チート魔術「リサイクル」で行く異世界逃亡録!~ラスボスだったけど、性別変えて逃げれば良くね?!~ 作:クレナイハルハ
ラスボス+憑依→美幼女?!
太陽が沈み真っ暗になった空の下、月の光に照らされた電車が線路の上を走る。
田舎なのか、それとももう遅い時間だからなのか電車に一人しか座っていない。そんな一人はゲーム端末を両手で持ち画面を見詰めている。
「やっとクリアしたわ」
ほぼ貸し切り状態の電車では、小さな呟きが普通に話している時ぐらいの声量で聞こえてしまう。
手にもったゲーム機の画面では、長きに渡る人気ゲーム【Light Up The Darkness】シリーズ第1作目である無印のラスボスを倒した画面が流れている。
「イケメン死すべし慈悲はない、なんてなー」
それにしても、このラスボスは何度見てもイケメンだよな。いくら敵キャラでもキャラデザが凄いな。
主人公もイケメンだし、これで学校のクラスでも普通とか絶対に可笑しいわ……ええい!このゲームの世界の顔面偏差値は化け物か?!ってな。
せっかく一人暮らしを始めるのだからと【Light Up The Darkness】シリーズを中古とはいえ、全作揃えたのは我ながらバカだなぁ。
ゲーム機の電源を消してから来ていた服の内ポケットへと仕舞い、電車の座席に体を預けてから息を吐く。
電車の揺れと大学の授業の疲れからか、目蓋が重い。
取り敢えず明日と明後日は学校も休みだし、今日はゆっくり休んで寝て明日から頑張ろうかな。
出された課題の多さから目を背けつつ、電車のモニターに映る次の駅を見る。
降りる駅は終点だし、あと1時間少し寝られる。
もし寝てても駅員さんが起こしてくれるだろうと思いながら心地よい電車の揺れと1日の疲れから襲い来る睡魔に俺は身を委ねた。
ゆっくりと意識が浮上していく、目蓋を開いたが少しボヤけていて暗い事ぐらいしか分からない。
あれ、電車の駅……今どこだ?確か俺、電車の中で寝てて………。
だんだんと視界がクリアになっていき、まず見えたのはまるで幽霊でも出そうな雰囲気の広場だった。
部屋を見回すと誰が通るのか分からない程に大きな扉が部屋の奥に設置されており、自分は電車の席ではなく玉座のような場所にある椅子のような何かに座っているようだった。
「は?電車は!?」
あわてて立ち上がるとガシャン!と言う何かが倒れたような音が部屋に響き渡る。やけに響いて聞こえる音に片耳を抑えながら、手元を見れば俺の左手から何かを取り零していたみたいだ。
もしかして、寝る前にやってたゲーム機!?
ゲーム機を落としたとしたなら最悪だ、打ち所が悪ければ修理に出さないといけない。それに修理代だって凄いかかるはず。
「嘘だろ、買ったばっかりで故障とか破損なんて勘弁して……」
あわてて聞こえてきた音の方を見ると、そこにはまるで魔法使いが使うような木で作られた傘ぐらいの長さの杖、それも先端には青い紫色の宝石が付いているものが転がっていた。
拾い上げれば、それは凄く見覚えがあった。
それは先程遊んでいた【Light Up The darkness】のラスボスキャラが使っていた杖だった。
すげぇクオリティ高いな、きっとコスプレ衣装を作る専門の人が作ったに違いない。
「すげえ!めっちゃ細かく作られるじゃん、テンションあがる……」
あれ、俺……こんな声だったかな?
「………あ、あー」
俺、こんな威圧感ある感じの声じゃないよな?
そう思いながらも喉に手を当てようとして、自身の腕……着ている服の袖を見る。
俺、安物のジャージ来ていた筈なんだけど……こんなローブのような服着てなかったよな?ふと杖の宝玉に映ったが見えた。
そこには約18年間付き添った見覚えのある自分ではなく、流れるような長い青髪に整った顔に凍えるような冷たい視線を持つ男が写っていた。
「は?あー、ドッキリ……な訳無いよな」
自身の頭や顔を触るなか、長い青髪が揺れ視界に映る。
「もしかして……いや流石にないよな?実は夢とかVRとか」
そう思いながらも頬をつねるがしっかりと痛みを感じて頬から手を離し口許に手を当てる。
「アハハ、嘘だろ?俺、ルシャーナ・ヴァングロスになってるぅぅぅぅうううう!!?!?」
俺の心からの叫び声が部屋に木霊した。
杖の宝玉に写っていたのは間違いなく先程クリアしたゲーム【Light Up The darkness】のラスボス、ルシャーナ・ヴァングロスの顔だった。
【Light Up The darkness】のラスボス、ルシャーナ・ヴァングロス。
魔術王の二つ名を持つ魔術士、魔術は他のゲームで言うところの魔法でルシャーナは数多くの魔術を覚え、魔術を極めた故に魔術王と恐れられている。ゲームだと人を洗脳し魔術を用いて世界を支配しようとした人物だ。
一応、ネットの情報ではその後にも続く【Light Up The darkness】シリーズでも一番の魔術使いと言っても過言では無いステータスをしているらしい。
「そんな、ラノベみたいな事があってたまるか!?てか俺ラスボスじゃん!勇者に殺されるぅぅ!」
思わず頭を抱えて叫び声をあげる、こんな情けない姿、もしルシャーナのファンが見たらドン引きするどころか中身の俺を殺す勢いで殴ってきそうな程にキャラ崩壊してしまっているが関係ない。
だって成り変わってしまったからには、どうしようもないのだから。
「どうするどうするどうする!このままじゃあ俺は死ぬ!間違いなく!?」
両手で頭を抱えながら、背後にあった玉座に座り込む。
落ち着け落ち着け、ゆっくりと考えるんだ。まずどうする?ラノベみたいに逃げるか?だが、逃げたところで容姿でバレる!
