使うモノ語り   作:イヤマナ ロク

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第35話 モノに当たる奴

とある場所に飛ばされたユーザ、チェンジャー、バカ医者は気を失って倒れていた。

「…ん?ここは……」

一番最初に目を覚ましたのはユーザだった。彼は周囲を見渡す。月の光が意味をなさない、平衡感覚が狂いそうな程の暗闇がそこにはあった。

 

「……なぁにコレ?」

「ここは、何処だ?」

次第にハーズやザッド、リンも目を覚ます。

「何か……寒く無い?」

ハーズがポツリと溢す。彼が言う通り暗闇の空間には確かに風が吹きすさんでいた。ザッドが静かに釣り糸を風にさらし空気の流れを読み取っていた。

「うむ……だが、潮風の息吹が感じ取れない。これは、山の風!」

 

「山の風って……海にうるさい割には山の事も分かるのか?」

ユーザが気になって質問する。

「我は元々山にいた山暮らしの付喪神だったからな。」

「へぇ〜………そうだったのか。心なしか息苦しいし、山ってのは合ってるかもな。」

ユーザは頷く。

 

ユーザがザッドを意外な目で見ながら状況を把握しようとしていると背後から声が聞こえてくる。

「ユーザ!お前生きてたのか?」

暗闇で姿は分からなかったがいつでも朗々とした能天気な声色でユーザ達はすぐ分かった。

「バカ医者!?何でここに?」

 

「ユーザ?それ私に聞いちゃうか?」

バカ医者はそう言いながら暗闇でも見えるくらい近くまでやってくる。

「突然の事でびっくりしたぞ〜。でもユーザ大丈夫!もし死んだ時は死んだって言えよ?すぐ助けるから。」

「もう手遅れだよ!どうやって死んだのに声掛けるんだよバカ!」

「あへ?」

いつもの調子の彼にユーザは呆れながらも気持ちがほぐれていった。

 

「そういやこんなものあったぞ?」

バカ医者は手のひらをユーザに向ける。手には白黒模様のトリュフがあった。

 

「トリュフだ!羨ましいだろ。これ私のいた所の周りにたくさん少しだけ生えてたぞ!」

「たくさんなのか少しなのかはっきりしろ。いや待てよ?そのトリュフって確か超常大陸でしか生えてないはず……多分。」

「えっじゃあここって超常大陸の山って事?」

「多分な。」

ユーザは信じがたい様な声色で言葉を出した。

 

「ってゆうかツミとラブクープは?」

「いないな?まあいいだろ。」

いいのかよ

この頃には彼らのの目も暗闇に慣れてきた。バカ医者とユーザは周りを探索をするが、そんな中

 

「やっと起きたか?」

その一言が聞こえた瞬間空に4つの光球が浮かび上がる。それは周囲一帯を照らす。

「何だ!」

「おやおや〜オレは君にだけ用があったんだけどな……まあいいや。」

3色の髪の毛を揺らしながらやってきたのは怪人を従えていた例の男だ。

「お前……!やっぱお前がやったのか。」

「神って呼べ。神って。」

「誰が呼ぶか!本名を名乗れ。」

「…………ネイションだ。これで満足か?」

口を尖らせながら渋々応じた。

 

(素直に名乗るんだな………)

ユーザ達は若干拍子抜けした気分になった。

「それにしても待ったぞ。一時間もな。起きるのが遅くないか?」

ネイションは口を尖らせたまま不満を垂れる。

「なんでお前の都合に付き合わされなくちゃいけないんだ!」

「神が人間の都合を考えると思うか?神々しさには下々の犠牲が伴うのだよぉ〜〜」

めんどくさそうな顔でネイションは言う。

 

「そもそも目的は何だ?」

「お前はオレと同じ顔をしている。いわば神を模した顔という事だ。そりゃ大変気に食わん。だから死んでもらう、それだけだ。」

どこまでも自分勝手なネイションにユーザは怒りを覚える。

 

「ふざけんな!確かにオレもアンタが生理的に受け付けないがこれで分かった。アンタはオレの敵って事で良いんだな。」

「フン……勝手にしろ。」

ユーザの宣言をネイションが鼻で笑っていると

 

