【妄想】AKIBA'S TRIP1.5   作:ナナシ@ストリップ

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10. 初めての秋葉原

「あのさ」

 

藍「なんだ?」

 

「訊きたいこと、あるんだけどさ」

 

藍「訊きたいこと……まぁ、それもそうか」

 

藍「分かる範囲で答える」

 

サカイ「甘いな……彼女から簡単に何かを教えてもらえるなんて思わないことだ」

 

サカイ「ということで、まずはスリーサイズを頼む」

 

いつの間にやら、その望まれぬ変態は彼女等と歩みを共にしていた。……そして、サカイの言葉に藍はうんざりそうな面持ちで黙り込んでいる。

 

藍「…………」

 

サカイ「…………」

 

サカイ「スリーサイズを」

 

藍「いい加減にしろ……っ!」

 

藍はサカイを殴り飛ばした……悲鳴を上げて吹っ飛んで行った彼を妹は一瞥しつつ、気にせず話を続けた。

 

「あいつら、何者なの?」

 

藍「……それを説明するにはまず、カゲヤシという存在の説明をしなければならないだろう。いいか?」

 

……妹は頷く。藍もそれに分かった、と返し、彼女は話し始めた。

 

藍「遠い昔からこの日本にはカゲヤシと呼ばれる、人間に良く似た者達が人々の間に紛れ、密かに暮していた」

 

藍「その者たちは、外観では人間と寸分違わず、見分けはつかない」

 

藍「ただ、決定的に違うことがあった……それは人間を軽く超える身体能力、そして、多くの生物の中でも類稀な程の回復能力」

 

藍「人間は一度深い傷を負えば、自然治癒は難しいと聞く」

 

藍「それゆえに医療技術は発達したようだが……」

 

「そ、そんなの聞いたことない……、カゲヤシなんて」

 

藍「現在はこの国の政府によって秘匿されているんだろう」

 

藍「存在が一般に知れ渡れば、大きな混乱を招くことになる」

 

「本当の事とは思えないけど」

 

尚もそれらの話に対して、懐疑の面持ちは晴れない。しかし今の妹には、とりあえず藍へ確かめたい事が一つあった。彼女は、率直に尋ねた━━

 

「もしかして、あなたもカゲヤシなの?」

 

━━と。一呼吸置いて、藍は問いに答えた。

 

藍「まぁ、そんなところかな」

 

その返答は半ば予想通りではあった……あんな動き、人間じゃ有り得ない。

カゲヤシという者達の存在……それは急に信じられるような話ではなかったものの、それでもやはり……藍という、人間とはかけ離れた能力の持ち主が存在している事実が、そして今自らの身に起こっている異変が……その話があながち嘘ではないのだと思わせる。

 

━━藍は、再び話し始めた。

 

藍「……話を戻す。昔そのカゲヤシ達は、人の社会に紛れ暮らしていた。それは先ほど言った通りだ」

 

藍「しかしばれるのは時間の問題だった。外見は同じでも、その異質さに人間達は徐々に気付き始めたんだ」

 

藍「そして人々の間である感情が生まれた……カゲヤシを有害とし、気味悪がる者達が出始めた」

 

藍「そしてどうなったか……起こったのはカゲヤシと人間の、大規模な争い」

 

藍「カゲヤシを追い回す人間と、それに反発するカゲヤシ達……現代まで続く争い」

 

藍「……全てはここから始まった。今もそれは続いているだろう」

 

サカイ「それ知ってるぞ!」

 

横から、鼻血を垂らしたサカイが嬉しそうに声を上げた。

 

サカイ「ついこの前のことさ。カゲヤシを排除するエージェント組織? 的な奴らと、カゲヤシ共存派の人間軍とカゲヤシ軍が協力して秋葉原で戦ったんだ」

 

サカイ「細かく言うと人間敵対派のカゲヤシも居て、もっと事態はややこしかったけど」

 

サカイ「ちなみに俺も共存派として参加してたぞ、スゲーだろ? ……ただそこら辺をぶらぶらしてただけだけどな!」

 

「デタラメでしょ」

 

妹は冷ややかに切り捨てた。

 

