ln   作:kiarina

6 / 84
2-6

[ NumberingTitle_応接間ノ攻防 ]

 

 ― 6 ―

 

 

 IS学園は土曜の午後をフリーな時間として用意されている。いつものメンバーは、新たに加わったシャルルを追加してアリーナに向かう予定になっていた。

 もちろん、俺は行く気なんてさらさら無い。授業が終わって寮に戻ると、シャルルは午後に行なう訓練のためにISのデータをチェックしながら話し掛けてくる。

「ねえ。喜久ってISが嫌いなのはわかるけど、訓練しなくて大丈夫なの?」

「俺は別にISで強くなりたいわけじゃないし。それじゃなくても、今日は軍曹に呼び出しをくらってるんだよ。かったるいし、やってらんないけどな。あー、面倒臭ぇ……」

 軍曹とは、もちろん織斑姉を指している。あれは教師ではなく、間違いなく軍人教官だ。

「またなにか、良くないことをしでかしたんですの?」

「なんでセシリアがここにいる……」

 今、この部屋には俺とシャルル、そして当たり前のようにセシリアがいた。

 俺はベッドにうつ伏せになりながら、顔だけをセシリアのほうに向ける。シャルルが解ってないなと言わんばかりに溜息をついた。

「別に良いじゃない。喜久は、女の子の気持ちをもっと考えるべきだと思うよ?」

「まあ!? シャルルさんは、とても良いことを仰って下さいますわねっ!」

 シャルルの援護にセシリアが喜びの声をあげている。

 どうせなら、セシリアはシャルルとくっ付きゃ良いのに……。

 もちろん性別的に無理だろうけどさ。

 俺は、そんな下らないことを考えながら話を進めていく。

「話、戻して良い? セシリアが言ってるようなことなら、まだましなんだよ」

「怒られたほうが良いなんて、喜久って本当に変わってるね。まあ、でも嗜好は人それぞれだもの。僕は気にしないよ」

「シャルル。毒舌が冴えてるんけど、ひどくない?」

「喜久が疲れてるだけじゃない? 僕はいたって普通だよ」

 シャルルと知り合って五日になる。あの秘密を打ち明けあった次の日から、いきなりシャルルの毒舌が際立つようになった。

 主に俺にだけ。初日にやりすぎたのはわかっているが、まさか次の日からこんな状態になるとは思わなかった。

 そんなせいでクラスの女子らからは、俺に毒舌を吐くシャルルが可愛い男子とは違う意味で、とても喜ばれている。

 俺の扱いって一体なんなんだ……。

「それで。そんなにやる気が無いのはいつものことですけど、なにがあったんですの?」

 セシリアの言っていることも地味に酷いが、まったくそうなので言い返せない。

「机の上に答えがあるよ。見たければ、勝手に見てくれ」

「お言葉に甘えさせて頂きますわ」

 彼女が机に向かい、薄いパンフレットが置いてあるのを確認する。そして俺の方に振り返ると、突然はしゃぎだした。

「すごいじゃないですかっ! 喜久さん、IS系企業からオファーがあったのですか!?」

「喜久の性格は別として、ISの操縦技術は買ってくれてるみたいだね」

 シャルルめ、なんとでも言ってろ。後で、きっちり仕返しをしてやるからな。

「受ける気は無いよ。そのパンフだって無理やり渡されたんだから」

 宇宙開発事業の手伝いと、武器開発の手伝いではまったく趣旨が違う。たとえ良いことをしていても、根本のところは武器商人だ。それをシャルルの前で言うわけにはいかないが、俺はまさにクソくらえと、そんな相手を蹴り飛ばしてやりたい心境だった。

 俺を指名したIS系企業は半縄技術研究所。一般の第三世代機開発とは、違うアプローチの仕方をしている場所となっていた。

 通称、思考力先行特化型IS研究所。従来の物理的現象における武器装備ではなく、思考によるイメージで武器を生成することに重点を置いて研究実験をしているらしい。その特殊性故に、まったくISのテスト操縦者が見つからない研究機関というなんともお粗末な軍需企業である。ようは、従来のISよりも乗り手の方に要求度が高いISを製造しようとしている場所だった。

 俺に白羽の矢が立ったのは男性だからなのかもしれない。セシリアはシャルルのほうを見て、シャルルも肩を竦める。なんでそんなに意固地になるのかといった様子だった。

「そんなご無体に扱われずとも。せっかくの機会なのですから、一回くらい社の方に会われてみては?」

「だから、無理やり軍曹が会わせるつもりなんだよ。こっちは一回でも多く、ISに触れる機会を減らしたいのにな……」

 まるでIS学園の趣旨を根本から否定する発言だが、俺の考えがそうなのだからしょうがない。現に支給されてるラファールは、アクセサリーのまま机の上に投げっぱなしになっていた。

