「あんの小娘、生意気なこと言って!!!」
「うぉ!?」
「ジープもジープで甘い蜜に吸い寄せられて!!!」
「あぶねっ!?」
「八つ当たりに付き合いなさいよぉ!!!」
「現在進行形で付き合ってんだろ!?」
ビターガヴの一件から一か月余り経った日。
この日、拳二はグロッタの八つ当たりに付き合わされていた。
普段以上の激しさと乱雑な攻撃を繰り出すグロッタに防戦一方な拳二。その攻撃の余波は辺りを更地に変え、環境が変わってしまうほど。
何故彼女がこんなに荒れているのか。それは、保護したがいつの間にか姿を消していたジープと、そのジープと共に兄妹たちの前に現れたリゼル・ジャルダックという女。彼女はグラニュート界を牛耳っている大統領、ボッカ・ジャルダックの一人娘であり、ジープはその強大な権力を盾に、今まで自身を虐げてきたランゴに復讐するために彼女と結婚してストマック社に戻ってきた。
更に、ストマック社が独占していた人間界へのルートや闇菓子の存在をボッカにリークすることで、大々的にストマック社を乗っ取る。社長だったランゴは仕入れ統括に降格し、空席となった社長の座にはリゼル。副社長にはジープが就くこととなった。
この横暴にグロッタは反抗するも聞く耳を一切持たないどころか、「グロッタ姉さんには何もしないから」とジープから情けをかけられたことで怒りが爆発。ジープをここまで変貌させたリゼルに直接喧嘩を売りに行くも、ジープが彼女を擁護。二人から『兄姉の中で一番中途半端』や、『なんにでも喧嘩を売る脳筋』といったことを言われたことで我慢の限界を迎えた彼女が拳二の所に来て今に至る。
何故かストレスがそのまま衝撃としてチャージされ、右腕から全エネルギーを放出するグロッタの拳に対し、このままじゃまずいと判断した拳二は右腕の筋肉を膨張させて、全力の拳を相殺させる為にぶつける。結果は拳二の思惑通りに威力を相殺でき、何とか二人の周囲半径数十メートルを砂漠にすることで事なきを得た(?)。
何とか落ち着きを取り戻したグロッタから怒りの原因を聞いた拳二は、リゼルという名前に反応を示す。
「リゼルってお前の双子の弟と一緒に居た奴か?」
「知ってるの?」
「あー、この前グラニュートを潰したら、ショウマとラキアンになんかヤバそうな攻撃するの見たからそれを潰したな」
「プッ! このバカに攻撃消されたとか弱すぎじゃない!」
「誰がバカだ、おい。でもそれでなんか気に入られたな...」
「は?」
「『私の攻撃で潰れないなんておもしろ~い!』とか言って、変なビームバンバン撃ってきたな」
「...妙に声真似が上手いのムカつくわね」
「ビーム全部打ち返したら弟の方がビビッて帰ってったな...」
「ほんと度胸ないわよね、あの子...」
「お前と比べるのが間違ってんじゃね?」
「うっさい!」
拳二のからかいに拳骨を食らわせるグロッタはようやく落ち着けたことで、ストマック家とグラニュート界の未来を考える。今までストマック社という一企業対人間界という構図だったのが、ジャルダック親子が参戦したことでグラニュート界対人間界の構図に変貌した。それによって人間界側の被害が甚大なものになるのは目に見えている。
現に、ジャルダック側の刺客として闇菓子の虜となったグラニュート界の有力者、マーゲンをニエルブの改造の下、人間界に差し向けている。まだ実験段階ではあるものの、酢賀が生み出したビターガヴの黒ガヴを移植したマーゲンは、ショウマたち相手に難なく勝てている。この黒ガヴ移植の技術を確立させると共に、人間界でのヒトプレス集めの規模の拡大を視野に入れているだろうジャルダックは、次の行動でそれを試すはず。
そう考え、拳二と共有したグロッタは、そろそろ自分の立ち位置をどうするべきか決断の時が迫っていることを認識する。
拳二と大叔父は特に気にすることなく受け入れてくれるだろうが、ショウマたちがどんな反応を示すかはわかりきっている。特にラキアに関しては、過去の自分を振り返った時に彼の弟であるコメルを粛清した時の記憶を思い出したことで、彼に恨まれてることを自覚して顔を合わせ辛くなっている。
