使うモノ語り   作:イヤマナ ロク

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第19話 最高のジャスティス

チェンジャーとバカ医者のユーザ探索は難航していた。

「うーん………」

「むむむむむむ………」

2人は浜辺で立ち往生していた。

 

「………バブルって、どうやって行くのー?」

完全に無計画に飛び出してしまった彼らにバブルにどう行くかの計画もあるはずなかった。

 

「海底にあるんだろ?泳げばいいんだ!」

バカ医者はそう言って海に飛び込むが、

「ったぁー!打った、体うったぁ!ああっ!!」

浅瀬だったので体を打ってしまった。

「ってここで体打ってもう無理だって言って終わると思うだろ?そーーは行かないんだなぁ私という人間はなぁ!タコくん。」

バカ医者は顔に張り付いたイカに問いかけて手足をただジタバタさせる独特の泳ぎ方で潜っていく。

「がんばれー。」

チェンジャーはいつも通りの気の抜けた声で応援する。

 

付喪神達はそれを見て完全に呆れ果てていた。

「ゴホンッ!彼はいつもあのような調子なのでしょうか?」

クランボは取り乱しそうな気持ちを何とか抑えてラブクープに尋ねる。

「ええ。平常運転そのものですわ。」

そう語るラブクープの声に感情は乗っていなかった。

「ひゃーマジか!……ここだけの話チェンジャーよりおかしい人間がいるとは思わなかったよ。」

ナギはとても呆れ半分驚き半分で海上をもがくバカ医者を眺めていた。

 

「ここは一旦撤退して行き方を調べる必要がありそうですね。チェンジャー様、街に戻りバブルへの生き方を下がった方がよろしいかと。」

クランボはチェンジャーに促す。

「でも医者上がってこないよー?」

「お腹が空けば勝手に出てきますわ。」

ラブクープが吐き捨てるように言うので、

「じゃあ戻ろうか。」

 

チェンジャー達はバカを置いてバブルへの行き方を聞いてみることにする事にした。

 

バブル──

「突然どうした?重要な話があるなんて改まって。」

ユーザは突然キンノミヤに呼び止められ人気のない路地裏に連れ込まれる。

「これは市長から聞いた本当の話だ。耳の穴かっぽじってよーく聞けよ。……よーく聞けよ!!」

彼は念を入れてユーザに問いかける。

「はいはい分かったから!聞くから!近いって!大きい声出すな。」

ユーザは異常に近くで呼びかけるキンノミヤを押す。

だが彼の表情に今までに無い程に真剣味を感じたのでユーザは一応ちゃんと聞いておく事にした。

 

「まずあの事件を仕組んだ組織についてだがあの集団……ジャスティスに繋がってた。」

 

「何!?」

「え?」

「嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ」

「は?」

「いや知らんの!?」

ジャスティスという言葉を出した瞬間、リンとザッドは信じられないという声で驚いたがユーザとハーズは全くピンとこなかった

「ジャスティス?正義って事?」

「うん。ボクもそれしか思い浮かばなかったけど。」

「だよな。」

キョトンした表情で言い合う2人を見て3人はまるで信じられない物を見るような顔をし始める。

 

「ジャスティスが正義?……お前さぁ時代遅れのジジババみたいな事言うなよ!」

キンノミヤの言葉に

「いやいやでもボクら記憶喪失だし。ねぇ?」

「そうそう記憶喪失だし。」

すかさず冗談混じりに反論するが

 

「いや、とはいえだな流石にジャスティス知らないは恥ずかしいなんてレベルじゃないぞ。」

「お主らがそこまで非常識とは思わなかったぞ。」

「何して生きてたらこんなんなるの?」

キンノミヤ達はそう言いながらジャスティスの事を知らない彼らを見て、やや引いていた。

 

「はっ恥ずかしい!?」

「ひっ非常識ぃ!?」

「「何して生きてたぁ!?!?」」

「めっちゃ言うじゃねぇかよぉ………」

記憶喪失コンビはキレキレの返しで大ダメージをくらい悶え始める。

 

「そっそれも含めて説明するから話を戻すぞ。」

キンノミヤは一つ咳払いをして語り始める。

 

「ジャスティスっていうのは世界最大の反社会組織。裏社会じゃ右に出る物はいない程の大きな力を持っている。存在自体は20年近く前からあったらしいが奴らの名が世間によく知られるようになったのは約18年前の“蠱毒事件”と”5年前に起きたジャスティス事件”だ。」

 

「割と最近だな。」

 

「蠱毒事件はジャスティスがラジョーア公国…今の旧ラジョーア国の一部の莫大な土地を買い上げそこに超常大陸の土壌や植物を持ち込み密かに怪人の養殖場を作り研究を行っていた。そこで育てた怪人達を使って無差別テロを起こした事件だ。その当時のラジョーア政府により事件は収束したかに見えたんだが…」

 

「だが?」

 

「それから何年間に渡りジャスティスは裏社会で勢力を拡大していた。そのネットワークは広く深く膨大に広がっていて表社会も蝕んでたんだ。一番ひどい時じゃ世界の4割の人間がジャスティスに間接的に関わってたレベルらしい。」

あまりにも荒唐無稽な話が飛び出すものだから2人は呆然とするしか無かった。

 

「そしてジャスティスは怪人の研究にも力を入れておりある細胞の培養に成功した。」

 

「どういうの?」

ユーザは目を細めながら続きを促す。

「人間のタンパク質に寄生し怪人の因子を植え付ける。ある一定の期間が経つと因子が反応を起こし全身の細胞を乗っ取り怪人化させる。その細胞はジャスティス本部500万人の構成員全員に寄生されていた。」

「なんじゃそりゃ…」

驚愕の事実の連続にユーザもハーズは相槌も打てなくなる。

 

「そして5年前その500万人の構成員が全て怪人になり世界中に散らばった。」

「そっそんな事になったら」

「世界が……ヤバい。」

ユーザとハーズはゾッとした。一般人なら余裕で殺せてしまう危険な存在が世界中に散らばる。

それだけでもう震えが止まらなくなり、話だけでも背中が冷えてくる。

 

「でもふしぎな事が起こった。無差別テロから1週間が経ったある日。怪人達は忽然と姿を消した。少なくとも超常大陸以外には完全に怪人が消えたんだよ。」

 

「へ?」

突然の急展開に頭が真っ白になる。

 

「そして超常大陸を調査したら、怪人の数がありえない位増えてたんだ。」

ユーザは話の中で一つの結論に辿り着く。

「つっつまり、500万体の怪人は一瞬で超常大陸に移動したって事?」

キンノミヤも彼がそう言うと察していたらしい。

腕を組み答える。

「どう考えたってありえないから、そうとしか言えないよな。この件の真相に関してはいまだに判明してない。」

何処までも不気味でかつ壮大な展開にユーザ達はまるで絵空事を聞いているかのような不思議な感覚に陥った

 

「でもこれを機に状況は一気に好転した。ジャスティスの幹部は全員処罰され傘下にいた組織も一斉に摘発された。裏社会はジャスティスの衰退によって一気に浄化されていったんだ。そしてこの事件を機にジャスティスから正義という意味は失われた……とここまでがジャスティスの概要だ。っておい?何疲れた顔してやがる?本題はこれからだぞ!」

 

「いやあまりにも情報量が濃すぎてお腹いっぱいだ!ひとまず休憩させてくれ。」

 

話を聞いただけで座りこむ程の情報をユーザは初めて目の当たりにしたのだった。

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