使うモノ語り   作:イヤマナ ロク

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第34話 非て似なりの鏡写し

「オイ………何なんだよお前?」

ユーザの問いかけに対し男は

「神。」

と短く答えた。

 

「………なんの神だ。」

「見りゃわかるよな?怪人を統べる神さ。」

それを聞いたユーザは沈黙のまま顔を歪める。

 

「じゃあ、お前が怪人を統べるってのが本当なら今回の件はお前が仕組んだのか?」

睨みを効かせながらユーザは言う。

先程からの動悸も含めて自然に槍を握る手に力が込められる。

男はわざとらしく顎に手を当てて目をそらしながら

「いや………今回の件はコイツらの独断だ。首謀者の3体は……あぁそっか。もう死んでるのかぁ…」

と一言。

「怪人が死んだとか分かるのか?」

「だってオレ怪人の神ぞ?当然でしょうよ。」

 

そこでしびれを切らした表情でクリゴが声を上げる。

「そもそも何でここに怪人がいるんだ!奴らは超常大陸でしかこうやって動けないはずだし、そもそも超常大陸からは一定の範囲からは出れないはずだ。」

クリゴの指摘に隊員達や倒れているチェンジャーまでも顔を動かして同意する。

ただ1人ユーザだけは内心動揺していた。

(え?そうだったっけ?でもオレの記憶ってアテにならないんだったよなぁ…でも皆そう言ってるって事 

はそういう事なんだろうな。)

彼の脳裏には普通に人里に現れた怪人の姿が浮かんでいた。

 

ユーザが渋々ながらも空気を読み相槌を打つ。

神を自称する男は神妙な顔で頷く。

「うん。確かにおかしいなぁ。オレも気になってるよ。なのでここは一旦辞めだ。ひとまずオレ達は超常大陸に戻る。人間達も好きにしていい。お前を除いてな。」

そう言いながら男は立ち上がり槍を振る。

すると槍の先端が多くの金細工と極彩色が施された錫杖になった。

 

(なんだなんだ………)

周りの視線が集中する中、男は目を瞑り呪文を唱え始める。

「カチュバチェリ・エウルブラダァ・ルブルスネド」

 

男は呪文を唱えて錫杖を地面にカンッ音を立て打ちつけるとその瞬間、男と怪人達の姿は一瞬の内に消えてしまっていた。

 

(何だったんだよ一体……)

ユーザは含めその場にいた人達は呆然とするしかなかった。

 

「これ……上にどうやって報告書書きます?」

警備隊はその後事後処理に追われていた。

「ん?えぇいや、それを…考えるのがお前の仕事だろう……」

「最終的な責任をとるのは貴方でしょうが。」

「はぁ〜。これからの事を考えるとある意味怪人より人間の方が恐ろしい。」

今回の作戦の指揮をとっていた隊長と副隊長は苦虫を噛み潰した顔で下に指示を出していた。

 

「いや〜ですから私は国家公認の怪人ハンターなんです。」

その頃クリゴは怪人ハンターとして警備隊員から事情聴取を受けていた。

「ほう、つまり今回の行為は怪人ハンターとしての職務を勤めたまでと。んであの人達は……あっ!いやいいです何でもない。」

(そういやよく見たらあの人達今度バブルからライドエンプに行く人達だったんだ。触れないほうがいいな。)

隊員はユーザの方を見るが何かを思い出したように話題を変える。

「え?あっそうですか。」

事情を知らないクリゴは疑問には思ったがすぐに相手の態度を飲み込んで受け入れた。

 

「これで良しと………本当にほんっとーに朝日が上がる頃には起きるんですよね?」

「アスカ、海の男が嘘を言うと思うか?」

その後ユーザ達は事務所を通り過ぎノンストップでウォータスの診療所に行き治療を受けていた。

 

「幸い大怪我はしていらっしゃらないですのね。」

「まぁな。てかすぐ戻ろう。今真夜中だし、これからの為に準備もしなくちゃならないから。」

ユーザは軽い治療を受けてそのまま帰り支度をする。

 

その頃リンはペキオラとシャーバラン色々聞いていた。

「何でペキオラちゃんここにいるのさ?バブルの爆発で死んだかと思ったわ。」

「いや〜爆発で海に吹っ飛ばされて〜海の藻屑になってたら浅瀬に打ち上げられて〜その後チンピラに拾われて〜それから怪人にチンピラが食べられてかくかくしかじかなのぉ〜。」

