ダフネ・ラウロスが強くても(エリート戦士ぐらい)いいじゃない 作:れいが
フィン団長やロキ様に入団を認めてもらって、先輩である団員達への挨拶を済ませたから今、目の前にいる熊を仕留めたところ。
今からでも一週間分の食糧を蓄えておかないと間に合わないと思うし早めの行動は大事だもんね。
もしも遠征に参加するようになって、食料自給が間に合わなかったら最悪はモンスターを生で食べるしかないかな・・・
まぁ、何とかなるわよね。今はもっと食糧調達を頑張らないと。
「デリャァアッ!!」
ウチは襲い掛かってきたドデカイ猪の下顎へアッパーを叩き込んだ。
一撃で仕留めた方が鮮度が保てるからね。血抜きをしておくべきか悩んだけど、まだまだ足りないからもっと探さないと。
周辺の気を探って、さっき仕留めた熊や猪よりも大きい気を森の奥の方で見つけた。
そこへ向かってみると・・・恐竜がいた。どうやら丁度お食事が終わったみたいでゲップしてる。
その恐竜がウチの気配に気付いたのか、こっちを向くや否や牙を剥き出しにして威嚇してきた。
「玉乗りでも仕込ませてみようかしら」
なんてジョークを言ってる間に恐竜が噛み付こうとしてきたから、ウチはバックステップをして来た道を走り出す。
逃げ切れないぐらいギリギリの速力で恐竜を引き付けつつ、森を抜けて少し右前方に小山があったからそれを利用しようと考える。
「ほらほらこっちこっちー」
一段階速力を上げると恐竜も同じぐらいの速力で追い駆けてくる。
右に反れて小山が目の前まで迫って来たところで、恐竜がまた噛み付こうとした瞬間を狙ってウチは高く跳び上がった。
その結果、恐竜は頭から小山の岩肌を砕きながら激突して脳震盪を起こしたのかそのまま伸びた。
「ま、流石にこの図体を持って帰るのは難しいでしょうし・・・」
ウチはスピリッツソードを伸ばして、長い尻尾の大体真ん中辺りを斬り落とす。
中心に骨があるけど、周りの肉は柔らかいから美味しく食べられそうね。
「じゃ、これだけで勘弁してあげるから。バイバーイ」
未だに伸びたままの恐竜は放っておく事にして斬り落とした尻尾をウチは担いで、食糧を集めてた場所へ戻る。
ケースから右端のホイポイカプセルを取り出すと軽く宙に投げる。煙が晴れると愛用してる冷凍コンテナが現れて、扉を開けると先に斬り落とした尻尾を空いてる棚へ押し込む。
他の食糧になる仕留めた熊や猪もその辺に置いてから扉をしっかりと閉めてスイッチを押す。
冷凍コンテナはカプセルになったからそれを拾い上げると、ウチはオラリオへ戻るためにロキ・ファミリアの誰かの気を探る。
「んー・・・あっ、この気は確か門番の・・・」
ウチはその人の気を特定して瞬間移動する。
景色が大自然から一瞬にしてロキ・ファミリアの本拠である黄昏の館に変わった。
背後には気の特定をさせてもらった門番が立ってて、ウチが居るのに気付いてないみたいだからそのまま素通りして中へ入って行った。
中庭に冷凍コンテナを設置して今日分の食糧を運ぼうと思ったけど・・・このまま持ち歩くとドン引きされそうだから、ここで下処理しておかないとね。
食堂に着くと団員の皆は思い思いに仲の良い人と話してたり食事を摂ってる。
あれだけで足りるんだから羨ましい・・・
「さてと、まずは・・・」
厨房に入って早速調理を始める。一番手間が掛かるのから作りましょうか。
羽根を全部毟り取ってある丸裸な野鳥の首の部分を切り落としてから水で血抜きをして肉を部位ごとに切り分ける。
熊の手はグツグツ茹ってる鍋のお湯の中に突っ込んで柔らかくなってから、なるべく薄皮を摘まんで毛を抜いていく。
別の鍋に芽を取り除いたジャガイモを放り込んでこれも柔らかくすると、熱い内に皮を剥いて両手でぐしゃぐしゃに潰す。
白菜の白い部分とタケノコとショウガとキノコと長ネギを切り刻んでおく。
使わなかったショウガと長ネギを、酢と紹興酒を混ぜた水を張ってある圧力鍋で熊の手と一緒に煮込む。
