もちろん抵抗するで、拳で   作:暇けんぴ

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 今書いてるリメイクが手詰まりなので気分転換に書いてみました。
 
 拙い文章ですが、温かい目で見てください。


リメイク前

 

 とある山。

 都会から離れた自然溢れる場所。人の手が入ることはなく、そこに生きる動物や植物が独自の生態系を築いている。

 

 

 ドーーーーーーン!!!

 

 

 そんな山奥に、突如衝撃音が響き渡る。それに反応した鳥はすぐさま飛び去り、鹿や兎などは山を駆ける。音が発生した場所の周辺には土煙が立ち込み、木々が大きく揺れている。

 

 しばらくして煙が晴れると、衝撃が起こった中心地に一人の青年が立っていた。

 

 鍛え抜かれた上半身は、鎧の様に筋肉で覆われ、数々の傷が刻まれている。ジーンズに包まれた下半身も、上半身と遜色ない筋肉に覆われていることが見てわかる。

 

 そんな青年は肩を回し、笑みを浮かべる。

 

 「よっし!準備運動完了!」

 

 そう言った青年は次の瞬間、土煙を上げながら山を駆けまわるのだった。

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 朝のトレーニング(?)が終わった青年は、山の中にある洞窟に向かっている。人里離れたこの地で暮らすには拠点が必要。その為、青年は雨風をしのぐのに丁度いい洞窟を見つけ、そこで暮らしている。

 

 ただそこに住むのは青年一人だけでなく、同居人がいる。それは...

 

 

 「じいさん、帰ったぞー。」

 

 

 「おお、拳二!今日もいいトレーニングができたか?」

 

 

 クジラとカエルが混ざったような姿をした怪物だった。

 

 

 異形の存在に親しく接する、拳二と呼ばれた青年。彼は特に気にすることなく、普段通りというように拠点に置いてあるシェイカーを手に取り、プロテインを作って摂取する。

 彼とこの異形、『デンテ・ストマック』との関係は、十年以上に及ぶ。その為、彼にとっては家族の様な存在であり、自分と姿も生態も違うデンデを受け入れている。

 

 そんな二人のいつも通りの日常が今日も始まる中、デンテが拳二におつかいを頼む。

 

 「お菓子が切れてしまってな...すまんが、街に行っていくつか買ってきてくれないか。」

 

 「もう食べきったのか?2週間前ぐらいに箱買いしただろ?」

 

 「いや~、あれは大当たりだったな!美味すぎてすぐ食べきってしもうたわい!」

 

 「いやドヤ顔で言われても...はぁ、分かったよ。また同じのとそれと別に何個か買ってくるよ。」

 

 「助かるのう。ほれ、これお駄賃じゃ。」

 

 「子供のおつかいじゃないんだから、そんな言い方しなくていいだろ。」

 

 「ワシからすればお前さんは大事な『又甥』じゃからのう。いつまで経っても、可愛い子供じゃよ。」

 

 「...そうか。」

 

 子供を可愛がるように接するデンテに、拳二は少し照れる。それを誤魔化すかの様に、拳二は買い物に行くのだった。

 それを見送るデンテは、もう一人の大事な家族を想い馳せる。

 

 「それにしても、ショウマは元気にしとるんかのう...」

 

 

...

 

 

..

 

 

 

 

 

 デンテのおつかいで街に来た拳二。流石にトレーニング中の様に上裸で街中に出るのは不審がられるので、デンテから貰った無地のTシャツを着ている。

 だがTシャツのサイズがピッタリの為、服の上からでも分かる拳二の筋肉にすれ違う人から視線を集める。その視線に、拳二は若干気まずくなっていた。

 

 早く視線から逃れる為にもと、拳二はいつも贔屓にしている駄菓子屋に向かう。そして、駄菓子屋で無事頼まれていたお菓子と、2、3種類ほど追加で見繕ったお菓子を入れた箱を担ぐ拳二は、店を後にする。

 

 しばらく歩いていると、路地裏から物音が聞こえてくる。街中だから常に音で溢れているものの、日常とは違う激しい物音だった。

 それを不審に思った拳二は、箱を担ぎながら路地裏へと入る。その先で見たのは...

