ガバガバ文章は健在です。空白期間何してたんですかね。
・【大騎兵】イグニッション
「っしこんなもんだろ」
「手慣れてきましたね」
「おうよ」
メインを上級職に変えてからというものの、やはりと言うべきか下級の時よりもレベルが上がりづらくなっていた。
ちょうどいいという事で《首無し御者》に頼らない戦闘に慣れる為、ある意味でのリハビリをしている最中である。なんというか記憶に残っている戦闘が全部まともな戦い方じゃないし。
そうは言いつつも戦い方としてはデュラに乗りながら一撃離脱を繰り返す単純なものだ。良くも悪くも騎兵らしい戦い方というかなんというか。
【パルメデス】との戦いで武器が無くなってしまったので、手に馴染む武器を探している途中でもある。
剣も悪くなかったが、試しに買って使ってみた槍なんかも意外と良かった。時代劇で見るような槍ではなくそれこそ馬上槍…いわばランスだな、加速も乗せられるしそれ自体が長いから近接武器としては射程が長いのもアリだ。それに突きだから余計な動きも無い、正面に構えてブスリと一撃かませばOKだから簡単なものである。
今は適当な所で休憩中。この辺りは狩場としては丁度いいので他のマスターも見受けられる。
「にしてもヴォルフのヤツ、面白いことになってたな」
「特典武具がまさかの
それは遡る事二日前の事だった。
◆◆◆
「あっイグニス!丁度良かった!」
ジョブを切り替えてから街中を物色していたころ、ヴォルフの方から声を掛けてきた。
あの時死に別れて以降連絡の取りようも無かったからこの時が久方ぶりの再開となっていた。
「おぉヴォルフ、久しぶりだな」
「うん久しぶり、連絡とか取れなかったから今日までヒヤヒヤしながら過ごしてたよ…」
周りをチラチラと伺いながらそう言うという事は十中八九
「なんとかバレて無さそうで良かったよ…最悪指名手配されててもおかしくない事したし」
「指名手配?」
なんだそりゃ。という事で説明を受けてかくかくしかじか…。
「…あっぶな」
冷や汗が背を伝うのが分かった。これ絶対アカン奴や、なんだよ監獄ぶち込まれて娑婆とはオサラバって…。
「ティアンの殺害は一発アウトで指名手配だって」
「ハッ、ソイツは絶対に無いな。そもそも好き好んでんな事するヤツいねぇだろ」
「私もしようと思わないし、普通はそんなこと考えないと思うよ」
その後は使用した弾丸のコスト収支などを聞いたりしたが、ヴォルフはなんともコストが悪いみたいだ。通常攻撃の弾丸も短期決戦で片付くならそこまで酷いものでは無いらしいが、戦いの長期化に伴って消費コストは増えていく一方…リソース不足で戦えなくなる可能性さえある様だ。
俺は牛串みたいなのを頬張りながら話を聞く。美味しい。
現実世界であるような料理は元々あるっぽいから安心して食べられるものが多い。しかしうどん屋があったのは驚きだ。
天地直伝と書いてあったから天地の人かそれとも技術だけ来たのか、なんて疑問になったけど食べてたらどうでもよくなった。
「これ美味しいよね、お気に入りなんだ」
「─ってそんな話じゃないんだった!」
一人で盛り上がって楽しい奴だな。
「見てこれ!ねぇ!」
そう言ってヴォルフは背中を見せつけて来る。一体何を見せたいんだ?背中に何かある訳でも…。
…?
