無口に愛を紡ぐ教室へようこそ   作:Mr.♟️

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プロローグ〜クラス分け〜

 

白銀琥珀は、高度育成高等学校行きのバスに揺られていた。やることもなく、ボーッと窓の外を眺める。

 

(お父さんに送ってもらえばよかったかも。そしたら、後部座席で横になれたのに)

 

 

 

「席を譲ってあげようって思わないの?」

 

静かな車内に、女性の大きな声が響いた。

 

巻き込まれたくないのか、車内の人間は声の発生源を一瞥してほとんどがすぐに視線を外した。

 

「実にクレイジーな質問だね、レディ。なぜ私が老婆に席を譲らなければならないんだい?どこにも理由がないが」

 

(優先席に座ってる学生、立っている老人。そういうことか。見かねたお姉さんが席を譲るように頼んだと)

 

白銀は話しかける相手が悪かったと、お姉さんに少しだけ同情した。高円寺六助、唯我独尊でゴーイングマイウェイを地で行く強者である。

 

「君が座っている席は優先席よ。お年寄りに譲るのは当然でしょう?」

 

「理解できないねぇ。優先席は優先席であって、法的な義務はどこにも存在しない。この場を動くかどうかそれは今現在この席を有している私が判断することなのだよ」

 

鼻で笑いこそしていないものの、明らかに話しかけてきた女性を見下している高円寺。年下の学生にこんな対応をされたお姉さんは声を荒らげた。

 

「それが目上の人に対する態度!!?」

 

(席を譲らせることに拘りすぎだ。隣の席に置いてる高円寺の荷物を膝の上に移動してもらえばいいだけなのに。そのくらいのことならやってくれると思う。これは一種の固定観念だね。視野が狭い) 

 

白銀は内心で呆れながら、対岸の火事として状況を見守り続けた。

 

 

 

「あの──私もお姉さんの言う通りだと思うな」

 

お姉さんに同意する形で参戦してきた女生徒、櫛田桔梗は高円寺へ説得を試みた。結果は語るまでもないだろう。

 

「今度はプリティガールか。どうやら今日の私は思いのほか女性運があるようだ」

 

言葉とは裏腹に、まったく嬉しそうでない高円寺。その様子をドラマ気分で眺めているのは白銀くらいのものだ。

 

「お婆さん、さっきからずっと辛そうにしてるみたいなの。席を譲ってあげてもらえないかな?その、余計なお世話かもしれないけど、社会貢献にもなると思うの」

 

(攻め方を変えた。お姉さんは社会通念上のモラルを引き合いに、新しく参戦した女の子は良心に訴えかけてる)

 

それは無意味だと白銀は断じる。良心の呵責なんてものがあるのなら、お姉さんに言われた時点で譲っているからだ。

 

「社会貢献か。なるほど、中々面白い意見だ。だが、お年寄りを大切に思う気持ちがあるのなら──そこには優先席、優先席でないなど些細な問題でしかないと思うのだがね」

 

高円寺のその言葉に、席に座っている人間は目を合わせないよう避け、お姉さんと老人は諦めた。

 

(寮ってどんな場所だろう。綺麗な場所だと嬉しいなぁ)

 

やり取りが終わり、興味の失せた白銀はこれからの生活について考える。彼だけではなく、誰もが、今回の話は終わったと思っていた。

 

 

 

「皆さん。少しだけ私の話を聞いてください。どなたかお婆さんに席を譲ってあげてもらえないでしょうか?誰でもいいんです。お願いします」

 

(諦めが悪いな。銀行で融資を断られても、しつこく喰らいついてくるタイプだ。このまま眺めてたらどうするんだろう。座ってる乗客一人一人にお願いするのかな)

 

そんなことを考えながら、白銀は席を立ち上がった

 

「僕の席でよければ、どうぞ」

 

回答を待たずに白銀はバスの前方に移動した。顔を見てお礼を言うタイミングをなくした老人は、ありがとうねぇと前方にいる白銀に軽く頭を下げてから席に移動した。

 

 

 

 

「アッシュボーイ、君も同じ学校だったのか。それにしても、君が社会貢献に興味があるとはねぇ」

 

「ない」

 

(社会貢献も暗黙の了解も、どうでもいい。ただ、これ以上ゴタゴタされると不快な気分になりそうだったから動いただけ。心底どうでもいい)

 

「そうか、君はそういう人間だった。フッハッハ、君と同じクラスになれば楽しめそうだねぇ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