「僕とセシリアさんは専用機持ちだから大丈夫だけど、今の発言はクラスで言わない方がいいね。じゃないと、喜久の立場が本当におかしくなるよ?」

「忠告はありがたく受け取るよ。でもな、本音としては極力触れたくないんだ」

 ISが嫌いなことを知っているセシリアと、なぜ嫌うのかの本当の理由を知っているシャルル。二人とも微妙な顔をしている。俺は、相変わらずうつ伏せのままで時計の方を向いた。

 時間か。

「もうそろそろ、一夏たちと待ち合わせの時間だよな。二人とも部屋を出て、アリーナに行ったほうが良くないか?俺はまだ時間あるし、鍵はしとくからさ」

「一緒に出ようよ。僕としては、喜久に持ち物を漁られたら困るしね」

 ち、ばれたか。

 シャルルが軽蔑のような視線を俺に向けてくる。漁る気なんてさらさら無いが、ベッド辺りに何か仕込んでおこうと思ったのがばれたらしい。俺は起き上がりながら、自分の机に向かっていく。

「シャルルさん、喜久さんも流石にそこまではしないと思いますが……」

 セシリアには悪いが仕込む気は満々です。

 俺は机の下に潜り込むと、隠してあった煙草を取り出す。前にシャルルと話し合った結果、部屋は禁煙でその他は大丈夫になった。

 セシリアに見つからないよう、直ぐに制服の内ポケットに隠すようにしてしまい込む。

「喜久さん、何をなされているのです?」

「いやさ、筆箱を机の後ろに落っことしたのを思い出してね」

 カモフラージュにわざと落としておいた筆箱を見せる。すると、ISのチェックを終えたシャルルが立ち上がって俺の側までやってきた。

 え、なに?

 そして、しげしげとわざとらしく俺の胸辺りを覗く仕草をすした。

「おい、ま――

「喜久、煙草を隠すならもっと上手にやった方が良いよ。ああ、セシリアさんは前の同居人だって喜久から聞いてるから、もちろんこの場で指摘しても大丈夫だよね?」

 待てと叫ぶより早く、シャルルは一気に言葉をまくしたてる。俺は、にこにこと笑っている奴の顔に本気で怒りを覚えた。

 お前、俺との秘密協定はどうした……?

 最早、なにもかもが手遅れな状態に自分の口元が引き攣っているのが解る。

「お前、後で覚えてろよ……」

「なにを覚えれば良いのかな。喜久の煙草の保管場所なら全部覚えてるけど?」

 こいつ……、本気《マジ》で一回だけ下の穴を全部、塞いでやろうか?

 ダムは一度決壊すると、貯水された水が放流されて空になる。同じように、セシリアに煙草のことがばれると、俺の煙草のストックが即座に消滅させられていく。現に彼女が冷めた目で、こちらを見ていた。

「喜久さん、少しお話しが。その前に、出すものを出してください。もちろん、机の中もチェックして構いませんわよね? シャルルさん、あとで私に煙草のある場所を教えてくださいね」

「ええ、喜んで。それじゃ、僕は先に行くから。喜久、セシリアさんと仲良くね?」

 そう言ってシャルルは部屋を出て行った。

 取り残された俺は無言で煙草を机の上に置く。次いで、仁王立ちのセシリアに肩を両手で握られた。

 しかも爪を立てられながら。

「俺も人に会いに行かなきゃな。じゃ、あと頼んだ」

「おかしいですわね、まだ時間には余裕があるのではなくて?」

「いや、時間前行動って大切だろ?」

「喜久さん。そのようなことを貴方が仰られても、なに一つとして説得力に欠けましてよ?」

 セシリアッ! その笑顔が怖いんだけど!?

「いいからっ! この場で、今すぐ正座なさいっ!!」

 セシリアの怒声が室内にびりびりと響く。このあと、俺はこってりと一時間ほど説教をくらった。

 

 

     ◇

 

 

 一夏とシャルル、箒と鈴がアリーナでISを展開している。上空で彼が彼女との模擬戦を終えると、二人はゆっくりと地上に降りてくる。一夏は、なにかが足りないことに気づき辺りを見回した。

「あれ、そういえばセシリアはどうしたんだ?」

「セシリアさんは、なにか喜久とすることがあったみたいだね。僕が部屋を出るときには二人で楽しそうに話してたよ」

 シャルルが一夏の問いに答える。それを聞いた彼は納得して頷く。

「そっか、あの二人って仲が良いもんな。俺はてっきりセシリアが喜久のことを叱ってるのと思ったけど?」

「それも、あるかもしれないね」

 本当は今も絶賛お叱り真っ最中だろう。

 セシリアが喜久のことを怒る構図は日常となっており、周りの人間にとっても当たり前の光景となっている。シャルルは内心で先ほどの現場の状況を思い浮かべて苦笑いしてしまう。