語尾を伸ばす独特の喋り声がやってくる。

「へぇユーザ達もいたんだねー?」

「これまでの会話は全て聞かせてもらいましたよ。随分勝手な神様のようで。」

クランボの嫌味にネイションが食いついた。

「ほほぅ。確かにお前達付喪神共はどこまでいっても人間に都合に依存する存在。勝手な真似はできない所詮名前負けの神だ。」

ネイションは皮肉的な笑みを浮かべる。

 

「なっ、……?」

「言わせておけば……」

彼の一言に付喪神達は動揺を隠せないガタガタと物が揺れる音がする。ネイションはさらに畳み掛ける。

「人に大切に使われただの強い思いが形になっただの知らんがぁ、結局無から生み出される事は無い作られた存在ではないくわぁ?だぁかぁらさぁ、名前負けと言っているのだがぁ………?」

わざとらしく惚けてながら手の動きを交えつつネイションは付喪神を煽っていった。

 

物が揺れる音がさらに激しさを増していくのに比例して彼は一瞬無表情になったと思いきや不敵な笑みで語る。

「まぁ御託はここまでだ。オレは人間にも興味は無い。興味があるのは怪人だけ。そんな神がわざわざお前を掬い取ってやったんだ。遺言ぐらいは聞いてやろう。」

そう言いながら視線をユーザに向ける。

 

「今までずっと黙って聞いてたが、お前は何もかも勘違いしてるなぁ?」

「……何?」

しばらく沈黙を貫いていたついにユーザが口を開く。ユーザの表情が徐々にニヤけていってまるで先程のネイションを写しとったかの様になる。

 

「お前、付喪神は人間に依存して勝手が出来ないって言ったよな?」

ここまで行ったところで、ユーザの表情が硬いものになった。深い深呼吸をして一瞬の静寂が流れもた束の間

「ふっざんじゃっねぇーーーーっ!!オレはなぁ!ココ最近はずっとずっとずっーーーと!付喪神の都合と勝手に苦しめられてんだよコノヤロー!!」

とてつもない大声にその場にいた全員が怯む。特にユーザの付喪神三体は今までユーザはその上なくポカンとしていた。

 

「まずハーズ!」

「はっはい!」

突然左腕を指さされ反射的にハーズは返事してしまった。

「お前初めて会った時、オレの許可を得ずに勝手に動いて岩を破壊したよなぁ?あの時死ぬかと思ったんだぞ!そもそもさっきまで気失ってたのにいきなり10メートルも宙に浮かされるこっちの気持ちも考えろよ!アレのせいでオレは怪人倒す事になったしその後の治療であのバカと知り合っちまったんじゃねーか!原因は間違い無くお前だ!!」

「へ……すいません。」

 

「次にザッド!」

「おっおう?」

ユーザはザッドを握り締める。

「なあ教えてくれ?海の男って何なんだ?こちとら訳分かんねー概念押し付けられて混乱してんのにその上でオーディションだぞ!その時のオレの混乱を考えた事はあるか?あるわけねぇよなあったらバブルの件であんな調子のらねぇもんな!次蹴られても文句はいえねぇからな分かったか!」

「すまん……悪かった。」

 

「リン!オメェもだよオメェも!」

「ひぃぃ!!」

リンはハンドルを握られ完全に逃げられなかった。

「お前一々飛ばしすぎなんだよ!アホか?ギア50なんて道走れねぇよ!もっと考えて走れコラ!その上車輪の錬金術師って何だよ?こっちはなぁ、海の男ってので頭パンパンなんだよ余計な事言うんじゃねぇよ!」

「わかったから〜離して〜ホントの本当に痛いの〜。」

 

「その他にも何故か他人の部屋掃除しなくちゃいけなくなったりいきなり強い酒飲まされたり、色々と現在進行形で苦しめられてる人間がココにいるんだよ!十分神だよ?人の手だけじゃこんだけ人間苦しめられればねぇよ!だからネイション!寝言は寝て言えいや、寝ても言うな分かったか!!!」

 

ユーザの剣幕に流石のネイションも怯んでいた。

「……お前大変なんだな。」

ユーザの顔には怒りや呆れ、疲れやその他諸々が色々混ざった顔をしていた。ネイションはそれを見て

 

(自分と同じ顔の人物がここまで苦しんでいたのか…………妙に感情移入してしまうな。殺すの……辞めようかな。)

なんて考えて初めてしまっていた。

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