1時間を10分で煮込める最新機器だから、その間に鶏がらスープの素とオイスターソースとまた紹興酒と砂糖と醤油の煮汁を作っておく。
煮込み終わった熊の手の肉球と要らない硬めの皮を剥いで、その煮汁に投入。後は待つだけ。
残ってたミンチの肉と千切りにした玉ねぎを混ぜ合わせて衣を付けてから揚げていく。
余った衣は手羽先とか鶏むね肉に付けて、5つの切り刻んでおいた野菜と豚肉を煮込む感じに濃いめのゴマ油も入れて混ぜ合わせると、トレイで冷やしておいて春巻きの皮に包んで揚げる。
ピーマンと玉ねぎを刻んで、使わなかった豚肉を色々混ぜた調味料と焼いて回鍋肉にする。
冷えて硬くなったご飯をタッパーから取り出して、しっかり油を慣らした中華鍋で目玉焼きを焼いてご飯を入れる。
焼き色が付くように前後に中華鍋を振ってパラパラにさせながら、塩と胡椒を振りかけてネギと余った肉片を混ぜておたまで掬ってからお皿にポンっと山盛りに盛り付けた。
ラーメンは作り置きの麺を湯がいて、深皿に乗せてから醬油ベースのスープを注ぐとチャーシューとかメンマとかネギを乗せて完成。
肉まんと餃子も作り置きがあったから、それを専用機器で蒸しておく。
ウチの腕ぐらいの魚と猪の肉はお皿に乗せて、気をコントロールしつつ焦げないように気功波で焼く。
ついでに作った卵スープと他の料理、煮込んだ熊の手と色々な揚げ物もお皿に乗せて本日の夕食が出来上がった。
「ふぅー・・・お腹空いた」
作ってる最中からお腹の虫が鳴ってたから集中力が切れそうで大変だったわ。早く食べたいから、配膳車に乗せて皆が食べる食堂へ持って行く。
空いてる席を見つけてウチはテーブルに作った料理を置いていく。それに気付いた1人が一瞬だけウチを見て、また視線を戻そうとしたけど真顔になって二度見してた。
やがて1人、また1人とウチの方に視線が集まってきてる。
・・・やっぱりこの量を食べるなんて普通なら尋常じゃないって思うでしょうからね。でも、サイヤ人だから仕方ない。
「いただきます」
視線が気になりつつもウチは手を合わせてからご飯を食べ始める。
まずは炒飯から。パラパラに仕上がってて卵の甘みと旨味が口の中に広がって美味しい。
春巻きは皮がパリッパリで中は肉汁たっぷりタケノコは歯応えがあって、酢醤油を垂らして食べるとまた違った味になってこれも良いわね。
肉まんと餃子も作り置きとはいえ、ちゃんと中まで蒸されてるから熱いけど美味しい。
一口齧ってサクッとした衣の中からホクホクのタネが顔を覗かせるコロッケをそのまま口の中へ放り込んで味わう。
ショウガとネギで臭みが消えた熊の手も味が染み込んでて普通に焼いて食べるより断然こっちの方が良いわ。
「・・・ダフネ?」
「んぐっ・・・けふっ、アイズ。隣に座りたいなら動かしてもいいわよ」
「あ・・・うん・・・その・・・そんなに食べて、大丈夫・・・?」
「ウチはこれくらい食べないと動けなくなるから。あむっ・・・んぐっ、遠征に参加する時、どうしようかフィン団長達と考えないとね」
ホイポイカプセルで食料を持ち運べるから、それは問題ないとしてそれまでに十分集めないといけないわね。
ちなみに調味料はウチが持ってるのは全部自家製で、今食べてるラーメンとか肉まんと餃子の皮もウチが自分で作ったもの。
遠征の食事回数はまだ知らないけど、ウチはちゃんと1日3食はしっかり食べないと皆の足を引っ張るような事になるなんて絶対嫌だから気を付けないと。
「・・・ごくりっ」
「ん?・・・あぁ、ちょっと食べてみる?ウチのオススメはこれとこれ」
「!。うん、いただきます・・・」
持ってきてた夕食のお皿に一皿分の炒飯とコロッケを2つお裾分けしてあげて、アイズは少し冷ましてから一口食べた。
すると、目を見開いて一度噛むのを止めた。まさか口に合わなかったのかなって心配になったけど、また噛み始めて飲み込んでから次はコロッケも食べた。
あっという間に食べて一息つくと、ウチの方を見ながら・・・
「美味しかった」