(本当は考え方が鋭いところがあるし、とても真面目なところもあるんだけど。でも、普段の態度があるせいで彼の良い部分が殆ど隠れちゃうんだよね……)

 一夏が雪片弐型を構えながらにこやかに笑いシャルルのほうを向く。

「それにしてもシャルル、わざわざ俺の訓練を見てくれてありがとな。この四日間で、なんか随分とISについて理解できた気がするよ」

「どういたしまして。一夏の場合は単純に射撃武器の特性を把握できてないのが問題なんだと思うよ。だから凰さんやオルコットさんにも勝てない部分が出て来るんだと思う」

「そ、そうなのか? 一応、わかってるつもりだったんだが……」

 シャルルの突っ込みに対して一夏がげんなりしてしまう。彼女はそれに対して解説をしだす。

「仮定と結果、予想と現実の違いだね。知識だけを齧って知っているだけだと難しいんじゃないかな。さっき、僕と戦った時も殆ど間合いを詰められなかったよね?」

「う、確かに…。『瞬時加速《イグニッション・ブースト》』も読まれてたしな……」

「一夏のISは近接特化型の機体だから、他の人以上に射撃武器の特性を理解することが大切なんだよ。それでなくても、特に一夏の瞬時加速《イグニッション・ブースト》って直線軌道だから予測して攻撃しやすいしね」

「直線的、か。うーん……」

 一夏は思わず唸り声をその場であげる。彼は自身の移動方法に、もう少しで良いから何とかならないものかと対策を頭の中で組み立てようと考えだす。シャルルは一夏の思考していることが理解できたため苦笑いしながらアドバイスしていく。

「あ、でも瞬時加速中はあんまり無理に軌道を変えたりしない方がいいよ。空気抵抗とか圧力の影響で、機体以上に人体へ負荷かがかかりやすいから。最悪の場合は骨折もありえるからね」

「なるほどな。ん?」

「どうしたの一夏?」

「じゃあ、なんで喜久の奴は何回も連続で瞬時加速《イグニッション・ブースト》を使用してるのに体が平気なんだ? どうみても骨折するんじゃ無いのか?」

 一夏が疑問に思ったことを聞くと、シャルルが目を泳がして呆れた顔をした。

「喜久は規格外だね……。あれだけ連続で使い続ければ普通は骨折してるし、もちろん僕にも真似できないよ。あの技術は、言ってみれば彼自身が持っている唯一使用《ワンオフ・》の特殊才能《アビリティー》になるんじゃないかな。国家代表クラスなら行使は可能だと思うけど。だから、喜久のことは余り参考にしないほうがいいと思う。それに……」

「それに、なんだ?」

「いや、なんでもないよ」

 きっと、生き残るために習得せざるおえない技術だったに違いない。

 シャルルが喜久の過去を聞くまでは、彼の操縦技術に対して疑問を持っていた。なぜ、あそこまで手足のように自在にISを操縦できるのかと。そして、彼女は初日の夜に彼から聞いた話で納得した。

 どうしようもなく暗い過去、忘れるための苦痛も並大抵では耐えられないだろうことが予想できる。が、彼は過去を忘れようとせずに受け止めようとしているように感じた。

 シャルルはそんな喜久が正直に強い人間なのだと感想を抱く。彼女は気持ちを切り替えると、一夏に対して再び訓練の講義を行なう。シャルルは銃の特性がわからないのであれば、解ってもらうのが良い方法だろうと一夏に自身の武装を試し撃ちさせた。

