「 〈魔法広範囲最強化現断〉! 」
マカマカが巨大ゴーレム目掛けて大鎌を振るい、不可視の刃を放つ。この〈現断〉はかつてギルドアインズ・ウール・ゴウンに所属していた至高の四十人、たっち・みーのような「 ワールド・チャンピオン 」の専用スキル〈次元断切〉の劣化魔法版。消費MPこそ嵩むものの、それに見合った威力と、「 一切の魔法防御系スキル、耐性を貫通する 」という恐るべき能力を持つ。即死魔法なども器用に使い分ける魔法戦士のマカマカにとっての最高クラスの攻撃魔法である。
魔法広範囲化によって刃は大きくなり、さらにそれまでのダメージも蓄積して、ようやく胴体に切れ目をいれ、そこが崩れる。しかし、この像はよほど強固に作り替えられているようだ。未だに止まる気配がない。
「 はぁ、はぁ・・・まだ壊れないのかよ。この石屑野郎! 」
「 あいも変わらず、こうなると汚え口が出るよな、お前。 」
「 汚い口だって聴くよ!なにこのゴーレム、アホみたいに硬いじゃないか! 」
「 オレに聞くな。これはそこらの石造りの耐久力じゃねぇ。アリスティのやつ、またへんな方面で努力しやがって・・・ 」
カッツェもマカマカもうんざりしていた。撃てども撃てども像は壊れない。魔導王の威を借りたこの巨像がゴーレムとして動き出してから、何時間経ったろうか。この分で壊れないとあれば、カッツェは奥の手のあの鎧を使う他ないかと考え始める。が、以前YGGDRASILから転移した後に使用したその後の筋肉痛が酷かったや、相手が生身ではない無機物系モンスターであることもあってか、使うのをどうしても渋っていた。
「 ああちくしょう!何処いったんだ、バオー! 」
「 呼んだか? 」
「 え? 」
間の抜けた声が漏れた。まさしく今名前を叫んだ相手が、急に現れたからだ。隣には魔導王もいる。
〈上位転移〉だろうとすぐに察することができた。
「 いいとこに来やがった。 」
「 遅いよ! 」
「 悪い悪い、地下でちょっとな、モモンガさんと探検してた。 」
「 どうも見過ごせないものがあったので探りを入れていたのですが、地上の事態が悪化し始めていると聞いて、一度打ち切ってきました。」
「 それって、彼らのこと? 」
マカマカは地上から自身らを見上げるネイアやシズ、聖王国の国民たちを見た。中にはシャルティアもいる。
「 アレに向かってこうとしてたから、ボクが止めといたよ。魔導王陛下の御使いだって。 」
「 そ、そうですか・・・それはよかった。 」
アインズは複雑な心境だった。自分がこの国で尊敬を集め、崇拝までされてそれが結果まで残していることは知っているが、まさかそれによってどデカい自分の像がゴーレムとして暴走し、聖王国民たちが決死の特攻まで仕掛けようとするまでの事態になることも、それを止めたのが自身の配下の他に、この見ず知らずの美少年であることも、想像などしようがなかったのだから。
が、しかし自らを「 魔導王が使いにやったものだ 」と名乗って国民たちを止めてみせたマカマカも大したものだと感心する。この国の者たちは魔導王を信仰すれど、その配下で実際に面識があるのは、アルベドくらいなものだ。アウラやシャルティアとは会ったことがないので、一見すれば、子どもにみえる彼女たちが魔導王の下僕だと名乗っても、いまいち信憑性に欠けるのは事実だ。意図してか否かその点を突いて如何にもアインズの手下の騎士にみえるデュラハンのマカマカの説得が際立ったのだった。