[NumberingTitle_15645_ハイエナ]
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「ミサイルは全部で2341発、数がお揃《そろ》じゃないのが惜しいよねぇーっ★ まあ、弾数が多い方がデモンストレーションにはもってこいだと思わない?」
「…束、何を考えている?」
「なにって、そんなの決ってるよ。お掃除だよ、やっぱり汚れは綺麗に落とさないとねっ♪」
嬉しそうに笑う束が千冬の方を一瞥する。
「ああ、でも一人だけ私の暴走を止めれる人間がいたんだっけ?」
「お前は!!」
千冬が束の襟首を掴む。束の狂気的な行動に千冬が焦燥感を積み重ねていく。今も空中投影ディスプレイ画面内に映っているリアルタイム映像は他国の防衛機関、軍事機関等への介入プログラムが走り続けていた。
標的は日本、弾道着地点は本州に設定されている。二人がやり取りをしている間にも、ミサイル発射の秒読みカウントダウンがみるみるとゼロの数字へ近づいていく。現状で世界中の国が対策できる時間は既に手遅れとなり、もはやこの国にとっての危機的状況を打破できる人間は限られていた。
束が優しく微笑みながら千冬の怒り狂う顔を見る。
「ちーちゃん、止めれるのはちーちゃんだけだよ? ちーちゃんだけがISを使ってミサイルを打ち落とせるの。どう、ちーちゃんが活躍できる舞台が整ったなんて、とっても素敵でしょう?」
「束、お前の気持ちは痛いほど解る…。だが、これは違う!! これではお前の今までの努力が全て無に返るだけだ!! 何故それが解らん!?」
「あはは、大丈夫だよ、ちーちゃんは強い! それだけで私は満足なのだよっ♪」
そして、なにか憑き物が落ちたように束の顔が真顔に変わった。
「まあ、ちーちゃんが乗らなくても私は満足だけどね。私をここまで蔑んだ連中なんて、全部灰になってしまえば良い。ちーちゃん、あと一時間もしないうちに日本は世界地図の上から消し飛ぶよ。好きな方を選んでくれて構わないからね?」
「束、今の世の中がそんなに憎いか?」
千冬が投げかけた言葉に束が疲れた表情をする。その瞳は諦め、憐憫、嫌気ともとれるようなものを千冬に投げかけていた。
「どうだろう、憎いもなにもないかな。私はね、ちーちゃん。少し疲れたんだよ」
「…そうか―――
ふっと千冬は目が覚めた。
目覚めた場所は自身が使用している寮の部屋である。昔の記憶が蘇ったような夢は本人の不快感を増大させた。
額に手を当ててみれば、汗がジワリと浮き出ていることに気づく。
(束、お前の心は未だにあの時から閉じこもったままのか…?)
どうにかして暴走行為を繰り返す彼女を止めなければと千冬は考えを巡らせる。今もどこかで愉快に笑っている束が次に起こすであろうことを思考した。
これだけの襲撃行為を行った彼女なら、自身の快楽のためにIS学園を崩壊させることなど厭わない。それだけは、なんとしてでも止めなければと。
2341発のミサイルが発射されたあの時、千冬がISに搭乗しそれを止めたことが全ての始まりだ。
彼女は自身の選択が正しかったかどうかは未だに解らない。しかし、ミサイルを止めなければ多くの犠牲者と国そのものの機能が失われていた。
そこから先はこの国に住まう人々が混乱し、不幸だけが付きまとう未来の行き先が見えた。
もともとは最後の決断をした自身に責任がある。だからこそ中途半端は許されない、最後まで自身が行ったことへ関わり続けなければと考えた。
千冬の弟である一夏が誘拐されたとき、ISもなにもかも全てを投げ出して最愛の肉親を救い出した。
彼女はそれを他からの警告と受け取り、これ以上ISに乗れば自身以外の身内に被害が出る可能性を考慮する。その結論は一戦を退いて他の方法でISに関わろうと模索し教師という道を選んで今に至っていた。
一夏にはISに関わらせず、一般人として普通の生活を営んで欲しい。しかし、そう思っていた彼女の期待は見事に裏切られた。
束が設計した女性しかISを起動できないという概念に思考が縛られ油断があったのだ。その隙をつけいれられるように一夏がISを起動させてしまった。
女性しか扱えないようにISにロックをかけていただけなのだとしたら、一夏の遺伝子情報や脳波情報だけはアンロックにした可能性がある。当時、彼がISを起動させてしまったという一報を聞いた千冬は自身の配慮のなさを呪った。