一人百面相しているグロッタに、拳二はついに壊れたかと思い肩を揺さぶったりするも、依然と考え込む彼女を拳二はまあいっかと思考放棄し、地面に寝転がって昼寝をする。しばらくして意識を取り戻したグロッタは、隣でぐっすり寝てる拳二に呆れながらも笑顔で見つめ、一緒に昼寝をするのだった。
二人が長閑な時間を過ごす中、ショウマは仲間たちの協力を得て、新たな力『オーバーモード』の破壊的な必殺技でマーゲンを無事撃破した。その様子を自身の眷属から伝え聞いたボッカは、ストマック社に赴いてある決定をランゴとニエルブに告げる。
一つは、ニエルブをボッカ直属の技術開発者として迎え入れること。以前からジャルダック側にすり寄っていたニエルブからすれば予定調和だった。これにはランゴも薄々気づいており、仕方ないと判断する。
そして次に、闇菓子がグラニュートに与える影響を実感したボッカは、これを自身の野望に利用しようと継続的な発注を依頼する。最初の発注として、上質な闇菓子を一千万個用意するように命じた。
これにはランゴも頭を抱えそうになるが、リゼルの予算はジャルダック家が全部出すという文言を聞いたことで受け入れた。その際、ランゴはリゼルたちに大量の闇菓子に必要な人間を集める際にこちらの存在が気づかれる可能性を示唆するも、リゼルは父親の依頼だから問題ないと意に介さなかった。それを受け、ランゴはニエルブの協力の下ある秘密兵器を用意するのだった。
翌日。
ショウマと拳二がはぴぱれの業務として幸果の友人の佐藤律からの依頼を行っていた時、テレビから連続大量失踪事件のニュースが流れる。そのニュースに律を除いたショウマたちは顔を見合わせると、ショウマに絆斗から連絡が入る。ショウマは絆斗と共にラキアがいる酢賀の元研究所に行き、拳二は一人別の場所へ向かう。
ショウマたちは、もしかしたらラキアが持つ人間の幸福度を高める毒と同じ物を持つグラニュートの仕業か、ニエルブがラキアを改造した際に毒素を抽出したかもしれないと考え、結論が決まらない中とにかく犯行を止めることに決めた。
そして、ショウマはゴチゾウから犯行が行われている場所を知り、急いで向かう。その先は空港で、ある飛行機の中に入るとCAに擬態したガスマスクを着けたグラニュートとランゴのエージェントがヒトプレスを回収していた。ショウマはそれを止めようとしたその時、彼の背後にランゴが立つ。ランゴはオーラを解き放つとショウマはそれに吹っ飛ばされた飛行機の外に弾き出される。その直前に変身したことでダメージを多少抑えることができたものの、その力は強大ですぐに変身が解除されてしまう。
吹っ飛ばされたショウマの下に現場に到着した絆斗とラキアが駆け寄るが、そこで見たのは炎上する飛行機から歩いてくるランゴの姿。二人はランゴを止める為、変身して攻撃を仕掛けるが、ランゴの能力である赤いオーラのシールドによって難なく止められる。二人はあらゆる方向から攻撃を試すも、全てシールドに塞がれてしまう。
次はランゴの番と大剣を出したランゴは、片手をポケットに入れ、片腕で大剣を振り回す。それでも威力は絶大で、二人は手も足も出ない。
ヴラムがゼリーカスタムに変身し、透明化してから攻撃すれば隙が生まれると思い実行するも、またシールドが展開されて防がれる。それに驚くヴラムをランゴが一振りで変身解除に追い込む。残るヴァレンも剣にエネルギーをチャージし、巨大化させて吹っ飛ばし、変身を解除させた。
圧倒的な力を見せるランゴに、ショウマは再び立ち上がり向かっていく。だがランゴは瞬間移動し、ショウマを地面に叩きつけ足で踏みつける。
そしてこれまでショウマに対して募らせてきた嫌悪を浴びていく。
「赤ガヴ、お前は生まれてきたのが間違いだったんだ」
「...そんなことない!!!」
ランゴから言われた言葉をショウマは否定しようと、オーバーガヴに変身。ランゴに殴り掛かるがまたもシールドが展開される。今までと違い、オーバーガヴの力で少しずつヒビが入っていく。だがそんな力を、ランゴは勢いだけしかないただの馬鹿力と評し、ガヴがシールドを割ったと同時に瞬間移動、空中に叩き上げ、更に空中から大剣で地面に叩きつける。
だがガヴは諦めず、大剣を抑えるとエネルギーをチャージする。それを見たランゴはシールドを多重展開する。