 

 

 「へっへっへ、これで今月は『闇菓子』いっぱい貰えるぜ!」

 

 

 不気味な笑いを発する怪物だった。

 

 

 腰の辺りに生やす大きな口を擦る怪物。その姿を確認した拳二は、息を潜め物陰に隠れる。

 すると、そこに二人の黒い衣服に包まれた異形がやってくる。ペストマスクの様な機械的な仮面状の顔に、桃色のラインが走った服。二人は怪物と何やら取引の様な会話を始める。

 

 「回収に来た。ヒトプレスは?」

 

 「ここに。」

 

 「ふむ...今月は調子が良いようだな。」

 

 「へっへっへ、おかげ様で。」

 

 「状態はそこそこだが、まあいい。報酬だ。」

 

 そう言うと、片方の異形が持っていたアタッシュケースを持ちあげ、開ける。中には黄色と黒が混ざった正方形のナニカが入っている。その数は五。それを見た怪物は嬉々として受け取り、その場を去る。

 残った異形は空いたケースに怪物から受け取った何かを入れ、どこかに行く。それを見た拳二は、二人の異形の跡をつけることにした。

 

 異形は路地裏を進み続ける。その数メートル後ろから、拳二が尾行する。一見シリアスな光景のはずが、拳二が持つお菓子が入った箱の所為で何とも言えない光景となっている。

 

そんなことを気にせずに尾行を続けると、異形達がある建物のドアの前で止まる。一人が辺りを警戒し、もう一人がドアに手をかざす。するとドアに何やら紋章が浮かび上がり、異形がドアを開けると隙間から見えた光景に拳二は驚く。

 一人の異形が入ったことを確認し、もう一人の異形も入っていく。ドアが完全に閉まる前に拳二がドアを支え、そっと開く。その先に広がっているのは...

 

 

 あらゆる場所に扉があり、階段が乱立している場所だった。

 

 

 時空が歪んでいるのか、空中に存在する無数の扉。その扉に繋がっていく階段と通路。その外側にも空中を浮遊する扉が存在し、自分達が住む世界とは明らかに違うことを認識する拳二。

 

 拳二が驚愕する中、異形達はこの空間を淡々と進み、ある扉の前で止まる。そしてその扉を開け、その先の空間へと入っていった。

 それを見た拳二は、周囲に警戒しながらその扉の下へ向かう。幸いなことに、この空間に居るのは拳二一人。他の異形が来ないか警戒していたが、その心配は杞憂に終わる。

 

 目的の扉に辿り着いた拳二は、扉をそっと少し開け、中の様子を観察する。そこは何かの工場の様な場所で、辺りに大型の機械が設置されている。機械は作動しており、ベルトコンベアで運ばれるのは、先ほど異形が怪物に渡していた正方形のナニカ。

 ここはそのナニカの製造工場なのだろうと推察した拳二は、これ以上深追いするのは危険だと判断し、元の道を帰ろうとする。だが...

 

 

 「そこの人間。アンタ、ここで何してるの?」

 

 

 艶のある声が響き渡り、拳二はすぐさま扉を閉め、元の道を戻る。だが相手はそれを許さず、扉から出てくる。

 黒のドレスに身を包み、毛先に向かってピンクのグラデーションに染めているウェーブがかった艶のある黒髪。手に持つ杖を振るうと杖が伸び、先端が大きな鎌と変化する。その目は獲物を捉えており、ここから逃がさないと言っている。

 

 女の姿を走りながら視認した拳二は、その殺気から只者じゃないと推測する。その推測は間違いではなく、女は鎌を振りかぶると、思い切り振って斬撃を放つ。拳二はそれをジャンプして避け、最初に通った扉をくぐる。

 元の世界へと戻れたものの、いつあの女が追いつくか分からない。そう考え、そこからは無心で拠点へと戻る。

 

 しばらく走り続け、街中から離れて山の麓まで来た拳二。流石にもう追ってこないだろうと思っていたが、その考えは裏切られる。

 

 「人間にしては随分体力あるのね。でももうおしまい。」

 

 後ろを振り返ると、息が切れた様子もなく平然とする女の姿が。拳二自身も特に息を切らしていないが、ヒールが高いブーツを履きながらここまで追ってきた女に内心驚く。だがそんなことを表情に出さず、拳二は箱を抱え直しながら警戒する。

 

 「アンタ...一体何モンだ?」

 

 「それはこっちのセリフよ。アタシ達の工場までコソコソつけまわして、何をするつもりだったの?」

 

 「別に。ただいつものヤツかと思っただけだ。」

 

 「いつもの...?まさか、アンタが最近うちの工場を潰しまわってるヤツだったのね。」

 

 拳二の言葉に引っかかりを覚えた女は、何か確信を得たかの様に話す。女の言葉にピンと来ていない拳二は首を傾げる。そんな拳二を見た女は、笑みを浮かべる。

 