 彼女の銃を試し打ちした一夏が驚きの声を上げる。

「うおっ!?」

「どう?」

「お、おう。なんか、アレだな。とりあえず『速い』って言う感想だ」

「そうだね、速いんだよ。一夏の瞬時加速《イグニッション・ブースト》も速いけど、弾丸はその面積が小さい分より速い。ね、体感することは大切でしょ?」

「ああ、ありがとな」

 一夏が的に構えながらシャルルがその脇で補佐をする。銃の撃ち方を教えている横では二人の人間が話しこんでいた。

「ねぇ、あの二人ちょっとくっつき過ぎじゃない?」

「ああ、そうだな。妙に雰囲気が良い。しかし一夏め、私が何回説明した思っているっ!」

 鈴と箒は未だ男性として認識しているはずのシャルルに嫉妬している。そんな中で違う場所からざわついた声が聞こえ始めた。

「ねえ、ちょっとアレ……」

「うそ、ドイツの第三世代機よね」

「まだ向こうでトライアル段階だって話しじゃないの?」

 一夏たちが声に反応して、ある場所を気づくとそこには黒いボディに赤のラインが特徴的な機体がピットの真上に立っていた。

『おい、貴様』

「……なんだよ?」

 ISが開放回線《オープン・チャンネル》になると、ラウラの声が一夏たちの耳に入ってくる。彼は友好的な雰囲気ではなさそうな声のかけ方に渋々と返答した。

『貴様も専用機持ちだそうだな? ならば話が早い、私と戦え』

「嫌だ、理由がねえよ」

『貴様には無くとも私にはある。教官がモントグロッソ二連覇を逃したのは貴様が原因だ。私は貴様の存在を認めない』

 一夏にとっても苦い過去である。彼もそのこと関して無力な自身を未だに許せてはいない。しかし、だからと言ってラウラと争う理由にもならない。

「また今度な」

『ふん、そうか。貴様は逃げ腰の上に負け犬根性が染み付いているようだな。これでは大会を貴様が駄目にした理由も頷ける』

 背中を向けた一夏の動きがピタリと止まる。実力行使より効果のある罵倒の言葉が一夏の心に打撃を与えた。

 彼がラウラの方を振り返ると、そこには既に冷静だった顔が消えている。

「――どういう意味だよ?」

『無能の敗者は下らんと言っただけだ。教官に貴様のような価値の無い存在は最早、邪魔以外の何者でもない。それとも、貴様が認めて欲しいのであれば精々足掻いてみることだな。まあ、赤子同然の非力さで私に勝てるのであればだがな?』

「駄目だよ一夏、挑発に乗っちゃ!?」

思わずシャルルが一夏に呼びかけをおこなう。

「……絶対に、その言葉を忘れんなよ?」

 しかし、彼女の言葉が届くこともない。ラウラの挑発に乗った一夏が雪片弐型を構える。今の言葉は撤回させなければならない。男としての意地もあるが、それ以上彼の中で許せないものがあった。

(千冬姉が負けたのは確かに俺のせいだ……。だけど、それだけ俺のことを思ってくれた千冬姉の気持ちが、こんな言葉で汚されることを許してたまるかっ!)

 ラウラが嬉しそうにして左肩に装備していたレールカノン砲を構えていく。

『他の人間も手を出したければ構わんぞ? 一対四だろうが所詮雑魚が増えたところで、なんの足しにもならんからな』

「言ってくれるじゃない、後で泣きついてきても容赦しないからねっ!」

「いいだろう、その傲慢な性格を矯正してやるっ!」

「……はぁ」

 鈴と箒がラウラの挑発に乗り、シャルルがその場で溜息を吐く。彼女自身も怒りの感情を持ったが、既に周りの人間が先頭に立って怒り始めたため逆に冷静になってしまった。

 その場にいたシャルル以外の全員が攻撃態勢に入る。

 ドンッ!!

 レールカノン砲の砲撃音から繰り出された攻撃が対戦開始の合図となった。

 

 

     ◇

 

 

 俺が応接室にノックして入ると、そこには織斑姉の他に三人の男女が居た。

「失礼します」

「市隈、何を考えている。時間厳守と言っただろう?」

 織斑姉からの叱咤がとぶ。

 くそ、俺は守るつもりだったんだよ。セシリアの奴、自分がすっきりするまでガミガミ言いやがって……。

「イギリス製の紅茶でお腹を壊したので、トイレに行ってました」

「なにをふざけたことを言っている。先方を待たせるような教育を私はしていないはずだが?」

 あとで殴らせろといった様子で、織斑姉の額に青筋が立ったのがわかる。すると、織斑姉と対面に座っていた若い痩せ型の男が口を開いた。

「まあ先生、そこまで生徒さんを叱らないで頂けると助かります。私どもは、今日は彼にお伺いを立てにきた身ですから」

 相手側から丁寧な言葉遣いで対応され、俺は内心で一歩後退する。どの道、この会談の席からは離れることは出来ない。しばらくの間は観察させてもらうことに決めた。

「遅れて申し訳ありませんでした。織斑先生、僕はどこへ着席すれば宜しいでしょうか?」

「 !? 」

 織斑姉が呆気に取られている。どうも、俺が入学以来で初めてとった礼儀正しい態度に驚いているようだった。

「私の隣の席に座れ……」

 一瞬の間の後、俺を席に座るよう促していく。一礼して着席し、相手方に挨拶をする。

「市隈と申します。本日はお忙しい中、僕のような一学生のためにわざわざご足労頂きまして、大変にありがとうございます」

「いえいえ。こちらこそ、私達の社にご興味を持って下さりありがとうございます。私、谷中と言います。他は部下の根本と斎藤です。いやあ先生、良いご教育をなさっていますね」

「え、えぇ。ありがとうございます……」

 織斑姉は俺の方を見て困惑し、曖昧に答えてしまう。俺はと言えば、そんな対応に腹の中で笑い転げていた。

 そして、もちろん追撃もする。

「織斑先生には普段とても優しく、いつも全ての物事において丁寧に教えて下さります。まるで教育者の鑑のような方ですし、僕自身の誇りでもあります。将来は先生のような人間性を身に付けることができればと、常々考えて行動させて頂いております」

「素晴らしいです!? 織斑先生は生徒さんたちにとって、とても魅力のある先生なんですね!」

 俺が普段は織斑姉に対して思っている正反対のことを言葉で羅列すると、根本と紹介された若い女が手放しにして喜んだ。ざまあみろと、心の中で舌を出してやる。織斑姉は耐えられなくなったらしく、すごく嫌そうな顔をして俺を見た。

「い、いえ……。ありがとうございます。申し訳ありません、ほんの少しだけ席を外させてください。市隈、一緒に廊下へ出ろ」

「先生、お客様をお待たせてしまうのは失礼かと存じます。先生のお話しを後ほどお聞きできるのでしたら、先件を大事にされるのが宜しいかと」

 廊下で縛り上げようってか?