いくら色んな町に逃げても勇者が俺を討伐するために追いかけてくる!
「こんなところで死んでたまるかっ!」
言っていることはラスボスっぽいが、実際に起こっていることはギャグである。
どうすれば俺は生きられる!?
平和的交渉か?ワタシ悪い魔術王じゃないよ?って言えと?無理無理出来るわけない、罠だと思われて聖剣で刺されて間違いなくゲームオーバーYou'r Dead間違いなし!考えろ俺!どうすれば良いか考えろ!?
ここから逃げても追いかけられて終わり、投降した所で死刑だよクソが!マジで選択肢がないな俺ただの学生だったはずのに!?
「なぁ神様!俺なんか悪いことしたかぁ!?」
八つ当たり気味に部屋で叫び声を上げる、流石はラスボス。威圧感が半端ない、もし俺が目の前にいたら涙を流していただろう。怖いわ、流石はラスボス略してさすボス。
どうするか、髪色を変える?そもそも魔術を解除したりする魔術をかけられたら終わりだ……どうする?考えろ、俺が生きられる選択肢を。
その時、脳裏に一筋の光が閃いた。
「ハッ!女になれば良くね!?」
何を言っているんだコイツ?バカか?そう思われても仕方ない、何を言っているか分からないのなら説明しよう。
このままだと俺はゲームのストーリー通り勇者に討伐されて死ぬし、投降したところで死刑なのは確定している。
ならば答えは簡単、姿が似ていても性別が違って体つきも変わるならラスボスだとバレないなず。これなら普通に勇者のいる町とか行ってもバレなくね?普通に生きられるんじゃね!?と言う事だ。
だが、男性が女性に変身するなんて事はあり得るはずない、そうそれが
今の俺の体はラスボスの魔術王ルシャーナ・ヴァングレス、魔術王の名の通りこの世界の魔術のほとんどは使えるし、体を変える魔術くらいあるだろ!
それに無いなら作ればいいんだ!一応魔術王だろ今の俺は!無いなら創造するんだよ!無いなら作る!創意工夫しろよ俺!
改めて考えると男から女になるのって普通は躊躇うよな?だって色んな意味で未使用だし、何より色々と怖い……だが!生きるには覚悟を決めるしかないのだ、生きるにはこれしか無いんだよぉう!!
それにせっかく異世界に来ちまったんだから、異世界を楽しみたい!この世界を楽しく生き抜きたい!そのためなら女体化でもなんでもやってやらぁ!!
いける、なんかいける気がするぞ!魔術名とかわかんないし、魔術の使い方もゲームでコマンド選択するだけだったから分からない!
取り敢えずフィーリングでどうにかするしかねぇ!
取り敢えず杖を持って念じる、すると自分を中心としていくつもの魔方陣が足元に広がる。
魔方陣が光りながら回転しその輝きを強めていく。
おお!何だかいける気がする!流石はラスボスボディ!
「よーし、女の子になれー!」
そう叫びながら杖を持った手ともう片方の手を上に上げた、イメージとしてはド○ゴン○ールだ。次の瞬間、体から力が抜ける。
あれ?これって、もしかして魔術の使いすぎってやつなのか?魔力切れとか?そう思いながらも、立っていられずバタリと音を立てて地面へと倒れ伏す。
倒れたときの衝撃でぶつけた肌が痛いが、何処かボーッとして痛みがあまり感じられない。
部屋の魔方陣が光り輝き始め、軈て部屋を多い尽くした所で、俺は意識を失った。
肌が冷える寒さと冷たい地面の感覚に意識が浮上していく。瞼を擦りながら体を起こすと、鼻がむずむずしてくしゃみが出た。
「フックシュ!うぅ……寒い」
頭がボーっとする、えっとたしか俺はルシャーナになって、自分を女にする魔術を使ったんだッけ?俺は、どうなった?
女の子座りの状態から立ち上がろうと体を起こした時、視界に水色の髪がパラリと流れた。
「は?髪の色まで変わるのか?流石は魔術王の魔術」
てか、地面と言うか床の……石かこれ?の冷たさが布を通して伝わってくる。寒いしさっさと立とう、そう思いさっさと立ち上がった。
あれ、立ち上がった筈なのに視点が滅茶苦茶低い?肌を突き刺すような寒さに、思わず両手で腕を擦る。
寒いとき良くやるイメージの動作だけど、実際はあまり効果ぎ無さそうだ。だって寒いの変わらないし……あれ?
