ゲーム大好きな私の沢山の”魔法”でヒーローになりたい   作:もっちもち♪

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あ、亜衣子ちゃんはゲームを愛しすぎて勉強はあまり得意じゃないです。
(ただし雄英比)



雄英高校入試試験

「そんじゃあ__行ってきますよ!」

 

「行ってらっしゃい!」

 

「気をつけるんだぞ!」

 

鏡の前で制服がしっかり整っているかどうかを確認し、靴を履き、玄関のドアを開け、家族に挨拶を告げる。緊張よりも正直なところ、ワクワクが勝ってしまっていた。

 

___そう、今日は高校の試験当日。

私は、数々の同期が並び歩く高校の校門の前へ立っていた。

“雄英高等学校”、そこは、数々の英雄が生まれる最初の地。

特に人気のヒーロー科は、プロに必須のヒーローの資格取得を目的とする学科目。

最も人気で最も倍率が高く、例年300を超えるほど。

 

そして__私が絶対に立つべきステージ。

 

今一歩踏み出すんだ。試験という山場を越える為に……

 

……あっやっべつまずいちゃっt

 

「いっっっっっったぁ!?!!!?」

 

冴えない男子学生「えぇえっ!?!?」

 

茶髪の女子学生「だ、大丈夫〜!?キミ!」

 

『お、おいおい…あいつ派手にすっ転んだぞ』

 

『ドジなヤツだなーwwwまさかヒーロー志望か?あのナリでwww』

 

「いってぇ〜〜〜もう…いっつもこうなるんだよなぁ〜もう………

っつぅ〜〜……」

 

やってしまった。周りの人達が私を見て反応を見せている。

普段から碌に運動してないのが祟ったのか思いっきり躓いてすっ転んでしまった。

周りの視線が痛すぎるので正直に言わせていただくと帰りたいです。

いやいやいや、落ち着け私!そうやってすぐ落ち込むの悪癖だから!

 

暫く痛みに呻いていると、先程まで一緒に話していて近くにいた同年齢であろう二人の人間が私に声をかけ、手を伸ばしてきた。私はその手を遠慮せずに取った。

 

茶髪の女子学生「だ、大丈夫ですか!?」

 

慌てて転んでしまった私の手を取り、心配そうな表情を見せる。

 

「あぁ、えっと、ぜ、ぜ全然大丈夫です!!ありがとうございます!あとご迷惑おかけしてすみません!!」

 

『人の親切は素直に受け取ること!あと、必ず”ありがとう”を忘れないでね』

 

母の教訓である。

人見知りで内気な私は意思表示があまり出来ないので、せめてこれだけは覚えていてほしいと言われていたんだったと思い出す。でも、どうしてもまず私はお礼の前か後に謝罪が入ってしまう。これも悪い癖だ。

 

冴えない男子学生「いえいえ!えっと…どこも怪我してないですか?」

 

「アザは出来るでしょうけど日常茶飯事なんで大丈夫かと!」

 

少し営業用の笑顔を貼り付け演技を加えながら「平気です」と語った。

ちなみにほぼ毎日どこかしらにアザがあるのは本当の話だ。

受け身の体制が即座に取れれば一番良いんだろうが、私はそこまで器用な身体ではないので難しいところだ。ちゃんと練習すれば勿論何とかなるだろうが人間なので面倒くさいが勝ってしまう。そんなところに時間を費やしていたら限定イベ走れないでしょうが。

 

冴えない男子学生「(え…よく転んでるの…!?ほんとに大丈夫なのかな…)」

 

このことを言うと男子の顔は明らかに心配している様子だったが、女子はあまり気にしていない様子だった。

 

茶髪の女子学生「とりあえず大事に至らなくてよかった!試験、頑張ろうねっ!」

 

「あっ、はい!が、頑張りましょう!」

 

拙い返事を返した後、二人は試験会場へ歩いて行った。

なんだかちょっと気持ちよかった。

同年代の子と会話するなんていつぶりだろうか。

少し勇気を分けてもらった気がして嬉しかった。

まだわからないけど、同じクラスメイトだったら嬉しいな。

 

ーーーーーーーーーー

 

筆記試験だがこれは全く自信がない。でも面接がないのはありがたい!