何の変哲も無いと思っていたヴォルフの背中には異物とも言うべきものがあった。
黒いフレームと隙間から見える赤い配線、肩甲骨の中間から伸び複数ある関節をクイクイと動かし、先端には人間の物とはかけ離れた見た目の手。
…
「何これ」
「特典武具」
「これが?」
「うん。なんかしょbいっだぁい!!」
どうやら意志があるみたいでヴォルフの頭をブッ叩いた。しょぼいという言葉が気に入らなかったようだ。
(ヴォルフの顔を指さした後親指を下にする)
「おいどういう事やボケワイの事バカにしとるんか!?」
(愉快そうな動き)
「意志があるのか?」
(肯定のサムズアップ)
「そうみたい。おかげで一人漫才だよ…」
「…なんか」
「私達みたいですね、と言いたげですね」
「「よく分かったな」」
「あ?」
「マスターの言いそうなことは手に取るように分かりますよ」
…いや俺たちみたいって事はさぁ。
「これから苦労するぞ」
「…やっぱり?」
「やっぱりってどういう事ですかヴォルフさん」
(コイツと一緒にするな、と言いたげな動き)
愉快なメンバーが一人増えたみたいだ。【焼天葬 パルメデス】という名前が正式名称らしく明らかに強そうな名前である。
スキルも教えてもらったのだが、内容が強そうなものだった。
【廃熱変換】というものはスキルのクールタイムを熱に変換するらしい。長ければ長い程熱量は上がるみたいで上限は分からないらしい。
そして二つ目が【焼天】というものだ。蓄積した熱を全て攻撃エネルギーに変換して発射するもので、記載は無いが弾丸も込めて撃つことが出来るとの事。
だが今のヴォルフはクールタイム系のスキルをあまり持っていないようで少々腐らせているようだ。
ちょうどジョブも変えた所だったので一緒にレベル上げでもしないか、そう言おうと思ったのだが…何というか一人で頑張った方が実力は上がるんじゃないかと思ったので誘いは無しにした。
向こうもうっすら同じことを考えていたのか誘いの話は出て来なかった。銃や弾丸などはアルターよりもドライフの方が盛んらしく、向こうで色々模索していく様だ。両国とも仲は良いらしいので俺も何かの機会で行こう。いつか全部の国を回りたいし…ゆっくり、ゆっくりね?
◆◆◆
という事で回想は終わりな訳だ。ギデオンには闘技場なるものがあるようでそこで行われる決闘興行も盛んらしい、チャンピオンとかもいるらしく今はトムというマスターらしい。俺も闘技場で名を馳せたいものだな。
「よっし休憩終わり!今日中にレベルカンストさせるぞ!」
「はい……あ、ちょっと待ってください」
「どうした?」
「出ます」
そう言うとデュラは黙りこくってモジモジし始める。
…え?
「出るってどういう事?」
「……」
「おい黙るなよウ〇コか!?ウ〇コなら俺の見てない所でしてくれよマジで!!」
「…違いますよ…あー限界ですね我慢してましたが無理です」
「オイオイオイオイオイ」
洗濯どうしようねというかデュラの服って脱がせられるのいやアイツ人間なのいや人間だろ首取れるのに違うそんなこと考えてる場合じゃないウ〇コって普通に洗濯して取れるのかそもそもホントにウ〇コなのかそれ以外何があるんだよ性欲かじゃあ我慢するなよ何言ってんだ俺はバカバカバカ思考がとっ散らかっているぞ────。
この瞬間、イグニッションは自身の持てる限りのAGIを駆使して疑似的な思考加速を行っていた。そしてAGIの切り替えを無意識的に習得した瞬間でもある。彼はウ〇コについて考えていたら高度な戦闘技能を身に着けたのだ。
付いたのはウ〇コではなく技術だったか……。
「出る」
「ヤメ────」
左手を伸ばし止めようとする。しかし次の瞬間、俺の思っていた物とは違う光景が写った。
デュラが左手の紋章に戻ったのだ。
……一体…どういう事だ…?
「……GRRRR」
手を伸ばしたまま呆気に取られていると、後ろから唸り声が耳に入る。声からしてそこら辺で狩りまくってた【ブラック・ウルフ】だろう。
…本当にそうか?