 そうはさせるか、滅多にない逆襲の機会を逃す手は無いからな。こっちは精一杯、あんたを弄って遊び尽くしてやるよ。

「市隈さん、ありがとうございます。先生、お手間は取らせません。ほんの少しお時間を戴ければ、我々も退散させて貰いますので」

 嬉しいことに、半縄の人間も合いの手を差し伸べてくれる。後の恐ろしい出来事なんて、この際どうでもう良い。今をとことん楽しんでやる。織斑姉は、しょうがなく再び体を席に下ろした。

「く、わかりました……。ご説明よろしくお願いします」

「ありがとうございます。市隈さん、パンフレットはお読みになって頂けましたか?」

 はん、そんなもんは少ししか適当に読んでねぇよ。

 谷中に問われて、俺はパンフレットの中身を思い出しながら答える。

「はい、一通り目を通させて頂きました。とても素晴らしいコンセプトですね」

「これはこれは恐縮です。でしたら今日は契約の書類を用意させて頂きましたので、一度我が社にお出で下さい。見学していただいた折に、お眼鏡に適いましたらサインを頂ければと思います」

 契約書類に研究所の見学ね。どうだかね、俺は行く気なんてさらさら無いけどな。まあ、そんな面倒事は横の人にでも丸投げすれば良いか。

 それよりも内心の高笑いが止まらない。気味悪がっている織斑姉の顔が最高だ。

「了解致しました。日程の調整などは学生の本分を超えてしまいますので、織斑先生に一任して頂ければ宜しいかと存じます。先生、厚かましいお願いではありますが、宜しいでしょうか?」

「あ、ああ。了解した」

 ははは、終始俺のペースだっ!

 話のたずなを握りたければ、奪ってみろや。

「市隈さん、ありがとうございます。織斑先生、後の詰めは追ってこちらから連絡をさせて頂きます。いや、本当に話がわかる方で助かりました。それでは、私どもはこれで失礼させて頂きます」

「先生、申し訳ありません。僕はこの後ですが、友人の手伝いがありますので退室しても宜しいでしょうか?」

 話も終わり、俺は八つ裂きにされる前に退散を開始する。ふいに、織斑姉は不敵に笑うと余裕の笑みを返してきた。

 やりすぎてキレたか?

 まあ、普段の織斑姉からすれば、血管の何本かブッ千切れててもおかしくないわな。あんたが短気なのは俺のせいじゃないし、精々ストレスでも溜めて勝手に過労してくれ。

「市隈、退室して良いぞ。しかし、随分と気に入ったのだな。それなら私が手間を省いといてやる。サインと判子は押しといてやるから、お前は後日ISの調整と受け取りをだけをしに相手先へ出向しろ」

 なんだと!?

 俺が遊びすぎたつけなのか、織斑姉はとんでもない爆弾を投下してきた。

「それは本当ですか!? でしたら、直ぐにサインを!」

 冗談じゃないぞ、ちくしょうがっ!

谷中の目がLED電球のように輝きだし、余りの勢いに喋っている口から唾が飛ぶ。

 くそ、引き際を完全に見誤った……。

「了解しました。どうした市隈、早く退室しろ」

「いえ。一応、本人の希望を大切にし、成長の糧とすることも教育として大切に思います。僕と致しましては、やはり見学に行かせて頂いた折に自身の目で確認し判断させて頂きたいのですが?」

 ふざけるな、なんとしてでも阻止してやるっ!

 俺が意気込むと、織斑姉は最後の止めを刺してきた。

「友人を待たすという教育をした覚えは私には無いが。早く退室して、駆けつけてやってはどうだ?」

 ぐぅ、筋の通ったこと言いやがって!?

 何か言葉は、反論する材料はないのかよっ!

 ……浮かばない。くそ、やられたっ!!

「……わかりました」

 織斑姉は俺の肩を掴みながら顔を近づけてくる。そして、耳元で小さく囁いた。

「私を丸め込むなんて百年早いぞ。もっと人生を勉強しろ、ガキ」

 ぐあぁあああ、ム、カ、ツ、クッ!!