最低でも得意科目を95点以上に伸ばしておいてあとはトントンでやってしまえば大丈夫だろうという私の甘い見込みが引き起こしたのが理由である。

そりゃ勉強しないといけないのは分かってるけどさ!!!

余った時間で1年間出来ないであろうゲームの実況とか見たいじゃん!!!

で、気付いたら1時間無駄にしてるってオチだ。なんてことだ。

 

他にもちゃんと理由はあるのだが、まあそこの部分は実技試験で嫌でも発揮することになるだろうから後にしておこう。

 

さて、苦痛の筆記試験を無事に終えると試験の人が紙を回収していき、気付けば照明が消えていることに気付いた。暫くすると、ステージの上にスポットライトが当たった。

 

『受験生のリスナー!今日は俺のrrrライブにようこそ!!

Everybody Say HEY!!!』

 

シーン…

 

HEYって言いたい気持ちを必死に抑えながら耐えていたけどすんごいでっかい声だこと!!!!

大きい声でびっくりしちゃったけど、確か彼は『プレゼント・マイク』というヒーロー名だった筈。声に関する”個性”を持っているという情報だ。恐らく試験監督…なのかな?

よくわからないのだけれど、まあそういう感じなのだろう。

 

『コイツぁひでぇw

なら受験生のリスナーに、試験説明をサクッとするぜ!ARE YOU READY!?

YEAH!!!』

 

シーーン!!

 

受験の気分を和らげようとしてくれるのは非常に有難い、有難いんだけど…!!!

雰囲気のせいで余計に緊張が勝ってしまう…!!!!

陽キャっぽい感じだから苦手意識芽生えたりするかなとか思ってしまったけれど、今の所は大丈夫そうだ。担任になると多分ダメかもしれないが。

 

『入試要項通り、リスナーはこの後、10分間の模擬市街市演習を行ってもらうぜ!持ち込みは自由。プレゼン後は、各自指定の演習会場へ向かってくれよな。』

 

シーーン!!

 

『OK!?』

 

なるほど、基本入試要項と変わらない……と。

“個性”の特性による持ち込みも自由。

 

今回の入試試験の内容だが、模擬市街の会場には3種の仮想(ヴィラン)が多数配置されている。

それぞれの強さによってポイントが振り分けられており、その仮想(ヴィラン)を行動不能にすることでポイントを稼ぐことが私達受験生の目的である、とのこと。

ちなみにポイントは1・2・3の三つが存在している。

そしてその仮想(ヴィラン)を各々で破壊。もしくは”行動不能”にし、ポイントを沢山獲得する。とってもシンプルで分かりやすいミッションだ。んで、会場は各自指定ということはチーミングを防ぐってことね。

 

『もちろん、他人への攻撃などアンチヒーローな行為はご法度だぜ!』

 

なんて至極当たり前な説明を聞き、私は少し考え込んだ。

プリントに書かれてあるのは4種類だが、説明では3種類であることに違和感を覚えたからだ。

 

『……(まさか隠しボス(シークレット)か?)』

 

そう思考を巡らせている瞬間、プレゼント・マイクに負けないほどの声量の声が響く。

 

「質問よろしいでしょうか!」

 

どうやらその違和感を感じ取った人が居たのは私だけではなかったようで、OKを貰うと同時にその声の人物へとスポットライトが当たった。どうやらメガネをかけた男子学生のようだった。

 

「プリントには4種の敵と記載されています!誤載であれば日本最高峰とは言っても恥ずべき事態!我々受験者は規範となるヒーローのご指導を求めてこの場に座しているのです!」

 

ハキハキとした声でプリントを指差しながら誤載がどうかを試験監督であるプレゼントマイクへ投げかける。よかった〜〜おかしいと思ってたのは私だけじゃなかった!!!

……なんて安堵していた刹那。

 

「———ついでにそこの縮毛の君!」

 

後方に指を指していた先はよく見えないが、縮毛と聞いて一番に思いつくのは、さっき転んだところを助けてくれた女の子と一緒にいた、あの男の子__

 

「さっきからボソボソと、気が散る。『物見遊山』のつもりなら、即刻ここから去りたまえ!」

 

『『クスクス…』』

 

近くにいる受験生徒達が思わず笑ってしまっているのを見て冷や汗を流す。

いやそこまで言わなくたっていいじゃん!!多分そんなつもりじゃなかったよあの子!!

っていうか物見遊山って単語よく出てきたね!?絶対筆記試験余裕なタイプだ!!!

