使うモノ語り   作:イヤマナ ロク

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第31話 鈴しげな能力

(これだ!)

「チェンジャー様、クリゴ様。ここはひとまずじゃんけんで勝敗を決めるのはいかがでしょうか?」

 

「「じゃんけん?」」

 

「えぇ。チェンジャー様にはこれからの為に余り人を殺してもらっては困ります。クリゴ様もナギが自らの手に戻れば納得するのでしょう。」

「まっまぁそうだが……」

クリゴは一応頷く。

 

「ですが2人は既に武器を交わして一触即発の状態。勝負は避けられません。でも勝負の条件については何双方何も仰っていません。ですよねチェンジャー様?」

「確かにそうだねー。」

「そうですね。これでお二人からの言質はとりました。一回きりのじゃんけんで決着を付けてください。」

 

「えっ、そんなのアリィ!イヤオイラ別にいいけど2人が許す訳」

ナギが2人の様子を伺うと

 

「いいじゃん。決着をじゃんけんなんて新鮮で面白そうだしー。」

「あぁ。ここまで言われちゃ飲み込むしかないな。」

「えっ意外と好感触?」

 

「では準備は出来ましたね?」

「「あぁ!」」

2人は歩み寄り向かい合う。

「それでは右手を出してください。不正は現金です。片方が出すタイミングがズレた場合は場合はやり直し。あいこは何回まででもOKです。」

「「あぁ!」」

 

「………………はじめ!」

「最初はグー!ジャンケンポン!」

2人は同時にグーを出した。

「ほう…」

「……なるほどね。」

 

「あいこでしょ!」

次は両方パーだった。

 

「あいこでしょ!」

「またパーか!」

「次で決める。」

 

「あいこでしょ!」

「なっ、」

「一緒の事を……」

次はグーだった。

 

「あいこでしょ!」

「やったー!」

「そんな……パーでハメるはずが…!」

クリゴがチョキで勝った。

 

「では返して貰おうか。」

「…………」

無言で膨れっ面をしながらナギを手渡した。

 

「何故だ。」

ボソリとチェンジャーが呟いた。

「……どうしましたか?チェンジャー様。」

「…………」

無言でバカ医者に近づき右手を突き出す。

 

「八つ当たりはいけません!」

「ジャンケンポン!………負けた。」

「?」

バカ医者に不意打ちでじゃんけんを仕掛けたがバカ医者のパーに敗れた。

 

「ぐっ……ジャンケンポン!!」

「フッ………弱いな。」

 

「があああああ!!ジャァンゲェンボォゥン!!!」

「シュウラ?」

「またパーで!パーで!チクショウ!」

 

「ってシュリプレットじゃないか!?」

「怪人かよー!」

チェンジャーは怪人にもじゃんけん勝負を挑んでいた。

 

「その怪人達から離れろ!」

隊員達も怪人を追ってやってきた。

 

「マズい!そこの医者とにかく走れ!」

「おっおう!」

クリゴはバカ医者に支持する。バカ医者は馬鹿力で怪人も追いつかないほどの全力疾走をする。

 

「おっ!こんなに離れてる。やーいざぁこざぁこ!人間に追いつけないなんて怪人さんなさけなぁい!」

調子に乗って立ち止まって怪人を煽り出す。

「メスガキみたいになってんぞ!てかヤバいんじゃないのコレ!」

「メスガキって何だ?」

雅之が必死にツッコむ。

「グウゥフウゥ!」

「アレレ?なんでこんな近くに?」

煽っている間に追いつかれてしまった。

「ちょっと!何で立ち止まって煽ったんだよ!?バカなのかよ!」

グフゴはどんどん近づいてくる。

 

「ちょいちょいファーストキッスは怪人何かにゃにはやらんぞ!」

「私は鏡の中だからノーダメだぞ。」

「んな事言っとる場合かー!」

 

「グウウゥゥ……」

(ヤバいヤバい!どうすんのよコレェ!マジでオレ能力ないの!土壇場でスキル覚醒とかさ、)

 

「フゴォォ!」

「ぎゃあ!」

グフゴがヒレでバカ医者をはたき倒す。

衝撃で付喪神達も地面に散らばっていく。

 

(痛ってぇ!くそぉ何でだよ!現実は異世界でも非情かよ。このまま苦しむしかねぇのかよおぉぉぉ!)

雅之は自らの非力を嘆きもがき始める。その度に鈴音が鳴り響く。

グフゴがその後に気づき近づき始める。

 

(ハァ、次死んだらもっとゆるい世界に転生オナシャス。)

 

グフゴが踏み潰されそうになった瞬間

「グハァ!」

グフゴの背後から何かが飛んでくる。

そして遠くから何か声がする。

 

「ココが平日の空気か。てか夜も初めて見たな。オレいっつも日曜日の祝日のピーカン晴れのサイクリング日和しか現世に来れないからなぁ。」

その声の主は女性だった。

 

クロスバイクのチェーンに車体のフレームを括り付けた武器を持ち自転車ペダル型の下駄を履き、首にはベルを下げ、着ているTシャツと半ズボンに反射板が全身に貼り付けられている女性だった。

 

赤とオレンジのグラデーションがかった髪はポニーテールで止められており、体つきは適度にメリハリがある。

「また変なのが来た……」

 

「来た。」

「はっ何が?てか人載せて急に止まるな!」

水族館の目の前にちょうど着いた頃リンが急ブレーキをかけた。

「車輪の錬金術師が、来た。」

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