TS暗殺者はお姫様の従者 〜だけど勇者パーティーには入りたく無い〜 作:雷雷帝王
詠唱とかの言葉を考えるのって名前を考えるのと同じくらい難しいですね。
Side レイ 一人称
オレが何故デカゴリラの後ろに移動出来たのかと言うと、これも結界魔法の応用だ。
まずは結界を閉ざした状態で2つ以上用意する。1つは自分の近くの適当に設置してもう1つの結界内に自分を入れ、その結界内と適当に設置した結界内の空間を繋げて移動する。
あー……簡潔にいえば結界と結界を通じてワープ出来るってことだ。
まぁ、欠点を言うなれば解体よりも集中力を使う為、乱用すると鼻血が出る事と結界から少しでも出た状態でワープすると出てた部分はワープ出来ずに残る、つまるところ腕が結界から出ていたら腕が切断されると言う何とも繊細な技術だ。
「ほう、これは驚いたな。まさか我が腕と共に消えたと思ったら突然後ろから攻撃されるとは」
そんなことを言いながらデカゴリラは感心を示していた、オレはすぐにバックステップで離れて呆れながら思ったことを言った。
「……お前、首硬すぎるだろ。刃物を通さないなんてとんだビックリゴブリンだな」
「我は四天王であり、そしてゴブリン族の王だ。刃物ごとき弾いて当たり前であろう」
「いや、ゴブリン族の常識なんて知るわけないだろ」
オレはデカゴリラの謎過ぎる言い分に思わず突っ込んでしまった。
「……貴殿はゴブリンと聞いて馬鹿にはしないのだな」
「はぁ?当たり前だろ、どの種族にもイレギュラーのヤバイ奴らは何処にでもいる。元暗殺者として最悪のケースは考えるもんだろ」
「……グッハッハッハッ!貴殿はやはり面白いっ!!我は気に入ったぞ!貴殿の名前を聞きたい!」
「……レイ·ノネームド」
オレは面倒な奴に気に入られたと思いながら今の名前を名乗った。
「レイ·ノネームド……憶えたぞ。既に名乗ったが改めて名乗ろう!我はゴブリン族の王であり四天王が1人剛腕のガルバリン!レイ·ノネームド!貴殿とまた相まみえるのを楽しみにしているぞ!」
デカゴリラ改めてガルバリンはそう言うと
……今日は厄日だな。なんてことをガルバリンがいたところを見ながら思っていたら突如、急激な魔力の高まりを感じてその方向を見ると、今は消えたが元々元凶の魔力があったであろう場所だった。
魔力を詳しく見るとソフィアの魔力や微かに他の勇者パーティー全員の魔力を感じた。
「あのお転婆お姫様はなんでこう毎日必ず1回トラブルを呼び寄せるのかなぁ。……はぁ~、行くか」
オレは急いでソフィアの元に向かったのであった。
Side ユウキ 三人称
ユウキ達は今四天王の幹部、ダルンバ相手に苦戦していた。
それもその筈、ダルンバは宙に浮く百の腕と自身に心臓がありその全てを破壊しなければ再生して倒すことはできないのであった。
レイが3個心臓を減らしたがそれでも97個あり、しかも1つ1つを減らしても腕が分裂して元の数に戻りきりが無いのである。
「あぁ、もう!なんなのよ!減らしても減らしてもきりが無いじゃない!」
「私も〜回復するのが手一杯ですね~神聖魔法を使う暇がありませんね〜」
「確かにそうだね。なら、エレナの魔法で一掃できないかな」
術から解放されたエレナとクルシュ、そしてマリナが合流してからもずっとダルンバの優勢なのは変わらず、それに痺れを切らしたエレナが騒いでいた。
「無理よ!この数を一掃する魔法は詠唱が長いのよ!詠唱中に攻撃されたら意味が無いわよ!ソフィアは何か無いの!?魔導士ならあるでしょ!なんかこう短文詠唱の凄いやつとか!」
「……そうですね、私では無理ですね」
「なんであんたはそんなに冷静なのよ!?」
「ソフィア、何か秘策でもあるのかな……!」
「えぇ、私達に任せてください。ねぇ……レイ」