ガヴの必殺技のパンチが発動し、シールドを割っていく。最後のシールドに差し掛かると、エネルギーを全開してシールドを割り、ランゴに拳が届く。だがそれと同時にランゴがミミックキーを外したことで力を解放し、ガヴを吹き飛ばす。
力を解放したその姿は赤く刺々しい装甲に腹部を大きく占める特徴的なガヴ。全身から溢れ出るオーラを前に、ガヴはもう一度必殺を放とうとするも、そのタイミングで力を使い果たし、変身が解けてしまう。
無防備なショウマを裏拳で吹っ飛ばすと、ガヴにエネルギーを溜めていくランゴ。
それを見たショウマは急いでブリザードソルベに変身し、ランゴを氷で覆う。だがランゴはそれに構わずガヴからビームを放射。一瞬で氷が砕け散り、ガヴに迫る。
その時、拳二が二人の間に入り、ビームを殴って相殺する。その様子にランゴも感心したような声を出す。
「逃げろ、ショウマ」
「でも!」
「お前にはまだ早い」
拳二から言われたことが胸に刺さったショウマは、倒れている絆斗とラキアと共にこの場から立ち去る。
残った拳二とランゴの二人の戦いが始まろうとする。
「お前がグラニュートを生身で倒す人間か。中々やるようだな」
「お褒めに預かり光栄です、元社長殿?」
「...その口を叩き斬ってやる」
「その前にアンタの口を閉じてやるよ!」
拳二はそう言うと同時にランゴに向かって殴り掛かる。ランゴはそれをシールドで止めようとするが、シールドがあっさり割れ、攻撃が通る。それに驚くランゴだが、拳二の猛追は止まらない。
今度は油断せず大剣で攻撃を受け止め、お返しにとエネルギーをチャージした大剣から極大の斬撃を放つ。拳二はそれを前宙からのかかと落としで叩き割ると、その勢いを使って前方にジャンプし、渾身のドロップキックを放つ。
ランゴは受け止めようと大剣を構えようとするが、突然拳二の勢いが増してランゴの目の前に拳二の足が現れる。それに動揺し、無防備な状態でドロップキックを受けたランゴは吹っ飛ばされてしまう。いきなりの攻撃に動揺したがすぐに冷静さを取り戻したランゴは、吹っ飛ばされる方向にシールドを多重展開して勢いを殺し、何とか静止する。
今の攻撃のからくりを探ろうと拳二の方を見ると、拳二の傍に立つ者が目に入り、動揺する。
「何故お前がここにいる...グロッタ!」
拳二と共にいるグロッタの姿に、ランゴは怒りを露わにする。そんな兄の姿を初めて見たグロッタは、一瞬憂いた表情をするもすぐに気を引き締める。
「私はこっち側につくことにしたの」
「何故だ...何故お前が俺を裏切る! お前だけは最後まで傍でいてくれると!」
「...ごめんなさい、兄さん。私はもう闇菓子に...ストマックについていけない」
信頼していた妹の裏切りに憤怒するランゴは、その元凶であろう拳二への怒りを募らせる。そしてその怒りを一撃に籠めんと、ガヴにエネルギーを溜め込む。それを見た拳二も構えるが、そんな彼の前にグロッタが立つ。グロッタは予めチャージしていた衝撃をエネルギーに変換し、鎌に籠めていく。
二人のエネルギーが溜まりきると、それを放出する。極太のビームが斬撃を飲み込まんとするが、斬撃がビームを割っていき、ランゴのガヴに到達し爆発する。
煙が晴れて見えたのは、ガヴに大きな一筋の傷をつけたランゴの姿が。
そんな兄の姿に心が苦しくなる彼女と対照に、ランゴは何故グロッタがという思考で頭が埋め尽くされる。戦闘に集中できないと判断したランゴは、瞬間移動で二人の前から姿を消すのだった。
「...決めたんだな」
「...ええ。こっちの方が楽しいじゃない?」
「...そうだな」
戦闘が終わり人間態に戻ったグロッタに問いかける。それに答える彼女の表情を見た拳二は、静かに同意する。そして、彼女の隣に立ち、そっと手を握る。突然のことに彼女は驚くが、拳二の表情を見て彼が何をしたいか理解した彼女は、大人しく受け入れる。
静かに流れる時に身を任せる二人を、月の光が優しく包み込んでいた。
翌日。
グラニュート界に帰っていたランゴは、険しい表情で書類を眺めている。その理由は昨日のグロッタの件。最も信頼していた妹が自身を裏切ったことが自分の予想以上にショックだったランゴは、手に持つ書類を握りしめる。
