完走に向けて頑張ります
ショウマたちと拳二たち。それぞれジープとリゼルを撃退してから数日。
その間も人間を攫うグラニュートを倒していたショウマたちだが、そんなショウマたちが知らないところで大物が本格的に動き出そうとしている。
「一度人間界に視察に行こうか」
「どうして、パパ?」
「あの怪物を生んだ人間界がどういうものか気になるのだよ。それに、例のグラニュートハンターたちの実力もこの目で確かめておきたいからね」
「...あのゴリラ、今度は潰すわ」
「ハッハッハ! そうだね...奴だけは潰しておかねばならない」
拳二に叩きのめされた二人は、怒りを滲ませながらそう話す。その様子を傍から見ていたジープとニエルブは、自分の知らないところで一体何があったのか、冷や汗を流すのだった。
そしてすぐに人間界に行くことを決めた親子は、ニエルブから急遽製作したボッカ専用のミミックキーを渡され、人間界に赴く。構造物や文明の発展の仕方に興味を示すボッカ。建物の一部をサンプルとして持って帰ろうと、大規模破壊に出る。
そこに偶然居合わせたラキアが止めようとするが、ボッカの眷属であるバトラーたちに袋叩きされてしまう。そんな彼にボッカはすぐに興味を無くし、その場を去るのだった。
一方、その裏でニエルブはボッカから譲り受けたあるものを利用した実験を人間界で行っていた。彼の実験によって奇怪な行動をする人々が続出する。これにグラニュートの仕業だと判断したショウマと絆斗は、現場付近で目撃される黒ずくめの男を捜索する。
そうして捜索していた二人は、遂に目的の人物を見つける。自分たちから逃げる男を何とか捕らえ、正体を明かす。だが二人はその人物の正体に驚く。
「酢賀さん!?」
「酢賀!? お前また何企んでんだ!」
黒ずくめの男の正体は、かつて二人が撃破した酢賀だった。
どこか虚ろな目をしている彼に驚きながらも問い詰めようとするが、そこにニエルブが現れ二人を酢賀から離す。そして、彼が酢賀であって酢賀ではないことを告げる。
ボッカから託されたのはあるグラニュートの遺体。そのグラニュートが持つ催眠能力を利用するため、その遺体から必要な器官や組織を瀕死の酢賀の身体に移植した。その際に、実験の負荷に耐え切れず、風前の灯火だった酢賀は命を落とす。今ショウマたちの前に居る酢賀は、ニエルブの傀儡となったものだった。
そんな話を聞かされた二人を他所に、ニエルブは酢賀に変身するよう命令する。それを受けた酢賀は、グラニュートの器官と共に移植された黒ガヴを用い、マーブルブレイクッキーフォームに変身する。
ニエルブの所業に怒る二人は、彼の計画を阻止するため変身。ビターガヴと交戦するのだった。
ショウマたちがビターガヴと交戦する頃、人間界を視察していたボッカたちの前に、二人の因縁である拳二が現れる。拳二の姿を目にした二人は身構えるが、拳二は特に気にすることなくその手に持つ煎餅を齧る。
「えーと...リゼルと隣にいるのは...もしかしてあのエテ公か?」
「...何度も私を侮辱するとは。余程命が惜しくないとみる」
「どうでもいいからな。今は気分じゃないから見逃してやるよ」
「...どこまで私を愚弄する!!!」
どうでもいいとあしらう拳二に、怒りの限界を迎えたボッカはエネルギー波を放出する。だがそれは一本の斬撃によって両断される。
「私を置いて先に行かないでくれる?」
「悪い悪い。なんかねちっこい空気を感じてな」
「ふーん...まあいいわ」
鎌を抱えながら拳二に文句を言うグロッタ。先ほどの斬撃は彼女が放ったもの。以前はボッカの力に手も足も出なかった彼女だが、この数日でボッカの攻撃を切り裂くほど強くなっていた。
そのことに内心驚くも、自身が本気を出せば問題ないと判断したボッカは、拳二に集中する。リゼルと一緒に手の平を拳二に向け、エネルギーを溜める。先の戦いよりも更に濃密なエネルギーに、地面にヒビが入っていく。
「人間牧場計画の礎になりたまえ」
「無様にやられなさい」
二人はそう言うとエネルギー弾を放つ。地面を抉りながら進む弾を前に、拳二は持っていた煎餅をグロッタに渡し、腕を振りかぶる。そして勢いを乗せてエネルギー弾に拳をぶつける。拮抗することなくエネルギー弾は消え去り、ボッカたちはそれに驚く。
「ふぅ...ぶにぶにしてて気持ち悪いな...」
「どうして!? 私とパパの攻撃が通じないのよ!」
