ウォーハンマー×ブルアカ   作:eriza7170

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プロローグ3 ワカモ

 001

 

「なんかねー、連邦生徒会長がいなくなったっていう騒ぎに乗じて矯正局から脱獄した生徒がその建物付近で大騒ぎしててー、今そこ戦場だよ?」

 

「は?」

 

「どっかから巡航戦車まで調達してきたみたいでー、そこのシャーレって建物を自分たちの者にしようとしてるみたいーまるでそこに大事なものでもあるかって感じー」

 

「……」

 

「あ、ランチのデリバリー来た! じゃあ切るねー」

 

 

 ガチャン、というわかりやすくブツギリにされたという音と共に七神リンがプルプルと震えている。

 

 

『落ち着け七神リン首席行政官、司令官に必要なのはいついかなる時も冷静な心と、あと随時の連絡に失敗した部下を処断するという気持ちだ』

 

「いえ……大丈夫です、あと彼女はああ聞こえてかなり有能でして……こちらでも処断しにくいと言いますか……」

 

 

 それに、と彼女は続ける

 

 

「ここに、各学園を代表する心強い暇そうなせんりょ、いえ、生徒がいらっしゃるので大丈夫です」

 

「……え?」

 

「キヴォトスの正常化のために、暇そうな皆さんのお力が切実に必要です、行きましょう?」

 

 

 

 002

 

「いったーい! あいつら違法ホローポイント弾なんて使ってるじゃない! どこで買って来たのよ!」

 

「別にどこでも売ってるのでそんなにいうほどではないと思いますが、確かに烏合の衆の不良が持っているのは不可解ですが」

 

「私の肌にアザが残っちゃうじゃない! ミレニアムじゃあとで違法化する予定なのよ!」

 

『ホローポイント弾か、俺の生肌に当たったら血がでるやつじゃないか、それに耐えるとは……キヴォトス人ってすごいな』

 

「先生は私たちの後ろに、そのアーマーがあれば大丈夫そうですが、目の部分にでも当たったら大惨事です」

 

『あの程度ならゼロ距離で食らっても平気だ』

 

 

 実際昔スラーネッシュに魂を売った裏切り者の手下に顔面にボルトハンドガンを打ち込まれたが平気だった。

 こちらの様々なオートガンにもよるが、まぁ戦車砲でも来なければ心配はないだろう。

 

 こちらの指示に的確な動きをしてくれる生徒と共に不良生徒を鎮圧していく、こちらの世界では殺害というのをご法度というのをこちらに来るために用意されたトラックの中で聞かなければ俺は容赦なく死んでるかの確認をするために斧を叩きつけていただろう。

 それを知っといてよかった。

 

 しばらく進むと建物らしきものが見えてくる、あれがシャーレか

 

 それとゴーグル越しに映る映像に機械精霊が様々な情報を与えてくれる。

 

 

『む、まずいな、戦車がいるぞ』

 

「え!? ど、どうしましょう!?」

 

「問題ありません、対戦車戦法なら正義実現委員会で訓練されています」

 

「私のハンドガンだとどこにあててもダメですね……ここはハスミさんに任せておけば」

 

『いや、それだと君たちにケガが残る、俺が行こう』

 

「えっ、先生!?」

 

 

 誰かが止める前に先生と呼ばれたスペースマリーンは走り出した、その速さはそこらへんに転がっている自動車よりも早かった。

 

 二両、それが相手だと認識した彼の動きは素早かった。

 レマンラス戦車に似ているがおそらく雲泥の技術力の差があるであろう古ぼけた戦車。

 だが火力はバカにならないだろう、戦車砲、それはスペースマリーンの世界においてもジャイアントキリングを成し遂げることを可能とする。

 この世界においてはもっぱら弱い者いじめに使われるか、同格相手に使われるかのどちらかであるが。

 

 現在、この場所においてはどちらが捕食者なのかはだれの目にも明らかだった。

 

