もちろん抵抗するで、拳で   作:暇けんぴ

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後編

 

 

 ランゴを倒し、計画を阻止した日から数日。

 ショウマたちは過去の因縁と決別する出来事が続いていた。

 

 一つは絆斗の母親を連れ去ったグラニュートが偶然見つかったこと。

 

 幼い頃、自身の下から母親を連れ去ったグラニュートをずっと探していた絆斗。ある時、和菓子屋を再興して欲しいとはぴぱれに来た少年、安藤寛人の頼みに付き添い、和菓子屋に来た。

 

 現在は母とここで働く和菓子職人の斎藤健二の二人で経営している和菓子屋『あんどう』。味は確かなのだが、客が来ないことで悩む寛人の想いを聞いたショウマたちが正式に依頼を引き受ける。

 

 そこで新しい和菓子のアイデアを生む為、寛人と健二の二人にショウマと絆斗が付き添う形で動物園に向かう。持ってきたスケッチブックに動物を必死に描き込む寛人に、一緒にどんな和菓子を作ろうかと話し合う健二の二人の姿は親子そのもの。そんな二人の姿に依頼を成功させると決意するショウマたち。

 

 その帰り道、突如ジープがリゼルとエージェントを引き連れてショウマたちの前に現れる。二人を守る為にショウマと絆斗は変身し、交戦。

 以前までと違い各段にパワーアップした二人の前に、ジープとエージェントたちはなすすべもなく敗れる。そしてジープにトドメを刺そうとするも、リゼルに邪魔される。

 

 その時、寛人が戦闘から逃げる際に落としてしまったスケッチブックを拾いに来る。それに意識を取られたガヴにリゼルがビームを放つ。ビームはガヴに当たり、その流れ弾が頭上の橋に当たり、瓦礫が寛人に向かって落ちてくる。そこに健二が向かい、寛人を庇う。

 

 二人の安否が心配される中、リゼルたちは気にすることなくその場を去る。そして土煙が晴れ、そこで目にしたのは意識を失った寛人を庇うグラニュートの姿だった。

 健二の正体がグラニュートだったことに驚くショウマだが、絆斗は別の理由で驚いていた。

 

 絆斗の母親を攫ったグラニュートの正体が健二だったのだ。

 

 親の仇を目にした絆斗は、溢れ出る激情に身を任せ健二に銃口を突きつける。だがその時、寛人が目を覚まそうとし、慌てて健二は人間態に戻る。そして絆斗に逃げも隠れもしないと告げ、目が覚めた寛人と共に帰る。絆斗はそれを何もできず見送るしかなかった。

 

 翌日、あんどうを訪れたショウマたち。ショウマたちを見た健二は二人を連れて店を出る。そして二人に自身の過去を告白する。あんどうに来たのもアルバイトの仕事の為だったが、そこで過ごす内に闇菓子に魅入られる前の自身の想いを取り戻したという。

 

 絆斗に母親を攫ったことを謝罪し、その罪を自身の罪で償うと告げる健二。だが、猶予を欲しいと言う。あんどうの家族から受けた恩を返す為、新作の和菓子ができるまで待ってほしいと告げる。絆斗は怒りを抑えながらも了承する。

 

 彼が人の為にお菓子を作ろうとしていることを頭では理解しているも、感情が収まらない。相反する想いが絆斗の中でぶつかり合うのだった。

 

 更にその翌日。

 あんどうに来ていた絆斗と幸果。すると寛人が新作を持ってやってくる。

 

 動物の形をした和菓子。あの日、動物園で得たアイデアを下に、健二と寛人の二人で一生懸命製作したものだ。

 

 完成したものに注目する幸果たちを置いて、絆斗と健二は近くの川に訪れる。新作が完成した今、健二は約束通り絆斗に倒されようとする。

 お互い変身し、絆斗が無防備な健二に向けて必殺技を放つ。だがそれは健二に当たらず、彼の後方で着弾した。

 

 そして変身を解除した絆斗は、寛人と健二の関係を壊すわけにはいかないと言い、後を去る。負の連鎖を断つ為、彼はグラニュートとしての健二ではなく、一人のヒトとしての健二を取ったのだ。

 

 ずっと囚われていた過去と別れを告げる為、絆斗は手がかりにしていた自身が書いた健二の絵を破り捨てる。絆斗はまた一歩、前に進むことができたのだった。

 