「ん? そりゃあれだよ、えっと...なんだっけ? 覚醒遺伝、だったか? のおかげだな!」
「アンタ、それだけじゃわかんないでしょ」
「痛っ!? 殴んじゃねえよ!」
「覚醒遺伝...まさか君の中にグラニュートの血が混ざってるとはね」
拳二の言葉からすぐ答えに辿り着いたボッカは唸る。厄介な能力を持っていると推測し、ならばとボッカはバトラーを十体ほど召喚する。そして全員に拳二を抑えるよう指示する。
全方位から囲まれ、一斉に飛び掛かられる拳二。数の暴力の前にはさすがの拳二も敗れるだろうと考えているボッカとリゼルだが、加勢しようとしないグロッタに疑問を感じる。彼女は特に気にすることなく煎餅を食べ、笑みを浮かべる。
何故そんなに余裕でいられるのか。そう考えるボッカは、次の瞬間答えを得る。
「しゃらくせえ!!!」
拳二がそう言うと同時に拳二に覆いかぶさっていたバトラーたちが一斉に吹っ飛ばされる。勢いよく飛ばされたそれは弾丸となり、あちこちを破壊する。その衝撃に耐え切れず、叩きつけられると同時に消滅していくバトラーたち。
この光景にジャルダック親子は驚き、グロッタは笑みを浮かべる。
「もういいんじゃない?」
「そうだな。後は優さんのとこだな」
「今日は何を買うの?」
「うーん...ポテチとか?」
「杏バーも買いなさいよ」
「なんでチョイスが渋めなんだよ...」
ジャルダック親子をいないものとして会話をする二人に怒るボッカは、二人の前に瞬間移動すると自身の能力で二人を地面に叩きつけようとする。
「ひれ伏せ」
「「ヤダ」」
「なっ!?」
だが何故か二人には効かず、ダブルパンチによって吹っ飛ばされる。もはや何をやっても拳二に効き目はない。そう考えたボッカは、リゼルを連れて二人の前から立ち去るのだった。
「...行くか」
「...ええ」
そんなボッカに何とも言えなくなった二人は、次の目的地に向かうのだった。
翌日。
昨日酢賀と戦っていたショウマと絆斗だが、絆斗が酢賀の使うベイクマグナムの能力により催眠状態に陥り、ショウマを敵と誤認してしまう事態に。急いで戦線から離脱したショウマは、絆斗を縛りラキアが住処としている元研究所に運ぶ。
一日経っても催眠が解けない絆斗にどうしようかと悩むショウマと事情を聞いたラキア。とにかく酢賀を倒すべきだと考えた二人は、目撃情報を探すことに。
その結果、またもや人々が催眠され、ある場所に向かって歩いているところを目撃する二人。人々を追っていくと海岸に辿り着く。そこには大勢の人が集まっており、その中にはショウマがお世話になっている駄菓子屋の主人もいた。
するとそこにニエルブと酢賀が現れ、新たな命令を出す。海に入るように命令された人々が一斉に海に向かう。ショウマたちはそれを止めようとするが、一度に大勢の人を止めることができない。そこでラキアがグラニュート態になり、触手を伸ばして自身の能力である神経毒を人々に打ち込む。それにより、幸福度が増したことでその場に留まらせることに成功。
その様子を見ていたニエルブが感心しつつ、二人を迎え撃つ為グラニュート態に変身。酢賀もビターガヴへと変身する。それを見た二人も変身し、交戦。
それぞれの戦いが激化する中、遅れて絆斗も現れる。まだ催眠状態なのではと考えるショウマたちは警戒するが、絆斗は変身しニエルブを殴りつける。どうやら自身の精神内で催眠に打ち勝ったようだ。
この結果に驚くニエルブの相手をするヴァレンとビターガヴの相手をするガヴたち。その後、無事ビターガヴを撃破し、彼が使っていたベイクマグナムも破壊することに成功。これにより、人々にかけられていた催眠が解除される。
後はニエルブだけだが、彼はあっさり手を引きこの場を去る。それを追いかけようとするガヴたちの背後に連れてこられた人々が現れ、ガヴたちを化け物と思い込んでしまう。だがそこにガヴたちとは別で追いかけてきた幸果が誤解を解くことでこの場を収めたのだった。
数日後。
ニエルブの傀儡となった酢賀が大量の人々を催眠状態に陥らせた事件の後、あの事件の被害者となったお菓子屋『ひだまり』の店主、優が絆斗と共にはぴぱれに来ていた。
あの事件の後、グラニュート事件に関して調べた優は、過去に自身の妹が行方不明になった件にもグラニュートが関わっているのではと考える。その前日に絆斗から妹の件について取材を受けていたこともあり、絆斗が何か知っているのではないかと彼に話を聞きに来た。