更にアインズ自身は知らないが、国民たちは二人に対して「 魔導王陛下の所在 」を聞いており、それに対して、あのゴーレムよりも強いが、力が強すぎて被害が大きくなるので、自分が来たということにしたことで、彼が自ら討伐に動いたヤルダバオトの強大さが際立ち、魔導王自らが動かざるを得なかった魔皇も、そしてそれを倒してみせたアインズ自身の規模の大きさを誇張し、それほどの大事とはなり得ないと国民たちに一定の安心感をもたらすこととなる訳である。実際今、この死の支配者が目にする人々の顔は、少しばかり顔が頑張る者もいたが、何処か落ち着きはじめているようだった。それは、彼自身が姿を現したというのも、あるのだろうが。
「 それよりも、アレを対処しなくては。マカマカさん、でしたね。貴方とは、後ほどお話ししたいのですが、いかがか? 」
魔導王は自身を模した石像を見つめる。これが暴れたせいでせっかく属国にした聖王国が荒らされるという憂き目に遭っているわけだが、それ以上に自分そっくりなゴーレムが街でギルドメンバーでいえば、たっち・みー辺りが好きそうなテレビ番組の怪獣よろしく街を破壊しているというこの事態そのものが、恥ずかしくて恥ずかしくならなかった。実をいうと彼は、初めてこの像の暴れる様を見た時に、感情抑制が入っていた。骨でなかったら顔は真っ赤だったろう。マカマカの指摘通り、彼は目立ちたがり屋ではないのだ。
「 うん、いいよ。 」
マカマカは快く頷いた。
「 それはよかった。 」
「 ではあれは、オレが処分しましょう。モモンガさんにこれをみせる良い機会だ。 」
嵐呼びをしまい、万雷神の槌に持ち替えたバオーが前に進む。魔導王像と対峙すると、彼の腕に、全身に青白い電流が迸るのを、アインズは感じ取る。
今彼が放とうとしている魔法がなんなのかも理解できた。アルベドに大きなダメージを与えた、彼独自の魔法だ。
「 これは威力こそあるが、未だに未知数。破壊しきれるかどうかは分からない。が、アレは二人がそこら中にヒビを入れてくれたおかげで脆くなっている。不安要素が少ない今なら、問題なく撃てる。 」
槌を構えた右腕に、電気エネルギーが収束する。
彼を中心に、磁場が発生しているようだった。さながらバオーは生きたコイルのようである。
彼の周囲に巻き付くように、電流が束となり、やがてそれは長く太い尾を形成し、最先端は顔のような形状となる。
「〈魔法最強化〉・・・」
「 あ、アレが・・・ 」
「 なにが、起こってるんですか。 」
「 わからない。でも、すごいなにか。 」
その有り様をみていたシャルティアは驚き、ただ呆気に取られていた。ネイアとシズも、同様だ。あのバオーに巻き付く雷の塊。電流が形作るそのヘビのように長き尾は龍を思わせる。この世界の人間がパッと思いつくようなドラゴンではなく、雨を降らせ恵みをもたらすという、東洋の龍である。
「 あんな魔法、初めてでありんす! 」
この真祖吸血鬼には、その生きているかのような眼光が、愛しき君を模倣し、その威光を冒涜する巨像を睨みつけるように見据えていた。いまにも襲いかからんとしているようだった。同時にそれを目の当たりにする彼女も血の気が引く思いであった。あの日、アインズに同行しブリュスタへ転移した彼女は、パンドラズ・アクターとともに城に入って内部を確認する前に、この魔法を喰らったアルベドの有様を目の当たりにしていた。それゆえにこう考えてもいた。あの魔法の対象が、自分であったのなら。
――もしアレをまともに受けたら、確実に消滅する。そう思えるほどの脅威を、シャルティアは感じ取っている。それこそチリ一つ残さずに、この世界から消え去るだろう。おそらくアインズ様でさえ、消し炭にしてしまいかねない。そう思うと、アルベドはよくアレを耐えたものだと感心もしてしまう。そこは流石彼女たちのリーダー、守護者統括といったところか。そしてアインズも、これとまともに戦おうとせず、仲間に引き込もうとしている。ギルドメンバー加入という形でもって彼らを御するのは、賢明な判断なのかもしれない。流石アインズ様、とシャルティアは頭の中で呟いた。