なんかさっきまで座ってた玉座、高くない?それに擦ってた腕が細くね?小さいし短い……。
そんなことを考えていた次の瞬間、着ていたと言うより羽織っている形となっているローブが肩からずり落ちた。
「すぅ────」
落ち着け、そう自身に言い付けながら落ちたローブを小さな手で持ち上げて肩に引っ掻けるようにして着直し落ちていたルシャーナの杖を持ち上げる。
いやおも!それにながっ!?この杖こんな長くなかった筈だ、どう言うことだ?もしかして魔術が失敗したんじゃ?やっぱり知らない魔術を作るなんて真似は出来なかったんじゃないか?
そんな疑問ばかり浮かぶ脳を処理しつつ、杖の先に付いた宝玉を覗き込む。
そこには腰より長い水色の髪。モチモチの肌の美少女いや、少女より少し幼いか?美幼女が映っていた。
嫌な予感がする、取り敢えず笑顔を浮かべてみる、杖の宝玉に映る幼女はまるで花が咲く様な可憐な笑顔を浮かべる。
試しにウインクしてみる、鳴れてないから少しぎこちないが。宝玉に映る少しぎこちなさそうにウインクをするが、頑張ってウインクをしようと練習しているようで微笑ましい。
「幼女になってるぅぅぅう!?ナゼェ!?てか自分ながら美少女だなおい!?」
この見た目と表情の豊かさなら、ルシャーナの女体化とは思えないな………俺が成り代わったから?でもあるんだろうけど。
「と言うかなんで幼女……魔術が失敗した?まぁ、魔方陣とか詠唱とか何も無しの適当だったし…………そもそも女体化なんて魔術があるかも分からなかったしなぁ、他に思い当たる事なんて………あ」
確か俺って魔術使うとき。
先ほどまで男だった時の自身を思い出し、あの時の事から現在の状況に繋がりそうな事を考える。
『女になれー!』
こう言うはずだったのだが、確か俺は……。
『
思いだ来た俺は思わず頭を抱え、感情のまま口を開いた。
「うぅ、俺のアホォオオオオオオオ!!へっぽこ!おバカ!」
確かにこれだと間違いなくルシャーナだとばれないけどさぁ!?色々と制限付くだろこれ!!
お酒は、飲まないから良し。タバコも、吸わないから関係ない………あれ?あんがい大丈夫なのでは?
てか、俺本当に幼女になってんのな……。
「すぅ、ふぅ」
覚悟を決めろ俺、確かにこれを確かめるのは女体化したキャラ達の定番だが何も今しなくても良いのでは?だが、それで良いのか?
この体になってしまった以上、この体と付き合っていくしか無いじゃないか、覚悟を決めるしかないじゃないか。
覚悟を決めてローブの中を覗く、そこには数十年間付き合ってきた未使用の相棒が消えまっさらな状態となった光景が目の前に広がっていた
うん、男で経験も無かった俺としては、何かしら起こるのかと思ったが全然そういった感じの欲求はないな。
鼻血が出たりとかしない、俺本当に男だったのか疑問が浮かぶわ。
と言うか俺は成り代わった時点で、そこに俺の見てきた相棒はいなかったということか?ルシャーナだった訳だし、そんな事を考えorzの体制を取る。
なんかうん、何故だろう、凄い大切な何かを失った気がする。いや、確かに男は捨てたけども。
取り敢えずローブを着直しつつ少し高い玉座にジャンプして乗り、どうにか座って足をプランプランとさせたり、足をバタバタと動かしたりする。
と言うかこの動作するの凄い懐かしいな、小さい頃以来だ。
あれ?そう言えばネットで得たうろ覚えの情報だが、続編ではルシャーナは世界を牛耳ろうとした魔王との戦いに敗れ洗脳されていた事が明かされるとか書いてなかったか?!
それが本当なら、何故ルシャーナになった俺は今魔王からの言いなりにはなっていないんだ?
