スキル『ハーメルンの上の方にあるやつ』   作:天野ミラ

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48.分岐点

 権能の使い手である12魔将が討たれたから、それとも時間が来たからなのか。地を埋め尽くさんと蠢いていた魔物の群れは、ドンドンと若返っていき……最後には小さくなって消えていく。刻送りにより影響を受けていたものの姿が戻っているのだ。

 

 激戦の余波を受けて、ところどころ地面が陥没して切り刻まれている。そんな激戦の跡地で、肩で息をする二人の少女にゆっくりと近づくのは、白髪の老人。

 

「お疲れじゃったの、これでこの12魔将『ジドゥイ』と『トゥールム』の討伐戦は()()()じゃな」

「あっ、ノル君……って、お爺ちゃんになってる!?」

「見事じゃったよシエナちゃん、リア嬢も良い支援じゃったの!」

「身体が老化したからって、喋り方まで変わるものなんですか?」

「……ん、ノル君じゃない? あれ、ノル君だよね?」

 

 一目でそれが老人となったノマルであることに気付いたのは流石パーティメンバーという事なのだろう。しかし、話し方だけでなくその中身が異なる事にまで気づきかけていたシエナの執念は恐ろしいものがある。

 

「これくらいじゃと……三日後には目覚めるじゃろ」

「……起きるんだよね?」

「勿論じゃ、ワシがシエナちゃんに嘘をついたことがあったかのう?」

「いや、普通にあるよね?」

「かっかっか、こいつは一本取られたわい」

 

 そう、精神は老人でも……その身体は間違いなく今この時間を生きるノマル本人のものだった。当然スキルを使いすぎたツケを払うのもノマルである。この老人、人の身体だからと言ってやりたい放題し過ぎである。

 

「身体は同じじゃからのう、そうなるのも止む無しと言うか……」

「……誰と話してるの?」

「こっちの話じゃよ、大人は隠し事が多いんじゃ……」

 

 意識を失って地面に倒れないように、地面へと座り込んだ老人。彼にかけられた『刻送り』がもうすぐ解除されることを察していたのだろう。そして無茶をさせ過ぎたフィードバックが来ることも。

 

「おお、そうじゃ。最後に一つだけ置き土産をするとしようかの」

 

 そう言って青白いウィンドウを出現させた老人は、手慣れた手つきでスキルを発現させる。

 

『スキル:傍点+注釈』

 

()()()()()()()()()()()()()()*1……っと、これで良いじゃろ。さて、それじゃそろそろ年寄りはお暇するとするかの……」

 

 バタリと死んだように倒れこんだ老人は、中年、青年と姿を変えていき……やがてあどけなさの残る少年へとその姿を変える。

 

 騎士や冒険者たちから勝鬨があがる。この日、人類は遂に12魔将の内の半数を討ち取った。人類にとって大きく、偉大な一歩であることは間違いないが……何より、犠牲者の数が少なかったのはA級冒険者である彼らの働きが大きかったという。

 

 

 ▼△▼△▼△▼△

 

 

『スキル:目次』で見たのは、そんな風景だった。信じられないけど、お爺ちゃんになった僕が12魔将を倒した……という事らしい。本当に信じられないけど、実際にこうして街中が祝勝ムードなのだから、信じる他無いだろう。何故か、12魔将の内の一人の名前を、誰も口にしていないのが気になったけど。確か、確か二人いたはずなんだ。

 

 そんな侵攻があった丁度三日後に、僕は宿屋の自室で目を覚ました。恒例となりつつある気絶も、そろそろどうにかしたい所ではあるが……そう直ぐに解決できるものでもなさそうだった。

 

 そして、スキル関連と言えば……これだ。

 

『スキル:()()()()()()()()()()()()()()

 

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 青白いウィンドウを出現させる。確か、目次で傍点を振ってたから何が変わったのかを確認しておかないと……何か増えてる。誤字とよみあげは感想でも出てたけど。一体何が出来るのかは検討もつかない。何を誰が読み上げるんだよ。そう思って発動させてみたはいいものの。

 

『スキル:よみあげ』

 

▶『老ノマル』

 『???』

 『戻る』

 

 それを選択すると、また見慣れないウィンドウが出現する。老ノマルを選択しておけば、いきなり敵が出てくるような事は無いだろう。そう思って選択した瞬間──────

 

 

「なっ、なにこれ……」

 

 

 ───世界の見え方が変わったような気がした……じゃろう?

