【朗報】ワイの鯖、見覚えのある奴しかいない件 作:エタル丸
「よろしく頼もう、マスター」
──────。
「む?どうした。具合でも悪いのか?」
いや、マジかぁ……。
あー、いや。何でもないよ。こちらこそよろしくね、アズライー……じゃなかった。アズサ?
差し出した手を握り、握手してくれるアズサ。本当に良い娘(?)や、俺より圧倒的に年上だけど。
そうして数秒の間が空く。すると部屋に誰かが入室してきた。ミカとアノスだ。
「あれ?
こちらに歩み寄るミカの言葉に、アズサはコクリと頷く。
「ああ、その通りだ。この身はサーヴァントゆえ、至らぬ点も多々見受けられると思う。だが主は違えど、こうして貴方と共に肩を並べられることを誇りに思っている。改めて宜しく頼もう、ミーカーイール」
「
仲良きことは美しきかな。
そういやアズライールもミカエルと並んで、四大天使の一人だったね。もしかして
「……!」
バッと部屋の入口の方を振り向くアズサ。
「……マスター、不味いことになった」
どしたん?
「申し訳ないが、戦闘態勢をとってくれ。敵だ」
……え?
バキャッ、ズドォォォォォオオン!!!
「……後ろに下がってな、嬢ちゃん」
「ありがとう、兄貴」
まさか敵さん、いきなり襲撃をしかけてくるとはな。流石に驚いたぞ。
「チッ、外したか!」
「やれやれ。オジサン、こういう外道働きはあんまり好きじゃないんだけどな……」
そうして少し待つと、立ち込める煙の奥から二人分の影が見えた。あれは……
「先輩、あの方達は……!」
「うん、間違いないよ」
マシュが盾を構え、立香ちゃんとクー・フーリンを庇うように前に立つ。
「モードレッド、ヘクトール……!」
顔を強張らせ、何時でも迎撃できるように右手の令呪を構える立香ちゃん。
モーさんにヘクトールかよ……また面倒臭そうな相手だな、こりゃ。さて、俺も──
「なっ!」
「あらら。しかもオジサン達の真名、バレてるじゃないの。こりゃ面倒臭いねえ」
心底面倒臭そうな表情でこちらを見つめるヘクトール。
……ってか、そもそも聖杯戦争の参加者でもないワイらを襲撃するメリットってあんのか?まぁいいか。
すまないアズサ。召喚して早々悪いが初陣だ、行けるか?
「任せてくれ」
その言葉に彼女は頷く。真っ先に頼られたのが嬉しかったのか、その顔には笑みが浮かんでいた。
頼もしい限りだなぁ。
「ハッ、真名が分かったからもう勝ったつもりか?それなら随分、めでてぇ頭をしてやがるぜ……!」
おおっと、モーさんがキレてらっしゃる。今にも飛びかかってきそうで正直怖いな。しかもここ密室だし……アノスさん、頼めますかな?
「任せよ」
アノスは頷き、床下に二つの魔法陣を描く。
「<
一つはカルデアの面々とモードレッドが立つ床に、もう一つは俺達とヘクトールの方に描いた。
床に描かれた魔法陣からは粉が溢れ、それが密室を満たしていく。そうしてしばらくすると、視界が晴れてきた。
「──へぇ?」
晴れた視界に映る光景、それは先程いた密室のものではない。それは果てしない広さの草原だ。
「……これは、固有結界か?」
それは幻覚の類ではない。英霊としての彼の直感が、そう自身に伝えてくる。
澄み渡る空気、肌を撫でる風、何処までも広がる雲。
目の前の光景はまさしく、現実そのものだ。
「さて、ランサー・ヘクトール。これで戦いの場は整った。──構えろ」
アズサがそう切り出し、戦闘態勢に入る。
その様子を見たヘクトールは頭をガシガシと掻きむしり、その不毀の槍を構えた。
「……オジサン達、とんでもない相手に喧嘩を売っちゃったのかもしれないな」
もう後戻りはできないな、と言葉を漏らす。
そう言い放つ彼の顔は、その言動とは裏腹に、眼の前の敵を乗り越えんとする戦士の顔──精一杯の笑みを湛えていた。
【調査記録①:霊基規模】
・ミカエル(神霊級〜衛星級)
一神教における全天使の長。通常時は神霊級(一神話体系の主神級)のエネルギーを内包しているが、彼女のスキル(大権能)である『神の如き者』を行使することで、その出力が衛星級に上昇する。
・アズライール(神霊級)
とある宗教において、ミカエルと並んで四大天使の一つに数えられる死の天使。神霊級(各神話体系の主要な神々と同等)のエネルギーを内包しており、彼女も固有のスキル(権能)を保有している。
・アノス・ヴォルディゴード(恒星級以上)
人、精霊、神々さえも滅ぼして「暴虐の魔王」と呼ばれ、恐れられた男。滅びの王、魔王の始祖。普段は自身の根源(魂)の内側にエネルギーを閉じ込めているがゆえに、外部からは神霊級(主神級)程度の魔力しか感知できないが、彼の霊基規模自体は恒星級。ORTと見紛うほどの強大さを誇る。しかし彼もまた「座」の本体(可能性)から派生した分霊であるため、本来の力には遠く及ばない。