バスが高度育成高等学校行に到着した。前方にいた白銀から先に降車し、その後ろから学生たちが続々と続く

 

「さっきはおばあさんに譲ってくれてありがとう!」

 

「うん」

 

「私は櫛田桔梗、同じ学校だしこれからよろしくね!」

 

「白銀琥珀」

 

天真爛漫な笑顔を向ける櫛田に対し、白銀はぎこちなく笑った。流れで一緒に掲示板でクラスを確認してから別れた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(Bクラスか。変な人がいないクラスだといいけど)

 


 

白銀がBクラスの教室に入ると、そこにはまだ誰もいなかった。黒板を見て、自分の名前が割り振られている席に大人しく座る。

 

(誰が一番に来るかな。僕と話してくれるかな。仲良くなれるかな。変わり者だったら関わりたくないから、どっかいってくれないかな)

 

胸を躍らせているようで全く躍らせていない白銀の望み通り、教室のドアが開かれた。

 

「あ、もう来てる人──え?」

 

ピンク髪の少女──一之瀬帆波は、教室に入ると同時に、黒板よりも先に席に座っている男子生徒へと視線を向けた。自身を見て動きが固まった一之瀬の心情を、白銀は読み取った。

 

「顔の火傷はあまり気にしないでもらえると嬉しいんだけど」

 

「え、にゃっ、全然!火傷が気になってとかじゃなくて.....」

 

全然読み取れていなかった。白銀は何もなかったことにして自己紹介を行う。

 

「白銀琥珀、よろしく」

 

「一之瀬帆波です。気軽に名前で帆波って呼んでね!私も名前で呼んでもいいかな?」

 

花が開いたような眩しい笑顔を向けられ、白銀はぎこちなく笑い返す。しかし、作り慣れていない笑顔に疲れ、すぐに元の無表情に戻った。

 

「ご自由にどうぞ」

 

(一之瀬帆波?あれ、隣の席じゃないか。さっき黒板を見た時に目に入った名前だ)

 

一之瀬は黒板で自身の席を確認すると、すぐに白銀の隣へと移動してきた。

 

「ねぇねぇ、琥珀くんは趣味とかあるのかな?」

 

「クラシック音楽と読書。運動も嫌いじゃない」

 

「そうなんだ。私も音楽と本好きなんだ!白銀くんはどんな作品読んだりするの?推理小説?ファンタジー小説?それとも、恋愛小説とか?」

 

(勢いがすごい。珍しい。大体は、僕の火傷跡を見て遠巻きに眺めてくるのに)

 

「ミステリー小説。帆波さんは?」

 

「私もミステリー小説、ポアロシリーズとか好き。さん付けしなくてもいいよ。同じクラスなんだからさ」

 

「へぇ、センスいいね。僕はダ・ヴィンチ・コードとか好きでよく読んでたよ。ベタだけど、シャーロック・ホームズの冒険も好きでさ。原典を読みたくて英語を勉強したんだ」

 

「そうなんだ。もしかして琥珀くんって、英語も話せたりする?」

 

「I can't speak such complicated English. But I can manage with everyday conversation.」

 

「えっと、複雑な英語は出来ない。日常会話なら出来る。合ってるかな?」

 

「正解」

 

その後も趣味の話から食べ物の好き嫌いまで、他の生徒が来るまで白銀と一之瀬は話し続けた。

 

「琥珀。掲示板で名前を見て、お前だと思ったぞ」

 

「この学校って倍率低かったっけ?」

 

「悪意しか感じないぞ」

 

同中出身の神崎隆二と再会するや否や、白銀は神崎を煽った。煽られた神崎は全く気にしていないようだ。

 

 

 

 

 

数分後、担任の星之宮知恵が教室に入ってきた。

 

「新入生の皆さん、初めまして。私はこのBクラスを受け持つことになった星之宮知恵で〜す。担当科目は国語だから、みんなとはホームルーム以外でも会うことになるね!ちなみに、この学校ではクラス替えはないから、私含め3年間同じだよ。よろしくね。今から一時間後に入学式が行われるんだけど、その前に学校の特殊ルールの説明だけするね!質問は最後にまとめてお願い。はい、資料配るから後ろに回してね〜」

 

そう言いながら、星之宮は一番前の席の生徒たちに資料を配布する。回ってきた資料を見た白銀は、見覚えのあるその紙面をめくった。

 

(合格通知と同封されてた資料だ。確か内容は──)