その他にカッツェにマカマカ、その場にいた誰もが、見入ってしまっていた。シャルティアを除いては唯一アインズが、この初めて見る魔法を目の当たりにして、なおも冷静に〈魔力の精髄〉を唱えていた。
「〈雷霊龍神〉!!!」
轟くような叫びとともに、バオーは万雷神の槌を振り下ろす。その目は青白く発光していた。紺色の雷龍はそれに呼応するが如く吠えて、その長い尾をくねらせ大口を開けて、魔導王像に襲いかかる。その牙がゴーレムの胴体を捕らえた時、それまでその身に受けてきたヒビ傷が広がって青白い稲光が走り、爆散せしめる。あれだけ巨大だった魔導王の像はこの一撃の下に砕け散り、破片や砂煙となって大地に還っていった。
それを見た民衆たちからは、歓喜の声が上がる。
「 やった・・・やったぞ! 」
「 陛下の御使いが、ゴーレムを滅ぼしてくれた! 」
「 魔導王陛下、万歳!! 」
この国における、魔導王の地位がより高まった瞬間であった。人々は抱き合い、この悲劇の終わりを心の底から喜び、中にはむせび泣くものすらもいる。カッツェやマカマカ、シャルティアにバオーも、その様をただ見守っていた。ただ一人、モモンガは先ほどのバオーの〈雷霊龍神〉を分析、考察していた。〈魔力の精髄〉で見えているバオーの魔力は、あの魔法を放つ前よりも減少していた。
( あの威力。防御特化のアルベドを倒しかけたのも納得がいく。確かにあれは第十位階クラス。あれだけのものを自力で生み出したのか。だが、その分MP消費は大きい、か。それに溜めも長い。流石に超位階魔法程ではないが、タイムラグがあるというのは致命的な欠陥になりえ・・・ん? )
アインズはその白い頭蓋骨に、光が差すのがわかった。
日の出だ。暁が、陽の光を眩く放ち、聖王国の夜明けを讃えているかのように昇っていく。被害に遭わなかった建物や、崩れ去った瓦礫。それらを区別せずに太陽が照らしてくれた。アンデッドである彼の目に、これほどこの光景が美しく見えたのは、初めての事だった。
「 ブループラネットさんに、見せたかったな。 」
闇の世界、悪魔の巣窟ナザリック地下大墳墓の長たる死の支配者。そんな彼は今、もはや会えぬであろうかつての仲間が、自然をこよなく愛していたことを想起していた。今、彼はどうしているだろうか。この大陸西側のほぼすべてを手に入れた彼であるが、時折己の黄金期を思い返しては今に引き戻され、
こうして、失くした哀しみが疼いていくのである。
その刹那、脳裏に聞き慣れた声が響いた。
『 アインズ様。 』
自分の為に尽くしてくれる忠臣。ナザリック一の知恵者とも呼ばれる男の声である。アインズは側頭部に指で触り、その〈伝言〉に出る。
「 デミウルゴスか。 」
『 帝国の闘技場の件でまずご報告がございます。アベリオン丘陵にて、私の方で多数の亜人たち、アインズ様が以前殲滅なされた豪王バザーの嫡子ら亜人連合の種族の生き残りたちを確保いたしました。 』
「 バザー。あの山羊人か。彼の子息ならば実力は期待できるな。 」
『 父親同様武器破壊の武技も使えるそうです。本人も戦いに意欲的な姿勢を見せています。 』
「 そうか。であれば帝国に赴き、闘技場に彼らを押し付けろ。手荒くするんじゃないぞ。 」