 戦車砲が直線距離で向かってくる先生を狙う、重厚ながら鈍足ではない、左右にステップしながらこちらに向かってくるために狙いも定まらない。

 途中、こちらに射撃したと思ったら二両共にキャタピラが爆発したかのように吹き飛び、移動が不可能となる

 

 

「めんどくせぇ! 適当にぶっぱなしちまえ!」

 

 

 主砲が予測撃ちを開始するが、まったく当たる気配がない。

 ある時は地面をうち、ある時は建物を粉砕し、ある時は避けられる、二両かかりでの攻撃を軽々と避ける動体視力と経験に基づく動き。

 まるで未来でも予測しているかのような直感的な、動物的な動きに完全に不良たちの戦車は翻弄されていた。

 

 戦車の真ん前に先生が走る勢いのままに向かっていく。

 手には斧、それを振るうのだろうという動作をする、だが不良たちは先生の見た目が異常だからといって斧ごときで切れるはずがない、そう思い込んでいたのだろう。

 

 だが先生がもつ斧は特別製であった。

 

 彼が代表となって管理する惑星でとれた特別な鉱石を使い、さらに惑星の地下に住んでいたキン族のベテラン鍛冶屋に惑星の鉱石の値段代わりにと作られた斧。

 

 それは遺物と呼ばれる伝説の武器に匹敵するのだ。

 

 特に彼が持つそれは彼の地位、すなわち戦団長にふさわしい斧である

 

 そんな代物がたかが鉄を鍛えただけの鉄塊を切れないわけがないのだから。

 

 

『ムゥン!』

 

 

 ドガンという爆音と共に戦車が一両目が三枚おろしにされる、機械精霊が教えた通りの乗務員の配置だったために不良たちは無事だ。

 

 だがキヴォトス人と言えどというか、ろくな訓練を受けたことのない不良には経験したことのない感情が渦巻いていた。

 

 恐怖、それはトラウマにならない程度には彼女を気絶へと追い込んだ。

 

 

 それを目にした二両目の者たちは逃げだした、だがスペースマリーンに背中を向けるというのはどういうことなのか彼女たちはわからなかったのだろう。

 

 だが先生がボルトライフルで狙う前に彼女たちはヘルメットが粉砕され、即座に意識を失った。

 

 瞬間、先生は近場のビルの屋上に向かって射撃をする、小規模な爆発があたりにまき散らされ、付き添っていた生徒たちは困惑のままに先生の場所へと到着した。

 

 

「先生!? 何してるんですか!?」

 

『スナイパーがいた、だが初撃の時点で逃げられたようだ』

 

「このあたりを修繕する人は大変そうですね……ツルギが暴れたあとよりかはマシそうですが」

 

『こちらを狙わなかった……狙いは俺ではなく不良か?』

 

 

 先生は倒れた不良へと近づく、特徴的な黒いヘルメットには横穴をあけられており、既に使用は不可能だと断じた。

 

 特徴はない、ただ少女というだけだ、目を回して気絶している、

 

 だが一つ無視できない点があった、黒いヘルメット、そこに書かれていたエンブレムだ。

 

 思わずヘルメットごと少女の頭部を粉砕しそうになるほどの殺意が湧き出たが、ここはキヴォトスだと自分を納得させる。

 

 だが情報は必要だ。

 

 

「先生……?」

 

 

 不良のヘルメットを見ながら立ち止まった先生を見てどこかいぶかし気な生徒たちに気づくことなく、先生は言葉を発した。

 

 

『この不良生徒のヘルメットについているエンブレムについて聞きたい、何か情報は知っているか?』

 

「エンブレム、ですか? えーっと……」

 

「一部の不良生徒、および各学園の生徒の一部が貼っているエンブレムです、確か出現時期は不明のはず」

 

「ゲヘナ学園にもいます、数は不明ですし恰好もバラバラですが、共通してこのエンブレムを貼ってるものが多いですね」

 

