朝チュン、しちゃった 作:℃゛
目が覚めると、外からは鳥の爽やかな囀りが聞こえるが、室内には何の音も響いていない。
最近はすっかり目覚まし時計が鳴るより前に起きることが日課になってしまった。
そろそろ時間だろう、と真横にある目覚まし時計に向かって伸ばした腕は──正確には肘から先の全てが──モフモフとした極上の感触に包まれた。
「ん、やっと起きたのかい?まったく昨日は──」
誰かの声が聞こえるが、程よい温度と素晴らしいモフモフ、寝起きにこの二つを浴びせられたらもうダメだ、起きていられる気がしない。
意識は再び暗闇に落ちる─────
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直前、頭頂部に走った衝撃に意識が引き戻された。
「私に抱きついて二度寝って、あんたどんだけ肝が太いんだい?」
「え?あ……?…………プルクラ!?」
「おはよ、寝坊助さん。昨日のことは覚えてる?」
そう言われて、昨日のことを思い出そうとする。
昔から仲の良かった彼女と俺は久々に会って、ここで会ったのも何かの縁だと言って二人で飲みに行った。
そして……、そこから先を思い出そうとして、彼女の乱れた姿が脳裏に浮かびすぐさまそれを思考の端に追いやり回想を終わらせる。
そこまでの流れがどうであれ、あの記憶が俺の脳内に存在しているということは、俺と彼女は勢いでヤってしまったということだ。
「すいませんでした」
そう言って俺は今渡せる限りの
彼女がこんな時に欲しがるのは大抵これだろうと目星がついていた。
しかし、差し出した手の上からその重みが消えることはなかった。
「……だ」
「ん?」
「あんたと、金だけの関係になるのは……嫌だ」
彼女はそう言って、少し目を逸らした。
彼女の自慢の毛並みで隠されてはいるが、その顔は耳まで赤く染まっているのだろうと容易に想像ができた。
「……まずは恋人から、断るなんて言わないだろうね?」
「あ、あぁ、言わないよ」
「なら良いんだ。んじゃあ私は帰るよ、今日も仕事があるからね」
プルクラは俺に背を向けると、そのままそそくさと部屋を去っていった。
恋人に、と言った割には素っ気ないような気がしていたが、その日の昼頃に彼女からメッセージが届いた。
『今朝は急いでたから、ごめんよ』
彼女から、カレンダーのスクリーンショットが送られて来る。
カレンダーの数日後のマスには赤い丸が付けられている。
『この日、空いてる?』
空いている、と返信すると数秒後
『また飲もう』
『今度は、私の部屋に誘うから』
簡潔な文章だったが、今までに無い速さで送られてきたことから、彼女のこの日を期待する気持ちが伝わって来るような気がした。
取り敢えず、この日には何かプレゼントを持って行こう、そう決意して眠りにつくのだった。
お酒に頼りすぎている気がしているので、なんとかするべく次回はエレンを書きます!(決意)
そのため、今回以上に期間が空きそうですが気長にお待ちください