窓口のバ美肉おじさんは配達者!?   作:塚山 泰乃(旧名:なまけもの)

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第15話 バ美肉おじさん、暴露する

 国会議事堂内の議場に入った弓の姿の俺と更紗は証人席に座る。

 

 俺たちを中心に半円状に広がるように並べられた席に国会議員たちが待っていた。

 

「ただ今より証人喚問を再開します。次の議題は『氷河期世代婚活促進制度』について」

 

 妻の更紗を呼び出した時点でおかしいと思っていたが、やはり来たか。

 

 横目で妻を見ると太ももの上に握り拳を載せ、顔は幾分強張っていた。

 

「RS党、□□君」

「えー、氷河期世代婚活促進制度が施行されてまもなく半年を迎えようとしています。この制度については今も違憲ではないかとの声が根強く、日本各地どころか世界でも日本政府を批判する抗議デモが繰り返されており、先日に至っては国連人権委員会から制度の即時廃止と氷河期世代に囚われた若い女性たちの解放をするよう勧告が出ました。我が党はこの事態を深く憂慮するものであります。そこで当の氷河期世代と結婚した証人の倉阪更紗さんにお尋ねしたい」

 

 長々と現状を視聴者である国民に解説した□□は妻に矛先を向けた。

 

「証人、倉阪更紗君」

「……はい」

 

 議長に促された彼女は少し声を震わせながら返事をした。

 

「あなたは現在の夫からの束縛から解放されたい。……間違いありませんね?」

「……何でそんな勝手な事を言うの?」

「訊いているのはこちらです。解放を望んでいるのであれば、我々がお助けします」

「…………で」

「何ですか? はっきりと言ってください」

「ふざけないでって言ってるの!」

 

 いきなり妻が怒鳴った。

 

 対応できた人はごくわずかで、大半は耳を痛める結果に陥った。

 

「誰も助けてなんて言ってない! 私は夫の規君を自分で選んだの!」

「それが間違っているのです。感情的にならないで、落ち着いて」

 

 妻を激怒させたのは□□、お前だろう。さっきから何なんだこいつ。

 

 議長からは妻をたしなめる言葉が出る。

 

「証人は冷静になってください」

 

 更紗は一旦落ち着こうと深呼吸を始める。

 

「…………落ち着きましたか? 質問を続けます。あなたは自ら今の夫を選んだと言いましたね?」

「そうだよ、私が選んだ」

 

 ねちねちと尋ねる質問者に不快げに答える妻。

 

「それが間違っているのです。よく考えてください。あなたは何故この制度を利用したのですか?」

「……同じ年の男の人たちよりも規君が良かったから」

「どうしてですか?」

「……同じ男でも、規君、がっつくような人じゃなかった。若い人達、みんな私の胸やお尻を舐め回すように見てくるから気持ち悪くて……」

 

 ああ、いや、妻の気持ちも理解できなくもない。

 

 性欲の旺盛な若者たちに比べれば減退した俺達のほうが魅力的に映るのかもしれん。

 

 それでも、彼らと比べたら加齢臭が目立ち始めた俺達の方が敬遠されがちだと思うのだが。

 

「それは違います。人類は性欲旺盛だからこそ繁栄できたのです。結婚適齢期をとうに過ぎた男性を選ぶなど自然の摂理に反しています」

 

 もっともそうな台詞《せりふ》を宣《のたま》った□□は手元の紙を掲《かか》げる。

 

「ここに離婚届用紙がございます。更紗さん、今からでも遅くありません。是非、この用紙を受け取り、この場で書いてください」

「証人、倉坂更紗君」

 

 議長の声に更紗が口元が引きつった笑顔で応対する。

 

「議長にお尋ねします」

 

 おや、どうしたのだろうか。

 

「何か?」

 

 妻が人差し指を□□に突き出す。

 

「あいつに『惨《むご》たらしく死ね』って言っても良い?」

「駄目です」

 

 即座に否定され、彼女の舌打ちが議場内に響く。

 

 だんだん己が制御できなくなってるな、良くない傾向だ。

 

 そうさせているのもRS党の思惑なんだろうが、一体、奴らは何をしたいんだ?