俺がルシャーナに成り代わったから、その時点で洗脳が解けたとか?取り敢えず、洗脳されていないから逃げられることには変わらないだろうから良しとしよう。
普通の女体化ならともかく、某迷宮無しの名探偵並みに幼くなった今の俺なら確実、かどうから分からないがルシャーナ・ヴァングロスだとバレることはないだろう。
早くここを出ていかないと、いつ勇者が来るか分からないし早めに逃げないと。
でもその前にこのローブ、服をどうにかしないとだよなぁ。
今の自分のサイズにローブを合わせるのは、一応魔術王だし異世界だし縮小とかの魔術とかないか?あればどうにか出来るんだろうけど、詠唱とか知らんしなぁ……そもそもルシャーナのローブを着た幼女がいたら確実に怪しいし、どうやって入手したのかと聞かれるだろう。
どうにか、今の姿にあう服を調達しなければ…さっきも詠唱も魔術の使い方も分からないのに発動させることが出来たし、なんとなくで行けたからやってみるか。
さて、このローブを作り替える?魔術王だし服を作り直すような、リサイクル的な感じでこの体に会うような服作れないかな。
あれ、これはもう魔術じゃなくね?錬金術じゃね?取り敢えず試してみるか、魔術名は物を作り替えて使うから……。
魔術の名前を考えながら大きすぎるルシャーナの杖を両手で持つ。持つと言うより引きずるような感じだけど持ってる訳だし大丈夫だろ。
「よし、リサイクル!」
リサイクル、大切だよね!適当にそれっぽい単語を呟くと私の体、いや服を覆うようにいくつもの魔方陣が出現して空中で回転しながら来ているローブを作り替えていく。
良く見れば、展開されている魔方陣のどれも中央に三つの矢印が三角形を作っていることが特徴的なリサイクルマークに似た図形が浮かび上がっている。
リサイクルって名前をつけたからだろうか?魔方陣に関しては魔術を発動したときに現れることしか現状は分かっていない。
そんか新たな疑問が浮かぶなか、この見た目幼女な自分が着る服について想像する。
普通にしま○らとかユ○クロで売ってる感じの、パステルカラーな可愛い服系か?それとも可愛いキャラもの?いや、でも異世界だと変じゃないか?
うーむ、この元の世界ではまず見ることのないような水色の髪に似合う服………あれ、確かニチアサのマジカルでキュアキュアな子達はこんな髪色に変身していたような………。
そんな事を考えているなか出来上がったのは、ニチアサでやってるマジカルでキュアキュアな少女。いわゆる魔法少女の着るようなピンクを主軸にカラフルな飾り付けのされたドレス、ドレスの上から羽織るのであろう多少原型の残った黒いローブとブーツだった。
ううむ、着替えてないのに着替えたこの感じ凄く違和感があるね。
軽く着心地を確かめるために動きながら着ているって確認する。
「まさかあるかも分からない魔術を詠唱なし&適当に想像しながら話すだけで発動出来るとは流石は魔術王、チートですなぁ……」
と言うか魔術名も適当で詠唱とかも必要ないとかマジでチートだよルシャーナ。
「と言うかニチアサの美少女が着てるならまだしも、元男の俺がいきなりドレス……スカートを履いてニチアサの魔法少女のコスプレとか」
先ほどからスースーする太ももらへんに、少し顔が熱くなるのを感じる。
あれ?と言うかさっきまでローブの中は何も着てないすっぽんぽんな状態だったけど、下着とかどうなってるんだろ?
そう思いながらスカートを捲ってみる、アニメと言うか美少女なら定番とも言える青と白の縞々パンが見えた。
「おお、定番」
はは、それにしてもスカート履いてる女子達すゲェな。一歩間違えたら下着が見える服をファッションにしてるなんて凄すぎる。
そう思いつつ、上の方も確認すべく服の胸元を少し引っ張って見ると、普通のシャツだった。そりゃそうだよな。
みたまんまのストーンとかぺったんとか言われそうまな板具合だし。
THEアニメキャラみたいな服装だけど、もしかしてリサイクルって、魔術を使ってるときに考えたり、記憶の中で思い浮かべた服が反映されてデザインになるよう設定されんのかな?
いや、確かにこんな美少女なら魔法少女とかプリキ○アとか出てそうとか考えたけどさ。
この魔術、勢いで産み出してしまったが結構チートなのでは?この服はルシャーナが来ていた服から、言わば真っ黒な服からカラフルな服が出来ている訳だし、この魔術を使っていらない布とか服を元手に私の記憶から普通のデザインの新しい服を作って売れば一儲け出来そう。
取りあえず、これでもしもの仕事は見つかったし服装はどうにかなったな、まだ太ももがスースーするのは慣れないけど。
「取り敢えずこれで寒くなくなった!つまり、ヨシッ」
某猫のように片足を上げて指差しして真似をしつつ考える、もしこのままこの館を出ていってもお金がない。この世界の通貨すら持っていない私はこのままではホームレスルート一直線だな。
さっきお金を稼ぐ方法は思い付いたけど、都合良く捨てられた布が落ちてる場所があるわけじゃないし。
今、俺は女だしいないとは思うけどわんちゃんエッティー事をされる可能性もある訳だ。
取り敢えずこの館を調べてお金に鳴りそうな物を貰って、ちゃんとした仕事を貰える場所にいこう。
ここが本当に【Light Up The Darkness】の世界ならギルドとか店がある筈だし。
「次はこの杖だよな……」
そう言いながら引きずるように持っているルシャーナの持っていた杖を見る。この杖ラスボスが持っているだけあって強そうだしさぞかしレアなのだろう。ゲームできっと良いレアアイテムだったに違いない。
せめてもう少し短かったら………いや短かったとしてもダメだ。何故ルシャーナが持っているものと同じ物を貴様が持っている!?となって処刑台ルートまっしぐらだ。
よし、確かゲームのミニゲームで魔術で鑑定して物を見分けるゲームあったし鑑定使ってみよう。 この世界は現実だからミニゲームでしか使えなかった魔術も普通に使える筈!
