001
「あー、あー、聞こえているか(バイナリ語)聞こえているな、よし、えー大賢人のアローじゃ、今回ミレニアムの技術者諸君に紹介したい作業用兵器を作ったのじゃが」
スッと手をあげるメカニカスがいる、彼女の名については気にしなくていいだろう、どうせ人の言葉では発言できない名前だ。
「(バイナリ語)」
「そうじゃ、兵器じゃ、というかここにはバイナリ語がわからん技術者もいるのじゃから普通の言葉で話さんかい」
「む、すまん忘れていた(バイナリ語)兵器というのはこちらの世界のか?それとも我々の万機神の世界のか?」
「どちらともいえるのぉ、計画的には外の世界で私が計画していたブツの完成形ともいえるし、それが完成したのはつい最近のことだからの」
スッとエンジニア部の面々が手を挙げる。
「ほい、どうしたんじゃウタハ」
「あー、アロー先輩、それは外の世界っていうのは……」
「まぁわしらメカニカスやらマリーンたちや異星人どもが生きていた世界じゃの、知識としてはあるじゃろ?」
「あぁ、先生を見て外の世界は何と戦ってるんだと思ったが……」
「まぁ私の死因たるティラニッドも最近来たからのぉ、まぁそんなことはどうでもいいんじゃ、今はキヴォトスで平和に生きてるからの」
「資料を見るにこれは小型のゴリアテのようなものでいいのかい?」
「まぁそちら風に言えばそうじゃの、私らの世界じゃコイツはドレッドノートと言われとった」
「ドレッドノート……」
「中にほとんど死人なスペースマリーンを改造手術ののちに詰め込んだ歴戦の兵器じゃ、最近はリデンプターって新作も出てたのぉ、えぇい私だって偉ければそれくらいやってのけたものを!」
「(バイナリ語)落ち着け同志よ、今は地位に関係なく技術革新に挑めるんだからいいじゃないか」
「(バイナリ語)はぁ……まぁそうじゃな、万機神が技術革新を正しいと思っているからこそ、この世界に来たのじゃから一旦落ち着く、ちょっと待っておれ」
アローは机に置いてある黒い缶の飲料、ブラックコーヒーを一口で一気飲みしプハァと息をあげる。
昔、それこそ外の世界の時は臓器をほとんど機械に置き換えてしまったためにペーストのものくらいしか食えなかったが、この世界では食べ物を食べたり飲み物を飲んだりを楽しんでいる。
集中力を増すために脳に電気を流したり違法薬物を投与しなくてもいい世界、なんと健康的なことだろうか。
「(バイナリ語)よし、落ち着いた、それで紹介したいのがこれ、ロッカーノートじゃ、手元の資料を見てくれい」
エンジニア部とミレニアムメカニカスが手元の資料を見る。
そこには二足歩行であり、堅牢な肩と腕、そして中央に煌びやかな装飾が施されたロッカーが添えられていた。
Aパターンはアリスの光の剣を装着し、片腕を汎用腕をとしたパターン。
Bパターンは両腕を汎用腕とした作業用メカとしてのパターン。
Cパターンは両腕をなくし、片腕に連装ミサイルポッド、もう片腕に二連装の戦車砲。
と書いてあった。
その全てに共通するのがロッカー部分を装着脱着可能な部位とし、機械部分は自爆による情報抹消能力やすぐさま別のパーツを取り換えることによる汎用性も抜群というかなりの兵器となっていた。
「おぉ、これは素晴らしい!アリスの光の剣を使ってくれるなんてエンジニア部冥利に尽きるね!」
「(バイナリ語による悩み声)」
「……アロー先輩の後輩や先輩たちは何か不満点があるの?」
ヒビキの心配そうな声が語り掛ける、それもそうだろう、この作業用機械、もとい二足歩行の汎用兵器はゴリアテを超える機動性と破壊力を持っているのだ、どこに不満が生まれるというのだろうか。
「(バイナリ語)いやな……これ異端スレスレじゃと思って」
「異端、かい?」
「(バイナリ語)私達技術革新派はともかく、いまだに万機神の信仰を言い訳に技術を停滞している連中もキヴォトスには多くて、それの地雷を踏み抜いている、特にここだ」
