【朗報】ワイの鯖、見覚えのある奴しかいない件   作:エタル丸

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紫電の男

 

紫髪に、その手には大鎌を携えたランサーと思わしきサーヴァント。

 

「僕の名前はセリス・ヴォルディゴード。よろしく頼むよ」

 

胡散臭い笑みを浮かべ、手を差し出してきたのはセリス・ヴォルディゴードと名乗る謎のサーヴァントだ。

 

彼は自らが抑止力に派遣された英霊だと語るが、それもどこまでが本当なのか──。

 

確かにこの聖杯戦争の有り様(・・・)をみれば抑止力から英霊が派遣されるのも頷けるが、それ以上にこの男には底知れない胡散臭さがある。

 

マシュの方もそう感じたようで、常に私を庇う態勢を維持しながら、セリスの行動を逐一見張っている。

 

「もしかして握手は嫌だったかい?」

 

警戒しているこちらを気にも留めず、彼は私達の様子を見て握手が嫌だったのかと勝手に解釈し、スッとその手を引いた。

 

「……一つ、聞いてもよろしいでしょうか?」

 

「何だい?」

 

マシュがセリスに問う。

 

「貴方は先程、自身をセリス・ヴォルディゴードと名乗りました」

 

「そうだね。それがどうかしたかい?」

 

「では」

 

呼吸を整え、一拍置いた後に彼女は言った。

 

「アノス・ヴォルディゴードという名前に聞き覚えはありますか?」

 

するとセリスは一瞬、きょとんとした顔で私とマシュを見つめ、その後に軽く笑い出した。

 

「ふぅん、なるほど。その様子じゃ、既にアノスとは何処かで出会ってるみたいだね」

 

「……親族ですか?」

 

「ああ、うん。はっきりと言葉にした方が伝わりやすいかな?君達の予想は正しいよ、だって──」

 

 

 

 

 

──アノスは僕の息子だからね

 

 

 

ぬわああん!疲れたもおおおおおおん!!!

 

何だよ、全然収穫ないやんけ!サーヴァントの一人とでも出くわして()りあうかな〜って思ってたけど、全然そんなことはなく──

 

──寧ろ今のところ、この街は平和そのものにしか見えない。本当に聖杯戦争やってんのかってくらい静かな夜だな、おい。

 

「………………」

 

んで、先程から気になってたんだが……アノスさん。

 

「………………」

 

あー、お~い。アノスさん?

 

「……そんなに呼ばなくとも聞こえているぞ。どうした?マスター」

 

いや、どうした?はこちらの台詞よ??

 

さっきからぼけ〜っとしてるし、何かあったのかなって気になったんよ。

 

どうかしたん?

 

「……少し胸騒ぎがしてな。もしかすると厄介な事態が進行しているやもしれぬ」

 

え、なにそれヤバ……(畏怖)

 

アノスの胸騒ぎって大抵、ロクでもないことばっかだし絶対に気をつけた方がええやん。魔王学院本編でも、それで世界が何度滅びかけたか……何れにせよ、悪い予感に変わりない。

 

じゃあ、これアレか?

 

嵐の前の静けさってヤツ???

 

「さてな。だが此度の聖杯戦争が正常なものではないということだけは確かなようだ。なにせ──」

 

ガキィン!と、甲高い音が辺りに響き渡る。

 

驚いてアノスの方を見ると、彼は<創造建築(アイリス)>で創った魔剣にて、迫りくる何かを斬り伏せていた。

 

それは銃弾(・・)だった。

 

どうやら敵は俺を狙っていたようだ。

 

「この様な下郎が出るくらいだ。しかも通常の英霊とは違い、明らかな差異……違和感がある。俺のような(フォーリナー)、世界観の違いとでも言うべき違和感がな」

 

そうアノスは語り、構えを解いた。

 

敵はアノスから離れ、相対するような形で彼を睨んでいる。あれは……

 

「どうした?時間はたっぷりある、さっさと真名()を名乗れ」

 

どの道、隠し立てはできないと判断したのか、目の前のサーヴァントは身に纏っていたローブを外した。

 

「……サーヴァント・アサシン」

 

だがその声は、俺にとっても……否。前世の俺(・・・・)にとって酷く聞き馴染みのある少女の声だった。

 

「だが真名()を名乗るつもりはない。私はただ、己が役割を果たすだけだ」

 

アサシンを名乗る少女のサーヴァント。

 

ローブを外したその姿は紛れもなくアリウス・スクワッドのリーダー、錠前サオリのものだった。




「困ったね、まだ警戒されてるみたいだ」
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