ダフネ・ラウロスが強くても(エリート戦士ぐらい)いいじゃない 作:れいが
芋虫のモンスターの大群に襲われてる皆を救うべく、ウチは50階層へ瞬間移動していった。
故意じゃないにしてもリヴェリア副団長のパフパフを触っちゃったからビンタされたけど、モンスターの大群を気で吹っ飛ばしてかめはめ波で全滅させた。
その次に、その芋虫のモンスターの親玉が現れて、ウチはアイズと共闘して皆が退避するまで殿を務める事になった。
「ダリャリャリャリャリャッ!」
跳び上がりながら芋虫のモンスターの親玉の胴体を殴り付け、最後に胸部へ回し蹴りを叩き込んだ。
轟音を立ててモンスターの親玉は倒れて、巨体で木々を薙ぎ倒しながら土煙が巻き起こった。
ウチは着地すると、皆が居る位置を気で感じとりながら確認してアイズに知らせる。
「触手からも気色悪い体液を撒き散らすから、皆の所まで届かないよう階層に端まで追い込まないと」
「うん・・・!、立ち上がるよ」
「じゃ、今度はアイズに任せるよ。援護するから」
「お願い」
ウチはアイズと同時に駆け出して同じ速度でモンスターの親玉に近付いて行く。
それに気付いたモンスターの親玉は腕の羽を振るって、爆発する粉塵を振り撒いてきた。
アイズはそれを見に纏う風で吹き飛ばそうとしてるから、ウチもそれを真似てみようと思った。
「爽やかなそよ風をプレゼントしちゃおうかな」
両手を合わせて気を溜め込むと、右腕を引いて肘を曲げたまま振るい上げる。
気を溜めて生み出した風はそよ風どころか爆風並。アイズの風にも劣らない勢いで粉塵を押し戻していった。
粉塵の爆発に飲み込まれてモンスターの親玉は自滅する。
「今のは・・・気でつくり出した風・・・?」
「まぁ、そんなところ。・・・よし、皆何とか出入り口まで退避したみたい」
「撤退完了の信号が上がった。倒すよ、ダフネ」
「わかった。譲ってあげるから一撃で決めてよ!」
ウチは舞空術でモンスターの親玉よりも高く飛翔。
空中で両手を広げて勢いよく合掌しながら、さっきと同じように気を溜めていく。
但し、今度はその気を何万ボルトかの電流に置き換えていて、指同士をくっ付けたまま掌だけを離した。
その途端に稲光と雷鳴が走り、両腕を突き出しながら電撃が迸る手を翳した。
「ダフネ・・・何をするつもりなの・・・?」
モンスターの親玉がウチに向かって気色悪い体液を吐き出そうとするけど、それよりもウチの方が断然早い。
両手を持ち上げながら更に電気を集中させて、もう一度両手を突き出す。
「萬~~國~~っ!驚天掌ぉお~~~っ!」
掌から黄色い電撃を放射して、モンスターの親玉に命中させた。
モンスターの親玉の全身を電撃が覆って、動きを封じるのと同時に持続的に感電させ続ける。
本来なら持ち上げるところだけど、アイズに狙いを定められ易くする為に、敢えてその場に留まらせてウチは萬國驚天掌を放ち続けた。
「アイズ!」
「・・・うんっ。【リル・ラファーガ】・・・!」
アイズは風を最大出力で纏いながら突起している岩を蹴って、目に見えない程の速さで向かって行く。
突き出された剣がモンスターの親玉を貫く直前にウチは萬國驚天掌を止めた。
体の自由を取り戻したモンスターの親玉は防御しようとするけど・・・もう遅い。
閃光の如く突き抜けたアイズの剣はモンスターの親玉を貫いて右半身は粉々になった。
背後から地面に倒れた直後、全身がブクゥッと破裂寸前の水風船みたいに膨れ上がる。
アイズの位置を確認して爆発する範囲からもう退避してるとわかったから、ウチもなるべく離れてた。
モンスターの親玉は破裂するようにものすごい威力の爆発を引き起こして、階層全域に爆風が吹き荒れる。
爆発に伴って体液も広範囲に撒き散らされたけど、退避した皆の所までは届かなくて幸いだったわね。
「お見事。魔石ごと貫くなんてね」
「体のどこにあるのか、わからなかったけど・・・何とか倒せた・・・」
アイズも一か八かの賭けであの技を繰り出してた訳か・・・
まぁ、見た事もないモンスターだったみたいだから仕方ないよね。
「じゃあ、皆の所へ戻りましょうか。心配してると思うし」
「うん・・・ダフネ」
「ん?」