 

白銀は事前に配布された資料と違いがないか確認のため読み進めていく。内容は同じだった。

 

東京都高度育成高等学校は就職率、進学率共にほぼ百パーセントであることから始まり、

 

・学校が用意した寮で生活すること

・生徒は在学中、特例を除き外部との接触を禁ずる

・家族、血縁者との連絡も不可

・学校の敷地内からの外出も禁ずる

 

(ここだけ切り取ると厳しいように見えるけど、そうじゃない)

 

生徒に不満を抱かせないための配慮か、敷地内にはカラオケやシアタールーム、カフェにブティックといった娯楽施設が存在する。

 

その他、生活に必要なコンビニエンスストアやスーパーなども完備されていた。

 

(一番の特徴は、Sシステムの導入だ)

 

「今から配る学生証カード、大事だからなくしたりしないでね。このカードにはポイントが振り分けられていて、ポイントを消費することで敷地内にある施設の利用、売られている商品の購入が出来るようになってるの。分かりやすく言うと、クレジットカードみたいなものかな。敷地内で買えないものはないし、それは学校内でも同じ」

 

(1回払いしか対応していない不便なカードだ。まあでも、バカにリボとか覚えさせたら取り返しつかないから仕方ないのかな)

 

学生証に振り込まれているポイントは『1ポイント=1円』の計算になっている。とても分かりやすい。

 

(でも、現金の持ち込みが禁止されているのはよくわからない。キャッシュレスは賛成だけどさ、現金を禁止する必要はなくない?)

 

「ポイントの使い方は簡単だから迷うことはないと思うよ。ほら、今どきの子は得意でしょ?電子決済。もし困ることがあれば、局員にきいてくれれば大丈夫だよ。大事な話なんだけど、ポイントは毎月1日に振り込まれるから覚えておいてね。今も既に振り込まれてるはずだから確認して。ないとは思うけど、万が一振り込まれていなかったら今教えてね」

 

星之宮の言葉に教室がザワつく。ポイントという表記ではあるが、実質的に10万円渡されたことに変わりはない。

 

(破産するぞ、この学校)

 

「10万円なんて大金、すごいね。流石政府が運営する学校ってことなのかな」

 

「後からやっぱり渡せませんって言われるかもしれないけどな」

 

「すごいよね、10万ポイントなんて大金。最初に伝えておくけど、この学校では実力で生徒を測る。倍率が高い高校入試をクリアしてみせたみんなには、それだけの価値があるって学校が評価したんだ。みんなには無限の可能性があるってこと。あ、でもでも、卒業後はどれだけポイントが残っていても現金化は出来ないから注意してね。仮に1000万ポイント、100万ポイント貯めていたとしても意味は一切ないからね。ポイントをどう使うかはみんなの自由。男子だったら最新鋭のゲーム機とか、女子だったらアパレルショップとかね。自分が使いたいように使っても学校側はなにもいいませ〜ん。逆に使わないって選択もありだね。もしいらないなら、友達に譲ってもいいよ。あ、でも、いじめだけは絶対にダメ。学校はいじめに敏感だから、もし発覚したら問答無用で退学処分だからね。真面目な話はここまで。みんなで笑いあり涙あり、恋アリの楽しい学校ライフを送ってね。ここまでで質問あるかな?」

 

教室の全員が浮き足立っている。真面目な顔をしているのは、神崎と白銀だけだ。

 

「質問いいですか」

 

白銀が挙手して星之宮に許可を求める。

 

「白銀くんだね。うん、いいよ」

 

「今の説明だと、能力=付与ポイント数だと思うんですが、能力査定はどの程度の間隔であるんでしょうか。また、どういったことが評価の対象になるんでしょうか」

 

「へぇ、面白いこと言うね」

 

(銀行の融資査定と似たようなものだ。評価されるのが土地や会社規模ではなく、個人の能力ってだけの違い)

 

星之宮はじっと白銀のことを見てから口を開く。

 

「そういう質問には今はまだ答えられませ〜ん。他に質問はある?」

 

「校舎に監視カメラがついてるみたいですが、いじめ防止のためですか?」

 

「もー、白銀くんは答えられない質問ばっかりだなぁ。それも答えれませ〜ん」

 

(答えられないことばっかりだ。なんか、思ったよりきな臭い学校だったりする?)