 後日、新作のアニマル和菓子がバズり、店は大繁盛した。そのお礼にと新作を寛人から受け取った絆斗は、はぴぱれでみんなと食べることにした。

 

 ここまでが一つ目の出来事。

 

 そして二つ目。

 ショウマたちとジープの因縁が、更に深まったこと。

 

 ある日、デンテが手軽に食べられるお菓子じゃなく、お店で食べられるスイーツが食べたいと言い出す。それを聞いたショウマと幸果も賛同するが、ラキアが冷静に無理なことを告げる。

 世間がグラニュートの存在を認知し始めてる今、もし街中にデンテが行けばどうなるか。想像できた三人は意気消沈し、デンテはもっと食べておけばよかったと嘆く。

 

 そんなデンテに幸果がここで作ろうと救いの手を差し伸べる。それを聞いたデンテは大はしゃぎし、どんなものが食べれるかと楽しみにしながら研究を再開する。そんなデンテに三人は早速材料を集める。

 

 三人がデンテにごちそうするものは、プリンアラモード。ショウマはプリンの材料と飾りつけのフルーツを買いに。幸果とラキアは器を買いに行く。そこでラキアはグラニュートとしての感性を存分に発揮し、上質な器を見つける。

 

 必要なものが全て揃い、後は作るだけ。デンテの住処では飾りつけをして完成できるよう、プリンは予めはぴぱれで作っておくことに。三人は楽しそうに準備していくのだった。

 

 一方その頃、デンテは住処で一人楽しみに待ちながらある物を製作していた。

 その時、住処にやってくる二人の人物。

 

 

「へぇ...こんなところで今まで隠れて過ごしてたのねぇ」

 

 

「なにここ? こんなちっぽけな所で暮らせるの?」

 

 

「なっ!? ジープに、確かリゼル・ジャルダック!? どうしてここが!」

 

 

 やってきたのはジープとリゼルだった。

 

 ジープはニエルブによって自身のガヴにビターガヴの物、『黒ガヴ』を移植された。その力を持ってショウマに挑むも勝利することはできず。その結果にニエルブにいつになれば自身は強くなれるのかと問いただす。

 その時、ニエルブが持っていたタブレットが地面に落ち、その衝撃であるファイルが開く。そこには、健二と楽しく話すデンテとグロッタの様子が映っていた。

 

 これを見たジープはすぐにニエルブに問いただす。それを嫌々ニエルブが話したのを聞き、二人はすぐにここにやってきたのだ。

 

「どうしてだなんて、酷いじゃない。甥っ子が大叔父に会いに来るのに理由が必要かしら?」

 

「はじめまして。ジープの妻のリゼル・ジャルダックよ。大叔父様」

 

「...二人とも何が目的なんじゃ?」

 

「フフフ...貴方が赤ガヴに加担してるって聞いたわ。私にもその力を貸しなさい」

 

「ジープが今よりもっと強くなれるようにするのよ」

 

 二人はデンテに詰め寄りながらそう言う。ニエルブは頼りにならないと判断したジープは、ショウマの力を数々生み出したデンテなら自身をもっと強くすることができるだろうと考えた。それに賛同したリゼルも、一緒に説得...いや脅迫する。

 

 二人から詰め寄られるもデンテは断固拒否する。もう二度と闇菓子に関わらないと決めたデンテは、二人が何をしようとしているのか想像し、それを止めようと説得する。

 だが二人はデンテの言うことに耳を貸さず、自身の要求を飲むように脅す。

 

「もうやめんか、ジープ。お前さんがシータを失った悲しみを分かってやることはできん。だが、少しでも痛みを共有することはできるはずじゃ。闇菓子から離れ、少しずつ一緒に前に進まんか?」

 

「うるさい...! アンタに何が分かるのよ!」

 

「お前さんにはまだ頼れる家族がいるじゃろ? ショウマのことを憎むのもわからんではないが、いつまでも憎むだけじゃ悲しみの連鎖は断ち切れん。なあ、一度ショウマと話し合ってみんか? お前さんが何を思い、ショウマが何を思っているのか」

 

「うるさい、うるさい、うるさい!!! よりによって赤ガヴなんかと話すですって!? ふざけるんじゃないわよ!!!」

 

「ジープ、もういいわよ。こんなのいらないわ」

 

 ジープを必死に説得しようとする中、どこか飽きたような様子のリゼルがそう言うと、デンテに傘の先を向ける。彼女が何をしようとしてるのか悟ったジープは止めようとするが、リゼルは笑顔で告げる。

 

 

「さようなら、デンテ叔父様」

 

 

 リゼルはそう言うとビームを放ち、デンテの心臓を射抜く。心臓を貫かれたデンテは、胸に手を押さえ必死に血を止めようとするが止まらない。やがて自身から聞こえてくる鼓動が遅くなり、そして...