「・・・ありがとう」
「・・・どういたしまして」
アイズにお礼を言ってもらえてウチはすごく嬉しかった。これでまた仲良くなれたと思うから。
皆の所へ戻る前に、全身から気を放出させる勢いで爆発で燃え上がってる木々を一気に鎮火した。
これで火傷せずに済むよね。そうしてアイズと一緒に歩いて、ウチらを待ってくれてる皆に手を振って大丈夫なのを伝える。
その時、皆が大喜びして歓声を上げてたのは一生忘れられないだろうね。
皆で協力してどうにか深層の最初にある安全階層まで上がる事が出来た。
ウチが背負ってた物資も結局は捨て置くしかなかったみたいで、ほとんどジリ貧な状態で上がらないといけない厳しさをフィン団長の顔から伺えた。
特に重傷者にあげないといけないポーションも少ないみたい。
・・・人数は結構いるにしても、今治療してあげないと手遅れにりかねないし、ここはあれの出番だね。
ウチはケースから取り出したホイポイカプセルのスイッチを押して宙に投げる。
爆発した所から煙が晴れるとメディカルマシーンが現れた。これは移動設置型だから地面に直接固定できるタイプだよ。
「ダ、ダフネさん、これは一体・・・?」
「怪我人をすぐに直せる魔法の装置と思っていいよ。一番怪我の酷い人は誰?」
「あ、こ、こちらに・・・!」
ウチの言葉に治療師を担ってるリーネはすぐ察してくれたみたいで案内してくれた。
その人は、あのモンスターが吐き出した体液を浴びせられたせいで、顔を含めて肩から腕全体の皮膚がほとんど溶かされていた。
呼吸も苦しそうでポーションを咳き込んでしまうから飲むのもままならないみたい。
リーネ以外の治療師にも運んでもらうようウチは頼んで、その人をゆっくりメディカルマシーンの中に座らせた。
こめかみ辺りに脳波測定をするための吸盤を貼って、鼻まで覆う呼吸器を口に装着させると扉を閉める。
コントロールパネルを操作する事でメディカルマシーンの中には特殊な液体で満たされていく。
「ダ、ダフネさん!?お、溺れてしまいますよ!?」
「呼吸器がしっかり密着してるから心配はないよ。仮に外れたら自動的に液体は強制排出されるから」
「そ、そうなんですか?それなら、安心しましたけど・・・こんな治療法は初めて見ましたね・・・」
「怪我の程度にもよるけど、この傷なら完治するのに3分ぐらいかな。腕とか足が欠損してたら再生するまで20分は掛かるけど」
そう答えたらリーネは驚いて眼鏡をずり落としてた。運んでくれた他の治療師の皆も目を白黒させてる。
「さ、再生というと・・・結合治療とは違う治療法ですか・・・?」
「まぁ、腕がちょっとでも残ってるならそれをくっ付けられるけど、元から無くなってる場合は欠損部からトカゲの尻尾みたく生える感じね」
「はぁ・・・そんな事が出来るんですか、この装置は・・・」
中の様子を確認出来る半球型の窓に触れてリーネはため息をつきながら感嘆してる。
魔法で回復させたりポーションとかエリクサーで怪我を治すのが当たり前だけど、失った体の一部を元通りにするのは難しいと思うからね。
「ダフネ。フィンが呼んでるから来て・・・?」
「・・・あー、わかった。じゃあリーネさん。ビビーってブザーが鳴ったら開くから出してあげてね」
「わかりました。この魔法の装置は、ここに置いたままでいいですか?」
「うん。話が終わった後、他の人もすぐに治療してあげるから」
リーネさんに後の事は任せるとして、ウチはフィン団長の所までアイズに付いて行く。
着いた場所にはテントも無いから、丸太をなるべく円形に置いてそこへ幹部の皆が座れるようにしてある即席の会議室・・・部屋でも何でもないから会議場って所かしら。
「さて・・・ダフネ。リヴェリアや皆を助けてくれて本当に感謝しているよ。だけど・・・色々聞かなければならない事があるから、答えてもらえると助かるかな」
「わかってますよ。それを覚悟の上で助けに来たんですから」
「ふむ・・・それじゃあ、まず最初に君はどうやってここまで来たんだい?どこまで潜っていたのかは定かではないけれど、50階層まで一気に降りられる筈がないと思うからね」
まぁ、最初の質問としては妥当な所ね。