 

「分かりました、ありがとうございます」

 

「はいは〜い、じゃあ私はもう行くね。何かあったら呼びに来てね」

 

星之宮はそう締め括って、教室から出ていった。教室では、白銀の質問に考えさせられる部分があったのか少しだけ静まっていた。

 

「能力査定、その発想はなかったなぁ。着眼点がすごいね、琥珀くんは」

 

「いや、そんなことはない。神崎も気になってたみたいだし」

 

「ううん、すごいよ」

 

一之瀬はそう呟き、白銀から視線を外して席から立ち上がった。

「みんな、ちょっと良いかな?」

 

一之瀬が全体に発した声に教室中の視線が集まった。

 

「私たちは今日から三年間共に過ごすことになるよね。お互いを知るために、簡単に自己紹介とかどうかな?その方がみんな仲良くなれると思うし」

 

(積極性があるし、見た目がいい。このクラスは一之瀬が中心に回るだろうな)

 

続々と賛成の声が上がり、まずは言い出しっぺの一之瀬から自己紹介をすることになった。

 

「私は一之瀬帆波。趣味は音楽と読書、あとは料理とかも好きかな。みんなと仲良く出来ればと思ってます。気軽に一之瀬って呼んでね!」

 

模範を示した一之瀬に続き、どんどんと自己紹介が進んでいく。神崎の無愛想な自己紹介が終わったところで、白銀の順番が回ってきた。

 

「白銀琥珀。顔の火傷は気にしないでもらえると助かる」

 

手短に済ませ、白銀はすぐに座った。前の席の神崎がため息をついたことのを白銀は無視した。

 


 

彼の姿を見た時、時間が止まった。

 

呼吸するのを忘れるくらい、私は驚いた。名前も知らない彼が、教室の席に座っていたことに。

 

(こんなことってあるんだ)

 

私は母子家庭で育ち、母と2つ下の妹と3人暮らしをしていた。決して裕福な家庭ではなかったけど、家族仲がよくて幸せだった。

 

(私の事、覚えてないみたい)

 

私と彼の出会いは中学3年生の夏。

 

妹の誕生日が近くなったタイミングで、お母さんが仕事の過労で倒れてしまった。それが原因で、妹が欲しがっていた誕生日プレゼントが買えなくなった。

 

お母さんと妹の仲が悪くなるのを、私は見ていられなかった。でも、私に自由にできるお金があるわけでもない。

 

私は、万引きしようとした。

 

妹が欲しがってたアクセサリーをカバンの中に入れようとした。悪いことだってのはわかってた。

 

(そこを彼に現行犯で止められた。動悸はしたし、心臓がはち切れそうなくらい跳ね上がったのを今でも忘れない)

 

でも、彼は商品を元の場所に戻しただけで、店員さんに突き出したり警察を呼んだりはしなかった。

 

『顔色悪くしてまでやるなよ、万引きなんて。理由とか知らないし聞く気もないけど、ヘアピンが欲しいのか、あのヘアピンが欲しいのかどっち?』

 

そんなことを聞いてきた。

 

お店から離れた場所に手を引かれて連れていかれても、私はまだ冷静じゃなかった。頭が真っ白で、彼の質問に何が目的なのかと考える余裕もなく、聞かれたことに素直に答えた。

 

『妹の誕生日、で。お金が無くて、ヘアピンが欲しいって話してたから。それで.....それで.....』

 

『なるほど。こだわりはないわけだ。なら、君はすごく運がいい。あのヘアピンがいいとかいうようなら、このまま帰ろうと思ったけど良かったね』

 

バカにされたと思った。万引きしようとした私を現行犯で捕まえておいて、『運がいい』だなんて。事実、馬鹿な行為なので何も言い返せず、私は彼の次の言葉を待った。

 

『僕は今日、彼女に振られた』

 

『え?あ、可哀想に?』

 

『君に可哀想とか言われたくないんだけど。コホン、彼女に渡す予定だったプレゼントが行き場をなくした。どうせゴミ箱にいくくらいなら、人の役に立つ方が僕は嬉しい。あげるよ、ヘアピン』

 

『え、いや、そんな見ず知らずの人に』

 

『万引きよりはマシだと思うけど。別に後からお金を請求したりしないから。いらないなら、僕に見えないところで捨てて。はい、これで妹さんと君にあげたから、もう所有権は僕にない』

 

君はそういって、私にヘアピンが入ってるケースを押し付けていなくなったよね。お礼をいうことも出来ず、誰なのかを知ることも私には出来なかった。

 

