【朗報】ワイの鯖、見覚えのある奴しかいない件   作:エタル丸

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魔王顕現

 

漆黒の光が収束し、召喚されたモノが姿を顕す。

 

「フォーリナー、アノス・ヴォルディゴード」

 

そこには白い制服に身を包み、溢れんばかりの王気を隠そうともしない、青年の姿をした英霊が居た。

 

「召喚に応じ、参上させてもらった。本来であれば問うまでもないが、ここでは問うのが定石だと聞いたのでな」

 

「──問おう、お前が俺のマスターか?」

 

紅い瞳が、こちらを見つめている。

 

 

 

 

 

 

 

 

「暴虐の魔王、アノス・ヴォルディゴード……何で!?」

 

「なるほど。俺を知っている、か」

 

いや、ファーストサーヴァントで聖園ミカ(ミカエル)が召喚された以上、これから何が召喚されても不思議じゃないと思ってはいたが───

 

これはありえねぇでしょうがッ!?!?

 

暴虐の魔王アノス・ヴォルディゴード。何故、彼が縁もゆかりも、ましてマトモな触媒(ラノベ)さえない俺の元に召喚されてくれたんですかねぇ………!?

 

こればっかりは予想の外の外の外だ。

 

そもそもミカ(ミカエル)の時はまだ触媒(?)があったし、召喚される理由もあるにはあったみたいだから、まだ理解の範疇に留まっている。まあ、それでも大天使が聖園ミカの存在を依代に、疑似サーヴァントという形で召喚された時は驚いたが。

 

だけど、この召喚に関してはマジで理解不能。

というか、どうやってFate世界に転移してこれたんだよ。抑止力はどうした、仕事しろよ!!

 

……後で、どうやって来たのか聞いてみるか。

 

しっかし土壇場での召喚だったけど、流石に引きが良すぎて怖くなってきたンゴねぇ。もしかして、これって一種の転生特典だったりする?

 

「ふむ。何か考えているようだが……まあよい。それにしてもだ、マスターよ」

 

ん?あーはいはい、何でございやしょうか。

 

「あの魔術師は放って置いてもよいのか?あれを追い払う為、お前は俺を呼び出したのだろう?」

 

すみません、(よく)ないです。

 

このまま逃がして、魔術協会に情報を持ち帰られたりしたら困る。自分で自分の墓穴を掘る趣味は生憎、持ち合わせていないんだヨ。

 

てな訳でアノス様、俺達に協力してクレメンス。勿論、嫌なら断ってくれても良いので。まあ、できれば助けてほしいんだけど……。

 

「……くはは。英霊を召喚する者、特に魔術師は外道の類が多いとは聞いていたがな。なかなかどうして、俺はマスターに恵まれているらしい」

 

アノスは俺の言葉に首肯する。

 

つまり、協力してくれる……ってコト!?

 

「ああ、任せよ。──さて」

 

アノスは目の前に魔法陣を描いた。それは、この場にいる魔術師全てを対象としているようだ。

 

「<羈束首輪夢現(ネドネリアズ)>」

 

魔術師達の首に黒糸が絡みつき、それは徐々に漆黒の首輪を形成していく。

 

「クソッ、何だこの首輪は!まったく外れねぇ……!?ぐ……がぁ…!」

 

「<羈束首輪夢現(ネドネリアズ)>。この魔法の黒糸が首に巻きつけば最後、その者は幻想の人生を夢に見る。だが夢とはいえ、それは現実と差異がない精巧な夢でな」

 

漆黒の首輪。それは決して逃れることの叶わぬ呪いへと変じ、彼らの首を強く締めつけていく。

 

「……ぐっ……う、がぁ……おぁ……」

 

「一秒間に数千万回繰り返せ。魔術なき世界を」

 

アノスがそう言うと、魔術師達の目からは生気が失われていった。

 

「……さて、どうだ?マスター」

 

これで文句はあるまい?と言ったように、アノスはこちらへと視線を向ける。

 

ここまで完璧に無力化されたのなら、文句のつけようがない。……てか、元から文句なんて言うつもりも無いのだが。

 

「完璧だ。これからよろしく頼むよ、アノス」

 

そうして俺はアノスに向かって手を差し出し、握手を求める。直ぐ様、俺の意図を察したアノスは俺の手を握り返し、快くそれに応じてくれた。

 

「なかなかどうして、お前とは良い関係を築けそうだ」

 

へいへい、よろしく頼みますよっと。

 

さて。これで正式に俺のサーヴァントとして契約を交わしてくれたわけだが………

 

魔王様には俺が当初から抱いていた疑問。俺の召喚に応じてくれた理由についてを答えてもらいたい。あまり有耶無耶にしてほしくない部分だし。

 

……という訳なので、教えてクレメンス。

 

「なに、簡単な話だ。力を貸してくれと、俺を呼ぶ声が聞こえたから力を貸してやろうと思った。それだけだ」

 

え、それで力を貸してくれたんですか?

 

「ああ」

 

え、そんなアッサリ……?

 

イヤイヤ、だけどそんな簡単な話じゃないはず。

 

そもそもこの世界には「抑止力」というものが存在する。星や人々が滅びる要因となるものを排斥する力。別名『カウンターガーディアン』。

 

そういった力が働く以上、アノス・ヴォルディゴードという人類悪以上の「滅び」を排斥しようとするのが世界の理だ。本来ならば。

 

召喚されるにしても、抑止力という壁を乗り越えるのは簡単ではない。まあ彼の力なら無理矢理、越えることもできなくはないんだろうが……その場合は世界、いや宇宙の方が耐えきれずに滅びる。

 

結局のところ、どうなんですの?それこそ抑止力、アラヤやガイアは黙っちゃいない。世界転移の邪魔はされなかったんすか???

 

「阻まれたな。なにせ、全く見知らぬ別世界だ。最も、俺本人が顕現するにもこの世界(宇宙)が耐えられぬ。ゆえに、可能性の影という形でしか現界することが叶わなかった」

 

可能性の影……<波身蓋然顕現(ヴェネジアラ)>の魔法でも行使したのかな?

 

「くはは、流石に察しがいい。そうだ。秩序に反する<背反影体(ダヴエル)>、そして可能性を具現化させる<波身蓋然顕現(ヴェネジアラ)>の魔法によって、俺がこの世界に存在できる可能性を具現化させ、召喚する世界に送り出したのだ。それを基点に俺が創造した聖杯に魔力を大量に込め、擬似的な英霊として「座」とやらに俺自身を登録、顕現できるようにした」

 

相変わらず無茶苦茶やってんなぁ、オイ。

 

……って今更、思い出したわ。そういや星の外の存在(フォーリナー)に対しては、それが明確に滅びの原因でも抑止力は干渉不可だったな。すっかり忘れてたぞ。

 

そして、なるほど。では今の貴方はアノス・ヴォルディゴード本人というわけではなく、「座」の本体(可能性)から派生した魔王アノスの分霊であると。

 

「そういうことだ。……ふむ。少々いいか?」

 

どうされました?

 

「なに、大したことではないが──」

 

「あそこで蹲っているのは、お前のサーヴァントではないのか?」

 

え?

 

 

 

………………………………。

 

 

 

ミカーー!!!!

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