『 かしこまりました・・・しかしながらアインズ様。闘技場が賑わないという事情を突いて、属国である帝国に恩を売り、支配体制をより盤石なものとし、数を大きく減らした亜人たちに食い扶持も与えて反逆の意思も削ぐ算段。私には考えつかなかったことでございます。 』
「 まえもいったが、お前は私をかい被りすぎる。 」
『 そのようなことはございません。ではこれで。 』
通信はこれで切れた。
「 さて、次だ。 」
アインズはまた別の下僕に連絡を取ることとした。一抹の、暴走してなにかしでかすんじゃないかという不安に駆られ、ひやひやしながら。
「 アルベド。 」
『 アァインズ様。いかがなされました? 』
「 聖王国でお前が案を出した像だが、プレイヤーの一人が手を加えて騒動を起こした。 」
『 な、なんと!? 』
アルベドは驚愕した。まさかそのようなことができるものがいるとは、思いもよらなかったのだ。
「 そのもの、アリスティはアウラに追わせている。捕らえ次第こちらに引き込む予定だ。問題を起こしたのはともかく、彼女のゴーレム作成能力は、るし★ふぁーさんに匹敵するからな。 」
『 あの、至高の御方々が一人、るし★ふぁー様ですか? 』
アルベドは基本的にアインズ以外のギルドメンバーを快く思っていない。が、その中でも上位に来るのが、るし★ふぁーであった。彼はいたずら同然に、高レベルゴーレムのトラップを仕掛けていることが多く、以前彼女が浴場で掛け湯をしようとした時、彼のレオゴーレムが襲い掛ってきたこともある。そんなこともあってか、アリスティがろくなプレイヤーでないことを、アルベドは察するのだった。
『 アァインズ様、そのような者をギルドにいれるのは、お辞めになったほうが良いのでは?彼女はおそらく、ナザリックに災いをもたらす存在になりえます。 』
「 そういうだろうと思ってな、一つ考えがある。 」
『 なんでしょうか? 』
「 アルベド、お前が彼女を教育するんだ。殺さぬ程度に。お前好みに仕込むことを許可する。 」
『 宜しいのですか? 』
「 よろしい。私が許す。そしてアリスティさんにはまずレメゲトンの悪魔像残り5つを補填してもらう。 」
『 宜しいのですか? 』
「 宜しいのだ。 」
『 るし★ふぁー様に面目が立たないのでは? 』
「 るし★ふぁーさんなら、娘が見ない内に成長していた気分で受け入れてくれるだろう。 」
勿論、これは大嘘。いつかのモモンガの言葉を借りれば、ブラフである。職人気質のるし★ふぁーが、他人の仕事を認めるなど考えにくいことくらい、彼を見ていたモモンガは理解していた。が、アルベドを納得させるには、これくらいはいっておかねばならないとも思っていた。ゆえにこんな見え透いた嘘を吐くこととしたのだ。
一方のアルベドもそれに気づいていた。が、自身のバオーに対する鬱憤を満たせる良い機会であり、なりより愛するモモンガの命とあれば、首は横に振る選択肢はなかった。
『 わかりました。モモンガ様、私にお任せください。 』
アルベドとの通信も、これで切れた。
「 モモンガさん。 」
「 ん、なにか? 」
「 あれ、どうしますか? 」
バオーが指差した先、アンデッドともゴーレムともつかぬような異形に成り果てた、哀れな聖騎士が、地べたを這いつくばっていた。そういえば忘れていた。彼女の存在を。
「 う、うぅ・・・ 」
レメディオスだったフレッシュゴーレムはただ地を彷徨っている。バオーの〈連鎖する龍雷〉では機能停止にまで至らなかったようだ。その様はなんとも無残なものだった。
「 うぉおおおお・・・ 」