さっきの女体化とリサイクルは完全にオリジナルと言うか、適当に考えた魔術だったし普通にゲームにあった魔術も出来るのか試してみるか。
杖を見つめて、杖を持ってない方の手を杖にかざす。
「鑑定、どーん!」
わたしはね、えんしょうなんて、しらないもん。
手を翳した方向に中央に虫眼鏡のようなマークが描かれた魔方陣が現れると、少し回転し魔方陣の上に重なるように四角のプレートが現れてそこには鑑定結果が記されていた。
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【知恵の杖~ウィズダム~】
魔術王ルシャーナの持つ杖。
杖に填められた宝玉【ソロモンクリスタル】により装備した時、全魔術の効果を向上させる効果が付与されている。全ての魔術属性を持ち、魔術を自在に操る魔術王に相応しい杖。
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「うん、やっぱりルシャーナの事が書かれてる……取り敢えず鑑定されたら不味いからこれもリサイクルでルシャーナだとばれないようにしないとな……」
うーん、今度は明確にイメージしないと。せっかく魔法少女的な服な訳だしやっぱり片手で持てる小さなステッキとか?いや、でもこの杖は両手で使えばカッコいいっちゃ格好いいんだよな。
「リサイクル」
そう思いながら杖持ちながらそう唱えると、さっきと同様に知恵の杖ウィズダムを覆うように三つの矢印が三角形を作ったマークが中央に浮かぶ魔方陣が展開され杖の大きさや見た目を大きく変えていく。
まるでロボットアニメで出てくるビーム兵器のような青と白の先端とその付近に填められている赤い宝玉、そして持ち手には自転車のブレーキのような指全部を使って引くようなレバーが付いた片手でも持てるくらい軽く、機械的なデザインの長杖に変わっていた。
うん、これなら某魔砲少女とも戦えるような杖に仕上がっている。
「うん、取りあえず鑑定ズドン」
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【マジカル☆ブラストロッド・インフィニタス】
魔術を使うマジカルな君の為の杖だぞ☆
杖に填められた宝玉、クリスタルホープには魔術少女の無限の夢と未来への希望が込められてるんだ!装備者が魔術を行使する際に装備者を補佐する為のサポート人格、ウィズがいるぞ☆分からないことがあったら聞いてみよう!
バトル状態のロッドモードと待機状態のリングモードがあるからうまく使い分けてね☆
これを使えばきっと君も立派な魔砲少女に変身だ!
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「かなり変わってしまった…まぁ、これで元が知恵の杖ウィズダムだとはバレないだろうし、問題なし」
バレなきゃ犯罪にならない、有名なあの人もそう言ってた。
『お呼びでしょうか、マスター』
「きゃっ!?」
突如として脳内に聞こえて来た男性でも女性でもない、そんなロボットのような声に思わず驚きの声を上げた。
てか、きゃって……一応俺もとは男だぞ?きゃって……うわ!?とかぎゃ!?でもなくてきゃって。
自身がどんどんと変わっていく事に軽く鬱になりそうだったのを頭を降って意識を切り替える、そうだ元々覚悟を決めて女体化したんだ、こうなることはよそうしてはいなかったけど……これが今の俺なのだ、受け入れろ。
さて、多分今聞こえたのがさっきのが鑑定で書いてあったサポート人格のウィズなのか?
「えっと、ウィズであってる?」
『はい、マスター。』
マスターって、いや確かに杖の所有者ではあるけど。
「なんで俺の事をマスターって呼ぶの?」
『私は貴方の名前を登録していません。ですので、貴方の名前を登録するまでの間は仮の名称でマスターと呼ぶべきだと判断しました』
「ほぇええ」
名前か、そう言えば考えてなかったな。俺女になった訳だけどその場合は名前どうなるんだ?確かこの世界の冒険者ギルドとかあった筈だしカードとか作ることになったらルシャーナ・ヴァングロスって出て一発でアウトだぞマジで。
取り敢えず、ルシャーナと言う名前を隠すためにもこの体での名前を考えないと………この体に会うような可愛い名前が良いかな。そう言えば、何で見たか覚えてないけどルシャーナの姓のヴァングってこの世界で希望って意味だったっけ?だとしたらルシャーナは希望を無くした、と言うか魔王に負けて操られてたから英語のロストとあわせてヴァングロスって名前になっのだろうか?
だとしたら、俺はそうだなぁ。
「ルシャーナ、ルシーナ、ルシナ……うん、ルシナで良いな!これなら魔術少女マジカル☆ルシナたんでも十分いける!私こそが最強の魔術少女、マジカル☆ルシナちゃんだ!!」
マジカル☆ブラストロッド・インフェニタスを持ってもう片方の手でキャピ!と目の近くでピースする。うん、自分でやってた事だけど……似合うなこの体。
元男としては男としての何かがゴリゴリとドリルで削られていってる気がするけど。
「取り敢えず、名前はルシナで名字は……」
せっかく魔法少女っぽい名前になったし希望と言う意味のヴァングは残したい、だとしたらロストから別のに変えないと。
ヴァング、希望。失うの反対は得る?なら得るは英語でゲット、それは違う。なんか変だ、そらなら「GET」を「GAIN」にしてヴァングとゲインを混ぜてヴァンゲイン、これだ!