隠そうとしても、一度でも大衆の目に晒され認知されてしまえば止めることが出来ない。思い悩むところで、無力な自身は降って沸いた束の提案に乗った。
本当は乗りたくもない、しかし乗った方がマシな状況に陥っていた。
束が専用機を一夏に与えようということに千冬は同意する。彼女はISに関わった一夏を強くし生き残らせる選択を選んだ。歯車がまわり続けるように時間は止まることもなく永遠に流れ続ける。絶対という言葉が当てはまるのだとしたら、確かに時間という概念はそれに当てはまるのかもしれない。
ならば、その中でいくつ翻弄されようと不安定の中でも安定を求めていくべきだと。千冬は一夏の幸せを願い、彼自身が未来を作り上げられるだけの力を得るようにと努力する。部屋にかけてある時計を見れば朝の五時半を短針と長針が指していた。
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「一夏! 居るわよね」
朝の授業開始前である朝食の時間、問答無用で鈴が一夏の部屋に続くドアを開け放った。
「お前、何やってんだよ…」
「鈴! 一旦、ドアを閉めろ!!」
「ぎぃ、ぎゃああああ!! 着替え中なら着替え中って言いなさいよ!!」
そして寝巻きから制服に着替えている最中の男性二人を目撃してしまい、鈴が悲鳴を上げながらドアを思い切り閉める。下半身が裸でなかったことに安堵した彼女は朝から一気に気まずい状況に陥った。
「阿呆が、お前が問答無用で開け放ったんだろが」という喜久の呆れた声と、「あいつはなにやってるんだ…」という一夏の溜息交じりの声が聞こえる。
(ああぁ!! もう! あんたらの着替える時間が遅すぎんのよ!?)
鈴は心の中で盛大に怒ったあと、手に携えている券をぎゅっと握り締める。冬休みのスキー旅行で現地の大会に参加した際、後一歩のところで楯無とシャルロットにはめられた。
が、別にそこでアトラクション遊園施設の券を手に入れなくても自分で購入して誘えば良いのではと、彼女は自腹を切ってそれを購入していた。
去年の夏はプールに誘って、なぜかシャルロットと二人で散々な思いもしている。しかし、今回はなんとしても一夏を誘いきって二人だけの時間を作りたい。『彼からの愛を享受するために!!』を合言葉のようにして彼女は自分の道をひた走る。鈴は己の勇気を振り絞ってドア越しに一夏へと呼びかけた。
「一夏、ちょっと話があるんだけど?」
「鈴、もう入ってきて良いぞ。俺も喜久も着替え終わったから」
「凰、騒がしいのがお前の特徴だけどな。もう少し落ち着いて行動しないと、今みたいに空回りするぞ?」
(あんたにだけは言われたくないわよ!! この天邪鬼!!)
あんたの方が周りからいつもしばかれまくってんだろうがと、鈴は文句を言いたい感情をぐっとこらえる。このままでは一夏に悪印象を与えてしまうことに彼女は怒りを抑えこんだ。入室すると二人は朝の身支度を整えて適当な場所へ腰掛けていた。
そして、喜久がニヤニヤしながら彼女を出迎える。
「一夏にだけに用なら俺は先に行かせてもらうわ。まあ、精々頑張れよ」
「うっさいわね!! あんたはいっつも、なんでそんなに陰険なのよ!?」
「喜久、鈴を怒らすなよ。どうしたんだよ、こんな朝早くから?」
結局は喜久に煽られて怒鳴ってしまう鈴がいる。一夏は二人の犬猿のような仲に溜息を吐きながら話の先を促した。
「え、えっとね一夏。実は二組の友達からアトラクション施設の券をもらったのよね。捨てるにはもったいないしさ、良かったら一緒に行かない?」
鈴がおそるおそると一夏へ言葉を紡いでいく。彼女の精一杯の頑張りに答えるようにして一夏は立ち上がる。その顔は何か嬉しそうにして鈴の期待に答えようといった感じに見て取れた。
(え、オーケーなの!? でも、なんで私じゃなくて喜久の方を向くのよ…?)
一夏が鈴ではなく部屋を出て行こうとする喜久のほうを向く。
「喜久、お前とシャルが行くアトラクション遊園施設ってなんて名前なんだ?」
「一夏、お前は本当に鬼だな…。凰、まさかお前もシャルロットと同じ場所の券を買ってないだろうな?」
喜久が一夏の言わんとしていることを察知して、すぐさま鈴のほうを向く。今度は鈴が喜久の言わんとしていることを理解して滝のように汗が吹き出し始めた。
(くぅう、ええそうよ!! あたしはなにも考えずにシャルロットと喜久《あんた》が行く場所の券を購入しちゃったわよ!!)