裏切り者には粛清を。
闇菓子に携わり秘密を知った者がストマック社を裏切った場合、全て粛清してきた。その刃が最愛の妹に向けられるとは思っていなかったランゴは、自分がどうするべきか悩んでいた。
もしこのことがリゼルやジープに知られればどうなるか。処刑されるのか自分を甚振る為に利用されるのか。どちらにしても最悪の結末になる。
ボッカからの闇菓子大量生産要求に妹の離反にと板挟みになるランゴは、とにかく早急に片付けなければならない方に取り掛かることにした。
一方、ショウマはランゴの計画を止める為、グラニュート界に繋がる扉を探していた。その時、ショウマの前にジープが現れ、何かが書かれたカードを投げられる。内容を読んだショウマはすぐにジープにどういう意図か聞こうとするも、既にジープの姿は無かった。
ショウマはすぐにはぴぱれに戻り、絆斗たちに共有する。カードに書かれていたのは、次のランゴの狙い。それは律が行くライブ会場だった。
その時、律がはぴぱれに訪れ依頼の進捗を聞く。依頼を完了したことを告げられた律は、興奮した様子で自作グッズをカバンに詰めていく。そんな律に遠まわしにライブに行くことをやめるよう説得するが、律のバンドに対する想いを聞いたショウマたちは言い出せなくなる。
結局言い出せず律を帰した後、絆斗はショウマにタブレットを見せる。そこに映るのはネットで仮面ライダーを擁護する声や感謝の声。今まで助けてきた人たちの声を見たショウマは、ランゴに否定された自身の存在が。今までの行いが無意味ではないと分かり、改めて決意を固める。
そうしてライブ会場に向かった五人は、作戦を確認する。ショウマ、絆斗、ラキアの三人は、幸果がキャンセルした人から譲り受けたチケットで中に潜入。会場内で不審者や不審物を探し、見つかり次第対処する。幸果は近くの施設で待機し、もしもの場合に備える。
そして拳二は...
「ケンちゃんの秘策って何なの?」
「ん? 会場の外で暴れて注目を向けるんだよ」
「え!? そんなことしたらグラニュートが逃げるんじゃ...」
「そう。外に出れないからどっかの扉を使ってあっちの世界に逃げるはず。だがそれは限られるはずだ」
「そうか...そこを叩けば!」
「そういうこと。中の方は任せたぞ」
拳二はそう言うと四人とは別方向に行った。
会場内に入ったショウマたちは必死に捜索するが、特に不審なものは見当たらない。すると、会場が暗転し上から赤いシャボン玉が降ってくる。シャボン玉が人に触れ弾けると、中から出た何かを吸った人が幸せそうな表情をして虚ろになる。
その様子を見たラキアは、デンテから預かった専用のガスマスクを二人に渡し、自身も装着する。二人も急いで装着し、影響を逃れる。
しばらくして照明が戻るとスタッフに擬態しているグラニュートが周囲の人々をヒトプレスにしていく。それを見た絆斗が変身し、擬態を解除したグラニュートと交戦する。
他のグラニュートはその様子を見て、ある程度ヒトプレスを回収して逃げ出す。それを見たラキアが急いで追いかけ、残ったショウマはある可能性を考えてとある場所へと向かう。
一方その頃、会場の外で待機している拳二は開始時刻になっても中から演奏の音が漏れてこないことから、ランゴの計画が実行されていることを悟り、自身も秘策に乗り出す。
「さーてと! 今日も張り切ってやり合うか! グロッタ!」
「この前のリベンジってわけ? また私が勝つに決まってるわ」
「ハハハ! ジョークセンス上がってきてんじゃないか?」
「...潰すわよ」
拳二の下に合流したグロッタは、拳二の計画を事前に聞いていた。といっても、周囲に被害を及ぼさない範囲でいつも通り戦うだけ。ただ、二人とも正体がバレてはいけないという制限がある為、思うように戦えない。
それでも構わないと快く引き受けたグロッタは、早速怪人態になる。それを見た拳二も、自身の顔がバレないように行きつけの駄菓子屋のおまけで貰った仮面を被る。
そして、いつも通りの戦いが始まる。
二人の戦闘音を聞いたエージェントが状況を確認し、ランゴに伝える。その際、その現場にヴラムが現れ、エージェントはそのままヴラムと交戦する。