「私の名前はルシナ・ヴァンゲイン!」
『マスター、ちなみにその名前にはどのような意味があるでしょうか?』
「まずルシナはルシャーナから文字って付けたんだ。一応、ルシナは誕生の女神?の名前だったかな、月光の女神もあるけど、光をもたらす者って意味もあったかな。あ!名字はちゃんとした意味があるんだ!」
『ヴァンゲインの意味ですか?』
「そう、この世界で希望を意味するヴァング、そして希望を失うんじゃなくて得るゲイン、二つを合わせて希望を得る!それがヴァンゲイン!」
この世界でラスボスになっちゃったけど、この姿になってラスボスだとバレずにこの異世界を楽しく生きるために決めた新しい名前だ!
改めて考えるとちょっと、いやかなり厨二っぽいかも知れないけど逆に平凡な奴や定番な奴を選らんで後悔するより楽しんで生きていける格好いい名前を選んだ方が良い!
それに地味に似てる姓って、異世界でもあるあるだと信じてる!
田中さんと中田さんとか、里中さんと里仲さんとか、佐藤さんと斎藤さんみたいな。
『マスターの名前を登録、マスターをルシナ・ヴァンゲインと認定。改めてよろしくお願いします、ルシナたん』
「いや、ルシナたん呼びはやめて?さっきノリでやってたけど後からかなり恥ずかしいんだからね!?」
『そうでしょうか?魔術少女マジカル☆ルシナたんさま』
「やめてぇぇぇえええ!?」
思わず杖を放り出して両手で顔を隠すようにしてしゃがみ込む。
この杖絶対に性格悪い!最後に絶対に草とか笑とかwって着いてたよ!!絶対にイジッて楽しんでるよこのサポート人格!
『私が頑張って考えた渾名を否定するとは、私は悲しいです。マスター』
ふよふよと放り出したはずのマジカル☆ブラストロッド・インフェニタス、今後はインフェニタスと呼ぼう、がこちらへと近付いて来る。
浮遊機能があったんだ……。
「絶対に悲しいと思ってない!」
ブラスターロッドに填め込められた宝玉、ホープクリスタルを指差して悲しいと主張するマジカル☆ブラストロッド・インフィニタスを否定する。
「と言うか、サポート人格って結構フレンドリーと言うかフランクと言うか……ロボットみたいな感じじゃ無いんだね……」
『貴方から産み出されましたから』
「それどういう意味?」
取り敢えず空中に浮かぶマジカル☆ブラストロッド・インフェニタスの掴んで引き寄せる。
「取り敢えずウィズ、鑑定で書いてあったリングモードとバトルモードについて教えて」
『YES、マスター。マジカル☆ブラストロッド・インフィニタスは現在の形態がバトルモードとなります。そしてリングモードですが』
そう言いながらマジカル☆ブラストロッド・インフィニタスが光ると収縮していき、私の右手首を覆う程の大きさへ変化すると、白い翼が交差したようなデザインのブレスレットになった。
翼が交差したブレスレットの中央には先程より小さなクリスタルホープ、杖の先端に着いていた宝玉よような物が嵌め込まれている。
『このような形態となります』
「おお!おしゃれな腕輪になった、しかも白い翼のデザインとかめっちゃ綺麗じゃん!」
ブレスレットの装着された手を宙に掲げながら様々な場所のデザインを見る。めっちゃゴテゴテしてる機械的なブレスレットが来るかと思ったらゲームのアイテムとかで普通にありそうな、隠しショップとかで売ってそうな見た目だ、何となく装備するとスピード値とか回避率が上がりそうな感じがする。
『こちらでも私との会話を行う事はバトルモードから引き続き可能です。非戦闘時はリングモードの状態で携帯することを推奨します』
「へぇ、この状態なら持ち運びも簡単だし急に取り出したりするときも便利」
『魔術に関しては杖を通し発動させるため、魔術の使用に関してはリングモードでも可能です。ですがバトルモードで魔術を使用した場合、攻撃で相手に与えるダメージが上昇します。リングモードでの魔術を用いた戦闘はオススメ出来ません』
なるほど、杖を使って発動することが出来るのがこの世界の魔術ね。杖なしでも発動は出来るけど、杖なしだと威力が下がる。
ウィズの説明のお陰でこの世界では魔術を使うときは杖を持つのが基本であり、杖なしでも発動事態は可能だと言うことが推察できた。
さて、忘れかけていたが今の問題は今着ている服以外に着る服がないこと、そして生活に必要な服だけではなくご飯や宿を取るための資金がないことだ。
「後は旅の資金だけど、何か売れそうな物とか宝物とか財宝って何処かにないかな。宝石とか……」
ラスボスなんだし金銀財宝を少しぐらい持ってても可笑しくない、はずだよな?