 

 彼が困惑するのも無理はないじゃろうな、急に地の文が語り手がワシに変化したんじゃから。なに、普段はもう少し自重はするけどの?

 

「”世界”を”誰か”が”よみあげ”るって事……?」

 

 ま、そう言う事じゃの。とは言えワシからアドバイスする事はあまりないじゃろうけど。

 

「なっ、なんで? 能力の使い方も、僕よりずっと上手そうだし……それこそ付きっきりで教えてくれれば……」

 

 いや、そういう訳にもいかんじゃろうて。あくまで『よみあげ』の役目はアドバイザーじゃ。この物語は、ワシのものじゃなく……お主ら、今を生きる者達のモノじゃろう?

 

 それに、この能力は本人の閃きが重要じゃ。教科書通りに教えていくと……肝心な時に一歩足らん事になるぞい? 少し参考にするくらいが丁度いいわい。

 

「そういうものなのかな」

 

 うむ、そう言う事じゃ。さて、シエナちゃん達が下で今か今かと待っておるぞ? 早く元気な顔を見せてあげなさい。

 

「わっ、分かった……ありがとう、その……もう一人の僕?」

 

 お爺ちゃんで良いぞ、あの子が小さかった頃を思い出すのう……

 

 

 ▼△▼△▼△▼△

 

 

 ……こほん。そんな訳で宿屋の一階へと降りて来たノマルを迎えたのは、嬉しそうな顔のシエナちゃんと、少し申し訳なそうな顔をしたグレイちゃんじゃった。大方、一人だけ魔力切れで最終局面に参戦できなかった事を申し訳なく思っておるんじゃろうな、魔法使いの宿命だから仕方ないというのに。

 

「目が覚めたんだね、ノル君。体調はどうかな?」

「バッチリ……と言いたいところですけど、少し頭は痛みますかね」

「本当に三日ピッタリだったね!」

 

 倒れていて栄養が足りない彼の為に、消化の良い食事と大量の水を注文したグレイちゃんはやはり気配りが出来る女の子じゃの。程なくして、柔らかく煮込んだおかゆとスープが食卓へと運ばれてくる。

 

 

 公務に追われているであろうリア嬢を呼び出して、話し合いが始まっておるな。少し気は早いけど、今後どうするか……と言う話し合いじゃな。今後も侵攻が無いとは言えないし、こちらから親玉を叩く事もあるかもしれないから……今のうちにやりたいことはやっておきたいという算段じゃな。

 

「さて、何処に行くかだけど……」

「他国って言うのも有りですよね。良さそうなあたりで言うと魔法都市である『プルプラ』、闘技大会のある『ルベル』あたり……でしょうか?」

「ダンジョンの最深層に潜るというのもありじゃない? まだ見ぬお宝があるかも……!」

「ここいらで一度、里帰りと言うのもあるんじゃないかな?」

 

 行きたいところはそれぞれあるものの、どれもが魅力的で決め辛い。そういう贅沢な悩みじゃな。結局、決めきれずにまた明日という事になったの。まあ、急いで考える事でも無かろうて。

 

「迷うなぁ……」

 

 決められないのなら、『安価』というのはどうじゃろうか? 感想でアンケートは良くないんじゃが……読者の皆様が「○○のどんなものが見たい!」なんて言うだけなら『感想』じゃからな。なに、怒られたら消せばいいじゃろ。

 

「そう言われると悪くない……のかな? 一度くらいやって見たくはあったんだよね」

 

 >>100とだけ、言っておこうかの? キリ番じゃしの!

 

「えっ、もう感想が百件も来てるの? 僕が寝てる間に?」

 

 ワシ、人気じゃもんなぁ……

 

「なっ、何か納得がいかない……」

*1
目次の上にあるやつだけでなく、話毎の上の方にあるやつも追加しておいたぞい




『ここ好き』でも似たような質問をするかもしれないとだけ伝えておくんじゃよ
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