何かがおかしい。
直感がそう告げ、意を決して振り返る。
「──なんだコイツ」
おかしい。《Infinit Dendrogram》でこんな描写が今まであったか?いや無い。即座に返答できるほどに異質なものを見た。
ありえないだろう。後付け編集の様に頭の部分を黒い四角で塗りつぶされたものなど、有る訳が無い。
「…GRRRAAA!!」
「ッ!」
音を立てながら飛び掛かってくるがすんでの所で避ける。呆気に取られて回避行動が遅れた。
腕に鋭利な爪が掠る、一筋の傷を作るが大したものでは無い。だが問題はあった。
「訳分かんねぇヤツだな…おまけにこれは一体…?」
傷跡を見ると、そこには黒い煙のようなナニカが立っていた。しかもよく見ると、煙は広がっている。カビの様に遅々としたものだが、決して止まる事は無く俺の体を侵食していた。
気味の悪さを悪寒で感じ取りすぐさま行動に移す。
「デュラ!」
相棒の名を叫ぶ。いつもであれば言葉にせずとも呼応する相棒からの返答は無い、紋章から出てくる気配はなく俺の一声は無意味に終わった。
さっきのアレと何か関係があるのだろうというのは理解できる…だがそれが何なのかは分からない。
「GRRRAAA!」
「仕方ねぇやるしかないか!」
ランスを手に取り振り回す。突きが本分ではあるが、振り回しても質量武器としては十分である。初心者用武器からは卒業してそれなりに値段の張る物だから安心してぶん殴れる。
踏み込んで横に振り抜く、頭にクリーンヒットだ。野球で玉を打った時の様にモンスターは気持ちよく吹っ飛んだ。
だがそれまでだ。ボトリと嫌な音はしたが、何もなかったかのようにケロリと立ち上がりこちらに向かってくる。機械的というべきか、それともゾンビのようと表現するべきか分からないその光景に思わず後ずさる。
アレは生き物ではない、一目で理解できるその有様に一抹の恐怖を覚える。だがそれが動かない理由にはならない、とにかく被弾を最小限に抑えて攻撃を与える。
いままで狩っていたやつと同じなら二回くらい攻撃を与えれば倒れるというのに、この【ブラック・ウルフ】にはその気配が微塵も感じられない。何度も何度も殴り続けて、そしてようやく動かなくなる。
それは決して死んだという意味ではない。四肢がグチャグチャになり動くこともままならない状態になったからであって、今も吠えているし体を捻ってこちらに這い寄ろうとさえしている。
「…バケモノが」
そう吐き捨て頭にランスを突き立てる。感触はあった、確実に貫通している。
────だが、まだ吠えていた。
「……嘘だろ…?」
恐怖が体を蝕み始めたその時、ガサリと物音が鳴る。俺から発せられた音ではない、咄嗟に周りを見やればそこにいたのは────目の前で倒れているのとは別の【ブラック・ウルフ】、そして同じような事になっている【ゴブリン】系の奴らが四方を囲む様にいた、かなりの数だ。
気付けば色んな所から悲鳴が聞こえた。恐らく俺と同じ目に合っている奴らだろう、つまりこれは俺にだけ起きている事ではなくここら一帯で起きている事。間違いなく異常事態だ。
この状態については何も分かっては無いが、とにかく
パチンと顔を片手で叩き気合を入れる。恐怖を感じていた理由は孤独だ、今まで完全に一人で戦う事は無かったからこそ、初めての単独戦闘で感じた心細さが恐怖へと昇華されていた。
分かってしまえばもう怖くない。心の事も、目の前に居るこのバケモノ共も。
「──来い」
堰を切るように飛び掛かってくる奴らに向けて、ランスを思い切り振り抜く。もはや長いだけの棒になりつつあったが武器としては十分だ。
正面から来るヤツには正面から突っ込んで串刺しにする。騎兵とはいえ上級職だ、騎乗していなくとも十分に戦える。
ちぎっては投げを繰り返せども敵が減る気配はない。この数を無傷で済ませる事は難しく、体のあちこちに傷がつけられ、全ての傷からはもれなく黒煙が上がっている。
長期戦はマズいというのは明白であり、黒煙が何をもたらすのかは分からないが禄でもない事は火を見るより明らかである。
状態異常対策で買っておいたアイテムを使用してみたが効果は確認できない、状態異常としても表示されていなければ当たり前というべきか。
「厄介だが強くなった訳じゃねぇな、畜生が」
「何度来ようが同じだ!纏めてぶっ飛ばしてやるよ!」
数は減らないどころか増えてきている。何度目かも分からない突撃をして蹴散らす。
無尽蔵とさえ思える大群に対して俺には限界がある。HPも目に見えて減ってきているし、精神的な疲れも増大していた。
────そしてその時は来た。
「ッ!しまった!」