彼女は大会で負けたことが余りにも悔しかった。
だから、後のことを考えずにシャルロットが手に入れたチケットと同じ場所のものを買っている。喜久のほうを向いたのも、どうせなら皆で一緒に行ったほうが楽しいだろうと一夏《唐変朴》がぬかすためだったに違いないと彼女は理解した。
喜久が呆れながら鈴のほうを向いてから一夏に喋りかける。
「一夏、行くなら凰と二人だけで行け。そんでもって、他を誘うな。良いか、必ず二人だけで行けよ?」
「なんだよ、言ってる意味がよくわかんねえぞ喜久。なんで鈴と二人でだけなんだよ?」
「たく、面倒臭ぇな! 良いからそうしろつってんだよ、この馬鹿が!! 俺は先に行くからな、お前は凰と二人で登校しろ」
そう言って、喜久がやってられないとばかりに部屋を出て行った。
そんな彼と一夏のやり取りを鈴がポカンとして見ていたが、これは絶好のチャンスだと彼女は気を持ち直す。
「喜久の奴、勝手に怒って先に行きやがった…。なんなんだよ、俺はあいつの行動が理解できないぞ」
「ああもう!! 一夏! あんたは喜久が言ったようにすればいいのよ!?」
「お前もなんで怒るんだよ…。わかった、男に二言はない。鈴、二人だけで行くか?」
一夏の爽やかな笑顔から発せられる一言に鈴が満面の笑みを浮かべる。彼女の中で天邪鬼の最低人間だと思っていた喜久が、この時だけはまるで恋のキューピッドのように見えた。
「一夏、ドアが開いているようだがお前はいるのか?」
「ああ、箒。おはよう」
そこへ通い妻のようにして箒が一夏の部屋へとやってくる。二人が挨拶を交わしている横で鈴は思わずゲッと、苦虫を噛み潰したような表情になった。
その表情を箒が見逃すはずもなく、そのまま一夏へと詰め寄りだす。
「一夏、なぜ鈴がこの部屋にいるのだ?」
「そりゃ、むぐっ!? ―――
「あああ、あ、なんでもないわよ! なんでもないの! 私は一夏と一緒に登校しようと思って来ただけよ!?」
せっかく苦労してこぎつけた約束が台無しになってしまう。鈴は全力で一夏の口を塞いだ。
怪しい…。
箒の女の感が発動し、一夏へと更に詰め寄りだす。そんな彼は、(なにもしていないはずなのに…)と心の中で半泣きなり始めていた。
「一夏、鈴となにをしていた!?」
「待て箒! 落ち着け!?」
「……一夏…一緒に…!?」
そんな混沌とした中で、更に簪が一夏の部屋へ入ってくる。あたふたする鈴に怒れる箒、そして対処に困っている一夏がいた。
簪は今の状況を理解しきれないらしく、思わずその場で考え込み始める。箒は簪の状態を見て一瞥した後、再度一夏に詰め寄り始めた。
「説明しろ一夏! 大体、何故この場に喜久がいないのだ!? 二人でこそこそと、なにをしていた!!」
「うるさいわよ箒!! あんたには関係ないでしょ!? 私と一夏が、なにかしてたって別に問題ないじゃない!!」
「なんだと鈴!? 二人で一夏を変えようと言っておきながら! それなら私の方から協定を破棄してやる!!」
鈴と箒がISを部分展開しだす。簪はあまりの状況についていけず、一夏と一緒にその光景を傍観する。
「お前たち、朝から随分元気だな。一体なにをしている?」
そして当たり前のように鬼が現れた。
365日、教育者という名の軍曹ですといった千冬がISを無断展開して恐怖で凍り付いている鈴と箒を睨む。この日の放課後、ISを展開しながらグラウンドを走り続ける二人の人間がいた。
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朝のホームルーム、簪は朝の出来事を思い出す。一緒に登校しようと一夏の部屋を訪れれば専用機持ちの二人が既に口喧嘩を始めていた。
結局は千冬が鎮圧したが、何故そうなったのかの経緯がまるで見えない。
(……朝の騒ぎは…なんだったんだろう?)
