【朗報】ワイの鯖、見覚えのある奴しかいない件 作:エタル丸
同時刻、血染めの大地にて──
「オラオラオラ、どうした!!お前らの力はそんなもんかッ!!!」
「…………!」
一方のモードレッドは、カルデアに対して猛攻を仕掛けていた。
その攻撃はマシュの盾により悉くが防がれていたが、そんなことはお構い無しとばかりに攻撃し続けている。
だが、硬い。
盾の英霊と思わしき少女はひたすらに堅固だ。まるで、あの
そんな自分の攻撃の悉くが防がれている状況に、モードレッドは苛立ちを隠せないでいた。
「……チッ(英霊モドキの方は厄介だな。こっちの攻撃が通じてる気がまるでしねぇ。……仕方ねぇ)」
そうしてモードレッドはマシュから距離を取り、攻撃対象を
「悪く思うなよ」
「先輩──!」
立香の眼前に迫る赤い騎士、だが立香は敢えてそれを避けなかった。
「思わないよ。だって──」
「ッ!?」
自身の王剣が、輝ける白銀の剣が弾かれた。
一体、誰に──?
「おいおい、そりゃねぇだろうが」
いつの間にか彼女達の間に立ち塞がっていた槍使いの男。その男の槍によって、王剣は防がれた。
「テメェ……」
「よう嬢ちゃん。お楽しみ中悪いんだが、ちぃとばかし俺とも遊んでくれよ?」
飄々とした槍兵の言葉に、モードレッドは分かりやすく顔を顰めた。
だが珍しいことにその不機嫌も一瞬のこと。彼女はすぐに、その顔に獰猛な笑みを浮かべ直した。
普段は女扱いに対して過剰に反応するモードレッドだがそんなこと、今となってはどうでも良かった。
それだけこの戦いが面倒で、苛立たしくて──
「……ハッ!上等だ。いくぜオラァ!!」
──楽しくて仕方ないからだ。
鼻を軽く鳴らし、彼女はクー・フーリンに向かって駆ける。だが彼女が王剣を振りかぶるよりも速く、呪槍の刺突が彼女を襲う。
その一撃を彼女は間一髪で躱したがそれで終わる筈もなく、続け様に放たれる無数の刺突と払いの連撃。それら全てをモードレッドは必死に避け続けた。
「ッ……!」
だが捌ききれなくなるのは目に見えていた。やがてモードレッドの剣は徐々に押されていき──
「シッ!」
「ぐあっ!?」
その隙を逃さず、クー・フーリンは彼女の腹に蹴りを叩き込み、モードレッドは吹き飛ばされていく。
「……グァ、ッ……ガゥ……!」
だが地面に叩きつけられながらも、彼女は即座に立ち上がる。そしてクー・フーリンを睨みつけた。
どうやら今の一撃で霊基に相当なダメージを負ったようだ。だがそれでも彼女は戦意を失わない。
それどころかより一層その闘志を強くし、その身に宿る魔力を解放していく。死に体で繰り出す最後の一撃──それは生前の自分に勝るとも劣らない、自らの命と霊基を燃やす全身全霊の宝具だ。
『
刹那、莫大な赤き雷が天を貫く。
雲にさえ届かんとする赤き暴雷はただ一点、
「兄貴っ!」
立香の言葉に呼応するように、令呪が一角消費される。その様子を見て、クー・フーリンはどこまでも満足そうに笑ってみせた。
『おう。そいつを待っていたぜ、マスター!』
立香の呼びかけに彼もまた、全霊の一撃を眼前の英霊に捧げようとしていた。
『我が槍は呪い──』
クー・フーリンは呪槍を構え、目を瞑って詠唱する。
『其は我が生涯において、ただの
『故にその心臓、貰い受けるッ!!』
突如として目を見開いたかと思えば、彼は上空へと飛び上がり、破滅の呪槍を赤き暴雷に向ける。
『
──瞬間、世界が紅に染まった。
◇
一体、何が起こった──。
自身の極槍はあらゆるものを貫くはずだ、その筈だった。
なのに、世界にそう讃えられた絶槍は少女へ届かなかった。
理解ができなかった……何故?
そんな疑問は目の前で起きた、ただ一つの現実により粉々に打ち砕かれる。
「おいおい、これは流石に……」
ヘクトールから一筋の汗が流れ落ちる。
それもその筈だ。極槍が掲げられた少女の掌によって、いとも容易く止められていたからだ。魔術的な強化などは一切関係ない、単なる手での掴み取り。
あまりに呆気なさ過ぎる結果に彼は呆然としてしまったが、すぐに自身を取り戻す。そしてその場から大きく後退した。訳が分からないが、一度距離を取って体勢を立て直し、反撃に対処する準備をしなくてはならない。だが彼は見た。アズサの手元で槍がサラサラと崩れ落ちていく光景を。
宝具。それは
有り得ない現象を前に英雄は目を見開くしかなかったが、これは紛れもなく現実だ。
「化け物め……」
「む?」
純粋にそんな感想しか出てこなかった。切り札を防がれた今、自身にはこの少女を打ち破るだけの力がない。だが出立前の、マスターの令呪によりヘクトールは否が応でも戦わざるを得ないのだ。
「………………(ᓀ‸ᓂ)」
「……?」
「なるほど」
だが英雄の失礼な物言いに怒るでもなく、アズサは何かに気づいたようにして彼に指を向ける。そうして彼女はその指を縦に振り下ろした。
「──ッ?」
刹那、ヘクトールを襲う強烈な違和感。
彼は、この異様な感覚に覚えがあった。かつての過去に幾度か経験した異質な──まさか。
「
まだまだ英霊、増やしていきたいな……。