 俺は無言のままドアを開けると、ゆっくりと閉めてその場を退室した。

 

 

    ◇

 

 

 ラウラの放った砲撃音がアリーナ中に鳴り響いた。

 牽制として放たれた砲撃を避けきった一夏が、突進してラウラへと雪片弐型で切りかかる。

「うおおおおおおおおっ!」

「ふん」

 瞬間、ラウラが片腕を前に翳して慣性停止制御《アクティブ・イナーシャル・キャンセラー》を発動させた。

 ギチィッ

「なっ!?」

 不敵に笑う彼女と対照的に一夏の表情が険しさを増す。彼が身動きの取れないうちに、再びレールカノン砲が眼前に振り下ろされる。

「直進馬鹿が、まるで能のない猪だな」

『はあぁああっ!」

『あたしらを忘れてんじゃないわよ!』

 箒の駆る打鉄が切り込み、ラウラが避けきった場所へと連携して鈴の龍砲が打ち込まれる。が、全体を把握できる力に長けているラウラは、相手の行動予測も読みきった上での連続回避を行なっていく。

『弱いな、第三世代機の能力を活かしきれん馬鹿どもばかりだ』

『もう一人いることも忘れちゃ駄目だと思うけど?』

 高速切替《ラピッド・スイッチ》を行なったシャルルが五十五口径《ガルム》アサルトライフルを両手に一丁ずつ構えて中距離射撃を行なう。ラウラは彼女からの砲撃に対して距離を詰めながら機動性を活かして避けきっていく。

『第二世代機《アンティーク》のガラクタが第三世代機に勝てると思っているのか? 良い機会だ、世代差というものを教えてやる』

『量産や改良の苦手な国の第三世代機よりは、柔軟性の多い第二世代機のほうがいいと思うけどね?』

 ラウラがレールカノン砲を構えながらワイヤーブレードを射出した。

 ガンッ!

「ぐあっ!?」

『一つアドバイスをくれてやる、貴様のような無能では一生かかっても私には勝てん』

 側面から切り込もうとしていた一夏が、彼女のワイヤーブレードから繰り出される攻撃を受けて盛大に後ろへと吹き飛ばされる。そのままの勢いでラウラが一夏のほうへと、全速力で突貫して行く。

『その体に刻み込んでおけ、愚か者は地を這い続けるだけな――

『そこの生徒、なにをしているの!? 学年とクラス、出席番号を述べなさいっ!』

 突然にアリーナ中で教員の声が響き渡る。スピーカーから発せられた大声に焦りのようなものが出ていた。

 戦闘行為を行なっていた全員がその場で待機する。

『……興が削がれたな。織斑 一夏、今日は引いてやる。しかし次は無い、覚えておけ」

 ラウラがISを解除して粒子化を行い地上に着地した。

 そのまま一夏を一瞥すると、アリーナの外へと向かって行く。その場でISを展開していたメンバーが皆一様に粒子化して展開解除を行った。

 鈴が苛立ちながら地面を蹴飛ばして言葉を吐き出す。

「なによ、あいつ!? ほんと腹立つわねっ!」

「ああ、人を見下して蔑んだ視線も気に入らん。いったい何様のつもりだ?」

 箒も同じような感想を漏らす。一夏はじっとラウラの去ったピットゲートの方を見ている。シャルルが心配するようにして彼へと声をかけた。

「一夏、大丈夫?」

「……ああ、こんなの単なる掠り傷だ。シャルル、ありがとな」

 ラウラが言い放った次は無い、その言葉が一夏の心中で渦巻く。

(ああ、受けて立ってやる。俺は逃げも隠れもしないっ!)

 彼はしばしの間、ラウラが去っていった方を睨みつけていた。

 

 

     ◇

 

 

「喜久ぁああああああああああっ!!」

 シャルルの怒声が聞こえてきた。

 俺は夕方の屋上で一服してから歩いてきた廊下を一目散に逆走し始める。走りながら後ろを振り返って見れば、奴は鬼の形相でこちらに向かってきていた。

 というか、半べそをかきながらと言った感じだろうか。

「信じられない、悪戯にも程があるよ!?」

「お前に物理的な危害はいってないだろ?」

「そういう問題じゃないっ!」

 すげぇな、あいつ俺のことを殴りたくて必死に追いかけてきてやがるよ。

 シャルルの奴が泣きそうになりながら走ってきた理由、それは俺がベッドに仕込んでおいたものが原因となっている。奴が煙草のことをセシリアに告げ口なんぞしてくれたので、俺はやり返すために軽く悪戯を決行していた。

 やったことは至極単純で、奴のベッドに外で捕まえた小型のトカゲを二匹ほど放り込んでおいただけだ。今頃、部屋では小さい爬虫類が悠々と絨毯の上を闊歩してるに違いない。廊下を走っている途中で前方に一夏が見える。それに気づいたシャルルが大声で奴へと呼びかけた。