報告を受けたランゴは思わず舌打ちしながら地下通路を歩く。するとランゴの前にショウマが現れる。
ランゴの前に立ちはだかるショウマは、人間界に来てからの出会いや環境に励まされ、改めて彼らを守る為、戦うことを決意したことを告げる。そんなショウマの姿にランゴは感心したのか、少し笑みを浮かべる。
そしてオーバーガヴに変身する為ゴチポッドをガヴに装填すると、ゴチポッド内のゴチゾウたちがショウマの話に感動したのか、勝手に回転する。それに驚くも受け入れ、レバーを回す。
「変身...!」
『マスターテイスト!』
新たな力、『マスターモード』に覚醒する。
ランゴはガヴが自身に敵わないことを証明しようと、怪人態に変身する。するとガヴが超高速でランゴに接近し、そのまま地下通路から外へ引きずり出す。
想像以上のスピードに困惑するも適応するガヴは、ランゴの攻撃よりも速く、防御よりも速く、と段々スピードを上げていく。そしてそのスピードは遂にランゴの自動防御を超え、攻撃が通る。だがそのパワーはオーバーモードを下回り、まともにダメージを与えることができず反撃を受けてしまう。
どうするべきか考えるガヴにゴチゾウたちがヒントを与える。それを受けたガヴはランゴとの高速戦闘に入り、互いに一歩も譲らない攻防を繰り広げる。
攻撃が通っても大したダメージが入らないことを知ったランゴは、臆することなく果敢に攻める。その慢心を突いたガヴは、自動防御より先に攻撃が通りそうになった瞬間、マスターモードからオーバーモードに切り替える。速さを維持したまま繰り出される超パワーがランゴを襲う。
空中に吹き飛ばされたランゴに、またマスターモードに切り替わったガヴがラッシュを仕掛ける。そして、また自動防御の隙を突き、オーバーモードに切り替えて拳を叩き込む。
地面に叩きつけられたランゴの両脇に顕現していたシールドが粉々に割れる。これに何かを悟ったランゴは、自身の大剣をガヴに向かって投げるが、それを易々と受け止め、ランゴに向かって投げ返すガヴ。そこにマスターモードに切り替え、高速攻撃を叩き込む。
徐々に圧倒されていくランゴは必死に抗おうとするも敵わない。ガヴについた傷も疼き、その隙をガヴに突かれてダメージがどんどん蓄積されていく。やがてその速さに追いつけなくなり、自身の右目をガヴに斬りつけられ深い傷を負う。そして最後は必殺のキックを受け、爆散するのだった。
その様子を遠くから見ていたジープは、自分が嗾けておいてランゴがやられたことに動揺する。ランゴを圧倒したガヴの実力に恐怖を抱いたジープは、その場から離れるのだった。
一方、会場の外で戦っていた拳二とグロッタは、遠くの方で聞こえる爆発音に攻撃の手を止める。二人はショウマが勝ったことを悟り、急いでこの場から離れるのだった。
またその頃、ヴァレンとヴラムはそれぞれグラニュートとエージェントを撃破し、ヒトプレスを回収。無事被害者が出ることなく事態を収めることに成功した。
無事ランゴの計画を阻止したショウマたちは、ライブが再開され堪能した律を迎えに行く。そこに幸果も合流し、五人で打ち上げに行くのだった。
一方、会場から離れた拳二とグロッタはストマック社内を歩いていた。
二人とも変装する気がないお面を被り、悠々と歩く。その様子を遠くから見守る彼女の眷属は大丈夫なのかと心配する。
「本当に大丈夫なの? いくらアンタでもここまで来たら二度と人間界に戻れないかもしれないのよ?」
「それはお前もだろ。俺を連れてここまで来たんだ。二度と家に帰れなくなるぞ」
「私はもう覚悟を決めたからいいのよ。もうここに帰る場所はないわ」
「...そうか」
これから拳二が起こす行動に不安になるグロッタに淡々と答える拳二。二人が目指す先は、ニエルブのオフィスだった。
オフィスに着き、目的の人物を見据える。その視線に気づいたニエルブは一瞬宇宙猫になるも、直ぐに意識を取り戻し呆れながら二人に話しかける。
「...グロッタ姉さんと原口拳二だったかな? 僕に何の用かな?」
「お前と取引がしたくてな」
「へぇ...内容は?」
「俺をストマック家の
To be continued……