足を滑らせた。今までなら絶対にやらないようなミスをここに来てしてしまう、そしてバケモノ共もそれを見逃すような知性は無くここぞとばかりに雪崩れ込んで来る。
…畜生。
不自然な黒が視界を埋め尽くそうとする。きゅっと狭まった視界の中で、あるものが目に映る。
黒だ。だがそれは不自然ではない、もはや懐かしさすらも覚える様な…夜闇の様な黒を、俺は知っていた。
◆◆◆
我慢していた理由は単純だった。
だが状況は変わった。次のフェーズへ移るためのリソースも十分に蓄えることが出来たし、方向性…マスターへの応え方も定まって来た。
しかし予期していない事もあった。連続で戦闘している最中にリソースは溜まり切っており、今ここで動けなくなればマスターは主要な戦闘手段が無くなる…それはマスターとしても自分としても望む展開では無かった。
我慢の限界を悟ったのは丁度先程の休憩中、拒否すれば止まるのかもしれないがそもそもの話マスターに進化の事は話していない。
『デュラが進化したらどうなるんだろうな』
マスターは期待の言葉をくれた。ならば最大限応えようとして、限りなく最良の進化にしようとして…そしてこうなった。
最悪の結果になってしまったと後悔してももう遅い。
紋章の外ではマスターが死に物狂いで戦っている。
私も早く参戦しなければ、そう思っても進化が終わらなければ動く事は出来ない。
しかし、不幸中の幸いと言うべきかマスターの強い思念が伝わってきた。
『確実に仕留め切る力』
『不死のバケモノさえ殺す力』
方向性を急遽修正する。かなり難儀したがそれでも修正は完了した。
以前から抱えていた問題点の解消。
今の私が出来る最善を詰め込み……やっと進化は完了する。
紋章から飛び出てマスターの前に立つ。
さぁ、私の力……上手く使ってください。
◆◆◆
「デュラ!」
「マスター!使ってください!」
デュラの手を取り念じる。するとデュラは炎になり
今までと違う状況に一瞬驚くが平静を取り戻す。
「思いの丈を!」
「応!」
右手に炎を、左手にランスといった形で炎を振るう。
一回転した後に映ったのは、バケモノ共が真っ二つに両断され……そして消えていく様子。
「これは……」
「止まらないでください!」
呆気にとられ、背後を取られる。だが段々と調子を取り戻してきた俺には些末な事だ。
AGIをフルで活かして轟音と共に高速戦闘を開始する。コイツらではついてこれない事は既に実証済みだ。
寄らば切るという勢いで敵を撫で斬りにしていく。
がむしゃらに戦い続けていたら、敵の波は止まった。この辺りで打ち止めだろうか?
切り捨てたモンスターが粒子になるのを横目に力を抜く。ゴン、と重い音を鳴らしたのは先程まで振り回した炎だ。
いつの間にか炎は晴れており、そこから露わになったのはデュラの新たな姿……第三形態。
長い柄の先に付いていたのは見覚えのあるエンジン、そしてそこに繋がる円形。
──エンジンカッター、と呼ぶのが正しい形となっていた。
「随分変わったな」
「姿は変わる方がワクワクしませんか?」
「する」
柄に付いている引き金を引けば唸りながら土を巻き上げながら回転する。
俺の方に少しかかった、かなしい。
「使い勝手は良くなりましたが、スキルは気を付けて使用してください」
「気を付ける?《首無し御者》みたいな感じか?」
「そうとも言います」
デメリット有りか…俺にはそういう縁があるのだろうか。
ステータスから確認すると、確かにスキルが一つ増えていた。
《
HPへの直接ダメージ、そして与ダメージの一部分だけ自身のHP減少。簡単に言えばそんなところだった。これがあのバケモノ共を倒すことが出来たタネなのだろう、つまりさっきまでのやつは
そして
「あっぶな」
「わ、危ないですね」
わ、じゃねーよ危うく死ぬとこだったんだぞ。
……まぁデュラが来なかったら俺そのまま負けてたから助かりはしたが…。
「マスター、これ《首無し御者》で使ったらどうなるんですかね」
「そりゃあ……あれどうなるんだ?」
【首無し】中って確か死んでるよな?死んでる時にHPゼロになったら…んん?
死んでる状態からまた死ぬ?って事は生き返る?んむむむ……⁇
「なぁ、二回死ぬってあると思うか?」
「試してみればいいのでは?」
んな事言ったって《首無し御者》使ったらデスペナ確定じゃん。お試しで使ってデスペナとか嫌なんだけど?
「……ふっ」
そんな事を思っていたらデュラに鼻で笑われた、なんかムカつく。ほっぺたつねってやろうか。
「私は
「……解決ゥ?」
「はい。もう一度見てみてください」
あれが解決できるのか?まぁ見てみるか……。
という訳でスキル欄から《首無し御者》を見てみる……いや上昇値下がってんじゃねぇかどうすんだよコレ。
──いや待てよ?