「一夏ぁ、喜久を捕まえてっ!」

「は?」

 ちょうど良い、一夏の奴を利用してとんずらしてやるか。シャルル、悪いが俺のほうが一枚上手なんだよ。

 前方で素っ頓狂な声を上げている一夏に大声で呼びかける。

「一夏、シャルルが同性愛に目覚めたっ! だから俺の代わりに犠牲になってくれ!?」

「えぇ!? 違うっ!」

 当たり前だが、シャルルが俺の言葉を全否定するような声を上げる。男であれば、誰だって自分の尻は守りたい。ダッシュで一夏の横を駆け抜けた瞬間、完全に騙された阿呆が青い顔をして俺の横を並び走りだす。

突然の出来事の結果、一夏はシャルルの言葉よりインパクトの強い俺の言葉を信用した。

「な、なんだよそれ!?」

「部屋に入ったら迫られたんだっ! 逃げないとシャルルに捕まって喰われるぞ!?」

「喜久、本気で怒るよ!?」

 もう、とっくに怒ってるじゃん。

 シャルルが後ろから大声を上げてくる。しかし、恐怖に駆られた一夏には既に声が届いていない状態だった。

 奴が焦ったようにして俺に喋りかけてくる。

「昼頃、一緒に訓練してた時は普通だったぞ!?」

「知らねぇよ、夜になったら本能に目覚めやがったんだっ! 一夏、二手に別れるぞ。追従される確率を半分に減らすっ!」

「解ったっ!」

 どうせシャルルの中では一夏の誤解を解く方が優先されるに違いない。俺は一夏と途中で左右に別れて、そのまま一気に階段を駆け上がる。そして、あるところで停止するとゆっくりと後ろを振り返った。

 ――――よし、いない。

 シャルルがミサイルのような動きで、一夏の方へ追尾していったことが確認できて安堵する。俺はほとぼりが冷めるまでと思い、もう一度だけ屋上を目指すことにした。

 

 

     ◇

 

 

(酷いよ喜久、あの夜の僕の感動を返して!?)

 シャルルと勘違いした一夏の追いかけっこは続いていた。

「一夏、違うのっ! だから待って!?」

「ごめんシャルル、俺にも無理だっ!」

「ああ、もうっ! 違うんだってば、僕は普通だよっ! 喜久のはデマなの!?」

 傍と一夏がシャルルの必死の声に耳を傾けて考えてみる。走りなが後ろを振り返ってみれば、彼女が最早泣きかけ寸前だった。

 一夏が焦るのを止めて完全に冷静になる。そして、彼は喜久に騙されているのかもしれないと感じ始めて足を止めた。

「喜久の奴、騙したな……」

 シャルルの普段の態度と喜久とを比べて一夏は溜息を吐く。前を見れば、彼に追いついていた彼女が同じようにしていた。

「一夏、もっと早く気づいてよ……」

「悪い、ちょっと気が動転してた。ごめんなシャルル、良かったら俺の部屋に来て少し休まないか?」

「うん、そうさせてもらうね」

 一夏とシャルルが話し合いながら、彼の自室を目指して歩き出す。息を整えながら二人して喜久のことをどうしようもないと呆れていた。

部屋に到着すると鍵を開けて中に入っていく。

「おじゃまします」

「この場合は俺がいらっしゃいになるんだな。ちょっと待っててくれ、今お茶を入れるから」

「ありがとう、一夏」

 部屋は綺麗に片付いていた。

 一夏がお茶の用意をテキパキとこなす姿を見てシャルルは同居人の体たらくを考える。喜久の場合は掃除はするし洗濯物もきちんとしていた。

 しかし、どうも食事に関しては面倒臭がる傾向が強く感じられる。朝は平気で抜くことが多く、それでなくともカロリーバランスを全く考えてない食事だらけだ。おかげでシャルルと喜久の部屋にはティーセットのようなものが存在しない。元々は備え付けのものがあったが、シャルルが同居する前に彼が必要ないと寮の管理課に返却してしまっていた。

 おまけは、彼が未成年喫煙を行なっていることだ。彼女は色々と彼のそういった部分を矯正できればと感じていた。

 その点、一夏はしっかりしており煙草の喫煙もしない。料理も得意なのであれば、女性としては彼のことがとても魅力的に感じてしまう。

 一夏がお茶の用意を終えてシャルルに湯飲みを一つ渡す。

「熱いから気をつけてな?」

「うん、わかった」

 彼女は湯飲みのお茶を一口啜って喉を潤す。初めて飲む日本のお茶がとても新鮮に感じ、気持ちもすっと落ち着いていく。

「美味しい。それに、温かい」

「まあ熱いからな」

「違うよ、一夏。ふふ、まあ一夏らしいかな」

「うん?」

 シャルルが一夏の勘違いに小さく笑う。そして、喜久の言葉を思い出す。いずれは自身の伝えておくべきだということを彼女は心の中で逡巡した。

 一夏、彼は自身のことをどう理解してくれるのかと。

「どうしたシャルル、やっぱり熱かったか?」

「いや、そうじゃないんだ。……一夏、夕食まではまだ時間があるけど、少しお話してして良い?」

「え、ああ。別に俺でよければ、なんでも聞くよ」

 じっと、シャルルは一夏の目を見る。彼女は彼の澄んだ黒い瞳に考えを巡らせた。

 彼女は喜久と過ごした最初の夜を思い出す。彼はシャルルの正体を看破して見破っている。しかし、それ以上はなにもしない。それどころか、自身の重要なことを暴露して彼女のことを安心させようとした。