 

 

 

 


 

 

 プリンアラモードの準備ができたショウマたち三人は、デンテの住処に向かっていた。デンテがどんな感じで喜んでくれるか。それにワクワクしているショウマと幸果に、ラキアは呆れながらも笑みを浮かべる。

 

 そして三人が住処に着き、そこで見たものは...

 

 

 デンテの亡骸の前に立つジープとリゼルの姿だった。

 

 

 一瞬何が起きているのか理解できなかった三人だが、徐々に思考が冴えていき、ある結論に至る。

 

 デンテが死んだ。

 

 その結論に至った三人の手から持ってきたスイーツの材料が落ちる。その音で三人に気づいたジープとリゼル。リゼルは笑顔で三人に挨拶する。

 

「御機嫌よう、赤ガヴ」

 

「...デンテ叔父さんに何をした」

 

「私たちの言うことを聞いてくれないから殺したのよ? 何かおかしくって?」

 

「どうして...どうして叔父さんを!」

 

「だって、私たちの言うことを聞かないのにジープを誑かそうとするんだもの。そんな悪いことしたら、お仕置きが必要でしょ?」

 

「なん...だと...?」

 

「そんな...デンテさん...」

 

「...お前たちは許さない」

 

 リゼルの言い分に激情が溢れるラキアは変身し、二人を住処から追い出す。それを追うようにショウマも変身し、二人と交戦する。

 

 ビターガヴに変身したジープは、以前戦った時とは違い二人を相手に優勢に立つ。それがリゼルの援護のおかげだと言うことを理解しないジープは、自身が強くなっていると勘違いし、攻撃の手を強める。

 

 一方、ガヴたちはジープとリゼルの攻撃に苦戦するが、少しずつ攻撃の穴を見出していく。その穴を突くように、マスターモードに変身したガヴが高速移動でリゼルに接近し、武器として使う傘を奪おうとするが、そこにボッカの眷属であるバトラーが乱入。ガヴをリゼルから離し、彼女を守る。

 

 ヴラムもゼリーカスタムの力で透明化し、ビターガヴの隙を狙う。だがヴラムの透明化に慣れてきたビターガヴは、あっさり透明化を破る。

 

 攻略の手口が見えない中、ビターガヴとリゼルがトドメを刺そうとする。だがそこに彼らを挟み込むように衝撃波が襲う。バトラーが盾となるが、その威力を吸収しきれず消滅し、二人は吹っ飛ばされる。

 

 攻撃が来た方向を見ると、そこには拳二とグロッタの姿があった。

 

「あら、グロッタ義姉さま? 私たちを裏切る気?」

 

「誰が最初からアンタについてたですって? ストマック家を壊すアンタに、好き好んでつくわけないでしょ」

 

「...何よそれ。私が誰だか分かってるの!」

 

「知らないわよ。親の権力に縋りつくわがままな小娘としか思わないわ」

 

「...消えなさい。今ここで」

 

「おっと、そんなことさせないぞー」

 

 グロッタの言い分に静かにキレたリゼルは、特大のビームを放つ。だが二人の間に拳二が割って入り、ビームを拳一つで消滅させる。それに驚くリゼルたちの隙を突き、ラリアットで二人を宙に浮かせる。

 

 無防備になった二人を拳二とグロッタがそれぞれ空中に蹴り上げる。そして自身も跳び、ダブルドロップキックを叩き込み、吹っ飛ばした。その威力は絶大で、二人が吹っ飛んだ跡が分かるほどだった。

 

 戦闘を終えた拳二たちはショウマたちを立たせる。二人の目的が何か考えるも、今はそれどころではないとショウマとラキアは急いでデンテの下に戻る。それを追いかけた拳二とグロッタは、デンテの姿を見て目を見開く。

 

「じい、さん...?」

 