 

 □□は妻の暴言に少々顔を引きつらせながらも、淡々と言葉を紡ぐ。

 

「……質問を変えます。更紗さん、あなたの事を調べさせていただきました」

 

 妻の顔がわずかに強張る。

 

「岐阜県〇〇町生まれの16才。中学在学中に施行された氷河期世代婚活促進制度に応募し、厳正なる審査を経て合格。氷河期世代の中からK・T氏と付き合いを始め1ヶ月後に結婚。現在はアルバイトをしながらアパートで夫と暮らしており……」

「議長、プライバシーの侵害です!」

 

 妻が挙手して口を挟むが、議長は淡々と業務をこなす。

 

「更紗君、静かに。そして□□議員の発言は今のところ侵害するに当たりません」

「くっ……」

 

 悔《くや》しそうな妻を尻目に□□は話を進める。

 

「……ます。我々も調査に乗り出しましたが、調べていくうちにおかしな点が浮上してきたのです」

「それは何か?」

「はい、議長。更紗さんの生まれ故郷で彼女についての聞き込みをしたのですが、近所はおろか同級生すら彼女の存在を知らなかったのです」

 

 数旬の沈黙の後、議長が□□に確認する。

 

「それは本当ですか」

「はい。念の為、戸籍も調べたのですが確かに彼女の本籍は存在してました。ですが住民は彼女を知らなかった。写真も見せたのですが『そんな女は知らない』とみんな同一の返事があったのです」

 

 議場内がざわめきに包まれる中、□□の声が響く。

 

「倉阪更紗さん、あなたは一体誰なんですか?」

「証人、倉阪更紗君」

 

 議長の声に妻は沈黙する。

 

「更紗君、質問に答えなさい」

 

 数秒後、再び議長の声が響く。

 

 妻の呼吸が浅く乱れているのが分かる。

 

「更紗君」

「議長」

 

 俺が妻に何か言ってやらねばなるまいと考え挙手した。

 

「倉阪弓君、何か」

「私が更紗ちゃんに発言を促すよう助けます。ですので、彼女に呼びかけてもよろしいでしょうか?」

「……良いでしょう」

 

 言質を取り妻に向き直る。

 

 妻のいつもの快活な雰囲気は鳴りを潜め、何かに追い詰められたような表情をしている彼女に語りかける。

 

「更紗ちゃん」

「弓ちゃん」

「言ったでしょ? 何を知ったところであなたを嫌いになったりしないって」

「……でも」

 

 不安そうな瞳で俯く妻に辛抱強く励ます。

 

「あなたには随分と助けられた。あなたが何者でも構わない。今度は私があなたを支える番。……お願い、あんな奴らに負けないで」

「…………うん、分かったよ」

 

 妻の瞳にかすかな光が宿る。

 

「もう良いかね?」

「……はい。はい!」

 

 議長の確認に妻はしっかりとした返事をした。

 

「発言をする前に確認を。岩津元防衛庁長官、……現総理大臣にお尋ねいたします」

「更紗君、その質問は許されていない」

 

 妻の言葉を議長が遮るが、ここで総理大臣が初めて口を開いた。

 

「議長、今のは問題ありません」

「しかし」

 

 岩津総理の落ち着いた言葉に議長が渋る。

 

「単なる確認だけですから、大丈夫」

「……質問を許可します」

 

 総理の重ねた言葉に議長がため息を吐きながら折れた。

 

「私、倉阪更紗より岩津総理へ。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

「総理!」

「岩津総理!」

 

 妻が何事か言うと総理の周辺にいた議員が血相を変えて叫ぶ。

 

「……良いのです。……もう潮時でしょう」

 

 総理は目を閉じて深呼吸した後、宣言する。

 

「申請を受諾。発言を許可します」

「了解いたしました」

 

 ここで俺は何かとてつもない事態が進行している事に気付いた。

 

「更紗ちゃん?」

 