「本っ当に従者使いの荒いお姫様だな」
何処からともなくそんな台詞と共に聞き慣れた声が聞こえたと同時にダルンバの腕が解体された。
ユウキ達はその人物を見て驚きを隠せなかった。
「レイ!?あ、あんた戦えたの!?」
「というか、今のは一体何かな?」
「フッ、流石は我がライバル。貴様は強いと我が邪眼は見抜いていたぞ!」
「えぇ、そうですね〜一瞬であの腕をバラバラにするなんて〜もしかして、魔導士クラスだったりしますぅ?」
レイの登場とレイが使った解体にユウキ以外の勇者パーティーは様々な反応を示していた。
レイは呆れながらソフィアを見たが、ソフィアは自分の従者の強さにドヤ顔していた。
レイはもう何も言うまいと諦め、ダルンバの方向を向いた。
「……はぁ~、説明は後だ。ソフィア、行くぞ」
「ふふ、久し振りね。レイと一緒に戦うの」
「そうだな、オレが時間を稼ぐ。ソフィアは詠唱始めてくれ」
「任せて!デッカイの撃つわよ!」
「……もう少しお淑やかな言葉を使ったらどうなんだ」
「はいはい、そんな事より始めるわよ!」
ソフィアはそう言うと詠唱を始めた。
そして、レイは詠唱が始まったと同時にダルンバに向かって駆け出した。
『七つの鼓動、七つの奇跡、七色の軌跡、私は望む、希望の虹を──』
「ぬっ!させるか!!」
ソフィアの詠唱が始まり、それを見たダルンバはソフィアに向かって宙に浮く腕達を襲わせた。
が、襲わせた腕達はレイの解体によって全てバラバラにされてしまった。
「き、貴様!またしても我輩の邪魔をするのか!?」
「当たり前だろ、一応ワガママお姫様の従者なんでね」
『──虹よ、剣になりて全てを終わりに導かん!』
「!?ま、不味い!」
「……なんてな」
「ぐっ!?なんだと!?」
ダルンバは魔法がくると思い身構えたが一向に魔法はこずにレイの攻撃をもろに食らった。
確かにソフィアの詠唱は終わった。だが、ソフィアのオリジナルの魔法《虹色魔法》は全て特殊であり、追加詠唱をすることで更に威力が上がる。
しかしその分時間が掛かるため、ここぞと言う時にしか使えない魔法なのである。
『希望の花びら、決して散らさせはしない。七つの花弁は開きその
詠唱が終わると同時にソフィアが両手で掲げていた剣の刀身が七色の柱になった。
「相手が悪かったな、こっちには自称最強の魔法剣士が付いてるでね……!」
「!?な、なんだ、この魔力量は!?1人の人間がこれほどの量の魔力を持てるのか!?」
「うちのお姫様は特別でね。そんな事よりお前、逃げなくていいのか?」
「!フンッ、敵に塩を贈るなぞ、貴様はマヌケだな!!……ッ!?」
ダルンバがそう言ってその場から離れようとしたが動くことが出来なかった。
それもそのはず、レイの結界魔法により動きを止められていたのだった。
それを見たレイは意地悪な笑みでダルンバに喋りかけた。
「ま、逃さないけどな。じゃあな、筋肉ダルマ君」
レイはそう言い残し結界ワープでその場から離れ、ソフィアの近くに来た。
「ソフィア、やっちまえ」
「レインボー·エンド!!」
それを確認したソフィアが動けなくなったダルンバ目掛けて七色の柱を振り下ろした。
「こんな、こんなところでっ!!ガルバリン様ー!カリシュリン様ー!申し訳ございませんー!」
ダルンバと宙に浮く全ての腕が七色の柱に飲み込まれてそのまま蒸発した。
これにて、フルト村での事件は解決したのだった。
魔法使いのランク制度…魔法使いになりたい者達は必ず受ける。通常は4〜1級で分かれているが、元の魔法から派生や完全オリジナルの魔法を創ったりすると○○の魔導士になる。そして最後に禁忌級の魔法を扱う者や創った者を女なら魔女、男なら大魔導士を名乗ることになっている。魔女と大魔導士は片手で数える程度しかいない、特別な存在なのだ。