そう言ってミレニアムメカニカスが指さしたのはジェネレーターの部分であった。
「(バイナリ語)この部分にゼノの技術が使われている、タウのプラズマジェネレーターが一番だな、それを参考にしたのだろう?大賢人アロー」
「(バイナリ語)まぁそうじゃな、万機神の加護によって生まれたドレッドノートの見た目にゼノの技術を参考程度とはいえ使われていると知ったら暴れる連中も多いじゃろう」
「(バイナリ語)うむ、そこが心配なところだ、特にミレニアム学区外は未だに技術保守派が多い、なにより古い技術に触れているがゆえにミレニアムの最新技術を異端だと思っている連中もまた多い」
「(バイナリ語)そこで一つの答えがあるのじゃが、このジェネレーター、これをオープンソースとして公開する」
「本当かい?アロー先輩」
「(バイナリ語)なるほど、常識ともなれば異端ではないと、言い訳じみているが納得する者も多いだろう、なにより我々技術革新派は地位による技術革新を阻害する要因が嫌でミレニアムに来たのだから、それが本望だろう、だがいいのか?ロッカーノート、かなり開発費がかかっているようだが」
「(バイナリ語)カッカッカ!これでもかなりのミレニアム特許申請を取っているんじゃ!使いきれないくらいにはウハウハよ!まぁそれもロッカーノートでかなり吹き飛んだんじゃがな!」
「刹那的な生き方だねアロー先輩」
「(バイナリ語)異端的な生き方だな。だがわかる、この世界は食べ物がおいしすぎる」
「(バイナリ語)さて、次は試験的な移動や射撃テストを見てもらおうかの」
002
ミレニアムのロボット試験場、そこには操作担当のゲーム開発部の面々、そして見学にミレニアムに所属しているスペースマリーンや動画サイトで生放送しているカメラマンが来ていた
「カッカッカ、ご苦労じゃゲーム開発部の諸君」
「おぉ賢者アローよ!勇者の武具の修理も体験できるなんてアリス感激です!」
「……武具?というかこれ絶対作業用じゃないよね、お姉ちゃん」
「うん、悪役が世界征服に乗り出すときのアレだよねこれ」
「うぅ……あのロッカー愛用してるからって引っ張られてきちゃった……」
ざわざわとしているスペースマリーンたちやミレニアムの生徒をしり目に大賢人アローはゲーム開発部の面々に話しかける。
「よーし、まずは乗り込んでくれい!」
一部のスペースマリーンがざわざわし始める、まさかあの子たち既に改造手術済みなのか?という声も聞こえるが、アローは無視した。
「えーっと、まずはコントローラーのスタートボタンを押します!」
アリスが声を出しながらスタートボタンを押す、するとロッカーノートのロッカー部分が外れ、ジェット機関で空気を燃やしながらこちらへとゆっくりと着陸する様を見る。
おぉ、となるスペースマリーンとミレニアムの生徒たち、むっとなる生放送を見ているメカニカス達のコメント欄。
「次にコントローラーを無線接続しロッカーに乗り込みます!」
ロッカーから梯子が現れ、そこにゲーム開発部が乗り込んでいく。
『インヴェクターバトルスーツか?』
『タウのバトルスーツがあんな感じだったな』
『なんという!万機神の教えに背いている!』
とコメント欄は大荒れだが、現地の反応はと言えば様々であった。
「あー、インヴェクターバトルスーツがあんな感じだったな」
「昔見たアストラミリタリムのセンチネルがあんなんだった」
「あんな風にブラザーを出し入れ出来たらブラザーたちの負担も減らせただろうなぁ」
「あの姿勢制御、優秀な機械精霊を積んでいるな」
といった感じである。
まぁ中にはロッカーノートを見た時点でぶっ倒れてミレニアムの医学部のお世話になっている者もいるが
『パンパカパーン!機械精霊ロッカーノート!勇者プロトコル実行!』
そんな声がこだまする、そう、ロッカーノートに使われている機械精霊は全てアリスからインプットされているのだ。