 俺の戸惑った呼びかけに妻はこちらを向いて微笑むとマイクへ向き直る。

 

 首に付けている赤いチョーカーがやけに印象に残った。

 

「私、倉阪更紗は。防衛省技術研究本部で開発された女《め》型二足歩行爆弾から爆弾をオミットした特別民間市販型。頭文字を取って通称トミシ。……要するにアンドロイドです」

「……は?」

 

 議場が沈黙した。

 

 2秒ほど遅れて報道陣から無数のカメラのフラッシュが焚かれる。

 

『はぁぁぁぁあああああ!?』

 

 少し遅れて議場が揺れた。

 

 俺は驚きはしたものの声に出しはしなかった。

 

 妻の告白に思い当たるふしがあったからだ。

 

 まだ10代半ばだというのに持病があると言って定期的に1人で病院に検査を受けに行ってたし、付き合い始めた当初はやけにおっかなびっくりで各種道具を扱ってた。

 

 挙句の果てにはTVを視聴するのが滅多に無かった事を知り、どこの田舎で過ごしていたのかと思っていた。

 

 今なら納得できる。

 

 恐らく定期的なメンテナンスを受けたり、学習型コンピューターを積んでいるのだろう。

 

「静粛に、静粛に!」

 

 最初は驚いていた議長だったが誰よりも早く我に返ると騒いでいる人達に呼びかける。

 

 その甲斐あって議場は落ち着きを取り戻しつつあった。

 

「…………ふ、ふふははははは!」

 

 そんな中、□□議員がけたたましく笑い声をあげる。

 

「□□議員、直ちに黙りなさい」

「あはははははは、そうか、そういう事か!」

 

 □□は挙手をして議長が指名した。

 

「つまり、総理はこう考えたわけです。結婚できなかった氷河期世代に暴動を起こされないよう、よく出来た人形を売ることでごっこ遊びをさせて満足させ、余計な事を考えさせないようにした。なるほど、良く考えていますね。…………あなた達政府は氷河期世代を馬鹿にしている! いい加減にしろ!」

 

 続く言葉に抑えきれない差別的な感情がこもっていた。

 

 黙って聞いていれば、更紗を人形呼ばわりとかふざけてるのか?

 

 一緒に暮らして半年になるが人間そのものだぞ。

 

 論理の飛躍で勝手に自己完結してないだろうか、寝言は寝て言え。

 

「やはりJM党には政治を任せられない! 今こそ政権交代を!」

「□□議員、今の発言は議題から外れています。黙りなさい」

「……申し訳ありません。つい興奮してしまいました」

 

 □□は言葉では反省していても、態度がそれを否定していた。

 

「質問はまだありますが続けても?」

「□□議員」

「先ほどの離婚届の件は撤回させていただきます。申し訳ありませんでした」

 

 □□がお辞儀する。

 

 はて、反省の態度が見えないのにどういう事か。

 

「せっかく予算をかけて製造されたのに結婚先が氷河期世代とは、つくづく運のない人形ですね」

 

 あくまでも妻を見下すのか。

 

 殴りたいけどできないのが口惜しい。

 

 ぎりっと更紗の口から歯ぎしりの音が議場に響く。

 

「□□議員?」

 

 妻の震える声が□□を呼ぶ。□□はニヤついた笑みで応対する。

 

「何でしょうか」

「あなたの近い将来、幸福な()()が訪れる事を祈っています」

「……どういう意味でしょう?」

「意味も何も、幸せを祈っただけですが何か?」

「ふふふふふふふ」

「あはははははは」

 

 妻と□□の互いににこやかな表情での言い合いに周囲が引いた。

 

「……ふん。まあ良いでしょう」

 

 □□は余裕のある態度を崩さない。

 

「どの道、あなた方夫婦の未来は閉ざされました」

 

 意味が分からず俺と妻は揃って首を傾げる。

 

「分かりませんか? 子孫も残せない人形なんかと一緒になった時点で詰んでいるのですよ」

 

 その事は俺自身も理解している。

 

