僕たちは倉庫に戻り、皆と合流した。実菜水が僕たちに話しかける。
実菜水「河凪さん、怪我はないですか?」
初めて自分の力でカオスオケアニスを倒せた興奮を抑えながら、冷静に報告する。
河凪「実菜水、君があのカオスゴビーの情報を知らせてくれたおかげで、作戦を立てて、なんとか倒すことができたよ。」
少し大きな声で続ける。
河凪「兎真がミスをして少し噛まれたが、休めば大丈夫ってさ。」
実菜水は「わかりました」と小さく答え、それ以上は何も言わなかった。
僕は三国に疑問を投げかける。
河凪「そっちはどうだった?」
三国「俺がゴビーを抑えている間に、実菜水と新足がすぐに片付けた。すぐに終わってしまったよ。」
やはり、二人の戦闘力は高いらしい。それを聞いていると、新足が降りる階段を見つけた。そして明日から地下を攻略してほしいと言われた。実菜水は階段と出口にカメラとセンサーを設置し、敵が現れたときに察知できるようにすると言った。オケアニスが万が一、建物から逃げ出さないようにするための策だ。それを監視するため、実菜水と新足は倉庫に残るらしい。兎真は怪我のため、次の攻略には参加しないそうだ。
高橋は倉庫を掃除していると通信機を見つけ、これを使えば倉庫と攻略班が通信できると報告した。そんな話をしながら、新足が皆に言う。
新足「今日はここまでにして、少し休もう。実菜水は休んだらカメラとセンサーの設置をした後、地下を索敵してくれ。俺も手伝う。」
新足や高橋も協力してくれるらしい。
次の日。
実菜水が難しい顔をして皆に報告する。
実菜水「皆さん、少し異常なことが分かりました。地下にはゴビーだけでなく、チャリやパグロ、テトラがいることを確認しました。」
それまでの報告では特に問題はなかったが、実菜水はさらに続ける。
実菜水「それだけではなく、“カオスオケアニス”の個体が複数確認されました。河凪さんと兎真さんが戦った個体と同じような異常種が、地下に複数出現しているんです。」
奴らにはこれまでのデータが通用しない可能性が高い。攻略の難易度が格段に上がる。
その報告を聞いて、僕は兎真と戦った“カオスゴビー”との戦闘を思い出す。確かに、通常のゴビーとは異なる攻撃手段、知能の高さ、執念深さがあった。あんな敵が複数いると考えると、確かに難しいと思ってしまう。
高橋が不安げに言う。
高橋「新人3人だけじゃ荷が重い……。」
しかし、三国が強く主張する。
三国「ここでビビッてたら、先輩たちに追いつけない。何のために組織に入ったんだ!」
拳を強く握りしめながら言う。
兎真も同意する。
兎真「三国に同意だ。確かに敵にはカオスオケアニスがいるが、俺ら二人で倒せたんだ。全部とは言わないが、ある程度は攻略できるだろう。」
しかし、実菜水も自分の意見を述べる。
実菜水「兎真さんがミスをして少し怪我をしただけですし、私たちの部隊は万全です。兎真さんの怪我もすぐに治るでしょう。」
その言葉に兎真は少しムッとする。自分の油断で負った怪我なので何も言わないが、実菜水を睨む。
実菜水「何ですか、兎真さん。あなたが馬鹿みたいな行動をしなければ、新足さんも地下攻略に賛成してましたよ。そうですよね?」
新足に同意を求める。
兎真はその言葉に反応し、足を怪我しているにもかかわらず立ち上がる。
新足「兎真、落ち着いてくれ。足を怪我してるんだから、安静にしていろ。」
新足が肩に手を置いて落ち着かせると、兎真は再び座る。しかし、実菜水を睨み続けていた。
新足「兎真、ありがとう。実菜水、君は言い過ぎだ。兎真に謝罪してくれ。」
渋々、実菜水は兎真に向かい頭を下げる。
実菜水「兎真さん、さっきのことは言い過ぎました。ごめんなさい。」
兎真もその謝罪を受け取る。
兎真「いや、元々俺がオケアニスを侮っていたのが悪い。部隊全体に迷惑をかけて申し訳ない。」
新足がその光景を見て、安堵したように言う。
新足「二人とも仲直りできてよかった。」
そして続ける。
新足「皆の主張は理解したが、皆を危険に晒したくはない。だから、組織に連絡を取る。」
三国も不服そうだが頷いた。
それを聞いて僕は、組織から増援を呼ぶことを提案し、実菜水も賛成する。高橋もそれがいいと言う。皆も同じ意見だった。
新足が組織に連絡し、増援を要請した。少し時間がかかるらしいが、来てくれるとのこと。そして、少しだけなら攻略してもいいと許可が下りた。ただし、無理だと思ったらすぐに撤退すること。
こうして、僕たちは地下の攻略を開始した。