って言ってくれた。もう少し感情を出してもらっても・・・
「そっか。食べるのを止めたからちょっと心配になったけど、口に合ってよかったわ」
「そ、その・・・すごく美味しく驚いたから・・・」
「そんな大袈裟な・・・で、後ろの人も食べたいの?」
「あ、えへへ~。バレちゃった?」
ウチの背後からソローッと近付いてきてる時点でバレバレです。
まぁ、勝手に盗ろうとせず声を掛けるタイミングを待ってたみたいだし、悪い人ではないんでしょうね。
「ん~~!美味しい!」
食べたい料理を選んでもらってお皿によそってあげて、一口食べると目を見開くまではアイズと同じだけど声に出して美味しいって少しうるさいくらいに褒めてくれた。
その後は夢中になって食べててちょっと笑っちゃったわ。そんなに慌てて食べたら喉に・・・
「ごふっ!?」
「ティ、ティオナ・・・?」
「・・・はい、これ飲んでいいから」
まだ口を付けてない卵スープを渡してあげたら彼女は一気に飲み干した。
なるほど、この子がガレスさんの言ってたティオナね。確かにこの感じだと3日分食べるのも納得するかも。
「あー、ビックリした。ありがとう、ダフネ」
「ウチの料理を気に入ってもらえて嬉しいけど喉詰めないようにね」
「あはは。うん、じゃあ、この長いのも食べてみていい?」
「ええ。アイズもまだ食べたかったらお好きなのどうぞ」
「いいの・・・?・・・それじゃあ、これとこれ・・・」
また炒飯とコロッケ?・・・まぁ、オススメって言うくらい味には自信があるからいいけど。
そう思いながらウチも2人と一緒に舌鼓を打って夕食を堪能する。それを見てた皆はまだ少し引いてる感じはするけど、食事を再開してたわ。
「あー・・・ダフネ、その料理の食材は本当に自分で入手してきたのかい?」
「もぐ・・・んぐっ、はい。とりあえず3日分は持ちますね」
「3日か・・・こちらとしては助かるけど、ロキやリヴェリアが言ってたように無理はしないようにするんだよ?」
「はい。それから・・・良ければお一つどうぞ。それが気になってるようでしたし」
「おや、まさか気付かれてるとはね・・・それなら、いただきます」
フィン団長は肉まんを一つ取って食べると、間を置いて目を丸くしたまま少し驚いてるように見えた。
どうやら予想よりも美味しかった、って感じなのかしらね。
「・・・とても美味しいよ。ありがとう、ダフネ」
「お気に召してもらえてよかったです」
そうして食べながら去って行くフィン団長を見送ってると・・・なんかすごい気が激しく高まってるのを感じて周囲を見渡してみる。
ウチの座ってるテーブルとは別のテーブルに座ってるティオナと同じアマゾネス・・・というかこの感じ、もしかしてティオナの姉妹?が、ウチの事を恨めしそうな形相で睨んできてた。
ウチ、何か不都合な事でもした?フィン団長に肉まんをあげただけなのに・・・
こっちに来ない内に逃げた方がよさそうね。とりあえず食べられるだけ食べて・・・あ、こっちに来るわ。
「アイズ、ティオナ。ウチ、ちょっと用事思い出したから食べられそうなら食べて?」
「え・・・?」
「いいの?やったー!」
喜んでもらえて何よりだけど、もう逃げないと。
ウチはラーメンの汁を飲み干して3つ残ってる手羽先の1つを手に取ってから食堂を後にする。
ヤバイヤバイ。明らかに敵意を持ってたわよね・・・まさかいきなり誰かと険悪になるなんて・・・
「チッ・・・逃げやがったか・・・」
「あれ?ティオネ、ダフネに何か話でもあったの?」
「・・・まぁ、そんなところだけど行ったなら仕方ないわね・・・それ全部、そんなに美味しいの?」
「うん・・・食べてみる?」
「じゃあ、一つ貰うねー。あーんっ・・・んわっ、本当に美味しい!」
「エルフィ、貴女いつの間に・・・ってロキまで・・・」
「いやー、ひょっと美味ひほうやから気になっへ・・・あ、皆も食べてみてやー。ホンマ美味いでこれ」
「ちょ、ちょっと皆して・・・あー、もう!私も食べるわよ!」