【朗報】ワイの鯖、見覚えのある奴しかいない件   作:エタル丸

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初戦

 

「うんうん、なるほどね〜」

 

事情を一通りをミカエル……ミカに話し、説明し終えた俺は深く溜め息をつく。いやホント、なんで召喚に応じてくれたんです?

 

「私的にはマスターが魔法使いだったことの方が驚きだけど……ま、いっか☆とりあえず追手の魔術師を追い払うことが目的なんだよね?任せて!」

 

(ま、いっか☆じゃ)ないです。

 

……それよりも何で召喚に応じてくれたのか、理由を教えてクレメンス。だって触媒にしたのといえば、函館の某修道院で買ったミカエル像くらいだぞ?触媒になり得る手持ちがそれしか無かったとはいえ、それで召喚は普通に考えてあり得ねぇでしょうが。

 

てっきりランダムに召喚されるものとばかり……

 

「勿論、そのこと(召喚理由)についても教えるつもりだったよ?まあ、その前に大前提として聞きたいことがあるんだけど……」

 

マスター、前世の記憶あるでしょ?

 

……!?マジか

 

「あー、バレますよね。貴女相手だと流石に」

 

「もっちろん!まぁ、お土産として購入した私の像を触媒にしたってのも召喚された理由の一つではあるんだけど、やっぱり一番の理由は前世で紡がれた縁によるものが大きいかな?」

 

……縁?大天使ミカエルと紡いだ縁……いや、本気で心当たりが無いんだが?

 

なんなら、ブルアカでミカ(ミカエルの依代)の絆ランクを100まで上げたことぐらいしか関係性に心当たりが……

 

「そう、それっ!!」

 

「は?」

 

「ゲームの中でとはいえ、マスターは聖園ミカ()と深い絆を結んでいたんだよね?ならその聖園ミカ(依代)との縁を辿れば、ミカエル()を召喚することだって不可能じゃないよ」

 

そんなバカな……ってあー、そういうことか。

 

ラノベを触媒に英霊召喚した例があったっけか。あれがアリな以上、あり得ない話ではないのか。

 

いや、それでも信じられないことに変わりはないんだが。

 

……おっと?来たか。

 

「あはっ、それじゃあマスター?追手の魔術師、さっさと片付けちゃおっか☆」

 

「ああ、よろしく頼むよ。ミカ」

 

 

 

 

 

協会から派遣された魔術師らしき男二人が、こちらを見つけるや否や、声を挙げて仲間を呼ぶ。

 

「ミカ、追手はなるべく殺さないように。気絶程度にしてもらえると助かるよ」

 

「任せて!それじゃ、いっくよ〜!!」

 

「み、見つけガブァア!?!?

 

お、おぅふ。見事なボディーブロー……

 

しかも並の神秘を遥かに超える力を拳に纏っているので、殴られた魔術師は当分、起きそうにない。

 

「サーヴァントまで召喚していやがったのか、アイツ……!クソッ、ガンド!!」

 

おっと、そうはイカのお寿司ってな。悪いね、俺も魔法使いの端くれなもんで。

 

「!?まさ……」

 

第三魔法、励起開始───

 

あーあ。封印指定、さっさと取り消してくれねぇかな。知ってるか?逃亡生活って割とキツいんだぞ???

 

てなわけで…すまねぇな、魔術師さん。俺もホルマリン漬けにはなりたくねぇんもんで───

 

ガッ!?グアッ゙……!!!!

 

「マスター!?」

 

……ヤッベェ、油断したっ !?この魔術師を囮に、気配すら察知できない死角からガンドを撃たれたのか!クソッ

 

「チッ、ようやくか。手間取らせやがって……」

 

絶対に死なないとはいえ、流石に油断しすぎたか……。カッコ悪いな、今の俺。

 

「さて。さっさとコイツを引き渡さねぇとな……魔法使いってのは本当に厄介だな。チクショウ」

 

そう、流石に油断しすぎた。

 

……だが、だからといって対抗策が何も無いとは言っていないはずだぞ。なぁ、魔術師の坊っちゃん?

 

「は?お前ッ、この期に及んで何を──!?」

 

励起させ、起動したのは第三魔法《天の杯(ヘブンズ・フィール)》。それに加えて、この場にはもう一つ仕掛けがある。

 

流石の俺も、あんな触媒で英霊召喚が出来るとは思っていなかったんでな。

 

だから、もう何個か英霊召喚用の魔法陣を予備で用意してあったんだよ。そして俺の負傷によって流れた血と、召喚に必要な魔力。

 

条件は揃っている。

 

「っ!?こいつ……!!!」

 

だが目の前の坊っちゃんが、召喚の為に詠唱する時間を与えてくれるとは到底、思えない。

 

だから───

 

「天使……いや悪魔や魔王、何でもいい。誰か、俺に──!」

 

ただ願う、ただ祈る、ただ想う──。

 

来てくれ……!

 

瞬間、魔法陣が不気味に光った。

 

ミカの召喚の時とは違い、魔法陣が漆黒に侵され始める。

 

そうして俺の魂からありったけの魔力を吸い上げ、魔法陣から目が眩むほどの漆黒の光が放射された。

 

「──なるほど。我が世界とは勝手が違うようだが、悪くない」

 

荒れ狂う光が収まり、そこから召喚されたものが姿を顕す。

 

それは白い制服に、腰に巻きつけた鎖と思わしきものを腰に垂らしている。黒髪で、恐ろしいまでの力を感じさせる紅き瞳。泰然とした空気を纏っており、全身から溢れ出す王気。

 

そして戦い慣れていない俺でも分かるほどの、濃密な死と滅びの気配。

 

「さて、気の利いたギャグの一つでも言えたのなら良かったが……生憎、そういった時間もあるまい?」

 

天使(ミカ)が、魔術師達が、魔法使い()が皆、一様に彼を見た。誰もがその目を見張っている。

 

「此度はサーヴァントなどという形で現界した。クラスはフォーリナー」

 

その英霊は紅い瞳を光らせ、こちらに向かって歩み寄ってくる。

 

「暴虐の魔王、アノス・ヴォルディゴードだ。よろしく頼むぞ、マスター」

 

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