 

「ヒャアー大変だったねぇ、そ・し・てアンタだよアンタ!車輪の錬金術師!」

「えっオレの事?」

キョトンしているシャーバランにリンは食ってかかる。

「なんで真夜中にいるんだよ!」

「いやぁ〜呼ばれたからかな?この鈴に。」

そう言いながらシャーバランは雅之を指差す。

 

「え?このベルがか?おいお前ぇ?」

リンは雅之を睨みつける。

「なっなんすか……」

「お前どうしてコイツを呼んだんだ!コイツはなぁ、

全世界の自転車共通の敵なんだよ。コイツによって命を失った自転車が何人いると思ったんだ!」

ものすごい剣幕でリンは雅之に怒鳴りかかる。

「しっ知らねぇよそんな事情!そもそもオレが怪人から命を奪われそうになった時に助けてくれたんだよ!寧ろこの人は命の恩人だ!」

少しに癪に触った雅之は怒鳴り返す。

「へゃ?」

「それに自転車を壊してるのも殺戮衝動が精神を襲うからなんであって普段はなんの害もない!」

「つぉ?」

 

「とにかく命を恩人なんだよ!自転車の敵だのなんだの関係ねぇ!少なくともオレは彼女の味方だ!」

「ほゅ〜〜〜〜!……味方ですとおおおおおう?覚悟持って言葉言ってんのかこの野郎!」

「当然だろうがよ馬鹿野郎!」

雅之とリンは互いに睨み合う。

 

そこにシャーバランが間に割って入り雅之の方を向きこう言う。

「キミ、オレの事味方ってホントに思ってる?」

「え?勿論だ!」

 

「ホントに?ホントのほんとの本当に?嘘ついたら嫌だよ?」

シャーバランは真剣な顔で問い詰める。

「えぇ絶対にそう言えます。この鈴音に誓って」

「チリン。」

室内に大きな鈴音が鳴り響いた瞬間、シャーハランの頬が緩む。

 

「へぇ〜そっか味方か〜。今までさっきみたいに罵られてばかりでそんな事言われたの初めてだなぁ………っよ!」

「うわっ!」

するとシャーバランは突然机上の雅之を掴んで抱きしめる。

「オレ……キミの事……気に入っちゃうかも?」

「うごっはなっ、おぅっごぉ!」

巨乳のシャーバランの胸に抱きしめられた雅之は体がどんどん胸にめり込んで苦しくなっていった。

(この姿でラッキースケベかよ!せめて人間の姿形でこうなりたかった……ってか割と苦しい!ヤバいマジ窒息する!嬉しいけど嬉しくない!)

 

「誰もテメェらの惚気にキョーミねぇーっちゅーのー!」

リンがシャーバランに衝突したおかげでやっと解放された。

「イタタタ………」

シャーバランは腰をさすっていた。

(はぇ?結構なスピードで衝突してたけど……イタタタで済むの?コイツも大概フィジカルお化けかよ……)

床に吹き飛ばされたシャーバランは恐れ慄いていた。

 

「リン何やってんだ行くぞー。」

ユーザがリンを呼び出す。

「それじゃあ世話になりました。ラメルさんが起きたら連絡下さい。よしリン、キンノミヤが待ってる。急いで帰るぞ。」

「あぁー機嫌が悪いからギア50でいかしてもらいやす。」

 

「どういう意味だよ。まぁいいや。出勤しん」

ペダルに足をかけた瞬間、ユーザの両肩に手が置かれる。

 

「ユーザ!載せてってくれ!私が入れば薬使い放題だぞ!」

「ユーザ。ボクと戦ってくれないかなー。もちろん殺しはしないからー。」

手を置いたのはチェンジャーとバカ医者だった。

 

「はっお前何言ってんだよ。離せよ、」

「「いーや離さない!」」

「お前らマジで…」

ユーザは手を払い除けようとするが2人の手はてこでも動かない。

そんな中前からユーザは突然胸ぐらを掴まれた。

 

「えっどちらさまってお前は!」

「ゴメンゴメン。お前忘れてたわ。」

胸ぐらを掴みながら灰色の目がユーザを捉えていた。

「イセバドゥ・コメハヒェイ・ウンタサブヒメル」

 

錫杖を地面につけた瞬間ユーザと付喪神達は共に消えた。

ユーザの肩に手を置いていた2人も消えた。

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