「どう、して...」

 

「...ジープとリゼルがやった」

 

「...」

 

「...やるか」

 

 犯人をショウマから聞いた拳二は、直ぐにジープたちの下に向かおうとするが、グロッタがそれを止める。何故と声を荒げようとしたが、彼女の顔を見て声が出なかった。大叔父の死に涙を流す彼女を見て、冷静になったのだ。

 

 その日はデンテの亡骸を近くに埋め、ショウマたちは帰った。グロッタは一人きりになる拳二に寄り添う為残ることにした。

 

「...グロッタ」

 

「...何?」

 

「お前にとってじいさんはどういう存在だった?」

 

「呑気でどんくさくて...でも家族の中で一番私を見てくれてた人。そういう拳二は?」

 

「...お菓子が好きで子供みたいだけど俺のわがままを聞いてくれた、大好きな家族だな」

 

「そう...」

 

 それからお互いのデンテとの話を語り、夜を明かすのだった。

 

 翌日。

 ショウマは、デンテが亡くなったショックでふさぎ込む幸果を励ます為、プリンアラモードを食べようと提案する。幸果は一度拒否するが、ショウマがデンテと一緒に食べると思って食べようという言葉に心を動かされ、一緒に食べることに。

 

 二人が心配で来ていた絆斗も一緒に、三人でプリンアラモードを食べる。その味がデンテに届くといいなと思いながら食べていると、デンテと一緒にいたゴチゾウがショウマに何かを訴えかける。

 

 ゴチゾウの意図を理解したショウマは、ゴチゾウをガヴフォンに接続する。するとゴチゾウを通じて、デンテがショウマたちに残したメッセージが再生される。デンテからのメッセージを受け取ったショウマたちは、前へ動き出す。

 

 その後、一人ジープたちを探すラキアを見つけたショウマは、デンテからのメッセージをラキアに見せる。メッセージを見たラキアは、デンテの言葉に考え込む。とそこに幸果たちから連絡が入り、人間が連れ去られていることを知るショウマは、すぐに向かおうとする。だがラキアはそれを止め、何故大叔父の敵討ちに行かないのか問う。それにショウマは、今すぐ助けなければいけない人がいると言ってゴチゾウをラキアに託し、現場に向かう。

 

 その場に残ったラキアは、自身が戦う理由を改めて考える。すると大切な人が攫われた人たちが目に入る。過去を振り返り、自身が戦う理由を見出したラキアは、どこかへ向かうのだった。

 

 ラキアと別れたショウマは絆斗と合流し、ヒトプレスにされた人たちが攫われた場所へ向かう。するとそこには、ジープと彼のエージェントがいた。

 

「もう嗅ぎつけるなんて、流石赤ガヴね」

 

「ジープ...!」

 

 ジープと対面したショウマたちは変身しようとする。だがショウマはゴチポッド内に必要なゴチゾウが溜まっていないことに気づき、ゴチゾウたちを呼ぶ。

 ジープの背後から大量のゴチゾウがショウマに向かってやってくるが、その全てをジープが切り裂く。

 

「その力さえ封じればお前は怖くない」

 

 ジープはそう言ってビターガヴに変身し、二人に向けて斬撃を放つ。慌てて柱に隠れた二人は、それぞれブリザードソルベとフラッペカスタムに変身。ガヴはビターガヴと、ヴァレンはエージェントたちと対峙する。

 

 以前よりも強化されているビターガヴは、ガヴに対し優勢に立つ。そんな中、ヴラムが乱入し、二人で相手する。

 ヴラムが透明化で隙を作り、その隙をガヴが突こうとするが、ビターガヴはそれを封じる。斬撃によって二人は変身解除に追い込まれてしまう。

 

 二人にトドメを刺そうとするビターガヴを前に、ラキアは立ち上がる。これ以上犠牲者を出さない為。コメルとデンテ、二人から託されたものを胸に、再び立ち上がるラキア。そんな彼に感化されたショウマのガヴから、新たなゴチゾウが生まれる。その姿はプリンアラモードを模していて、のんびりした様子はどこかデンテに似ている。

 

 新たに生まれたゴチゾウをショウマから託されたラキアは、それをヴラムスタギアに装填し、変身する。託された想いを胸に、新たな力『アラモードモード』が誕生する。

 