 

「(うわ〜〜〜っダメだ苦手なタイプかもしれない!!!)」

 

正直タダでさえ人見知りなのにあんな大勢のいる中で指摘されて笑われるなんてこと、私だったら普通に耐えられない。心の中で頭を抱える自身の姿を映しながら嘆いていると、プレゼントマイクの声が聞こえてきた。

 

『OKOK。受験番号7111君、ナイスお便りサンキューな。』

 

そうしてまたプレゼントマイクの説明が始まった。

彼曰く、4種類目の仮想敵は0P。そいつは言わば「お邪魔虫」で、各会場に一体大暴れしているギミック扱いらしく、私達は上手く避けた方がオススメとのこと。

 

「ありがとうございます!失礼致しました!」

 

説明が終わると、そう御礼を言って丁寧にお辞儀をし、彼は再び自分の席に着いた。

 

私は実技試験の内容を聞いて非常に……

非常に…………

 

 

 

 

 

 

「(くぅ〜〜〜っ………)」

 

 

 

 

 

 

喜びを噛み締めていた!!

ゲームみたいで面白いじゃないの!!!!

ステージギミックまで用意してくれるとは雄英高校は抜かりがない。

……落ち着け〜〜……これは試験だ。ゲームじゃないんだ。

調子に乗ってしまっていた自分の心を静かに律しながら、私はプレゼントマイクの最後の言葉、この学校の校訓を聞く。

 

『かの英雄、ナポレオン・ボナパルトは言った。”真の英雄とは、人生の不幸を乗り越えてゆくもの”と!

 

さらに、向こうへ___』

 

『Plus Ultra!!』

 

『それでは皆、良い受難を。』

 

一通りの説明が終わり、プレゼントマイクのライトアップが消えると同時に照明が戻り、それぞれ演習会場へ向かう為、そして動きやすい格好に着替えるべく更衣室へと沢山の人々が歩き出した。

私も動きやすい服装__半袖短パンへ着替える為に更衣室で着替えた後、そのままバスへと乗った。

何故こんなにラフな格好なのかというと、単純に個性に巻き込まれて事故る可能性を薄くしたいからである。中途半端に破けて機動力が落ちたら大変だ。

 

-雄英高等学校ヒーロー科-

   -演習会場B-

 

「…………いよいよかぁ……緊張するなぁ……」

 

すると、遠くで試験説明と同じ声がした気がして後ろを振り返る。

 

『あいつ、校門で転けそうになってた奴だよなぁ?』

 

『注意されて萎縮しちゃったヤツ。』

 

『少なくとも、一人はライバル減ったんじゃね?』

 

『『(ラッキー……)』』

 

「(うわ〜〜、なんかラッキーだって思ってそう〜〜……)」

 

そうして、なんだかんだ待っていると試験開始の合図が__ 『ハイスタートオオッ!』

 

……あら?

  

ん???

 

え!?!?

 

何!?

 

始まったってこと!?

 

声のほうを急いでみると、プレゼント・マイクが腕を振り回している。

 

『どうしたあ!実戦にカウントなんかねえんだよっ!走れ走れぇ!賽は投げられてんぞお!』

 

嫌な予感がして振り返ると__

 

「あっ!?」

 

気が付いたら皆走ってるじゃん!!!!もう!!!!

仕方がないのでさっさと皆に追いつくことにする。

さっき注意されてた男の子の方も一瞬私の方を見たけどもう走って行っちゃったし…………

 

とりあえずまずは()()を使おう!

 

私は【速度上昇】(スピードアップ)の魔法を足に掛けて走り出す。

出来れば浮遊を使いたい所だが、単純にMP消費が激しくなるのであまり使いたくないのが現状だ。そのまま走っていくと、目の前から仮想(ヴィラン)が迫ってくる。

 

「【火炎魔法】”煉獄爆破(パガトリーブラスト)”!」

 

3ポイントの仮想(ヴィラン)をそのまま強力な爆破で破壊!!

