スローター・ハイウェイ   作:バカの棺

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ハーメルン初投稿です…拙いのは許して下さい…なるべく設定とかは似せたいとは思ってるのですが見落としとかでボコボコだと思います。PCで書いてるのでスマホの方は読みづらいかもしれないですごめんなたい。間違ってるところあったら教えて欲しいです、なるべく直すつもりでつ


零話

 昔、真夜中にドライブに連れていかれたのを覚えている。

 親に連れられて眠い目を擦りながらついて行ったものだ。

 

「いいものを見せてやる」

 

 なんて言われたものだから当時の俺は期待していた物だが、実際に見せられたのは只の星空だった。着いて来るんじゃなかった、そう思ったはずだったんだ。

 

───綺麗だ。

 

 思わず体を震わせるようなツンと冷たい夜風、見上げれば満点に広がる星空。子供ながらに感動したのを今でもはっきりと覚えている。

 だが、俺が今も引き摺る位影響を受けたのは当の景色では無かった。

 

「わぁ…しずかだね…」

 

「こんな時間だからな、みーんな寝てる筈だよ」

 

 静まり返った世界に、自分達だけの呼吸が、会話が響く。車のエンジン音が響きすぎているんじゃないかと疑う程に静まり返っていた。

 この世界に自分達しかいないんじゃないかと錯覚するほどの世界を───広い道を、ただ一台の車が俺達を乗せて駆けていた。

 その静寂が、夜風が、一人だけの心地の良い孤独感、そして全能感。何もかもが初めてで、新鮮な感覚だった。

 

 そしてその光景が頭から離れない俺は、遂に一人で真夜中の世界に躍り出て駆け抜けていった。何もかもが楽しかった。夜風が思い切り体に打ち付けられる感覚が病みつきになった。自分だけの音が響くこの世界が素晴らしく愛おしかった。

 頭上に広がる満点の星空のように晴れやかだった俺は感情に任せて思い切り飛ばして──

 

────普通に警察に怒られた。

 

「こんな飛ばしちゃ駄目でしょ……」

 

「すみませんでした…」

 

 かくして俺のしょうもない野望は一回目にして潰える事になった。いやまぁ悪いのは分かるけどやっぱり飛ばしてみたかったんだもん…。

 そう考えると暴走族とかって凄いよな、真夜中にあんなうるさくしても平気なんだもんな。ちょっと興味はあるけど俺は法を遵守する人間だし…なにより善良な一市民ですからねー。

 だが欲求が満たされないというものは悪影響こそあれど良い影響は何一つない、単純なストレスになる事は火を見るより明らかだった。

 

 だからこそ俺はその欲求に蓋をして、無縁の生活を送るようにした。

 

 

 

 

────そんな中だ、〈Infinite Dendrogram〉に出会ったのは。

 

 大した宣伝もなくいきなり発売されたソレは、偶然目に留まって俺の心をガッチリと掴んで離さなかった。

 一抹の不安はあった。フルダイブ型のVRゲーは以前にも出ており、俺はそれに手を出した所ゲーム内でも現実でも酔ってゲロを吐きまくるという大惨事を生み出したことがあったからだ。

 

…でもでもハードが一万円…一万だよ…?

 

 そう意を決して購入し、ゲロ祭りを覚悟しながら俺はログインをした。

 

「──おー?いらっしゃいませーじゃないや、ようこそいらっしゃいましたー」

 

 目の前に居る可愛い白猫(二足で立ってるのは置いておいて)が言葉を喋りかけてきた。それも十分に驚きだったがそれ以上に驚くべきことがあった。

 

「─き…気持ち悪くない!!!」

 

「あれー?」

 

 呆気にとられる白猫を前に俺は自分の体をベタベタ触り始める。

 足の感触…あり。

 腕の感触…あり。

 頭がグワングワン回る感じも無い。

 

「おっ……おおぉぉ…!」

 

「うーん困ったなー、さっきもこんな感じの人を見た気がするなー」

 

 本物だ…!このゲームは本当のフルダイブだ…!!!これはとんでもない事になるぞ!