 個人的には子供は欲しかったが、更紗と幸せな暮らしができるのであれば些末な問題でしかない。

 

「発言しても良いですか?」

「倉阪更紗君」

 

 議長から許可を受けた妻は総理へ向く。

 

「岩津総理に確認します。……開示しても?」

「許可します。やっちゃってください」

「了解しました」

 

 二人のやり取りに□□が困惑する。

 

「……何を?」

 

 □□の戸惑いを無視して妻はマイクの前で語りかけるように言う。

 

「規君、聞いてる? 私たちアンドロイドだから持病と偽って定期的に病院に行ってメンテナンス受けてるの」

 

 だろうなあ。

 

 本当に言いたいのはこれでは無い事も察した。

 

「それが何か?」

 

 □□のうんざりしたような問いかけに、妻はきっぱりと答える。

 

「私達は、子宮と卵巣を実装済みです」

「…………は?」

「妊娠3ヶ月です」

 

 議場内が沈黙する。

 

「………………………………………………は?」

「妊娠3ヶ月」

「は、ははは。……いやいや」

「妊娠3ヶ月」

 

 脳が理解を拒否してるだろう疑問が□□の口をついて出た。妻は辛抱強く繰り返す。

 

「馬鹿も休み休み言いなさい!」

「嘘は吐いちゃいけない場所なんでしょ?」

 

 □□の半ば怒鳴るような言葉に妻は首をひねりながら質問で返した。

 

「証人喚問は神聖な場です。嘘偽りは許されません」

「だって」

 

 議長の説明に妻が乗っかり、□□は絶句した。

 

 先ほどから議場内がざわざわと騒がしく、報道陣席からは盛んにフラッシュが焚かれている。

 

「どういう事だ……。意味が分からない。人形が妊娠? あり得ない。ふざけるのも大概にしろ!」

 

 □□は現実が受け入れられないのかぶつぶつと言っていたが、最後は怒鳴った。

 

「質問先を変えます! 総理、岩津総理! あなたは人形の事をご存知のようだ! そうですね!?」

「□□議員、静かに質問しなさい。……岩津内閣総理大臣」

「存じております」

「なぜ最初から人形について詳しく説明しなかったのですか!? 我々には知る権利があります、説明をお願いしたい!」

 

 余裕を失ったのか、□□は慌てた様子で総理に尋ねた。

 

「えー、証人喚問中にお答えするには時間が足りないので後日、記者会見を開かせていただきます。以上です」

 

 岩津総理はニヤついた笑みを浮かべて回答した。

 

「総理? 総理!?」

「□□議員、他に質問はありませんか?」

「総理、明確な答えを今ここでお願いします!」

「先ほどお答えした通りです」

「総理!!」

 

 これ以上長引かせるのは無駄と判断したのか、議長が告げる。

 

「質問は以上ですね? これにて証人喚問を終了し」

「いや、まだだ! まだあった!」

 

 往生際が悪い□□に議長がうんざりしながら名を呼ぶ。

 

「□□議員」

「……倉阪弓さんにお尋ねしたい事があります」

 

 呼吸を整えた□□が俺に矛先を変えた。

 

 おや、何だろうか。

 

「こちらの調査によると、あなたは1ヶ月以上前の記憶が無いそうですね?」

「ええ、最低限の一般常識以外が欠落していますが、何か?」

 

 ああ、この情報は配達先の依頼者に話した設定だな。

 

 あいつが漏らしたのか。

 

 まあ、グルかもしれないがそんな事は後回しだ。

 

「気付いた時には財布が無い?」

「ええ」

「免許証もマイナンバーカードも?」

「ええ」

「証明する物を持ってない?」

 

 何となく、逃げ道を塞がれているのが理解できた。

 

「財布を落としたので、お金を稼がないと生きていけません。真っ先に仕事を探しました」

「それがバクバク・イーツ?」

「はい」

「あの職場は身分証明が無いと就業できないはずですが」

「倉阪更紗ちゃんの夫が仲介してくれたのでできました」

 

 これは所長と考えた弓のカバーストーリーだ。

 

 一般人相手なら誤魔化せると踏んだのだが、国家権力には通じるか怪しいもんだ。

 

 一応やってみせるが、反応はどうだ?