サカイ「違うわ!」

 

サカイ「で、結果は排除派の負け。だったかな? とりあえず、もうカゲヤシは平和さ」

 

藍「……そうだったのか。本当かは知らないが」

 

藍「まぁ、その争いはカゲヤシ側が勝ったようだが、それとは別に、今度はカゲヤシの力を自分達で利用できないかと考える人間が現れた」

 

藍「それがお前を騙した奴等」

 

藍「スーツ姿の集団さ」

 

「なるほど」

 

藍「人間もカゲヤシの血を摂取すれば、カゲヤシ化することができる」

 

藍「つまり人間でも、カゲヤシの力は利用できるということ」

 

藍「しかし彼らはそれで満足しなかった」

 

藍「彼らはカゲヤシの血を使い、カゲヤシを超えるカゲヤシ、紛い者を生み出した」

 

藍「自然の摂理を無視し、戦いの為だけに生み出された兵士」

 

藍「それが紛い者」

 

藍「紛い者は人を土台とし、そこにカゲヤシを超える戦闘能力を与えようという試み」

 

藍「結果的にその試みは成功した。だが」

 

藍「そもそも、土台は人間。与えられた力の負担に耐え切れなければ死ぬだけ……割合としては恐らく、適応者よりも死亡者が上回っているだろうな」

 

藍「このように紛い者とは問題の多い、不安定な存在……だからこそ、今の紛い者の数はさほど多くはないと見ている」

 

藍「その証左に今の奴らの戦力は全てが紛い者ではない。未だ多くは通常のカゲヤシ化を施した人員で組織の穴を補っているのだから」

 

藍「私が知っているのはこれくらいだ」

 

藍「紛い者の技術を根絶やしにするには、紛い者が少数である今、速攻で勝負を仕掛けるしかない」

 

藍「そうしなければ、次々と生みだされていく……お前のような存在が」

 

自分のような存在……つまり自分は紛い者にされたということか。紛い者……その存在の中の一人に自身はなってしまったということだ。

 

藍「それを止めなければ」

 

「あなたは何故止めようとするの? 正義感?」

 

藍「単に個人的な事さ……そんな褒められた信念じゃない」

 

「……そうなんだ」

 

「やっぱり戦うんだよね……あいつらと」

 

藍「そうなるだろう」

 

藍「……明日は戦う事も考えて、何かしら武器を持ってきた方がいい」

 

「武器?」

 

……妹は聞き返した。

 

藍「紛い者はカゲヤシよりも高パワーな分、重武装も可能となる」

 

藍「今のお前なら、人間どころかカゲヤシでも扱いきれないような重い武器も、容易に扱えるだろう」

 

藍「戦うかもしれないんだから、良さそうなものを適当に準備してこい」

 

藍「徒手格闘が得意なら素手でもいいが」

 

「そう言われても」

 

「まぁ、準備するあてはあるけど」

 

「ウチのお兄ちゃん、何故か警棒とかそういうの、色々持ってるんだよねー」

 

サカイ「どんな兄貴だよそれ」

 

それまで暇そうに聞いていたサカイが、会話に割り入った。

 

「バカ兄かな」

 

妹は、思い切り憎悪に顔を歪ませた。

その尋常ならぬ様子に……こいつの家庭環境やばすぎないかとうろたえたサカイは、それ以上その話で何かを訊こうとすることは無かった。

 

「でも素手でいいや。多分その方が得意だし!」

 

「藍ちゃんはさ、なんでギターが武器なの?」

 

「というかギターって武器として使えるの?」

 

藍「ちゃんはやめろ」

 

藍「……? 音楽機器は我が一族でも愛されし武器だぞ」

 

藍にはそれが至極当然だと言いたいのか、心底不思議そうな顔をしている。

 

「ええっ……どんな一族だそれは」

 

藍「カゲヤシ一族だが……」

 

そんなこんなで、気付けば一同は駅前に到着していた。

 

藍「さぁ、ここらで解散しよう。明日から本格的に動くぞ」

 

藍「明日は駅前集合だ」

 

サカイ「うぃーす」

 

「まだ着いて来る気なの?」

 