ケースに入っていたのは、如何にも高そうな青とピンクのヘアピンだった。お母さんには友人から貰ったって説明して、妹にピンクのヘアピンを私とお母さんからのプレゼントとして渡した。

 

妹は喜んで、お母さんとの関係もまた良くなって幸せな日々が戻ってきた。でも、あの日から私はずっとモヤモヤしてた。

 

結局お礼を言えてないし、名前も知らない。毎日毎日君のことを考えるうちに、日に日に名前も知らない君のことが気になってた。

 

 

──気づけば、君のことを考えたら胸が高鳴るようになっていた。

 

 

時間が過ぎるにつれ、記憶の中の君は薄れていった。

 

顔が朧気になっていくのが嫌だった。でも、私は忘れなかった。彫刻のように美しい顔立ちに、なにより特徴的だった火傷の痕を。

 

「顔の火傷はあまり気にしないでもらえると嬉しいんだけど」

 

初めての出会いに浸っていたら、火傷痕をみていたと思われて注意されちゃった。そうだけど、そうじゃない。嬉しくて、本当に嬉しくて浸ってただけ。

 

「え、にゃっ、全然!火傷が気になってとかじゃなくて....」

 

緊張して上手く喋れない。改めて見ても、綺麗な顔してる。火傷があっても、色褪せない美しさ。こんなかっこいい人に助けてもらったんだ。

 

「白銀琥珀、よろしく」

 

「一之瀬帆波です。気軽に名前で帆波って呼んでね!私も名前で呼んでもいいかな?」

 

作りなれてない笑顔が可愛い。

 

君は覚えてないみたいだけど、私はずっと胸がドキドキしてる。だって、こんな奇跡普通はないから。

 

あの日からずっと会いたかった君に会えて、知りたかった名前を知れて、同じクラスで関わっていける。

 

「ご自由にどうぞ」

 

嬉しい。それ以外の感情がない。君のことを知りたい。もっと知りたい。あ、でも、席順を一旦確認しないと。隣の席だったりしないかな。

 

あった!隣の席だ!すぐに琥珀くんの隣の席に移動する。

 

「ねぇねぇ、琥珀くんは趣味とかあるのかな?」

 

「クラシック音楽と読書。運動も嫌いじゃない」

 

「そうなんだ。私も音楽と本好きなんだ!白銀くんはどんな作品読んだりするの?推理小説?ファンタジー小説?それとも、恋愛小説とか?」

 

読書好きでよかった。クラシックはあんまり聞いたことないから、これから聞くようにしようっと。

 

「ミステリー小説。帆波さんは?」

 

「私もミステリー小説、ポアロシリーズとか好き。さん付けしなくてもいいよ。同じクラスなんだからさ」

 

名前で呼んでくれてる。嬉しい。同じ学校に隣の席、もう私の学校生活これだけで幸せ。

 

「へぇ、センスいいね。僕はダ・ヴィンチ・コードとか好きでよく読んでたよ。ベタだけど、シャーロック・ホームズの冒険も好きでさ。原典を読みたくて英語を勉強したんだ」

 

努力家でかっこいい。

 

「そうなんだ。もしかして琥珀くんって、英語も話せたりする?」

 

「I can't speak such complicated English. But I can manage with everyday conversation.」

 

「えっと、複雑な英語は出来ない。日常会話なら出来る。合ってるかな?」

 

英語の発音も綺麗。かっこいい。可愛い。もっと知りたい。君のことを教えて欲しい。元カノのこととかも、知りたくないけど知りたい。

 

「正解」

 

(焦らなくても大丈夫。これからゆっくり仲良くなっていけばいいんだから。頑張れ私、私ならできる!)

 

 

 

こうして私の高校生活は、最高の幕開けとなった。

 

 


 

 

 

氏名 白銀琥珀

 

クラス 1年B組

 

部活 無所属 

 

誕生日 8月1日

 

評価

 

・学力A

 

・知性A

 

・判断力B

 

・身体能力A

 

・協調性C

 

 

担当官からのコメント

 

学業・身体能力共に優秀。

 

本来であればA組が妥当な生徒だが、中学生時代に喧嘩した相手を病院送りにしている問題児。その問題行為を踏まえてB組とする。なお、当生徒の父親は国にも学園にも多大な寄付を行っている銀行の頭取である。

 

 

 

 

書き方について(どれが好み?)

  • 三人称
  • 一人称
  • 三人称時々一人称
  • 一人称時々三人称
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