兎真と並んで歩きながら、今後の戦いについて話し合っていた。
兎真「カオスゴビーは一体だけだが、厄介な相手だ。悔しいが、正面からぶつかるだけじゃ分が悪い。何か作戦はあるか?」
兎真は立ち止まり、手を振ってこちらの意見を促してくる。
僕はニヤリと笑って、倉庫で見つけた手榴弾を取り出した。それを見た兎真は、呆れたようにため息をつく。
兎真「爆破か……。確かに有効ではある。だが、俺もそれは考えた。喰らわせてもせいぜい手を一本潰す程度だ。一発目は効いても、次は確実に回避されるだろう」
兎真「正面からの戦闘なら、どれだけ連携しても勝率は三割ってとこだ」
そう言いながら、兎真は苛立ちを隠せず、足元にあった小石を蹴飛ばす。石は金属の壁に当たり、甲高い「キーン」という音が静寂の中に響いた。
河凪「ちょっと、作戦が詰まるのは仕方ないが、音を立てたら気づかれるぞ」
兎真はその場で動きを止めたが、感情は抑えきれず、手にしていたナイフを握りしめていた。
そんなとき、ふと視界の隅に懐かしい物を見つける。僕はそれを拾い上げ、兎真に見せる。
河凪「これ……懐かしいな」
そして、ふと閃く。
河凪「これを使えば、突破口になるかもしれない」
僕は兎真に新たな作戦を話し始めた。
少し進むと、実菜水が言っていた部屋の前にたどり着く。室内にはかつての家具が散乱し、中央にはカオスゴビーが佇んでいた。まだこちらには気づいていない。
僕たちは静かにアイコンタクトを交わし、作戦を開始する。僕は銃を構え、左手の一本を狙う。
バンッ! バンッ!
奇襲は成功。弾丸が奴の左手を貫き、一瞬でその手の機能を奪った。
僕たちに気づいたカオスゴビーが突進してくる。兎真はタイミングを見計らって手榴弾を奴の頭へ投げつける。手榴弾は頭部に当たり、足元に落ちて爆発した。
爆風に悲鳴を上げるカオスゴビー。さらに僕が放った弾が左手を吹き飛ばす。
混乱するカオスゴビーに対し、兎真がナイフを残った左手に突き立てる。ナイフは深く刺さり、両方の左手の機能を奪うことに成功した。
作戦は順調だった。
僕は右腕を狙って銃撃するが、カオスゴビーは痛みを感じながらもなおも突進してくる。
その時、兎真が背後から石を投げつけ、奴の頭に命中させる。カオスゴビーは爆発と勘違いし、身を引いた。
その隙に兎真がナイフで攻撃を仕掛けるが、カオスゴビーの二つの頭が僕たちの動きを読み、反応する。
僕と兎真は一瞬、視線を交わす。
先に動いたのは兎真だった。左手が使えないことを利用し、左側へ回り込む。残された右手では対応が追いつかない。
兎真は戦闘前に仕掛けていた糸と針を使い、奴の体に針を突き立てる。返しのある針は容易に抜けない。
兎真「作戦通りだ。河凪、今だ!」
僕は全力で糸を引き、カオスゴビーの体勢を崩す。
その隙に、兎真が右手にもナイフを突き立てる。これで奴のすべての手が使えなくなった。
叫び声を上げるカオスゴビー。しかし体勢を立て直すことはできない。
兎真は全力の蹴りを奴の胴体に叩き込み、穴を開ける。その口元には楽しそうな笑みが浮かんでいた。
兎真「なあ、河凪。ナイフ貸せ」
僕はナイフを兎真に渡す。兎真は狂ったようにカオスゴビーの頭部を突き刺していく。
そして、ついに動かなくなった。
——終わった。そう思った次の瞬間。
兎真が苦痛に顔を歪める。
奴の口が、兎真の足に噛みついていた。
僕はすぐに反応し、ナイフで奴の頭部を切断する。
兎真は悪態をつきながらも、息を整え、
兎真「油断したが……助かった」
河凪「仲間なら当然です」
僕たちは、それぞれカオスゴビーの頭部を持ち、仲間たちのもとへ戻っていった。