クソみたいな人生からの逆転を賭けたウマ娘人生   作:筋肉ムキムキのマッチョマン

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入学まで

 小学生として学校生活を送っていたが、案外馴染むことができた。

 やはり前世の友好関係の広さが役に立ったのだろう。

 知らない話題でも相手の意見に賛同していたらいつのまにか友達はできていた。

 

 …なんか耳とか尻尾をいじくり回されるのは女子特有のノリ的なやつなのだろうか。

 前世は女友達がいなかったのでわからない。

 

 それと走りが速いやつモテるよね理論を否定していた俺だが、この世界ではあながち走りが速いやつモテるよね理論は間違っていないと感じた。

 この世界はブサイクが少なく皆平均的に顔面偏差値が高い目に優しい世界なのだ。

 だから小学生までは顔や頭の良さなどよりも走りが注目される。

 神様ありがとう。

 女にしたのは許さんが。

 

 しかもこの世界、前よりも競馬みたいなものの認知度が高く、オリンピックもどきでもウマ娘が走って競うレースがあり、ウマ娘だと足が速ければ十分に幸せになれると知った。

 幸い、俺の足の速さはこの小学校だと負けなしだ。

 最初の頃はウマ娘としての走り方に慣れずビリだったが。

 

 もう俺に死角はない!目標もできた!才能もある!顔もいい!頭は元々そこそこいい!この賭けは俺の勝ちだな!ガハハ!

 

 …そう思ってた時期が私にもありました。

 

 レースで稼げると思い、調子に乗って走りのクラブみたいなものに通うことにすると、ボコボコまでは言わないが結構勝てなくなってしまった。

 世界の広さを学んだ出来事だ。

 そこからは、相手の動きを見て自分に足りない事を学ぶことにした。

 足の動かし方。

 スパートの体制。

 牽制の仕方。

 レースメイク。

 俺には足りないことだらけだった。

 なので俺は、一度自分を破壊(リセット)することにした。

 

 破壊(リセット)して自分をまた新しく作り替える。

 これを繰り返して、俺は自分に足りない事を補うことができた。

 これでも同じ土俵に立っただけなので、勝ったレースの要因を調べて、勝利までの方程式を求めたり、前世の大人の頭脳をフル活用してようやく俺は勝てるようになった。

 

 だが、中学生に上がれば頭脳も他より少し良い程度に差を詰められてしまうだろう。

 自分の勝利の方程式が崩されるだろう。

 上に行けばもっと才能がある人がいるだろう。

 このままでは勝てなくなる危険性がある。

 

 なので俺は作戦を練った。まだ他との頭脳の差があるうちにめっちゃ稼いで、さっさと引退しよう大作戦だ。

 これで俺の人生は明るいぜ!

 

###

 

 

 うちのクラブに新しい子が入ってきた。

 その子の名前はグーテスレーベン。

 普段は無口で周りのグループと離れて練習しているが、どうしても喋らなければいけない場面というものがある。

 そういうときに会話をしてみると男勝りな口調で喋る。顔は、同性の私からみても可愛らしい。

なのに男勝りな言葉で喋る。

 ギャップというものを感じ、最初の印象は変な子だった。

 

 その印象は時が経つにつれて変化していった。

 最初は私たちの方が長くクラブに通っているおかげでレースについてたくさん知識があったので余裕とまでは言えないが普通に勝てていた。

 

 だが二度目のレースとなると絶対に勝てなかった。

 

 末脚とか感覚、空間認識能力には目を見張るものがあるが、全体的な身体能力は上位に入るが上位の中の上位には届かない。

 そんな子だった。

 でもその身体能力の差を小手先の技術で埋めてきた。

 私たちの技術を吸収して、自分のものにしてきた。

 

 一度使った技は全て奪われた。

 

 最初のうちは偶然だと思い挑戦する子がまだいた。

 だが何度も挑戦するうちにどんどん差は広がっていく。

 そのうちあの子に挑む子はいなくなった。

 悟ったのだろう。

 

 あれは怪物だと。

 

 ウマ娘のレースには絶対がないとされている。

 絶対があると言われていた皇帝シンボリルドルフでも負けたレースがある。

 レースには絶対がない。

 これがクラブの、世界の常識だ。

 これは不変の事実だ。

 

 しかし違った、絶対はあった。

 あのウマ娘には一度でも走りを見せたら絶対勝てない。

 これがクラブの新しい常識になった。

 

 たまに新しく入ってきた子が挑んで、ボコボコにされ、私たちが慰める。

 これもクラブの常識となりつつある。

 

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 クラブの娘が教えてくれたのだがレースを走るにはトレセン学園という所に通う必要がある。

 別に地方でも中央というやつでもレースには出られるらしいのだが、中央の方がなんかこう…すごいらしい。

 なので俺は中央に行く。

 

 両親にも伝えたら中央の受験を応援してくれた。

 

「レーベンならきっと行けるわよ」

 

「そうそう!俺たちの自慢の娘なんだから!」

 

「でも、受験費結構高いよ?」

 

「受験費なんて無駄な心配もしないでいいからね。最悪お父さんのお小遣いをなくせばいいだけだから」

 

「うっ、そ、そうだぞ!心配するな!娘のためだからそれくらい屁でもないさ!」

 

「ありがとう…母さん…父さん…」

 

「えっ!今父さんって呼んでくれた!?今まで親父だったのに!もう一回言ってくれレーベン!録音するの忘れてた!」

 

「…あなた?」

 

「すみません」

 

 前世では行きたい学校もなく、ただただ親の言うことを聞いて生きていたので応援してくれるか心配だったが杞憂のようだった。

 この両親の元に生まれてきてよかった。心の底からそう思える。

 

 受験に関しては筆記試験とレース試験の二つに分かれているらしい。

 特別推薦のウマ娘は面接があるらしいが、俺は一般で受けるので関係ない。

 

 受験の難易度も過去問を見る限り成人した大人なら余裕で解くことができるくらいで問題なし。

 

 レース試験は六人が一斉に走っているところを審査員が観て、その走りを評価するらしい。

これも問題はない。

 最近クラブの先輩とはレースをしてないが、新入生とレースができているのでレースの感も鈍っていない。

 

 …これは勝ったな!今のうちにパーティの準備をしておこう!