 新たに手に入れた触手を硬質化させる能力によってあらゆる攻撃を防いでいくヴラム。それに焦り、攻撃の手が乱雑になっていくビターガヴの背後を、ケーキングに変身したガヴが攻撃する。

 ガヴはホイップ兵を二体召喚し、計四人でビターガヴに攻撃していく。その連続攻撃を前に、ビターガヴは手も足も出ない。

 

 トドメにヴラムがエネルギーを右足にチャージし、回し蹴りをビターガヴに浴びせる。それによって爆破が起こり、ビターガヴの変身が解ける。

 

「覚えていなさい...赤ガヴ、ヴラム...!」

 

 ジープはそう言い残すと、この場から去るのだった。

 

 一方、エージェントたちと戦っていたヴァレンも無事撃破し、ヒトプレスを取り戻すのだった。

 

 

 

 


 

 

 ショウマたちがジープと交戦している頃、ストマック社に居るリゼルの前にグロッタが現れる。

 

「あら? 裏切り者のお義姉さまじゃない。今更どうしたの?」

 

「ストマック家を崩壊させたアンタを斬る」

 

「崩壊って私は何もやってないわ? ランゴもシータ?も自業自得じゃない。おかげで可愛いジープと出会えたわ!」

 

「...その口を閉じろ、小娘!」

 

 グロッタはそう言うとリゼルに斬撃を飛ばす。リゼルはそれに表情を無くし、斬撃を破壊する。そしてミミックキーを外し、本来の姿を現す。

 骨の様な外骨格に覆われ、腰部に大きな触手を持つ。人間の唇の様なガヴを持ち、どこか幼い印象を思わせる姿をしている。

 

 それに続きグロッタも怪人態に変身し、交戦する。

 

 柔軟性を活かした体術を駆使するリゼルだが、戦闘経験は浅いのかグロッタに全て防がれる。そしてカウンターを食らい、大きく後退するリゼル。

 自身の攻撃が通じないことにイライラを募らせ、ビームを乱射しながらグロッタに向かっていく。その全てを鎌で両断したグロッタは、右腕にエネルギーを集めていく。

 

 自身に接近したリゼルの鳩尾に拳を当て、エネルギーを解放する。紫の炎と共に放出された衝撃波がリゼルを襲い、壁に穴を開けながら吹っ飛ばされていく。

 

 吹っ飛んでいったリゼルをゆっくりと追い、辿り着いた先には仰向けになって倒れるリゼルの姿があった。

 

「っ...この私をこんな目に遭わせて...どうなるかわかってるの!」

 

「知らないわよ、ファザコン娘。アンタの父親に頼ってないで、社長として一人で何かやってみなさいよ」

 

「うるさい! 私に...逆らうな!!!」

 

 グロッタの言葉にキレたリゼルは全エネルギーを集めた弾を放つ。だがそれはあっさり斬り捨てられ、刃を眼前に突きつけられる。

 

「終わりよ...」

 

「嫌...嫌...嫌!!!」

 

 死が間近に迫っていることを感じたリゼルは、泣き喚く。だがそんな彼女に慈悲を与えず、グロッタは鎌を振り下ろす。その刃が首に差し掛かる瞬間...

 

 

「私の大事な娘に酷いことをするじゃないか」

 

 

 刃が首を通らず、その場で制止する。そのことに驚くグロッタは、声が聞こえてきた方向を見る。視線の先に居るのは、悠々と歩いてくるボッカの姿だった。

 

「リゼル...大丈夫かい?」

 

「パパ...パパ!!!」

 

 未だに身体を動かせないグロッタを置いて、リゼルはボッカの下に駆ける。自身に縋りつく娘を宥めながら、グロッタに殺気を放つボッカ。その殺気に、全身から冷や汗が流れてくるグロッタ。

 

「君は確か、()()()()()()()()()だったかな? そんな君が社長であるリゼルに逆らうとは、どういうことか分かっているのかい?」

 

「ソイツは社長なんかじゃないわ! ただ父親の権力に酔ってるわがまま娘じゃない!」

 

「酷いことを言うね...娘を侮辱されたとなると、落とし前をつけないとだね」

 

 ボッカはそう言うと手の平を向ける。するとグロッタの全身に重力がかかり、地面に膝を着く。身動きが取れない彼女にゆっくりと近づき、腕を振るう。すると今まで受けたことのない衝撃と共に吹っ飛ばされ、壁にのめり込む。