仮想敵は煙を吹き出して行動不能になっているうちにさっさと次の敵を探す。

 

仮想(ヴィラン)は見かけ次第に魔法で爆破したり凍らせたり、とりあえず出来ることはなんでもやった。

 

こういう個数が決められているであろう範囲限定ステージは兎に角相手にポイントを獲られないようにスピードが命であると考えているので、どんどん進んでいくべきだろうと判断した。

 

私の個性は『魔法』。

魔法の杖を使わず自らの両手で繰り出し、ファンタジーによく出てくる魔法陣を生み出しては魔法を出して攻撃する。なので、技名はお恥ずかしいことに私考案である。

 

厨二病?いいえ違います。

 

()()”です。

 

ちなみにゲームに出てくる一般的な武器__大剣とかチャクラムとか、槍とか。

そういったものも出せる。キャラ専用の武器は無理だが。

 

でも、ファンタジーに出てくる()()が私だけの持ち味じゃない。

 

カギを握るのは想像力。なので特に大事なのは「イメージ」である。

 

そして、私はそこそこいろんなジャンルに手を出しているゲーマーである。

つまりこんなこともできてしまう。

 

目の前に迫ってくる大量の仮想(ヴィラン)__大体4、5体ほどを目視した後、そのまま魔法陣を展開して技を発動する。

 

さあ、私の”とっておき”を喰らいやがれ!!

 

「【恋符】”マスタースパーク”!!!!」

 

そう、それは”()()()()()()()”である。

今のは「東方project」のキャラクターの一人。

「東方妖々夢」から登場した『普通の魔法使い』、”霧雨魔理沙”のスペルカードの一つだ。

かなり有名な技なので、聞いたことある人も多いだろう。

パクリと言われれば勿論そこまでではあるが、「ああなりたい」「これを使いたい」という憧れや強力なイメージが形を変えてくれるのだ。

 

勿論使用するにあたって魔理沙の魔具、”ミニ八卦炉”を使用して技を使うことになる。

のだが、「技」を使った後にすぐ消滅してしまうところを見るに、常時使用はできないようだ。

そもそも召喚できる道具、できない道具にかなり制限があるようで、自分でも検証しきれておらず不明な部分が結構あるのだ。

 

それにただイメージしとけば良いってもんじゃない。

技の解像度が高くないと精密に再現出来ないのでかなりやりこんで脳内に叩き込む必要がある。

 

その為か東方のスペカ習得はかなり鬼門だった。

理由は勿論東方の作品は一律高難易度だからである。

 

難易度が基本高いので何周もしたくない!!!!無理!!!イージーでも避けるの大変なのに!!!!

 

「いよぉ〜〜し!!数えてないけど40以上は行ったろこれで!!」

 

【脚力上昇】(ビルドアップ・フット)で脚力を上げてジャンプしまくってスピードアップで速さを上げる。私は基本バフ効果を重ねがけして戦うので、その気になればマッハの威力も出せるけどコントロールが難しくなるのであんまり強化できないのが難点。

 

「【暖符】”スターリーゲイジーパイ”!!」

 

茶色い星の塊を集まっているロボットの上に一気に沢山落とした後、下から弾幕や鋭い光線のようなものが貫いていく。仮想(ヴィラン)は軒並み破壊されたようだ。

 

今のは『春を運ぶ妖精』、”リリーホワイト”のスペルカード……

といってもこれは原作4面ボスの東方妖々夢のリリーホワイトではなく、公認二次創作スマホアプリ「東方ロストワード」の”リリーホワイト”のスペルカードだ。

東方は二次創作作品がゲームや映像作品も含めかなり多いのでやり込んでて飽きない。

 

こんな感じで浮遊して空を飛びながら行動するのは幼少期からやっていたのでそこを利用すればあまり苦にはならない。お陰で他の人に取られる前に迅速に攻撃を仕掛けることができたし、範囲攻撃も成功したお陰で私は大幅に点数を稼ぐことができた。

 

正直凄く調子が良い!

テストではなくステージ攻略をしてると暗示してるからか!?

やっぱ空を飛ぶって便利だな〜〜!!!

 

『あ、あいつすげえ…俺たちが取ろうと思ったらもう攻撃してポイント取ってやがる…!』

 

『…っ…なんて早い…!』

 

『くっ…また取られてしまった!』

 

なんかすごいキャーキャーされてる!!!嬉しいけど試験なので集中しないと……

 

「ん…?」

 

そうして点数を稼ごうと走っていると、巨大なロボットが現れる。

 

「えーーーーーーー!?!?でっかーー!??!?」

 

しかも試験の説明の0ポイントじゃん!!デカ過ぎ!!!超怖い!!!!

