朝チュン、しちゃった 作:℃゛
朝、心地よい鳥の声と日差しの中で目が覚めた。
上体を起こし、ベッドから出ようとすると雲嶽山の宗主であり俺を拾った師匠でもある女性、儀玄の声が俺を呼んだ。
「……ようやく目を覚ましたな、バカ弟子。茶を淹れたところだが、一杯どうだ?」
「いただきます!」
そう返答して、ふと違和感を覚える。
だが、寝起きで働かない脳はその違和感の正体をいまいち掴むことができず、雲のようにバラバラになって消えていった。
俺が渡された茶を半分ほど飲んだ頃、俺の反対側に座っていた師匠は俺の隣へと席を移した。
「さて、昨夜のことを覚えているか?」
そう言われて昨日の記憶を掘り返そうとする。
すると、朧げだった記憶たちの奥底から、不鮮明な記憶が脳裏に浮かび上がって来た。
『……師匠じゃなくて、名前で呼べ』
『んっ、そうだ。……もっと、激しくっ』
瑞々しい肢体の感触、背中に巻き付く腕の熱さを思い出す。
「……これ、は」
「夢ではない、それはつい昨日のことだ。お前も私も、調子に乗ったな。……断片的に復元できた術法を私とお前の体に試したんだ、昨日の様子から見るに──発情か、酩酊のどちらかだろうな」
「……っ」
彼女の言葉に息が詰まった。
それは、過ちを犯したという罪悪感と、脳裏に蘇る淫らな記憶と感触が現実であったことへの、悦びにも似た感情が呼び起こすものだった。
しかし、師匠はどう思っているだろうか?昨日のことが師匠にとってトラウマとして残ったのなら……そう思うと冷や汗が流れた。
すると、師匠は少しだけ目を逸らした。
常に堂々とした彼女らしくない仕草だ。
「……お前は、どうだった?その──昨日の夜は」
どう答えるか数秒の間迷った。
しかし、正直に答えることにした。
「最高でした」
すると、師匠はこちらを見て
「そうか。私も、そう思う」
そう言って、師匠は座る場所を対面から、俺の隣に移した。
「なぁ、今お前は私との行為を…最高だと、そう表現したな?」
「は、はい」
師匠の手が俺の腰に添えられる。その仕草は普段の師匠からは考えられないほどの色気を放っていた。隣から感じられるその吐息は火傷しそうな熱を帯びている。
「わたしも、心の底からそう思う。……また、したい」
彼女はそう言って、俺の太ももを撫でた。
「し、師匠?」
「気にするな。ほら、わたしの唇が空いているぞ?いらないのか?」
そう言われて思わず唇を奪っていた。
そして、気がつけば視界が反転していた。
なぜ、俺は今天井を見ているのだろうか。
「据え膳食わぬは、というやつだな。いただきます……」
視界が真っ暗になった。