ウチは言葉にして答える前に2本の指を額に添えて・・・気を探り当てると瞬間移動をする。
「えぇ!?消えちゃったよ!?」
「んな訳あるか。目に見えない速さで誤魔化してんだろ・・・ほら見ろ、すぐに出てきやがっ、た・・・?」
「・・・どうも。ロキ・ファミリアの皆様、ごきげんよう」
「アミッド・・・?」
ウチと手を繋いでるアミッドを見て、名前を呼んだアイズ以外のフィン団長はもちろんリヴェリア副団長もガレスさん達も言葉が出なくなってた。
アミッド本人もいきなりの事でとりあえず挨拶をしてるけど、その後はただ状況を飲み込めず立ち尽くしてる。
ちなみに彼女と出会ったのはつい最近の事。
所属してるファミリアの治療院でガラの悪い冒険者が突っかかってたから丁重に黙らせて追っ払ったのがきっかけ。
肩に掛けてるバッグには治療をしてもらうための色んな薬品とかが入ってる。
「アミッド。重傷の人はあっちに居るから、もし迷ったら誰かに聞いてね」
「・・・少々、混乱していますがわかりました。フィン団長、治療させていただきますね」
「あ・・・ああ・・・是非ともよろしく頼むよ」
アミッドはそそくさとその場から立ち去って、ウチはそれを見送ると未だに驚いたままのフィン団長に説明を始める。
「今のは瞬間移動という技で・・・読んで字のごとく今自分が居る地点から誰かの気を探って場所を特定すると一瞬で移動する事が出来るんです」
「・・・疑問が一気に晴れて何よりだよ。本当にとんでもない事をやってのけるね、君って奴は」
「ねぇねぇ!あのデッカイモンスターの頭の上まで浮かんでたのもそうなの?」
ティオナの質問にウチはまた答える前にその場で軽く浮かび上がる。
ただ、これだけだと面白みに欠けるから・・・気を放出させて一気に上昇すると皆が見える範囲で旋回しながら円を描く。
1周して、同じ位置にゆっくり降下すると着地した。
「これは舞空術っていう体内の気をコントロールして浮かんだり飛行したりできるの。故郷のパオズ山からオラリオまで移動してきた手段がこれって訳」
「あの・・・それなら瞬間移動を使った方が早かったんじゃ・・・?」
「瞬間移動は見知らぬ場所へ行く事は出来ないし、人が大勢集まってる場所なんていっぱいあるからオラリオを特定するには知ってる気が無いと無理なの」
ウチの説明にレフィーヤは納得してくれて頷いてた。
舞空術について質問してたティオナは目を輝かせて自分もできるようになりたいって言ってるみたいだった。
次はアイズが皆の前で自己紹介をした時と同じように手を挙げて質問してきた。
「モンスターの大群を倒したあの光・・・あれはどんな技なの・・・?」
「ウチの師匠が編み出した、体内の気を凝縮させて一気に放出させる・・・その名もかめはめ波だよ」
「かめはめ、波・・・」
「師匠は完璧に会得するまで5年かかったけど、ウチや同じ門下生はすぐに会得したからめちゃくちゃ落ち込んじゃってさ・・・」
萬國驚天掌も見よう見まねでやったからブチギレられて、あの時は破門にされそうになったけど何とか許してもらえて本当によかったと思う・・・
まぁ、それはそれとして大方フィン団長が答えてほしかった事は教えたし、他にないなら・・・
「最後にいいかな?・・その技のどれか1つでも、僕らが身に付けられると思うかい?」
「・・・瞬間移動はウチでも6年はかかってますし、舞空術やかめはめ波と同じ気功技も基礎基本ができないとまず無理です。皆が本気で身に付けようとするなら教えますけど・・・出来るかどうかは皆次第としか言えません」
「・・・そうか。うん、それだけ聞けて満足だよ。改めて、ありがとうダフネ」
フィン団長は深く頭を下げて礼を言ってくれた。ウチはそれにお辞儀で返して、他に話したい事がないかを確認してからアミッドの所へ向かった。
「・・・かめはめ波・・・」
「あれ?もしかしてアイズはかめはめ波を教えてもらいたいの?じゃあ、一緒だね!あたしもかめはめ波ぁー!って使えるようになりたいもん!」
「ア、アイズさんがそれを言うと、ちょっと・・・あの光の剣の方がピッタリだと思いますよ?」
「うん・・・そうだと思うけど・・・でも、やっぱりかめはめ波を・・・」