大体ゲームだとラスボス倒したときってかなりの賞金でるし、倒した後の画面ちゃんと見てなかったの失敗だなぁ。
『マスター、探知の魔術の使用を推奨します。』
「ありがとうウィズ、えっと探知ってどんな魔術なの?」
『はい、手を翳し現れた魔方陣を様々な方向へと向けてください。それで魔方陣が発光した場合、魔術の行使者が探している物が近くに存在する事を意味します。探知の対象は無機物に限ります』
そんなのゲームにあったかな?そういえば、マップ上のお宝探しを魔法を使ったダウジングで探すヤツあったな。
この魔術、ウィズの説明通りなら結構便利な魔術だね。テレビのリモコンとかスマホとか、ブルートゥースのイヤホンの片割れ失くしたときに使えたら探すの凄く楽になりそう。
「それじゃあ早速、探知!」
リングモードのブラスターロッドの腕輪を着けた右手を前に向ける。すると魔術が発動して手を翳した方向に中央には何故かダウジングに使われる振り子、ペンデュラムらしきものが揺れているようなものが描かれている魔方陣が出現しゆっくりと回転しだした。
「これで、探知中?なんだよね。」
『はい、そのまま周囲を翳してみましょう。』
さすがにラスボスだから宝物持ってるって考えは変だったかな?でもゲームだと買ったときに賞金とかアイテムとか手に入ってたと思うんだけど。
そんなことを考えながら部屋を歩き回って魔方陣を翳す、これでレアな蘇生アイテムが玉座の後ろの壁に魔方陣を翳すと、魔方陣が光った。
「お宝発見!やりぃ!」
魔方陣が光ると、即座に魔術が解除?されたのか魔方陣が消えるのを見届け玉座の後ろへと向かう、けど……。
「どうみても、壁だよねこれ?」
壊せってこと?いやそれだと色々の後々に問題がありそうだし、試しに壁に触れる。
「うわ!?」
すると次の瞬間に私の触れた場所を中心に、真ん中に南京錠のようなものが描かれた魔方陣が壁に展開され壁がゆっくりと奥へと押し込まれるとそのまま横にずれて、部屋の入り口らしき物が現れた。
『どうやら壁に仕掛けがされていたようですマスター。内容としては登録した人物が壁に触れることで、壁を動かしこの部屋の入り口を出現させる、と言う物だと推察します』
「宝物庫っぽい感じ!?ちょっとワクワクする!」
早速部屋の入り口に着いたドアのノブに手を掛ける。
「開け!ゴマー!」
ドアのノブを捻り押して中に入ろうとするがドアが動かない。何度もドアのノブを捻って押しても開かない。嘘でしょ、もしかしてドアの鍵とかルシャーナの状態じゃないとドアが開かない?
「嘘でしょ……」
どうやって旅の資金を得れば良いの?この体で奴隷落ちとか娼婦とか嫌だよ俺!?てか幼すぎで需要ねぇわ!!
『マスター、そのドアは恐らく引いたら開くかと。』
「すぅ、うん。ありがとウィズ」
そう言いながら改めてドアノブを捻ってから引くと普通にドアが開いた。中に入ると沢山の装飾や剣が飾られ、宝石やお金らしき硬貨達が棚や箱の中に保管されていた。
「さすがラスボス!金銀財宝を持ってるのは定番だよね!」
こんなに沢山の宝石とか前世?でも見たこと無い、それに飾られてる剣達ってやっぱり業物だったりするのかな?
ラスボスを倒したタイミングで寝落ちしたから、そよ後の要素を遊べなかったのは少しだけ残念だけど……それにしてもこれらの装飾品もかなり高価だったり?これならどれか一つでも売ったら暫く分のお金に成りそう!
『マスター、持ち運びに関してですが目の前の机の上にあるバックを使うことを推奨します。』
「えっと、これ?」
目の前のゲームや絵本でしか見たことのない金貨や宝石達にめを輝かせている中、ウィズの言う地球にはいないであろう何かの革で出来た肩から斜めに掛けるタイプの鞄を手に取る。
『複数の魔術が組み込まれ、見た目より物が多く入ると言う効果が発生しているようです。マスター』
「出たよ主人公バック………鑑定ドンシャン」
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【マジックバック】
ワイバーンの革を使い作られた丈夫な鞄。
魔術で出来たバック、見た目より多くの物をしまうことが出来る。しまった物を取り出す際は入れたものを想像すると良い。
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ワイバーン、ゲームだと下級のドラゴンにあたるモンスターだっけ?
と言うかどのゲームも共通だけど、ゲームの主人公の持ってる鞄って普通に考えてそのバックに入るとは思えない程の量が入るよね。某ポケ○ンとか、アイテムが999とか入ってるのに見た目変わらないし、本当にどうなってるんだろ?
そう思いながら試しに鞄を肩に掛けてみるけど、うん……ローブも服もリサイクルして元の服とは思えないぐらいデザインが変わってるから、着けてて似合わない……。
『マスター、リサイクルを提案します。身に付けている物の中でバックのみデザインが浮いています』
「私も思った、折角の門出だししっかりとこの服に似合ったデザインにしないとね」
バックを手に持ち直しから右手を向けて想像する。折角のマジックバックだし、沢山物が入るだけじゃ変わらないからしまった物の時間が止まっているとか?