「では、これより学年別トーナメントの新ルールの方を説明していくわね。簪さん、聞いてる?」
「!? …すいません」
「専用機持ちの貴方がクラスの顔なのよ、もっとしっかりしてね?」
簪の性格を知っている4組の担任が優しく彼女へ声をかける。簪はコクリと一つ頷いて了解の合図をした。
それを見た担任の教師は話の続きをしていく。
「昨年の学年別トーナメントを踏まえ、今回はそれを更に拡張させ完全なチーム対チームの対戦ルールに変更となりました。なお、専用機持ち同士は組むことが出来ないわ。組むのは専用機持ちをばらけさせた上で完全なランダムの組み合わせとなるから、そこを踏まえて他クラスの生徒とも密接に連携をとるように。なにか質問は?」
「はい! 先生、組み合わせに関してですが、どうしても自分から選ぶことは出来ないのですか?」
「それは出来ないわ。だって、貴方は一組の男子に組むようにお願いするんでしょ?」
「そうです! 織斑君と友好を深める絶好の機会ですから!!」
「やっぱり組むなら織斑君だよね。良いなぁー、一組の人はいつも一緒なんてずるいよね」
「先生ー、本当に自由に組むのは駄目なんですかー?」
(……それだったら…私が組みたい…)
教師とクラスメイトのやり取りに簪が溜息を吐く。自身が苦労して皆で完成させた打鉄弐式、彼女はこの専用機を大切に思っている。が、一夏のこととなるとその考えもグラグラと頭の中で揺れ続けた。
一夏と組めるなら組みたくてしょうがない。タッグマッチのときのように一緒になにかをしたいと彼女の胸が高鳴る。そう思っていると、一人のクラスメイトがもう一人の男子生徒に関して喋りだした。
「でもさー、顔に容赦なく攻撃する市隈と組んどいたほうが痛い思いをしなくて済むわよ?」
「ああ、あいつは本当に酷いわよね。よっちゃんなんて可愛く呼ばれてるけど、専用機のISも悪魔《デーモン》みたいな形をしてるし」
「学年で一番の実力者が、なんであんなに凶悪な人間なのかしら」
「やめて!!」
喜久の悪口に簪が席を立ち上がって大声を上げる。自身を伸ばしてくれた人間に対する中傷や偏見に耐えられなくなった彼女の声が教室中に響く。
「……彼は…そんな、悪い…人じゃない」
そして、ちょこんと自分の席に座りなおした。
簪の声に吃驚した生徒たちが各々の顔を見合わせて、皆一様に困った顔をしだす。そして言い訳や謝罪を口にしだした。
「ちょ、ちょっと。やーね、冗談よ。本気に受け止めないでよ?」
「そこまで悪い意味で言ったわけじゃないのよ、ごめんね簪さん」
「良いじゃない、単なる言葉のあやよ。誰だって間違うことがあるでしょ?」
下らない。
自分の非を認めなかった一部の人間に対して、一夏の正義感や喜久の感覚に影響を受け始めていた簪の心が怒りで満たされた。
それが、彼女の原動力となって言葉に力を与えていく。
「自分の言葉で傷つけた人間に対して謝罪できない人は、一夏や喜久には一生勝てない」
「なんですって!?」
「どういう意味よ、それ!?」
「やめなさい!! 今のは簪さんの言っていることが正しいわ。貴方達、反省しなさい」
荒れたホームルームは担任の怒声によって沈静化された。
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「簪さん、そんなことして平気だったの?」
「…我慢……できなかった」
昼休みの昼食時、ラウンジで一緒に食べているシャルロットが落ち込んでいる簪を気遣って声をかけた。
他の専用機持ちはよく言ったとばかりに簪を褒め称えている。そんな中で喜久が簪に声をかけた。
「馬鹿だな簪、そんなもんは勝手に言わせときゃ良いんだよ。そんなことしたらお前が変な恨みを買うだけだろうに、俺のことなんて気にしなくて良いんだからさ」
「いや、簪の言ったことは間違ってないぞ喜久。胸を張るべきだ、頑張ったな簪」
喜久と一夏に優しい言葉をかけられて簪が安堵感に包まれる。ラウラも簪に助言をしようとする。
「禍根を残したくないのであれば、徹底的に相手を粉砕してぐうの音も出なくなるまでやれ。余計な尾は作らないに限る」
「…ありがとう……でも、そこまで…過激には無理」
「なにかあったら、僕たちがいつでも相談に乗るからね。だから、簪さんは安心して普通にしてて大丈夫だから」
シャルロットが簪を安心させようと背中に手を添えながら声をかけた。
「そうね、なにかあったらあたしに言いなさい。そんなの直ぐにとっちめてやるから」
「そうですわ、私たちは貴方の味方です。ですから安心なさって下さいな」