そう疑問を感じた所でデュラの言葉が蘇る
『解決することが出来た』
という事は……つまり……?
「
その言葉にデュラは首肯する。マジで?
「マジです」
「えー!?マジかスゲー!」
デュラの手を取ってJKみたいにぴょんぴょん跳ねながら喜ぶ。デュラは相変わらず表情こそ変わって無いが喜んで一緒に跳ねている。
上昇値下がっても制限時間無しならマイナスどころかプラスもプラス、超プラスだよ!
今までの苦労が報われるというのは正にこういう事を言うべきなのだろう。
『諸刃の剣』が相応しい尖りっぷりは無くなったが、使いやすくなったのは間違いなくプラスだ。
それにもはや慣れ切った【首無し】状態で主要ステータスが常に上昇するのだ、デメリットは無いと言える。効果時間の有無はそれだけ非常に重要なのだ。
──って本題はそこじゃない、いや本題でもあるんだが。
「じゃあ使ってみるか!《
いつものごとく首から上がぶっ飛ぶが《感覚共有》ですぐに事なきを得る。この感覚にも慣れたものだ。
対面に立つデュラの視点から俺を見ると、傷跡こそ残っているが先程まであった黒煙は無くなっていた。攻撃元を倒せば無くなる様だ。
『第三形態、行くぞ!』
デュラは変身で答える。視点が体の右側に来た事で握っている事を触感と視点の二つで理解する。しかし俺もよく慣れたもんだなコレ……。
『さて、先程と同様の敵はまだいるようですね……検証ついでに、マスターをいたぶってくれたお礼参りに行くとしましょうか』
『このお礼はた~っぷり返さねぇとな!』
周囲を見渡せば塊になっている所があったのでそこへ駆け出す、吹っ飛んでいたりするので誰か戦っているのだろう。丁度いい、人助けと洒落込もう。
敵は俺達に気付いていないようで、間合いに入っても背を見せ続けていた。
『さぁ見せましょう残虐スプラッシュ』
『《
トリガーを握りしめソーを全速力で回転させる。一列にブッた切れば全員上下で泣き別れ、そのまま粒子になってサヨナラだ。
先程までの体力であれば今の攻撃でゼロになるのは確実……にもかかわらずイグニッションには何も起こっていない。
つまるところ、死者は二度も死ぬことは無いという事であった。アンデット系は聖属性が弱点であったりその類の攻撃を受けて朽ちるという事はある。
そしてイグニッションも例に漏れず、今の彼は知る由も無いが【首無し】状態では聖属性への耐性が著しく低下する……それこそアンデットの様に。
『よし体力確認!』
ステータスを開いて確認すると……まさかの結果が待っていた。
……マイナス、それが答えだった。今の俺の体力はゼロを飛び越えてマイナスに突っ込んでいた。だが今の俺には何の問題もない。
『──コイツァいい』
【首無し】で《
俺にメリットだけが来ている、これを最高と言わずしてなんと言う!?俺の相棒は最高だなぁ!
『このままドンドン行くぜぇ!』
調子に乗ってバッタバッタをなぎ倒していけば、塊の中心に近づいてきた。
敵も反撃しようとするが追いつけるはずも無く切り捨てられる。無双ゲームというのが最もらしい表現とも言うべき様相だ。
そして遂に塊の中心へ突入する。
『入ったぁ!もう大丈夫だぞ!』
『マスター、声に出てないので聞こえませんよ』
『そういやそうだ!どうすんだよコレ!?』
「私なら喋れますので代弁しましょう」
「そこな方、援護に来まし──」
そして、中心部にいる人物の様相を見て俺とデュラは同じ言葉を発する。
『「……いぬ???」』
その人物が犬?の着ぐるみにガトリング片手に大立ち回りをしていたのだ。
「助けが来たワン!心細かったワーン!」
声と語尾が合わない。イグニッションはそう思ったが口には出さなかった、デュラもそれを察し同様に口に出すことは無かった。
だが着ぐるみの方はイグニッション達を見て思う所があったようで、ハッとした様子でこちらを見た。
「──ってお前ギデオンに突っ込んできたモンスターもどきじゃねぇか!!」
もうちょっとこのくだり続きます。なるべく早めに次の話出したい。