「リサイクル!」
マジックバックを覆うようにいくつもの魔方陣が出現して空中で回転しながらマジックバックを作り替えていく。
茶色だったバックの蓋の部分は赤く染まり、本体は黒いカラーリングとなりバックの中央には小さな魔方陣が、バックの蓋の右端には白い羽が描かれている。
「リサイクル完了!」
女の子っぽいリボンとか付いてなくて良かった。と言うかこの魔術本当に便利だな、もし地球の日本とかで使えたらすごいことになりそう。そんな事を考えながら鞄へとてを翳して鑑定と唱える。
「鑑定ドッカン!」
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【マジカル☆バック~天使の翼~】
見た目より沢山の物が入る特別なカバンだよ☆
持ち主しか開けることが出来ない防犯機能が付いてるんだ!とっても軽くて持ち運びがとっても便利!しかも中に入れたものはバックに入れた瞬間から時間が止まる優れもの!長い旅でも安心安全、マジカル☆ブラストロッド・インフェニタスと連携していつでも何が入ってるか確認できるよ☆
確認したいときは鞄に触れた状態でカタログと唱えればOK!常に使うもの等はピックアップマークを着けて専用のプリセットを作ろう!
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「ランドセルか!?」
バックの名前の後半を見て思わずツッコミの声を上げる。と言うか改めてみると凄いねこのバック!?
入れた瞬間に時が止まる!?カップ麺にお湯いれて3分ぴったりにバックに入れたらいつでもカップ麺をすぐに食べられるってこと?!
あれ?いれた瞬間に時が止まるってことは保存が難しい食べ物、と言うか中に入れた食べ物全部非常食になるじゃん!
「入れとけば好きな物を旅の道中に食べられる!?最高の異世界旅になりそう!テンション上がるぅ!」
『快適な旅になることは間違いないでしょう』
「と言うか、ブラスターロッドと連携って……マジでニチアサの特撮とか魔法少女もののおもちゃの発想だよね」
そう思いながら手始めに近くにあった宝石を手に取りバックの蓋を開けて中に入れる。
『荷物の整理、名簿の作成はお任せくださいマスター』
「じゃあ、とにかくこのなかの物は全部いれよう!」
宝石はひたすら箱から鞄に入れ、他の装飾品達も同じように入れていく。途中から面倒くさくなり適当に掴みとって鞄にしまったけど。
部屋にあったお宝はだいたい硬貨2割、宝石系6割、装飾、武具系が2割って感じだ。
え?ルシャーナの物を勝手に取るのはどろぼう?これは別に泥棒ではない、今の俺はルシャーナだし、ここの財宝とか宝石は一応俺のだし俺が決めて使うんだから大丈夫だろ。
後からここにくる勇者達には申し訳ないが、こっちは命がかかってるんだからね!
やめてよね!装備が揃ってる勇者に今の私が勝てるわけないだろ!許してよね?
「これで旅の資金の準備はオッケー!後は町にいって売り払うだけだね!」
宝物庫?らしき部屋を出ながら背のびをする。これで服や杖そして何より自身も準備は万端だ。早くここを出ないと、いつ勇者が来るか分からないからね!
玉座らしき部屋を出て屋敷の廊下を歩く。
「うわぁ、なんか全体的に暗い。流石はラスボスの屋敷」
取り敢えず直感で道を選んで進んでいき、屋敷の入り口である玄関らしきホールに付いた。
これでやっとここからおさらばだ!そう思いながら走り屋敷の扉を開け、外に出る。
「外だー!」
少し荒れた道を走り、振り返ってみる。ゲームのまんま、荒廃した道のりの先に木々に囲まれた暗い雰囲気の屋敷が建っている。時間が暗いためか、朝なのか夜なのか分からないけど、何処かおぞましい感じのする光景だ。
とにかく感傷に浸ってる暇は無い、いつ勇者が到着するか分からないのだからとそそくさと屋敷の門を走り抜けてからゆっくりと歩き始める。
暗い空だが見たことの無い植物や空を飛ぶ鳥、目に写る物や景色全てが新しいのは、心が踊るようだった。
この体になる前だったら絶対にこんな風に長い距離を歩いてたら息が上がってたのに、若い体って凄いな。
暫く荒れた道のりを歩き続け、突如として木々に囲まれた山道が終わり野原へと出る。
「わぁ!」
見えたのは今上ろうとしている太陽、そしてそんな太陽に照らされる壁に囲まれ奥の方に大きな城がある大きな町、と言うより国が見えた。
若干の暖かさを感じる風が流れてきて俺の長い水色の髪を揺らす。目を閉じて風を感じながら、ゆっくりと深呼吸しながら目蓋を開き向こうに見える町を見据える。
折角の異世界だ、ラスボスだとバレず勇者に殺されないよう、楽しくこの世界を旅して見せる!
「今から俺……いや私はルシナ・ヴァンゲインとしてこの世界生きていく……さぁ、私の旅の始まりだーー!」
そう叫びながら私は目の前に見える町の門へと駆け出した。
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