なおこれを聞いた一部のメカニカスの生徒は可愛げがあると大笑いし、もう一部のメカニカスは邪狡智性じゃねぇか!と泡拭いてぶっ倒れている。
『スピーカーモード起動!これより勇者の移動チュートリアルをスタートです!』
「よし、まずは校庭を一周してくれい」
そうして移動していく四機のロッカーノート、今回は技術革新派からのお金のかかった依頼ということもありゲーム開発部の面々は真剣に行っている。
まぁ途中には特殊コマンドがあると気づいた面々は試しにとスライディング移動やら前転移動やらジャンプ移動をすることもあるが。
「とまぁこのように私はゴリアテやパワーローダーを超える汎用機械を作り出したわけじゃ!次は兵装試験に移ってくれい」
『了解しました賢者アローよ!』
転ぶことなく一列に並び始める、その様子にまたもや、おぉっとなる見学の者たち。
そうして標的を用意するドローンたち。
用意を完了したのを見届けると大賢人アローは次の指示を出した。
「よし、まずはアリスのAパターンから射撃を開始しれてくれい」
『パンパカパーン!アリスに新ジョブ、エースパイロットが追加されました!アリスのターン開始します!』
厚さがかなりある鉄板が用意され、そこにアリスの光の剣(ロッカーノート接続バージョン)が攻撃を開始していく。
その威力はすさまじく、一発で鉄板を凹まし、二発目には貫通した。
外の世界の者が見ればそれは戦車サイズのラスキャノンやプラズマキャノンを思い出している最中であった。
「次はミドリとモモイ、Bパターン、やってくれい」
『『はーい!』』
Bパターンは作業用ロボットの為に今回はジェンガのように積み上がる鉄骨を一本ずつ抜いていき、そして同じサイズに積み上げるということをやった。
途中ジェットジャンプにより突風が吹きあがることもあったがそれを気にしたのはミレニアムの生徒のみである。
そうして完成した二個の鉄骨の塔におぉとなる見学者たち。
「次はユズ、Cパターンじゃ!」
『は、はい!』
次にユズが行ったのは移動しながらの射撃テストだ、左右や前後に移動しながらの射撃、そしてユズのテクニックによりジャンプしながらの射撃なども可能としていた。
それはユズのテクニックについていける機体が凄いのだろうか、それともほとんど練習期間もないのに完全に操作を可能としているゲーム開発部の面々が凄いのだろうか。
まぁどっちもすごいのだろう。
「とまぁこのような機動を可能とするのがロッカーノートじゃ、値段はー」
そうして行われるのはアローのセールストークである、値段は高めだが長い目で見ればかなりのお得商品となっていた。
そしてこのロッカーノートに乗せられている技術は説明書を見ればわかるのだから素晴らしいのだろう。
ちなみにゲーム開発部の面々は暇だったのか鬼ごっこをしていた、ロッカーノートで。
003
『おーいブラックレギオーンとサンズオブホルスー』
ここはアビドスの土地、旧校舎である、そこには校庭に積もった砂を掃除しているブラックレギオンやサンズオブホルスの面々がいた。
そこにやってきたのはケイオスメカニカスの者である、元彼、現彼女は昔はブラックレギオンについっていた者であった。
「おん、どうし、ヒュッ」
バタリと倒れるブラックレギオン生徒
『どうよこれ!ローン組んで買ったんだけど砂掃除にいいだろ!俺も手伝うぜ!』
「お前……元ケイオスだからってヘルブルートの装飾してなんて来るんじゃないよ!こいつ元ヘルブルートの操縦者なんだぞ!」
「セマイトココワイクツウコワイ」
なお性能はよかったので砂掃除は捗りました
004
「……」
カタカタとパソコンの操作音がする。
そこには椅子に座っている生徒がいた、ミレニアムのセミナー会長、調月リオである。
彼女のパソコンの画面にはこう書かれていた。
『ロッカーノートによるウォーロードアヴァンギャルドの強化プラン』