 「うちの闇菓子工場を潰しまわってるヤツが居るって報告があったけど、それ全部アンタの仕業でしょ。」

 

 「ああ、そうだが?人間攫ってるバケモンを退治して何が悪いんだ?」

 

 「そういえばバイトも行方不明になってるんだっけ...まあそっちはいっか。」

 

 女は何か呟くもすぐに拳二に向き直る。

 

 「そろそろアンタを始末しておかないと、ランゴ兄さんからの小言がウザいのよねぇ。」

 

 「ここでやろうって言うのか?」

 

 女の殺気が増したことを感じ取った拳二は、箱を地面に置き、戦闘態勢に入る。それを見た女は更に笑みを深め、構える。そして思い切り踏み込み、拳二に向かう。

 

 衝撃波が起こるほどの速度で飛んでくる女を前に、拳二は構えを変えない。女は鎌を振り上げ、思い切り振り下ろす。それを拳二は白刃取りで食い止める。

 

 「へぇ、やるじゃない。」

 

 「お前だけ武器アリってズルくないか?」

 

 「戦いにズルいも何もないのよ!」

 

 女はそう言うと拳二を蹴り、距離を取る。蹴りを受けた拳二は特にダメージを負った様子がなく、肩を回す。そして次は自分の番だと言うように、女に向かって突進する。女はそれを受け止めようと、鎌を前に出す。

 先ほどの女の様に思い切り振りかぶった拳二は、渾身の一発を鎌に叩き込む。普通の人間のものとは思えないほどの威力は、鎌の後ろに衝撃波を起こし、辺り一帯の木がなぎ倒される。拳二の拳を受けた鎌は粉々に壊れ、受け止めた女の手は若干痺れを感じている。

 

 「フフフ、良いわねアンタ。」

 

 「そっちこそ、粗悪品なんて使わずにタイマンと行こうぜ。」

 

 「そうね。アンタとは『こっちの姿』でやるより、本気を出した方がいいかもしれないわね。」

 

 女がそう言うと、腰にベルトの様な物が現れる。そしてベルトに挿入されているデバイスを抜き取ると、瞳が妖しく光る。すると、女の身体が衝撃波を出すと共に変化する。

 

ベルトがあった部分には嘴の様な形の口があり、腰からイカの足の様な触腕が三本ずつ左右に展開している。前腕や脚には吸盤状の突起を備え、両肩にはイカの様な装甲を装着している。頭部もイカの様な特徴を持ち、口元はデンデの様にステンドグラスの様なマスクで覆われている。

 

真の姿を現した女に、拳二はニィと笑みを浮かべる。

 

 「それが本当の姿か...いいねぇ!」

 

 拳二はそう言うと、もう一発と先ほどと同じ威力の拳を放つ。女はそれを、両腕をクロスして受け止める。拳を受けた女は地面を引きずりながらも耐える。両腕に備えられている突起が衝撃を吸収し、勢いが止まった時には、元居た場所の数メートル離れた地点に居た。

 

 「いいわねぇ、アンタのパンチ。お返しよっ!」

 

 拳を受け止めた女は、腕の突起を光らせると今度は拳二に向かって拳を放つ。すると突起から衝撃が発生し、パンチの威力を高める。

 女と同じようにして受け止めた拳二は、その威力に興奮する。

 

 「最ッ高だなァ!!!」

 

 「ええ!最ッ高よォ!!!」

 

 互いに戦闘狂の気質があるのか、互いの攻撃を受けて興奮する二者。時にはラッシュを叩き込み、時にはインファイトで猛烈な攻撃を放つ。両者共に苛烈な攻防を繰り返す中、周囲の環境は目まぐるしく変化する。

 

 二人の攻撃によって常時生み出される衝撃波は周りの環境を破壊し、遂には隕石でも落ちたのかと思うほどのクレーターを作り出す。これには、拠点で物音を聞いたデンテも慌てて駆けつけ、その災害級の被害を見て絶句する。

 

 「な、なんじゃこれは...!?」

 

 そんなことを気にせず、思う存分戦い合う二人。しばらくして両者距離を取ると、周りの惨状を目にする。

 

 「あれ?いつの間にこんなことに?」

 

 「ちょっと派手にやり過ぎたわね。」

 

 「じゃあ次で終わらせるか!」

 

 「そうね!」

 

 二人は最後の一発と、それぞれが出せる最高火力を繰り出す。拳二は上半身の筋肉を更に隆起させ、そこから放たれる会心の一撃を。女は今まで吸収してきた衝撃を全て乗せた必殺の一撃を。それぞれが放つ最高火力がぶつかり合うと、辺り一面を飲み込んだ。