奇声を上げて、うつ伏せになり、背の蜘蛛のような機械の脚を起用に動かすレメディオスを、民衆はまるで化け物をみるような目でみていた。ただ一人シズは、魔導銃を向けていまにも発砲しようとしており、ネイアはそれを必死に静止していた。
「 駄目です先輩! 」
「 コイツ、ネイアいじめた。殺す。 」
NPCの中では比較的カルマ値の高いシズであるが、血の気の多い部分はやはりナザリックの住民だとアインズは感じた。そして、彼女が銃口と殺意を向けるゾンビもどき。思えば、この女も哀れなものだ。女王にも神官団団長だったらしい妹にも死なれ、そして果ては、コレである。彼女の事自体はどうでも良いのだがガゼフに並ぶ実力のある戦士だったのだ。バオーのように手向けというわけでは無いが、せめて誇りある最期を与えたやりたい。
「〈心臓掌握〉」
レメディオスに自身の十八番とも呼べる第九位階魔法を放つが、まるで効いていない。やはりアンデッドとしての性質を持つゴーレム故か。
デスナイトには出来そうだが、それでは格好がつかない。どうしたものか思考を巡らせた末、
「 あ、そうだ。 」
モモンガに電流が走る。勿論、彼の肉体が雷に打ち砕かれるわけでは無いが。
それから、何時ほど時が経ったろうか。
「 うう、ここは・・・? 」
何処か暗い部屋の中、一人の少女が目覚める。両手に手錠を掛けられ、天井に鎖で繋がれている。金髪のショートヘア。橙色の目にカーソルのような瞳。明らかに人間に見えない身体特徴が気にならぬような、美しいフォルム。そう、彼女こそが、アリスティである。意識がはっきりとしたオートマタはそれまでのことを整理した。
巨大ゴーレムが暴走の末に破壊され、これ以上は聖王国に居られないと判断した彼女は、荷物を纏めて、とっととトンズラしようと考えた。宛はともかくあの国を発たねばならないと準備を急ぐが、その時、確かな視線を感じたのである。辺りを見渡しても、誰もいない。が、確かに視られている。間違いない。レンジャーのスキル〈空の目〉だ。自分は今、誰かに観測されているとしったアリスティは、追跡から逃れようと自分用に調整したパワードスーツに乗ろうとした。が、なにが起こったのだろうか。動かない。身体が云うことを聞いてくれない。乗ろうという意思ははっきりしているが、その場から進めない。まさかと思い、後ろを見た。自身の影に、矢が刺さっている。
対象の身動きを封じる、〈影縫いの矢〉だ。
もう、追いつかれている。
「 よっと。 」
上から誰かが降りてくる。ダークエルフの子どもか。それもボーイッシュな出で立ちだ。その手には弓が握られており、彼女こそが追跡者であるとアリスティに教えていた。道中には、魔獣ベースのフレッシュゴーレムを放った筈だが、どうやら全部やられてしまったようだ。
青と緑のオッドアイが機械人形をじっと見つめている。
「 あのさぁ、お姉さん。これだけのことしておいて逃げれると思ってるの?それにあの子たち、可哀想だよ。魔獣は生きてるからいいのに。 」
「 お、お嬢さん。私を殺しに来たの? 」
「 違うよ。お姉さんを捕まえに来たんだよ。
〈魔獣の諸相 石化魔獣の瞳〉! 」
少女、アウラの瞳が赤色に変わると、アリスティは自身の身体がみるみる重くなっていく感覚を覚えた。手を見た時、その正体を知ることとなる。
―――身体が、石になっていく。
もはや逃れられぬと悟った時、アリスティの意識は失われた。
ダークエルフの少女はそれを見て肩を伸ばした。
「 ふぅ。久しぶりに使うから、失敗するかなと思ってたけど、どうやら上手くいったみたい。 」
「 そうだ。私はあの子に・・・でもここは? 」
「 目が覚めたみたいねぇ。 」
急に聴こえた女の声にアリスティは驚いた。なんで気づかなかったのだと自身に問うた。この部屋には自分の他にも、もう一人いたのだ。