 

 

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 筆記試験が終わり、レース試験が始まった。

 筆記試験は見落としや解答欄の間違えなどもないので心配はいらないだろう。

 だが頭ではそうわかっていてもやっぱり受験というものは前世で経験していても緊張するものだ。

 自分の番が近くなるにつれて心臓の鼓動も早くなってくる。

 そしてついに自分の番が回ってきた。

 

 深呼吸をして心臓を落ち着かせる。

 最大限肺に酸素を送り込む。

 俺の身体能力は他と比べて少し高い程度だ。

 学習を止めれば負ける。

 学習こそが俺の最大の武器だ。

 

 ゲートに入り、合図を待つ…そして、スタート。

 

 特段出遅れることもなく良いスタートを切ることができた。

 だが他の五人が緊張のせいか少し後ろの方にいる。

 レース試験の場所は東京芝1600mを元に作られており、差しや追い込みが決まりやすくなっている。

 だから俺は後ろの方につけたかったのだが…

 

 運が良いことに出遅れたことに焦って後ろのウマ娘たちが加速してきた。

 俺はそれを利用してスピードを抑えてバ群に巻き込まれて、後ろの方に行くことができた。

 

 俺は先輩ウマ娘から学んだことを活かして前のウマ娘を風除けとして使い自分のスタミナを温存させる。

 前のウマ娘がマークされたことによって少しの間ペースが上がったが、すぐに冷静さを取り戻してペースも元通りになった。

 

 これであとは残り400m地点の2mの急坂まで無駄なスタミナを使わないように走るだけだ。

 

 下り坂を走り終えて次は上り坂が来た。

 俺は走り方をストライドを小さくしてピッチを増やす。

 これも先輩から学んだことだ。

 こうすることにって体への負担を減らしながら効率的に上がることができる。

 

 上り坂を上り終わり、次は下り坂のコーナーがくる。

 それに対応するように走りを元に戻す。

 本来コーナーで息を入れるが下り坂にコーナーがあるため息を入れづらい。

 更に下り坂のせいでスピードが上がってしまいスパートのスタミナがなくなる。

 

 これがこのレース場が距離以上にスタミナが求められるか言われている所以だ。

 

 コーナーを曲がったあとは緩やかな上り坂が続く。

 

 全ウマ娘が最後の直線に向けてスパートをかけ始めた。

 速くコーナーを曲がるとどうしてもそこに膨らんでしまう。

 だから俺はその膨らんだ隙を狙いスパートをかけた。

 

 結果狙いは上手く行き内側から上がることに成功した。

 

 逃げや先行のウマ娘はこれまでの坂のせいでスタミナが減らされてスパートが思うように伸びていなかった。

 最後の直線残り400mついに2m急坂が来た。

 ピッチを増やして、上りでも速度を出す。

 

 前に位置していたウマ娘がどんどん垂れて行くのを横目に俺は前を走り抜けていった。

 そのまま先頭で走り抜けてゴール。

 

 自分の全てをこのレースで発揮することができた。

 これで合格できないなんてことはないだろう。

 まぁ合格できなくても地方に行ってやるだけなんだがな。

 

 

###

 

 

 試験を受けてから数日が経ったある日。

 郵便箱にトレセンからの手紙が入っていた。

 多分合否の通知だろう。

 俺は両親に結果が届いたと言い全員で確認することにした。

 

 封筒から通知を取り出そうとする手が震える。

 やはり受験は何年経っても緊張する。

 数秒目を閉じて確認する覚悟をする。

 

 さぁ!合格か!不合格か!どっちなんだい!

 

 “合格”

 

 この文字が見えた瞬間両親が俺に飛びついてきた。

 いきなりのことで俺はソファに倒れてされるがままに頭を撫でられる。

 

「さすが俺たちの娘だ!」

 

「あなたは私たちの自慢よ!」

 

 両親に褒められて良い気分にならないわけがない。

 俺は頬を緩めながら親に感謝を伝える。

 

「母さんと親父が応援してくれたおかげだ。ありがとう。これからトレセンで頑張るよ」

 

「ええ!トレセンでも頑張ってね!いつでも応援してるわ」

 

「レーベンのファン1号は俺だからな!応援してるぞ!」

 

「は?ファン1号は私よ?」

 

「え?」

 

「ちょっとお話ししましょうか?」

 

「ちょっ!まっ!レーベン助けて!見捨てないで!」

 

「あ〜俺、トレセンの入学準備しないといけないな〜あ〜忙しい〜」

 

 俺は修羅場になりそうな雰囲気を感じてそそくさとその場を離れる。

 親父の悲鳴が聞こえるが気のせいだろう。

 

 俺には前世の親と今世の親がいるが、どっちか選べと言われたら今世を間違えなく選ぶだろう。

 ああ…この人たちの元に生まれてよかった。

 

ありがとう神様いい人生を送れそうだ




クラブの子‥普通に良い子。周りから変な目で見られてるグーテスレーベンと普通に接してやるぐらい良い子。
でもグーテスレーベンのせいでレースの道を諦めた。
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