「小物の人間に振り回される必要なぞない、私たちがついているから心配する必要はないぞ」
鈴とセシリア、箒があとに続いて発言をする。簪は彼女達の励ましの言葉に感激し感謝した。
そして、そのことを知らない簪のクラスメイトは後になって専用機組みを敵にまわしたことを知り恐怖に苛まれた。
一夏が話題を変えるようにして他の話をきりだす。
「ところでさ、今度やるチームトーナメントって五対五で対戦するんだろ? それって専用機持ちがいるチームの方が圧倒的に有利なんじゃないか?」
「甘いぞ一夏、チームは連携が全てだ。一人で何人も相手にすればその分息切れが早くなるからな、相手に合わせて作戦を立てる、チームで連携をする、秀でたリーダーの統率力が必要だ」
「ぐ…。確かにそうだ」
ラウラが一夏の考えを一蹴した。
そんな二人のやり取りを見ていた喜久がセシリアの方を見る。
「でもな、ISだけで考えるとセシリアのブルーティアーズが一番やりやすいだろうな。遠距離特化でビットまで出せんなら仲間の援護を一番しやすそうだしな」
「ええ、そうですとも! 私のブルーティアーズでしたら全てにおいてサポートをこなせますわ!!」
喜久に褒められたセシリアが嬉しそうに鼻息を荒くする。その光景を見ていた一夏が自身のISを考えると溜息を吐いた。
「俺の白式は援護には向いてないからな…。どうしたもんかな」
「お前は馬鹿か? 白式みたいな機動性と圧倒的な攻撃力なら、むしろ単機で突っ込んで周りにサポートしてもらえば良いじゃねぇか」
「そうは言うけどな喜久、どうやったってエネルギー切れの早い機体じゃ直ぐに戦闘不能になるんだよ」
「頭を使えよ一夏…。だったら、最初に一機で三機分を道連れにしていきゃ良いだろうが。残りは四対二だろ、後は他の連中に任せりゃいいんだよ」
「ああ、そういう手もあるか」
喜久と一夏があれこれやって話し合いをしていると、その日の昼休みが終了した。
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「本当に目が見えているのね、色素が抜け落ちているのに不思議だわ」
「ありがとうございます。今日はこれで失礼しますね?」
「ええ、結構よ。定期的に顔はだしてちょうだい、私の仕事は生徒の健康管理だからね」
「はい、失礼します」
俺は目の検査を終えて保健室を出ると、そのまま自室へ向って歩き出す。ISTSの代償で片目の色素がしくなって以来、保健室通いが続いている。面倒臭いが学園から義務付けられたために、しょうがなく通っている状態だった。
そして、最近渡された資料の内容に頭を悩ませている。
「…ち、あれだけ多いのは予想外だったな」
CIAがよこしてきた資料に思わず唸ったことを思い出す。クソ快楽者、篠ノ乃 束の潜伏箇所。調査してわかっているだけで15645の存在場所が記載されている。上はヒマラヤから下は深海まで。中には南極やら北極の数箇所にも所在しているであろう赤い点が表示されていた。
人気のない廊下を歩いていると、ティアーニが喋りかけてくる。
【あれだけあると、いくらでも目が回り続けそうね】
「回されるのは一回限りで充分だ。どうせ無理だと踏んで渡してきた資料だったみたいだな」
まったく、くえない連中だ。しかし、正規の資料を俺に渡すってことは今回クソ大佐の首を撥ね飛ばしたいのは本当らしいな。
【フェアが貴方の信条でしょう、どう答えるのかしら】
「…ああ、癪だが乗ってやる。ついでだ、クソ大佐の頭も吹き飛ばして終わらせてやるよ」
【アメリカに行くにしてもどうするのかしら。学園のカリキュラムをおろそかにすれば千冬が怒り出しかねないわよ】
「知るかよそんなこと、相手を潰せば俺がここにいなきゃいけない理由もなくなるしな。そんときゃ退学だろうが除籍だろうがどうでも良い話だ、他の高校に通いなおすさ」
今の最優先はクソ大佐やアメリカとの決着をつけることだ。あとは、寿命を全うして死ぬだけで良い。
「学園の判断は甘んじて受け入れれば良いんだよ。そんときゃお前ともお別れだけどな、ティアーニ」
別にISがあろうがなかろうが、篠ノ乃 束も必ず追い詰めてやる。
【そんなことは笹崎が許さないわよ。貴方は自分の希少価値にもっと目を向けなさい】
「ティアーニ、悪いが人殺しに価値なんてもんは存在しないんだよ。俺はな、自分の犯した罪を許す気なんてない」
【悪いけど、貴方の都合に合わせる気はこちらにもないわ。私が貴方を選んだ、そして唯一認めた搭乗者よ。私は名づけ親である貴方以外を乗せる気なんてないわ】
「へぇ、随分と俺を認める発言だな。褒めたってなんもでないぞ?」