二十年前に妹が行方不明になってからずっと探し続けてきた優。その心労で両親も倒れ、一人耐えてきた。そんな時、妹の手がかりに繋がる糸口が見えた。だがその結末は化け物に食べられたのかもしれない。そう考えると苦しくなり、どうにか妹が生きていると信じ続ける。そんな想いを吐き出す優に、絆斗と一緒に聞いていたショウマたちは何も言えずにいた。
その日は、優は帰ったがその後の空気は重い。その理由は優の秘めた想いもそうだが、ショウマたちにあった。
優の誘拐された妹。それはショウマの母親だった。
彼女は、ショウマが人間界に来る前に彼の目の前にヒトプレスにされ、殺された。そのことを知っているショウマと絆斗は、彼女が既にこの世に居ないことを伝えるべきなのか戸惑う。
結局今は真実を伝えるのは止め、ストマック・ジャルダックとの戦いが終わってからどうするか考えることで落ち着いた。
そうして二人で話し合いながら歩いていると、前からリゼルがやってくる。普段の余裕そうな感じは鳴りを潜め、殺気立っている。
「あら、赤ガヴにヴァレン。丁度いいわ、私の八つ当たりに付き合ってよ!」
リゼルはそう言うと傘をショウマたちに向け、エネルギー弾を大量に放つ。ショウマたちは慌てて変身し、氷の壁を生成して防御する。いきなりの攻撃に驚きながら攻撃を仕掛けるが、リゼルの前に立ちはだかるバトラーたちによって防がれる。
ガヴはマスターモードに変身し、超高速でバトラーたちに多方向から攻撃していく。それに合わせ、ヴァレンがバトラーたちの足元を凍らせていく。身動きが封じられたバトラーたちがちょうど重なる方向からオーバーモードに切り替えたガヴが、必殺のパンチを放つ。それを諸に受けたバトラーたちは消滅する。
これでどうにか終わったと思ったガヴたちの背後から攻撃が来る。不意打ちを受けたガヴたちは背後を見ると、そこには怒り心頭な様子のリゼルが。
「そんなことで調子に乗らないでもらえる?」
リゼルはそう言うとミミックキーを外し、怪人態に変身する。そして両腕を鉤爪状に変形させ、二人に斬撃を放つ。その斬撃を二人は防ごうとするが、斬撃に内包されるエネルギーが小規模の爆発を繰り返すことで威力が増し、食らってしまう。
吹っ飛ばされるガヴたちに追撃しようと、リゼルが急接近してくる。それを見たガヴはマスターモードに切り替え、リゼルを迎撃しようと蹴りを放つ。だがリゼルは持ち前の柔軟性を活かし、ガヴの蹴りを避けるとその勢いを利用してガヴをヴァレンに投げつける。
カウンターを食らってしまいヴァレンを巻き込んだガヴに、更に追い打ちをかけるべく両手にエネルギー弾をそれぞれ発生し、それを二人に叩きつける。それによって爆発が起こり、二人は吹っ飛ばされると変身が解除される。
「なーんだ、あなたたちってそんなものなのね」
「くっ...なんだあの強さ...!」
「今まで戦ってきたどのグラニュートよりも強い!」
「当たり前のことを言わないで」
ショウマの言葉に苛ついたリゼルは、特大のエネルギー弾を生成してショウマたちを消そうと放つ。弾が当たる直前にショウマがブリザードソルベに変身し、氷の壁を生成して威力を落とそうとする。だが氷の壁は簡単に割れ、地面に触れて爆発する。
爆発跡には二人の姿は見えなかったが、周りに氷が残っているのを見てリゼルは逃がしたことを悟る。
「まあいいわ。赤ガヴたちが脅威にならないのなら、あの人間モドキをどうにかすればいいだけだもの」
リゼルはそう呟くと人間態に戻り、去るのだった。
リゼルから敗走したショウマたちは研究所でお互いを治療し、リゼルの力を再認識してその場を解散。はぴぱれに戻ったショウマは、誰もいないことから自分の仕事の報告書を作成しようと準備する。
その時、はぴぱれに一人の男がやってくる。ショウマは依頼者かと思い、笑顔で出迎えようと男を見る。その視線の先に居たのは...
「やぁ、赤ガヴ。随分と賑やかな部屋に住んでるんだね?」
ニエルブだった。
ニエルブの姿を認識したショウマはすぐに立ち上がり、マスターモードに変身しようとする。だがそれをニエルブは制止し、ショウマにある取引を持ち掛ける。
「赤ガヴ...いや、ショウマ。君、ストマック家の新しい当主にならない?」
To be continued……
リゼルの活躍をもっと見たかったので追加してみた
いつかFSネタも書きたい