 

「そうですか、そうですか」

「あの、何か?」

「この者は不法滞在者だ! 今すぐ逮捕しろ!」

「は?」

「え?」

 

 突如、周囲にいた警備員が俺と妻を取り囲んできた。

 

 畜生、やっぱ無理か!

 

「大人しくして下さい」

「無実であれば後で解放いたします」

 

 俺の前にいる警備員がこちらに手を伸ばしてきた。

 

「待って下さい、身分証明する方法があります!」

 

 半ば無意識に口にした俺の言葉にぴたりと止まる警備員。

 

「は、嘘をつくな!」

 

 傲慢な□□に反論する。

 

「今見せます!」

「待って弓ちゃん、何をする気!?」

「更紗ちゃん、もういいの」

「弓ちゃん?」

「これは更紗ちゃん達のためだから」

 

 無駄な抵抗をした所でこの場の人間達の心証が悪化するだけだ。

 

 ならば、する事はただひとつ。

 

 本体の俺はサッシの窓を掴むと窓枠から外して開口部を広くした。

 

 そして、開口部から身を乗り出し頭部を議場内へ突き出した。

 

 弓に注目していた周囲のざわめきが停止する。

 

「…………は?」

「…………誰だ、お前?」

 

 周囲が呆然とする中、俺は妻に訊く。

 

「今、俺どうなってる?」

「……えと、首から上が規君になってる」

 

 ふむ、全身が俺に置き換えられるわけでは無いのか、これは新発見。

 

 改めて議場内の……いや、TV生中継だから全世界の人々に挨拶する。

 

「皆様、初めまして。こんな化粧した顔で失礼します。私……いや、俺は倉阪更紗の夫の規と申します。以後、お見知りおきを」

「…………は? え?」

「倉阪弓は? 彼女はどうした?」

「彼女は俺が作り出した幻です。俺が彼女に変装してました」

 

 やけに長い沈黙だな。もう少し説明が必要か?

 

「最近流行りのバ美肉おじさんと言う者ですよ。……分かりづらい? 狐に化かされていたと考えていただければ」

『はぁぁぁぁぁぁああああああああ!?』

 

 議場内がどよめきに包まれる。

 

「な、なら、倉阪弓という人物は存在しない……?」

「俺が化粧すれば成れます」

「そういうのは存在してないと言うんだ!」

 

 恐る恐る尋ねてきた議長に返答したら怒鳴り返された。

 

「うぅっ」

「おぇぇぇ」

 

 少なくない数の議員達が嘔吐し始めた。

 

 と言うか、傍聴席や報道陣席にいる人達までが吐き始めた。

 

「え、何? みんなどうして吐いてるの!?」

「あー」

 

 隣りにいる妻が混乱してるのをよそに俺は納得した。

 

「規君、何で落ち着いてるの!?」

「更紗、落ち着け。そして想像しろ」

「はい?」

「夜、暗い部屋で俺と性行為をしてるとする」

 

 あんまりにもあんまりな例を出されて妻が赤面する。

 

「い、いきなり何?」

「明かりをつけたら俺じゃない誰かだった。どう思う?」

「……悲鳴を上げる。で、吐いちゃ……ああ」

 

 妻も納得がいったようだ。

 

「……え、じゃあ、何。あいつら弓ちゃんを見ていかがわしい想像してたって事?」

「うん。で、現実を見てこうなった」

「最低!」

 

 俺の説明にため息を吐いた妻は短い感想を叩きつけた。

 

 恐らくだが、生中継を通して全世界で視聴してる者達も似たような状況に陥っているのではなかろうか。

 

 阿鼻叫喚の地獄絵図ってやつだな。

 

「これにて証人喚問を終了とします!」

 

 議場内の混乱を置いてきぼりに、比較的冷静だった議長は終了を宣言した。

 

「証人の2人は退室願います!」

 

 俺と妻は役員に案内され議場を後にした。

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