 

 一撃で全身に力が入らなくなるほどの威力を軽く放つボッカに、グロッタは絶望する。

 喧嘩を売ってはいけない相手。それがボッカだと身をもって感じてしまった。

 

 覇気を無くした彼女を一瞥したボッカは興味を無くし、いつも通り邪魔者を消すように指先にエネルギーを集めていく。高密度のエネルギーは周囲の空間を歪ませるほどで、それを前にグロッタの頭に走馬灯が映る。

 

 兄妹たちと過ごした日々。拳二と出会ってから明るくなった日々。大叔父と健二、三人で笑い合った日々。その全てが尊い思い出として蘇る中、最後の未練が出てきてしまう。

 それを抑えようとするも、言葉に漏れ出てしまう。

 

 

「拳二...」

 

 

「さようなら、ストマック家の裏切り者」

 

 

「歯ァ食いしばれよ、ボス猿!!!」

 

 

 ボッカの指先から放たれたエネルギー弾は、何者かによってボッカに打ち返される。打ち返されると思っていなかったボッカは、動揺しつつも同じ威力の攻撃で相殺する。だがその攻撃に気を取られ、エネルギー弾の後ろから迫る影には気づかなかった。迫る影はボッカの顔面に拳をのめり込ませ、吹っ飛ばす。

 

 グロッタの前に立つ者。それは彼女が最後に会いたかった人物だった。

 

「君は、人間のグラニュートハンターだったかな?」

 

「そういうお前はグラニュートの()()()だったか?」

 

「...私のことをそう愚弄する者は初めてだよ」

 

「聞く前に殺してたんだろうが、()()()

 

「その口を閉じるといい」

 

 拳二の言葉に静かに怒るボッカは、グロッタにしたように拳二の動きを止め、エネルギー弾を大量に放つ。だがボッカの力が効かず、動き出した拳二は全て蹴り返し、ボッカに殴り掛かる。

 ボッカの顔面を捉えた拳から衝撃が貫き、その威力にボッカは膝を着く。

 

「なん、だと...!? 人間にこれほどの力を持つ者がいるのか!?」

 

「...グロッタ、行くぞ」

 

「拳二...ごめんなさい...」

 

「うっさい。さっさと帰ってポテチ食うぞ」

 

「逃がすと思っているのかい...!」

 

「パパにこんなことして、無事に済むと思ってるの!」

 

 グロッタを連れて人間界に戻ろうとする拳二の前にジャルダック親子が立ちふさがる。二人ともいつもの余裕な態度を捨て、拳二たちを本気で葬ろうとしている。そんな二人を前にしても、拳二は態度を変えない。

 

「無駄だってわかれよ、バカ親子」

 

「「黙れ!!!」」

 

 二人のエネルギー波が放たれるが、拳二が蹴り上げるとエネルギー波が消える。自分たちの力が通用しない。そんな相手は初めてであり、親子は眼前に立つ瞳を赤く光らせる男に恐怖を抱く。

 

 そんな二人の様子にチャンスを見出した拳二は、グロッタを抱きかかえると地面を思いきり蹴り、二人の間をすり抜ける。そのことに気づいた二人がビームを乱射して止めようとするが、拳二は既に射程外にいた。

 あっさり逃げられたことに二人は屈辱と怒りを抱き、拳二をどんな手段を使ってでも殺すことを決めた。

 

 無事グラニュート界から帰還した拳二たちは、住処で二人揃って張りつめていた空気を緩ませる。お互い死が目の前にある状況にいたことで極限までの緊張状態に入っていたが、無事帰ってこれたことにホッとする。

 

「...拳二、ありがとう。助けに来てくれて」

 

「遅れてすまなかったな」

 

「ううん...今こうして二人でいれるからいいわ」

 

「...そっか」

 

 グロッタの言葉にどこか気恥ずかしさを感じた拳二は、ソワソワしながらお菓子を探す。そんな彼に笑みを浮かべ、いつも通りからかうグロッタ。それに赤面して狼狽えながらも反抗する拳二。

 いつも通りの二人のやり取り。そんな笑顔溢れる空間に、住処の外で優しい誰かの笑い声が聞こえた気がした...

 

 

 

 

 To be continued……

 




今更キャラソン聴いてブチ上がってる人です
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