……妹は性懲りも無く着いて来る変態野次馬を割とウザがっていたものの、サカイも物好きなのか余程暇なのであろうかは分からないが、それを断固不服といった様子で反発した。

 

サカイ「いいじゃないか別に! なんで俺は駄目なんだよ!」

 

「セクハラ男だし役に立たないからだよ分かれ!」

 

サカイ「うるさい黙れ黙れ、連れてかないと今に後悔するぞお前ら!」

 

サカイは妹を指差しそう宣言した。

 

「何に後悔するんだ……」

 

━━翌日 駅前 

 

 

藍「さて早速行動を開始しよう、と言いたいところだが、問題は奴らの所在をどう突き止めるかだ」

 

藍「元々お前の捕まっていた場所が拠点だと思ったんだが……」

 

藍「奴が出入りしているのを見てそう思ったが、いつもと変わらない即席の施設だったようだ」

 

サカイ「奴とは?」

 

藍「天羽禅夜……あの金髪だ」

 

藍「恐らく奴は集団の幹部」

 

「あの嫌ーな奴でしょ」

 

と、顔をしかめる。無論その人物について知る由も無いサカイは、誰だ……? 思うばかり。

それから妹は申し訳無さそうな顔をして、

 

「ごめん……私を逃がす為に、戦えなかったよね」

 

「せっかく敵の幹部だったのに」

 

そう言う。藍は気さくにそれをなだめた。

 

藍「気にするな。いずれあいつ等にはまた会うだろう」

 

藍「むしろ、私達は追われる身だ。奴等の方から来るさ」

 

内容の掴めぬ話を黙って聞いていたサカイが、分からないなりに要約して自らの提案を切り出した。

 

サカイ「まぁとにかく、秋葉原の地理が分からんのだろ?」

 

サカイ「そんなのは秋葉原自警団にお任せさ」

 

藍「自警団?」

 

首を捻る藍に、サカイは得意げだ。

 

サカイ「知らないのかぁ? 有名だぞ!」

 

━━裏通り、自警団アジト 

 

 

サカイ「ここが自警団のアジト」

 

秋葉原の"自称"自警団……そしてこの妙な空間。変な人達じゃなきゃいいけど、と妹には不安が募る。

 

サカイ「なんだ、誰もいな……いた」

 

ノブ「ん? 誰だ!?」

 

ノブ「このアジトに入り込むとは……まさか、敵かっ!?」

 

「違うっつの」

 

やっぱり変な人達じゃないかと思いつつ、妹は冷静に突っ込んだ。

 

ノブ「おっと! 信じられないね」

 

ノブ「では敵かどうか……見極めさせてもらうぞ!」

 

藍(……!?)

 

藍が身構えた。

 

ノブ「ITうぃっちまりあの声優は?」

 

……その一言に妹と藍の二人は拍子抜けし、間の抜けた顔をする。

 

サカイ「ふっ、新谷光子」

 

謎のやり取りに妹は動揺を隠せない。

 

ノブ「で……あるが、その出身地を答えよ!」

 

サカイ「青森県!」

 

ノブ「素晴らしい! ようこそ我が同志達!」

 

良く分からないが、妹達は男にガッツポーズで迎えられた。

 

「なにこれ」

 

藍「知るか」

 

藍「とりあえず本当に敵だったら、質問の途中で殴りかかっていると思うんだが」

 

藍「すまない、私達は」

 

藍がノブに声を掛けようとするが、それは前に出てきたサカイに遮られた。

 

サカイ「こいつら、秋葉原初めてらしいんだ」

 

ノブ「お、そうか。案内してやろう!」

 

藍「ッ! 違う……!」

 

藍はサカイに殺意の篭った目を向ける……元々キツめな目が完全に怒りに染まっている。妹はひやひやするものの、男二人は気に留めて無いのか、気づいて無いのかなんにせよ、楽しそうだ。

 

ノブ「待て待てみなまで言うな。分かってる。全部俺に任せろって」

 

ノブ「ではさっそく出発!」

 

サカイ「イェーイ!」

 

 

━━ラジオ会館前

 

ノブ「さぁここがあの有名なラジ館だ!」

 