「トリニティにはあまりいません」

 

『そうか、表立って何か問題行動を起こしたりは?』

 

「いえ、一般的な不良の範疇かと」

 

『そうか……』

 

 

 この世界がなんであれ、ケイオスの者どもがいてここまでの文明が築けるわけがない、つまるところ何か秘密があるのだろう、この世界には。

 

 空を見る、変わらずそこには白いわっかが広がっていた。

 

 

 003

 

 

 シャーレ施設内、そこを歩く、施設内ということでヘルメットは外していた、吸う空気に変わりはないし、むしろヘルメットについている空気洗浄装置がないあたり、吸う空気のランクはダウンしているが、ヘルメット特有の圧迫感がないのは彼の緊張感を少し緩めていた。

 

 エレベーターは彼の重さに耐えきることができなかったので、仕方なく階段で移動している。

 

 いまは施設内を探索し、手早く管理権限端末を探す必要がある、だが流石にそんな専門端末を自分以外が触るのはいかがなものかと護衛生徒たちは今外に待機している状態だ。

 

 手持ち式のセンサーが電子端末を探すために起動しているが効果は薄い、何せ電源がついていなければ探すことはできないので電源がついていない物も探すように登録してある。

 要するに発見したと誤認するケースが多い。

 

 上からしらみつぶしに探して、今は地下にいる、おそらくはここだ。

 

 

「これでは壊そうにも……」

 

 

 少女の声がする、壊す、という単語から不良生徒がここにやってきているのだろうか?

 外の者たちに連絡しようか悩むが、ここでは殺しはご法度だ、マリーンのパワーではキヴォトスの生徒と言えど粉砕してしまうかもしれないという考えが浮かぶ。

 ここは一度声をかけ、抵抗をしないようにと話すのがいいのだろうか?

 

 死の天使たるスペースマリーンにしては甘い考えだろうか?

 

 彼女たちはケイオスのエンブレムをつけていた、外の世界と呼ばれた俺たちの世界では処刑は免れないだろう。

 

 だがここは? 何度も思うがここは別の法則が働いている世界だとしか思えない。

 ただの人間、それも生徒が帝国のパワーアーマーに匹敵する装甲を持つ?

 私の故郷にはキンと呼ばれる、マリーンに匹敵する筋肉を持つ者もいるが、彼らと言えどは銃をくらえば死ぬ。

 

 

 まるでここでの死というのは法則的に禁止されているかのような……

 

 

 いや、妄想の域を出ない

 

 今は目の前のことに集中しよう。

 

 

「そこの生徒、抵抗は無駄だ! 今すぐ手を頭の後ろに当て矯正局に連行されよ!」

 

「あら? あなたは……」

 

 

 黒髪に獣の耳を持つ……不思議な恰好をした少女がいた、あの恰好は大豆という植物と物々交換で地元惑星の鉱石を交換したマリーンの恰好だったか?

 まさかこの世界にはケイオスだけではなく帝国の者もいるのか?

 

 

「あら? あら? あらあらあら……!」

 

 

 目の前の少女の顔が赤く変化していく、なんだ? いやなんだ? 何かの攻撃のサインか何かか?

 

 

「し、失礼いたしましたー!!!」

 

 

 少女が丸い何かを地面に投げると瞬間的に煙が発生する、ヘルメットをつけていない今では煙に対してできる行動は聴覚による補正くらいだ。

 よく訓練された戦闘者のようだ、思わずサイドアームであるボルトハンドガンを目の前に向けるが、ここで発砲しては探し物が壊れる心配もある。

 

 ボルトハンドガンをしまう、その間に少女は空気の入れ替え口から脱出していたらしい、途中爆発も聞こえたから一回修理に頼まないといけないだろう。

 

 

「……なんだったんだ?」

 

 

 その場に取り残されたアレックスには何がなんだがわからなかった。

 




武器のランクはスタンダード マスタークラフト 職人 遺物
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