 

「ぁ………」

 

私は、本能的に悟った。

あんなの相手にできないって。

とにかく他のロボットを相手する必要がある…そっちの方が効率的だ。

他の人達もそう思ったのか急いで避難していく。

 

「デカすぎだろ!!」

 

「アイツを避けつつ他のポイントを……!!」

 

『残り2分を切ったぜ〜〜!』

 

「私も一度撤退して…あ!」

 

仮想敵の足の方にある瓦礫をよく見ると、あの時私に手を差し伸べてくれた女の子がいた。

コスチュームで一瞬わからなかったが、あの子だって直感が言ってるので間違いない。

身体がずっと震えている。怖くて怖くて、嫌だって恐怖と嫌悪が押し出してくる。

 

『試験、頑張ろうねっ!』

 

あの子の声が脳内で反芻する。

目の前で死にかけている子を見捨てるなんて、私には__私には出来ない!!!

……しっかりしろ、亜衣子!

自分で自分の顔をビンタして、即バフを重ねがけする。

 

「____っ!!!【速度上昇】(スピードアップ)!!」

 

そして私は即浮遊して女の子の方へ一直線に向かうと同時に、あの男の子はとんでもない勢いで高く大空へ飛び上がって行った。

 

私は両腕を【腕力上昇】(パワーアップ・アームズ)で強化して瓦礫を慎重にどかし、そのまま女の子を抱えて空を飛んでその場から避難した。

 

それとほぼ同時だった。

 

一生忘れられないくらい、あの光景が私を焼き付けた。

 

あの少年が、恐れずに立ち向かう姿は

 

ヒーローそのものにみえた

 

「SMAAAAAAAAAAAAASH!!!!!」

 

掛け声のような声と同時に爆発音が耳に入った。

離れたところで女の子を降ろして確認すると、あの仮想(ヴィラン)はあの男の子によって粉々になった。

その光景に、他の受験生も目を大きく見開いて驚愕している様子だった。

 

『__後1分だ!』

 

アナウンス直後、そのまま落下していく男子学生の姿が見えた。

 

__まずい!!あれは本気で助からないぞ!?最悪死んでしまう!!!

そんなの絶対ダメだ!!そう思った瞬間、私は気付いたら身体が動いていた。

そしてそのまま、豪速球で彼の方へ向かった。

 

「死ぬなぁあああああああああああああああああ!!!!!!!」

 

「……!!!」

 

飛べッッ!!浮遊速度をもっと上げろ!!

怖いとか失敗したらとかそんな余計なものはいらない!!!

感情を全部捨てるんだッッ!!

 

【速度上昇・増】(スピードアップ・プラス)!!」

 

私はさらにバフを強化し、両手を伸ばして彼をキャッチした。

 

「…!?」

 

彼はとりあえず助かった、けど__

 

「とっっ、とと、とまらないいいいいいっっっっ!!!???」

 

「ええええええええええ!?!?」

 

まずい!!上昇効果(バフ)を付与しすぎた!!

このまま目の前の建物にぶつかってバッドエンドなんか洒落になんねえよ!!

絶対生き残ってやる!!!

 

【速度低下・増】(スピードダウン・プラス)!!」

 

 

 

止まれ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

止まれ!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

止まれぇええええぇぇええええぇぇえええええええええええ!!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

__私の身体は、ビルにぶつかるギリギリで停止した。

それでも目と鼻の先がビルだ。

後もう1秒遅かったら私も彼も助からなかった。

 

「〜〜っ……君、大丈——!!!」

 

「っぅ……!」

 

安否確認を取る為に彼の身体を見たが、その状態は悲惨そのものだった。

右腕と右足が真っ赤に腫れ、あらぬ方向に曲がっている。

思わず私は声が出なくなってしまった。

 

そして、そのまま浮遊した状態のままと同時に__

 

『試験、終了〜〜!!!』

 

試験終了の合図が鳴る。

 

「お、終わった……」

 

どうやら試験が終わったようだ。

ドッと疲れが湧いてくる。

 

「——!!!……っ、クァ………」

 

「えっ!?ちょ、ちょっと!?ねえ!しっかりして!?」

 

助けた男子だが、終了の合図を聞いて絶望した表情と掠れ声を上げて気絶してしまった。

身体を軽く揺するが、一向に起きる気配がない……

本当にどうしよう。脳内がパニックになりかけるが一度深く深呼吸をする。

 

「と、とりあえず……あれだ……えっと、地面に下ろさないと」

 

私は浮遊した状態のまま、怪我に影響しないようにお姫様抱っこの状態にして、ゆっくりと下の受験生らがいる方の地面へ降りていった。

私の決死の大一番(?)までちゃんと見られてたのか、周りの視線が痛い……

でもとにかく、まずは彼を救急隊まで運ばないと、そう思った瞬間__

 

「はぁいお疲れ様〜〜!」

 

え……おばあちゃんの声……?