ノブ「ただ今は工事中なんだよな~、残念だけど。今度新しくなる予定なんだ」

 

ノブ「また今度だな。取り合えず場所の確認ってことで! 秋葉原と言えばここ、みたいなとこもあるしな!」

 

藍「ラジ館? 知らん」

 

「知らない」

 

ノブ「知らない!? こいつは案内し甲斐があるぞ……じゃあ次行こう!」

 

藍「いや、ちょっと!」

 

藍は困惑の面持ちで慌てて引き止めようとするが、もう無理だ。ノブを完全にやる気にさせてしまったのだから。

 

 

━━中央通り北東 とらのあな

 

ノブ「ここがとらのあな! 同人誌ならここ!」

 

藍「…………」

 

「うぇぇ……人口密度ハンパない……」

 

そして何か変な匂いもする……何よりこの騒がしいBGMは何? 物買う店としてありえない。落ち着いて見れないじゃん……妹の文句は尽きない。隣の藍に至っては完全に顔が死んでいる。

 

サカイ「オススメはITウィッチまりあ」

 

ノブ「俺もITウィッチまりあはイチオシだ」

 

ノブ「興味があったら買うのが吉! 変な絵画売りに搾り取られる前にな!」

 

サカイ「搾り取られたんですな?」

 

ノブ「もちろんな! 舐めてたらいかついオッサンが出てきて最悪だったぜ!」

 

(なんでこんなに楽しそうなの……)

 

ノブ「次はメイド喫茶に~……」

 

藍「ま、待て。もういい。食事なら他でする」

 

藍は青ざめた顔で伝えた。

 

ノブ「何!? じゃあ他のオススメの……」

 

藍「時間がないんだ!」

 

意を決したのか強い口調で言った……これはさすがに効くか。

 

ノブ「そうか……残念だな」

 

(ほっ……)

 

ノブ「ならちょうどいい食事場所があるぞ!」

 

藍「…………」

 

「…………」

 

ノブ「HAHAHA! 着いて来い!」

 

サカイ「一生付いてきます!」

 

 

━━駅前

 

ケバブ屋の移動販売車の前。ここに向かう途中から、藍は既に不満たらたらだ……というか、楽しそうなのはノブとサカイの二人だけだ。妹も途中まで藍と同じ心境ではあったものの、販売車から漂う肉の香ばしい匂いには中々そそられるものがある。彼女はケバブという食べ物は初めてだったが、大きな肉の塊を削ぐというインパクトにも興味心身だった。

 

ノブ「さぁこれが秋葉原名物ケバブだ! 奢るから食え食え!」

 

「うわー、これが……」

 

妹は手に持ったケバブをまじまじと見つめる。見るからに重たそうな見た目、女性よりも男性向けといった気がしないでもない……そこはやはり女子、カロリーは気になる。しかし、不思議と今の彼女には抵抗は無かった。猛烈にお腹がすいていたのである……恐る恐る、一口。

 

(……!)

 

(おいしい……! 明らかにこれ太っちゃうけど!)

 

サカイ「うむ、やはり秋葉原での食事はケバブに限りますな」

 

サカイはそう言ってかぶりつく。

 

サカイ「片手で食べられながらこの満足感……この肉の量……最高!」

 

ノブ「日々戦う秋葉原住人の、手軽かつワイルドな食事手段って感じだよな」

 

「……戦うって何と?」

 

ノブ「そりゃアレだろ。限定セットに並んだり大量の戦利品の重さと戦ったり」

 

ノブ「あと秋葉原を一日練り歩いたり」

 

(それ遊んでるだけじゃ)

 

と思ったが、とりあえずケバブはおいしいからいいか、と許した。割と妹は単純だった。

 

藍「なんでこんなことをしなくては……」

 

藍「……久々にシャレたものを食うな」

 

あまり気乗りしない様子でもぐり、と食べた瞬間、彼女の目の色は変わった……

 

藍「うまいッッッ! なんだこれはッッ!」

 

妹が色んな意味で驚く。突然の歓喜の声と、一瞬で機嫌が直る手の平くるくるっぷりに。彼女も割と単純なのか、それとも食べ物に弱いのか。そのナイスな反応っぷりにノブも満足げである。