 

 衝撃が治まり、煙が晴れると、二人とも全身に傷を作るも立っていた。それぞれの姿を目にした両者は笑みを浮かべる。

 

 「アンタとの戦り合い、最高だった。」

 

 「ええ、今までで一番だったわ。」

 

 女はそう言うとベルトをまた出現させ、デバイスを挿入する。すると怪物の姿から人間の姿へと変わった。

 

 「また戦り合いましょ?」

 

 「次は俺が勝つ。」

 

 「いいえ、アタシよ。」

 

 「おーい、拳二ー!これは一体どういうことじゃー!?」

 

 二人が再戦を誓う中、デンテが慌てた様子でやってくる。デンデの姿を見た女は、驚く。

 

 「あら、デンテ大叔父さんじゃない!」

 

 「な、グロッタ!?何故お前がここにいるんじゃ!?」

 

 「なんでって、アタシの工場に手を出すネズミを始末しようとしたら...ねぇ?」

 

 「まあ、そういうことだ。」

 

 「拳二!お前さん分かっておるのか!?アイツはストマックの一族じゃぞ!」

 

 「そうだったのか?どうりで強いはずだ。」

 

 「アンタも人間にしてはやるじゃない。気に入ったわ。」

 

 グロッタに自身の居場所や拳二の存在がバレてしまったことに慌てるデンテを他所に、当の本人達は気にする様子はない。立場なんかよりライバルに出会えたことに夢中になっている。

 

 「まあいいわ。デンテ大叔父さんのことは兄さん達には言わないでおいてあげる。その代わり、また戦りましょ?拳二。」

 

 「ああ。またな、グロッタ。」

 

 満足したグロッタはデンテのことは告げ口しないことを約束し、去るのだった。それを見送った拳二は、未だパニックになっているデンテを落ち着かせるのだった。

 

 ちなみに、拳二が買ってきたお菓子は戦闘の余波で綺麗サッパリ消えていた。そのことに本気で怒ったデンテによって、二倍の量買わされることになったのはここだけの話。

 

 

 

...

 

 

..

 

 

 

 

 

 ストマック社。

 闇菓子と呼ばれる中毒性の高いお菓子を怪物『グラニュート』に販売している、グラニュート界でも有数の企業。その創業家であるストマック家の書斎には、社の運営を担っている五人が居た。

 

 現社長であり長男のランゴ・ストマック。次男で技術開発担当のニエルブ・ストマック。仕入れ統括のシータ・ストマックとジープ・ストマック。そして、菓子製造統括のグロッタ・ストマック。

 

 各々自身の管轄の報告をする中、グロッタは終始笑みを浮かべていた。それは普段彼女が見せる妖艶なものではなく、どこか恋焦がれるようなもの。

 そんな彼女の変化に気づいていた四人は、何があったのか聞きたいもののグロッタの仕返しに恐れ、中々聞けないでいた。

 

 そんな中、彼女は思い出したかの様に杖を取り出し、ニエルブに差し出す。

 

 「そうだわ。コレ、壊れたからもっとイイのに作り替えておいて。」

 

 「え...う、うん、分かったよ。ところで姉さん、どうして壊れたんだい?」

 

 「ある人間と戦ってね、その時に壊されたわ。」

 

 「え...」

 

 「なんだと...?」

 

 グロッタの言葉に衝撃を受ける四人。グロッタの実力を評価している四人にとって、彼女と対等に戦うことのできる人間の存在に驚く。これが事実ならば、今後のヒトプレス集めに支障を来すことになる。すぐにでも正体を探ろうと、ランゴはグロッタに情報を聞き出そうとするが...

 

 「はぁ...次はいつ戦れるかしら...」

 

 「やれる...?」

 

 「おっと...」

 

 「「え...!?」」

 

 グロッタの言葉に静止するランゴと興味深そうにするニエルブ。それともしかしてと向き合うシータとジープ。完全な誤解が生まれる中、グロッタは四人の様子を気にすることなく、次の戦いの時を待ち焦がれるのだった。

 

 「今度はどんな手で来るのかしら。」

 

 「...」

 

 「フ...フフッ...」

 

 「「遂に姉さんに春が...!」」

 

 

 

 

続かない

 




 グロッタ姐さんの小説が書きたくなったから書いちゃった。後悔はしてない。




※誤字報告の箇所訂正しました。報告ありがとうございます。

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