【貴方からの報酬なんて期待しないわよ。ただし、精神的な成長だけはして欲しいものね】
「いってろ、クソAI」
下らない漫才をしながら自室のドアを開く。中では同居人が椅子に座って待っていた。
「喜久、飯食いに行こうぜ。今日もISの訓練で楯無さんにみっちり教えられたから腹が減ってしょうがない」
「ああ、そうだな」
お互いに苦笑して一夏が俺のほうにやってくる。ドアを閉めて一緒に歩きながら雑談を交わす。俺は彼の笑っている顔に平和を感じた。
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憎い。
自身の姉が、織斑 千冬が憎くて堪らない。
壊してやる。
姉さんの何もかも。
嬉しい。
織斑 一夏を殺して姉さんの苦しみに歪む顔が見れる。
殺してやる、織斑 一夏という兄を完膚なきまでに。
圧倒的で一方的な力で肉片の一つまで残さずに殺し尽くしてやる。
「エム、お客様よ。リビングに顔を出してくれないかしら」
「客?」
部屋の入り口に立ったスコール=ミューゼルが自室のベッドで横になっている織斑 マドカへと声をかける。彼女は不振そうにしながら眉間に皺を寄せて金髪を柔らかく揺らしているスコールの方を見た。
「こんな場所に誰が来たというの?」
「あなたの嫌いなお客様よ。上からの作戦について変更を求めてきたの」
「あいつか。ち、気まぐれめ」
マドカは、しょうがなく思考を切り換えて体を起こす。ベッドから起き上がるとスコールの後ろをついて行くようにして部屋を出た。
リビングに辿り着いてみればオータムが不機嫌そうな顔をして壁に寄りかかっている。客は二名で屈強な男性が一人ともう一人は少女だ。マドカと同年齢くらいの外見をした少女が、彼女を見て嬉しそうに笑う。
「こんにちはぁ、エム。それにしても随分と狭い部屋ね、息が詰まるかと思ったわ。部屋が犬小屋みたいなサイズじゃあ、まあしょうがないわよねぇ?」
「ふん、お前は待機の命令が出ているはずだが。今日はどういった用件だ?」
この場の人間は誰も少女の挑発に乗らず、マドカは立ったままで少女の方へと侮蔑の視線を向ける。少女は面白くない反応だとばかりに口を尖らせた。
そして、気持ちを切り換えたように屈託のない笑顔でマドカに向って喋りだす。
「退屈してたんだけれど、風の便りでなんか面白い遊びをするって聞いたのよ。だから私も今回の強襲作戦に参加して助力をしにきてあげたの」
「帰れ、お前がいるだけで計画がおかしくなる」
マドカが少女の言葉を一蹴して、そのまま威嚇のような姿勢になる。少女はそんなものはお構い無しとばかりに提案を再度きりだしていく。
「だからぁ、私がゴミくずの一人か二人ぐらいを引き取ってあげるって言ってるの。お分かりかしら、エム?」
「ゲテモノと織斑 一夏は私の獲物だ。手を出せばお前を先に始末してやる」
「あはははは、良く吼える犬ね。スコールに仕掛けられてる首輪を食い千切ってこれたなら相手をしてあげても良いわよぉ? まあいいわぁ、織斑 一夏とかいうのは貴方にあげる。でも、もう一人の男は私がもらうから」
「ふざけるな、今すぐ貴様の首から上を消し飛ばすぞ?」
少女の室内に木霊する笑い声がマドカの神経を逆撫でする。次の瞬間、青い射撃型ビットが二つ出現して少女を狙い撃ちするように宙で停滞しだした。
ふうと、溜息を一つ吐いたスコールが両腕を組みながらマドカをたしなめる。
「おやめなさい二人とも。エム、ここは引きなさい。貴方は織斑 一夏の相手をすれば良い、それで充分よ。もう一人は彼女に引き受けてもらいましょう」
「スコール、お前は黙っていろ」
「エム、私にナノマシンを使わせないでちょうだい。それとも、死に急ぐのがお望みかしら?」
「……。…く、了解した」
マドカが盛大に舌打ちをしながらISを解除すると、少女は両手を合わせながらにこにことして笑顔になる。
「あはは、ものわかりが良いわねぇ。それじゃ、確かに玩具を一つ貰ったから」
「ゲテモノは私でも手も焼く相手だ、お前では仕留めきれない」
「馬鹿ねぇ、そんなのエムが弱すぎるのが問題なんでしょうに。私だったら、一瞬でゴミくずの喉元を貫いて終わらせてるわよ?」
「貴様…」
話が終わりだとばかりに少女が立ち上がる。彼女が玄関へ向おうとすると男性も一緒になってそれに追従していく。少女が笑顔で振り返ってリビングにいるマドカ、スコール、オータムの方を見た。
「安心なさいな、お兄ちゃんの方は私が確実に息の根を止めてあげるから。ついでに、もう一人くらいも一緒にぐちゃぐちゃの生ゴミにしといてあげるわ」