 なんて考えた所でハッとする。目の前にいる白猫を困らせている事にやっと気づいたのだ。

 

「ごっごごごめんなさい!こんなにも完璧なフルダイブに出会えたの初めてで…取り乱してすみません…」

 

「うんうん、直ぐ謝れる人は好きだよー。僕は管理AI十三号のチェシャだよー、よろしくねー」

 

 十三号…つまり他にもいるって事か…いやしかし凄いなコレ

 

「よろしくおねがいします。ところでここはチュートリアルの様な物ですか?」

 

「そうだよー、ここで色々設定してからだねー。昨日なんて『納得いかない!』なんて言ってキャラクリも完成してないのにログアウトした人もいたよー」

 

 なるほど、キャラクリもここで出来るんだな。でも俺はそこまで拘りはあるっちゃあるけど限度ってもんがある、なんだか今言ってた人はいくらでも時間を使いそうな気がするし俺はあんまり時間はかけずに行くか。

 

「じゃあまずは名前からだねー」

 

────前言撤回、時間かかるわこれ。

 

 そこから暫く頭を抱えているとチェシャ…さん?がお茶をくれた

 

「あんまり悩み過ぎも良くないよー?もっと気楽につけちゃえー」

 

 貰ったお茶をズッと飲みながら考える。

 気楽…気楽か、じゃあ語感の良い名前にしよう。

 

「…なら……イグニッション……でいいかな?」

 

「いいよー、でも今の君とは随分…」

 

「あはは…」

 

 だよね!?やっぱそうだよね!?でもこれで行きます!変えません!

 ちょっとだけチェシャさんに微妙な顔をされたがま、まぁ良いだろう…ありようはこれからいくらでも変えられるハズ!

 

──と、そんなこんなで色々と設定を決めて行き初期装備も決めた。

 

「さぁ、そろそろ〈エンブリオ〉の移植をしてくよー」

 

 〈エンブリオ〉?なんだそりゃ?

 事前知識はゼロに等しいから初めて聞く単語に首を傾げる

 

「〈エンブリオ〉っていうのは?」

 

「おっ、こっちが言う前に聞いたねー。じゃあ説明するよー」

 

要約すれば全員に等しく渡される物でありながら同じものは一つとして存在しない正にオンリーワンと言うに相応しいものだった。種類もいくつかあるらしいし、俺の〈エンブリオ〉がどう進化していくかは完全にこれから次第との事。

 

「よーし、これで〈エンブリオ〉の移植も完了ー。第〇形態は左手にくっついててー、第一形態からは第〇があった所に紋章みたいなのがつくよー。それがマスターとしての証明書みたいなものー、これないとティアンとの区別付かないからねー」

 

 へーなんかカッコイイ。

 俺の〈エンブリオ〉……どんなふうになるんだろう?今からワクワクが止まらないや、こんなにも初めての興奮を味わったのはあの夜以来かもしれない。

 

「最後に所属する国を決めてねー」

 

 そう言って掲示されたのは7か国、アルター王国、天地、黄河帝国、ドライフ皇国、カルディナ、グランバロア、レジェンダリア。どれも魅力たっぷりですっごい迷ったけど。

 

「じゃあ、カルディナでお願いします」

 

 どこともつながってるって事は何処にも行けるって事でしょ?いいじゃ~ん!

 …そう考えていた。その楽観的な考えは直ぐに打ち砕かれるのだが。

 

「カルディナねー、じゃあそこに送るから待っててねー」

 

 さぁ後は開始を待つだけとなったのだが、ここでふと疑問が浮かぶ。

 

「そうだ、このゲームって何をすればいいんですか?魔王とかそういうの倒すんですか?」

 

()()()()

 

 返って来た返答は予想の上を行った。

 

「へ?」

 

「だから、何でもー。英雄になるのも魔王になるのも、何かするのも何もしないのも、

〈Infinit Dendrogram〉に居ても、〈Infinit Dendrogram〉を去っても、何でも自由だよ。出来るなら何をしたっていい」

 

 チェシャさんの声が、間延びした物から芯の通った声に変わる。

 

「〈Infinit Dendrogram〉へようこそ。()()は君の来訪を歓迎する」

 

 その言葉を言い終わると同時に俺の足元が抜けていく。

 書斎の様な光景も無くなって行き、俺は────

 

「へ???????」

 

 チェシャさんから頂いたティーカップだけを残して思いっ切り落ちて行った。




出来たら、出来たらでいいので何かしらくれたら嬉しいです…
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