 彼女の中で、喜久という存在が心に安堵感を与えている。彼が語った勇気が自分にも欲しい。

「……一夏、僕はね。本当は女の子なんだ」

 決意を固めたシャルルが一夏に本当の真実を語りだす。突然のことに一夏が不思議そうな顔をしながら曖昧な返事を返した。

「え……?」

「喜久には、直ぐにバレちゃったんだけどね。僕は性別を偽って学園に来たの。今まで騙しててごめん。それと少しだけ、反対側を向いててくれないかな?」

「あ、ああ。……これで良いか?」

「ありがとう」

 シャルルは一夏が後ろを向くのを確認すると、胸を抑えているプロテクターを外していく。

「一夏、もうこっち向いて大丈夫だから」

 彼女の声に彼は再び姿勢を戻す。一夏が普段見慣れているシャルルの体型が変わっている。胸の膨らみ思わず吃驚してしまった。

「――理由、聞いていいか?」

「簡単だよ、広告塔。そして男性の適正データを持ち帰ること。これが僕に与えられた父からの命令なんだ」

 命令。

 一夏の額にある眉間に何本もの筋が入りだす。それはシャルルが何故そんなことを強要されているのかということに対しての戸惑いの現れだった。

「命令って、親だろ? なんでそんな……」

「僕はね、一夏。愛人の子なんだよ。お母さんが亡くなって父に引き取られたのが二年前だね。後はISの適正が偶々あったからデュノア社で非公式のテストパイロットに選ばれて、その先は今の状態になるのかな」

 堰を切ったように彼女が喋りだす。一言を発言してしまえば、後はもう最後まで自身のことを迷うことなく言いきれた。

「父に会ったのは二回くらいで会話は殆どなかったかな。別邸で暮らしていたけど、一度だけ本邸に呼ばれてね。本妻の人が殴りながら『泥棒猫の娘がっ!』って言ってたよ。正直に戸惑ったし参っちゃった。母さんもちょっとくらい父のことを教えてくれれば良かっただけど」

 シャルルが愛想笑いし、一夏は黙って彼女の話を聞く。彼の中に渦巻く感情はただ一つ、それは父親が娘に対して行なった仕打ちへの怒りだった。

 ぐっと拳を握り、苛立ちが募っていく。

「それからね、少し経ってデュノア社が経営危機に陥ったの」

「え?」

「第三世代機が開発できてないんだ。第二世代機のリヴァイヴは世界三位のシェアを持っていても最後発の機体だからね。欧州のイグニッションプランからは外されているし、このままの状態で行けば政府の援助は打ち切られる。僕はね一夏、あの人の会社がどうなろうと関係ないんだよ」

「……」

「同じようなことを喜久にも話したんだけれど……」

 シャルルが口篭もり一夏が首を捻る。

「話したけど?」

「デコピンされた」

「はあ? なんで喜久の奴はそんなことしたんだよ……」

「顔が暗いって。そのあとで、自分のことをもっと考えろって言われたんだ」

 一夏は納得して喜久なりの気遣い方に感謝した。

 彼もシャルルの味方なのだと解り、気持ちも嬉しくなる。

「ありがとなシャルル、俺に大事なことを話してくれて。……俺も、千冬姉の二人で暮らしてる。両方とも両親には捨てられてるんだ」

「あ……」

「俺の家族は千冬姉だけだし、今さら親に会ってもどうしようもない。特記事項二一、本学園における生徒はその在学中において、ありとあらゆる国家・組織・団体に帰属しない。本人の同意が無い場合、それらの、ぐっ、痛ぅ……」

 一夏が普段慣れていない、余りにも多い文字を暗唱しようとして舌を噛む。締まらない場の雰囲気にシャルルが苦笑いする。

「……大丈夫、一夏?」

「ああ、言いなれてないからな。舌を噛んじまったよ、要はそういうことだ。俺はなにがあってもシャルルの味方だ、三年間の猶予もあるしな。シャルルが幸せになるために、今後をどうしていけば良いのか俺も全力で一緒に考える。だから、シャルルも絶対に諦めないでくれっ!」

「ありがとう、一夏」

 ここはとても温かい場所なのだと、シャルルの心が満たされた。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告