。
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