少女と男性が玄関から外へと出て行く。ドアが閉まると同時、オータムが苛立ちとともに辛らつな言葉を吐き始めた。
「ああクソ! まいどまいど胸糞悪い奴だ!! あいつを殺して良い命令があるってのなら、今すぐ私が切り裂いてやる!!」
「馬鹿が、貴様ではあっけなく返り討ちが関の山だ」
「なんだと!? 殺すぞガキ!!」
マドカの嘲るようにして放たれた言葉にオータムが更に激昂する。それを沈静するかのようにスコールが手を叩いて言い合いをしている二人の注目を集めた。
「止めなさい、オータムも落ち着きなさい。いらない横槍が入ったのは確かだけれど、作戦は修正可能よ。それに、彼女が暴れてくれるのであれば、それを利用すれば良いだけのことでしょう?」
「スコール、お前だって奴が大嫌いだって言ってたじゃないかよ!?」
「私は自室に戻らせてもらう」
「ええ、お休みなさいエム」
マドカは一度だけ玄関の方を見てから自室へ向う。
(奈落の落とし子同士だ、お互い勝手に潰しあって自滅しあえ)
感情の中で少女を罵倒すると、彼女は織斑 一夏を頭の中で思い浮かべた。
(待っていろ、お前は私の手で必ず殺してやる)
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「それ、冬に撮ったやつか?」
「ああ、そうだぞ」
放課後の空き時間に自室の部屋で過ごしていると、一夏がアナログタイプのアルバムにデジタル印刷していた写真を挿んでいる。本人が当たり前のようにとる行動から俺は感心したようにして遠巻きに様子を眺めていた。
去年の冬に行ったスキー旅行の際、一夏の提案でいつもの専用機持ちたちと教師の二人で集合写真を撮っている。後で見せてもらったが、みなが写っている写真の中で俺だけは苦笑いして一夏に引っ張られたような状態だった。
「この前行って皆で写真撮ったろ? 喜久は恥ずかしがって逃げようとしてたけどな」
「俺はああいうのが苦手なんだよ。なんか、あんまり好きになれなくてな」
「一夏は思い出を大事にするタイプなんだね。喜久は自分で撮った写真とかないの?」
一夏の横で写真を見ていたシャルロットが俺の方を向く。適当に手を振ると一つ欠伸をして自分のベッドへと横になる。
「写真ねー。俺は頭で覚えてりゃ充分だと思ってるからな。そういえば、今まで一枚もきちんとしたのを撮ったことがないな」
「…はぁ、これだから喜久は。僕は面倒臭がりなのは良くないと思うよ?」
「なんとなく言いたいことはわかるけどな、他人の中に記憶としてその人の顔が残ってれば問題ないだろ?」
シャルロットはやれやれと両手を肩の位置まで上げながら顔を左右に振る。そんなやり取りを見ていた一夏はアルバムを片すと俺の方に顔を向けてきた。
「シャル、これは千冬姉に言われてやってることなんだよ。いつもやってるから習慣みたいになってるけどな」
「え、そうなの?」
「ああ、一緒になった人間を覚えておくようにってさ」
へぇ、あの織斑姉がね。まあ、女性らしい発想だわな。
俺がさらに関心していると、そういえばといった感じでシャルロットがぽんと手を打つ。
「だったら喜久の誕生日は今月だし、みんなでどっかちょっとしたお店でお祝いして写真を撮ろうよ? それが喜久のための一枚になるからね」
うわ、それこそ面倒臭ぇ…。
「そんなことしなくも別に良いだろうに、俺の誕生日なんて別に気にしないでくれよ」
「いや、シャルのいってる通りだぞ喜久。大事なことなんだからみんなで祝うべきだ」
「出たよハッスル野朗が…」
一夏の言動に俺はげんなりとする。祝ってくれるのも嬉しいが、おめでとうの一言さえ言ってもらえればそれだけで充分幸せだ。俺はどんなに豪勢な食事や派手に騒ぐことよりも真心から言ってもらえる祝いの言葉の方がずっと嬉しい。そんなことを考えていると、一夏が誕生日プレゼントのことを聞いてきた。
「喜久、ところで誕生日プレゼントはなにが良いんだ?」
「煙草のカートン、うまい酒、あとは一等の宝くじ券」
「駄目だし最後のは無理に決まってんだろ!! お前何考えてんだよ!?」
一夏が顔を赤くして怒り出す。シャルロットが呆れた顔をして俺を見ていた。
しょうがないので、俺は一夏に他のプレゼントを要求する。
「じゃあ、織斑先生の弱み」
「喜久、それこそ僕は無理だと思うよ…」
「千冬姉の弱みなんて俺も知らないぞ。喜久、あったとしてもお前には教えない」
【貴方の場合はなにもいらないから、適当にはぐらかしてるのでしょう】
ち、ティアーニめ。
図星をつかれて俺が渋い顔をする。確かに、特に望んでる欲しい物がないために適当に答えていた。