 

「お疲れ様お疲れ様。ハイハイグミだよ、グミお食べ。」

 

「あ、あざっす。」

 

「はいはいそっちもねぇ〜!」

 

注射器…?の、杖?をつきながら、子供と同じくらいの身長のおばあさんがこちらへ歩いてきている。しかもグミを近くの受験生にあげてるし。

 

「……あのマドモアゼル、雄英の屋台骨だ!」

 

やたい……ぼね……?

 

何が何だかわからない状況に困惑していると、「おやまぁ」と声を上げ、あのおばあさんが私と、私が抱えている男子に気付いたのか、近付いてきて心配そうな表情で聞いてきた。

 

「その子、怪我をしているのかい?」

 

「あ…っ、はい!えっと、多分……”個性”の……影響、かと……少なくとも右の腕と足は完全に折れてる、と、思います…」

 

「自身の個性でこうも傷つくかい……まるで体と”個性”が馴染んでないみたいじゃないか……

ほれ、ちょっとしゃがみなさい。今治すからね」

 

私はおばあさんの言われた通りに足を曲げて慎重にしゃがんだ。

正直結構キツイ……!主に体勢が……っ!!!

 

そうしてすぐ、衝撃的なものを私は見てしまったのだ。

 

「チューー!!」

 

「(えーーーーーーーーー!?!?!?!?)」

 

あろうことかおばあちゃんは男子学生に対して……き、きっkkkkkkkききききキス!?!?!?……口ではない、けど。

ほっぺでも動揺するけど!?!?なんで!?どういうこと!?

 

「雄英校の看護教諭。”妙齢ヒロイン”『リカバリーガール』。

あの人の個性は治癒力の超活性化。雄英がこんな無茶な入試を敢行出来るのも、彼女による所が大きいみたいだね。」

 

金髪のベルトをつけた男子学生がご丁寧に解説してくれた。

ありがとうございます!!と心の中で御礼を言っていると、先程のリカバリーガールさんが私に怪我の有無の確認を取ってきた。

 

「アンタも怪我とかしてないかい?おやまあ、半袖半ズボンでよく無事だねぇ!」

 

「ああ、えっと…私はちょっと足が筋肉痛でズキズキするだけでそれ以外は大丈夫、です!」

 

「そうかい!それなら良かった。折角だから、その子を運んでやってくれないかね。お礼にお菓子をあげるのと、アンタの身体も軽く見てあげるからさ」

 

「あ、はい!わかりましたっ!」

 

元気よく返事をして話を終えると、リカバリーガールさんは他の受験生の容態を確認しにいった。

……グミを渡しながら。

 

「……あれ、場所がわからないじゃん!!どうしよう……」

 

暫く困っていると、一機のロボットがやってきた。

乱雑な口調で付いてくるように指示をされ、そのまま付いていくことになった。

出せる全力は出し切ったので魔力はもうそんなに残ってないかも……?

それにしても雄英高校のロボットってどうしてこうも口が悪い上に人間に対して反抗的なんだ……?

 

仮想(ヴィラン)も「ブッ殺ス」みたいなこと言ってたし……

おっかないなぁ〜〜……SFのAI叛逆映画に出てくるタイプのヤツだ、絶対。

 

雄英高校の内装がわからないので右往左往しながらも、私は気絶している男子学生を保健室へと運んでいくことになった。

 

色々あったが、こうして私の入試試験は終わったのである。




-小話-

~個性について~
その1

ちなみに、亜衣子にはMP制度があり、ついでにバフデバフは魔力消費量が普通の魔法より若干多かったりします。上限は本人もよくわかっていないので感覚頼りな上、日時が変わる(深夜0時きっかり)と同時にMPが回復します。
貯金や持ち越しは不可能です。
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