見目麗しい、白いドレスに金色の蜘蛛の巣のようなネックレスをつけた、見目麗しい淑女がそこにいた。
「 貴女のこと、知ってるわ。超危険人物ですもの。 」
「 危険ねぇ。あんなに大きいゴーレムを作れる貴女に、いわれたくないわね。 」
「 殺さずにおくなんて、私になにかようなの? 」
「 殺さずにおく?ふふ、そんな贅沢なこと、してあげないわ。 」
「 どういう意味? 」
「 ここではね、死はそれ以上苦しまない、最上の慈悲よ。それにね、アァインズ様は貴女のその手先が有用だから、活かしておくことにしたの。 」
アルベドは舐め回すように、アリスティの身体を見ている。いやらしい視線に晒されるオートマタの躯体。魔導国宰相はそういうタチなのだろうかと思っていると、その大きな胸が、モミっと揉みしだかれる。
「 あぁッ! 」
アリスティは思わず喘ぎ声を漏らした。
「 それにしても、よく出来た身体ねぇ。こんなにいやらしいおっぱいまで備えてるなんて・・・ 」
「 いや、やめて! 」
「 だめ。辞めたげない。フフ・・・ 」
さらにモミモミと優しく、綺麗な指が豊満な胸に触れる。アリスティとしては屈辱の極みだ。身動き一つ取れず、身体を成すがままにされている。アルベドはそんなアリスティの恥ずかしがる様を愉しんでいた。さらにこのオートマタにとって、最悪な事実が判明する。アルベドの股間と尻が触れ合った時、なにか大きな管のような物の感覚を覚えたのだ。
「 ま、まさかこれ・・・ 」
「 そうよぉ。私、生えてるの。いっつもいっつもアァインズ様をベッドの上でもお慕い申しているのだけれども、最近はそれだけだと足りなくなってきちゃった♥アァインズ様から貴女を教育するようにいわれてるのだけれど、貴女のこのエッロイ身体、可愛がっちゃおうかしら。 」
「 いや・・・嫌!辞めて! 」
「 怖がる必要はないわ♥すぐに慣れるもの♥私ね、そうやって女の子を何人も抱いてきたんだけど、貴女とあと一人、あの子は特に可愛いわ♥
男に関しては勿論、あの御方一筋だけども♥ 」
そういいながらアルベドは、嫌がるアリスティの洋服を破り捨てていく。人と遜色なく、それでいてつるりとしている人形の躯体が顕になる。さらにブラとパンティーまで身ぐるみを剥がされてしまう。
オートマタの少女は生まれたままの姿を、この淫魔に晒すこととなった。
そしてアルベドも、ネックレスを外し、上着を、下着を脱いで、そのボリューミーな長身の裸体になった。
「 いや、見ないでよ・・・ 」
「 恥じらう姿も可愛いわよ♥ 」
アリスティはだんだんと、嫌な気がしなくなっていっている。サキュバスらしい美しいアルベドの女体に、心の底から高揚感が止まらなかった。今ならば彼女は、バイコーンに乗れるかもしれない。
「 ようこそ、ナザリックへ。 」
オートマタの少女を抱擁した淫魔の女王は、そっと唇を運び、目を閉じて口づけを交わした。その有り様は何処か幻想的で、みるものあればすべてを魅了する程に、美しかった。そして、それを本当に目の当たりにするものが一人。
「 あ、アルベド・・・お前そんな趣味が・・・! 」
彼女の敬愛する魔導王、アインズ・ウール・ゴウン。〈遠隔視の鏡〉でアルベドがなにかしでかすんじゃないかと視ていたが、まさかこうなるとは思いもよらず、感情抑制が入るのであった。
彼の友、「 ペロロンチーノ 」ならば、さぞ喜んだ光景であろう。
アルベドに何故鞘があるのか。設定魔のタブラ・スマラグディナさんが設定に盛り込んだということにしておいてください。
次回、闘技場回。