 

ノブ「いやーそうだろ!? 好きに頼んでいいぞ!」

 

藍「本当か!?」

 

彼女、心の底から嬉しそうな反応をしている。

 

(藍ちゃん……もしかしてまともなもの食べてないんじゃ……)

 

そんな中、一人の少女がふらふらとこちらに寄ってきた。

 

鈴「あうーおいしそーな匂いがしますぅ~」

 

ノブ「鈴ちゃんっ!?」

 

鈴「あ、ノブさんっ!?」

 

鈴「…………」

 

ノブ「……」

 

先ほどまでのハイテンションはどこに行ったのか、蛇に睨まれた蛙の様に黙り込むノブ……鈴も物欲しそうな目はしつつも何も言わず、そのまま二人の時間はしばらく止まっていた…………が、耐え切れなくなったのか鈴は虚ろな目で涎をたらし始めた。

 

鈴「……おいしそう……」

 

ノブ「わ、分かったよほら! 好きに頼んでいいよ!」

 

鈴「やったぁ! いただきますぅ! おじさんケバブ十個!」

 

ノブ「十個!?」

 

サカイ「十個!?」

 

藍「なぁ、もう一個食べさせてもらえないか?」

 

サカイ「今持ってたのは……?」

 

藍「食った」

 

じゅるり、と口を鳴らして言った。その目はまるで獲物を狙っているようだ……

 

ノブ「ううう! 何てことだ!」

 

鈴「あぁおいしぃ~」

 

パクつく鈴を見て藍が驚く。

 

藍「お前、何て食べっぷりだ……紛い者ではないようだが」

 

藍「お前も腹が空くだろう。紛い者は力と引き換えに、エネルギー消費が激しいからな」

 

「わ、私は別に……!」

 

「……自分で買うからいいの」

 

サカイ「食うんかい……」

 

それまでとは打って変わって、立場は逆転していた。

猛烈に食べる女性陣をよそに、サカイとノブは顔を青くしていたそうな……

 

藍「ふぅ……腹も膨れてきたことだし、本題に入るが」

 

満足そうにペロリと舌なめずりをした後に、藍は話を持ち出した。

 

藍「そこの阿呆はともかく、私達は決して遊びに来たわけではない」

 

ノブ「えっ」

 

ノブ(それ先に言ってくれ……)

 

サカイ「阿呆って俺の事なのか……」

 

藍「私達は今秋葉原で暴れている、黒服の武装集団について調べている」

 

ノブ「あ! 俺それ知ってるー! 知ってるわ!」

 

サカイ「マジですか! さすが兄貴!」

 

「大丈夫かこいつら……」

 

妹は二人を心配するというより、呆れたような様子だ。

 

鈴「きっと大丈夫です! 私、何の話か分かりませんけど!」

 

(この子も大丈夫かな……)

 

藍「知っているなら話が早い」

 

藍「それについて情報が欲しい。奴らの所在や勢力の詳細、なんでもいい」

 

ノブ「情報? 俺らは特に……見回りと社長さんの依頼をこなすだけだしな……」

 

ノブ「もしかしたら、情報屋に行けば何か教えてもらえるかもな!」

 

藍「情報屋?」

 

サカイ「あーそういえば、前に俺もアルバイトの斡旋をしてもらったことがあったっけ」

 

ノブ「案内するぞ! ……と言いたいが、生憎俺はこれからITウィッチスペシャル変身抱き枕リミテッドエディションを買いに走らなきゃいけねぇ」

 

「ええ!? なんだそれは!?」

 

サカイ「仕方ありませんな。俺も情報屋は知ってるから、代わりに案内しませう」

 

ノブ「すまん! 任せた! また秋葉原周ろうぜ!」

 

ノブはそそくさと駆けて行った……

 

鈴「ノブさん、ごちそうさまですー」

 

「そいえばあなたは?」

 

鈴「あっ、すみません! 私は森泉鈴と言います。ノブさんのお友達ですよね?」

 

「違うよ全然、全く」

 

鈴「ええっ!?」

 

藍「ケバブは感謝するが、他はもうこりごりだ」


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