俺の顔を見た二人がしょうがないといった感じで溜息を吐く。
「喜久の場合は聞いた方が良さそうだと思ってたんだけどな。しょうがない、自分で考えるか…」
「一夏、喜久は嘘と息を一緒に吐いてるんだから、まともな答えを要求するのが間違ってるんだよ」
「そうだな、もっと早く気づくべきだった」
「お前らな…」
シャルロットが毒舌を吐いて一夏が頷いている。そして、俺は傍と本当に欲しいものを考えた。
長く生きたい。せめて今の寿命に十年足せればと思うが、実際はそんなものは手に入らない。ないものねだりをしてもしょうがないと、俺は気持ちを切り換えた。
「一夏、そろそろ卒業式準備で生徒会の手伝いをしに行く時間だろ?」
「ああ、もうこんな時間か。喜久、今日はちゃんと手伝えよ?」
「もう逃げないから安心しろよ。シャルロット、今日は部活も休みだからな。人手は多いに越したことはない、手伝ってくれないか?」
「うん、良いよ」
シャルロットが笑顔で答えて一夏と一緒に三人で部屋を出る。俺たちは他愛のない雑談をしながら卒業式の準備へと目的のホールへ向った。
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ヨーロッパのどこかにある建物の一室で四人の人間が交渉ごとを行っている。その場にいる三人は傭兵、残りの一人は依頼を仲介する交渉人だった。
「フュー、マジかよ? IS様の総本山に攻め込むなんて随分と御苦労なこったな」
「ティーダ、お客さんの前でしょ。自重なさいな」
「そう怒るなよジュサーヌ、楽しくいこうや」
壁に寄りかかっていたジュサーヌと呼ばれた若い女性がソファーで横になっている細身の男であるティーダに注意をする。そして、二人のリーダー格に当たる屈強な体格の男性が交渉人に喋りかけた。
「それで、わざわざ俺たち三人に依頼するってのは穏やかじゃないな。相手は子供《ガキ》だらけの場所だ、殺しは良いが子供も殺せという依頼なら俺たちは仕事を引き受ける気はない」
「そこらへんは心配するなサンティアス、依頼に子供を殺せという内容は含まれていないから安心しろ。奪取して欲しいものがある。目的はISの強奪で、一機につき100万ドルを支払う。二機なら200万ドルといった具合だ」
傭兵に依頼された内容はIS学園の強襲を行いISを奪取すること。それが今回、交渉人が持ってきた話だったがサンィアスと呼ばれた男性はどうにも拭えない不快感を示す。
「ハッ! こりゃすごい、ますます危ない橋なのが目に見えてる。どうすんだよ、サンティアス?」
ティーダが鼻で笑い飛ばす。それほど依頼報酬が高く設定されている。ISの価値を考えれば妥当なのかもしれないが、リスクが高く失敗すれば一瞬で世界中の一級犯罪者へと仲間入りをはたす話に慎重にならざるおえない。
「ふん、随分と羽振りが良いな。依頼主はそんなに俺たちのことを買ってくれているのか?」
「まあな、俺は単なる仲介屋にすぎない。依頼主なんてものは雲の上で胡座をかいてる連中だからな」
交渉人も「どちらかと言えば分の悪い話かもな」と話を続ける。
「バックアップは? 襲撃相手にISなんて兵器を使用されれば、こちらの勝機はゼロだが?」
「依頼主のバックアップでな、ISを三機投入して場を混乱させるそうだ」
「は、その依頼主ってのはとんだ奴らだ。三機もあればそこいらの国を半壊程度は持っていける所持数だろ? 随分と資本に体力のあるバックだな」
ティーダの意見にジュサーヌも追従した。
「そうね、私たちに頼まなくても依頼主だけでカタがつくわ。ちんけなテロ組織やゲリラが所持管理できる代物ではないし、今言ったISが三機なんてのも出撃数としてだけ。仲介屋の貴方の言い草では、依頼主はまだ何体か持っていそうね。私たちが捨て駒にされるのはごめんだわ」
彼女は首を捻り顔が見えない依頼主に不快感を示す。交渉人も肩を竦めながら苦笑いする。
「受けるか受けないかはそっちの自由で良い。報酬が阿呆みたいにでかすぎるんだ、他を当たれば一攫千金を狙った馬鹿がくいつくだろうからな。俺がここに話を持ってきた理由なんてのは、あんたらの腕が良いと知ってるからだけだ。それに、この業界じゃ珍しいくらい他人に甘い。無理に子供を殺さないと思った部分もある」
「矛盾してる話だね~。俺たち傭兵は金で人を殺すんだぜ? まあ、俺もガキを殺すのは好きじゃないがな」
交渉人はサンティアスに決断を求める。
「どうする、依頼をうけるか?」
「受けよう。リスクは大きいが成功すれば、しばらくはのんびりと生活が出来るだけの額だ」