「取り敢えず店主さんは無事なのか?」
「はい。一応話ができる程度には回復したようでございます。」
ユーザは顎に手を当てて少し考えてから顔を上げる。
「じゃあオレとハーズは診療所行って話聞いてくる。ここからなら歩いて行けるくらい近いし。リンとザッドは事務所に戻ってキンノミヤに一応伝えといてくれ。」
「うむ。」
2人は頷いて事務所へ向かった。事務所へ戻る道中で2人も事件のことについて考えていた。
「ちょっと前に怪人と戦ったばっかで傷害事件の捜査だなんてホント疲れちゃ〜う。」
リンは気だるそうにタイヤを動かす。
「だからと言って見過ごすわけにもいかんだろう………リン?今回の事件の犯人、思い当たるフシは無いか?」
突然質問がきたので少し驚く。
「何かって何さ?てかザッドがオレッちにこんなふうに話すなんて珍っしぃ。」
「お前だからこそ聞いたのだ。本当に分からないか?我々は同じくキョクア出身だ。それに我々がウォータスに来た理由も考えれば少しは分かるはずだ。」
そう言われてリンは少し記憶を遡りながら記憶を辿る。そして
「あっ!」
何かに気づいたリンは声を潜めて言う。
「もしかして……チェインの事ですねザッドの旦那!」
「そういう事だ。」
リンは思い出した。
チェインはキョクアで名の知られた犯罪組織だ。リンやザッド、ラブカープ等中古屋の付喪神はチェインのマークの入った箱に入って送られた。
「そういやユーザ、チェインのマークのヤツに殴られたとか言ってなかったか?」
「あぁ、元はと言えば我々がユーザの所にいるのもそこらだったな。」
ユーザはチェインのフードを被った人間に殴られた記憶を基にキョクアに自身の秘密を握る鍵があると睨んでキョクアヘ向かい始めた。ザッド達はそれについていってここにいる形だ。
「いやぁ……何か色々思い出しちゃったな〜。もはや大昔の出来事だワ。」
「思い出に浸っている場合ではないぞ。だが仮にチェインがこの事件に関わっていたら、ユーザにも何か足しになるかも知れん。………あくまで可能性だがな。」
そんな会話をしている内に事務所にたどり着く。2人はキンノミヤに早速事件の事、チェインの事を伝えた。
話を聞いたキンノミヤは何故か笑みを浮かべ始めた。
「何がおかしい?」
「いや、この事件でその中古屋からどれだけ搾り取れるか考えてたトコだ。本来なら警備隊が請け負う事件だからな。色々とオプションで稼がないと……ただでさえ依頼料半額何だから……」
そう言ってブツブツ言いながらキンノミヤは依頼料をどれだけ上乗せできるかを計算し始めた。
「全く……相変わらず貴様は……」
いつも通りの調子のキンノミヤに2人は呆れた。
「というか、」
そんな彼が突然2人に向き直る。
「ユーザのヤツ、ジャスティスに目付けられてたよな?それなのに過去にはチェインと……余計何なんだアイツが分からなくなったぞ?」
「確かに確かに……」
ユーザは反社会組織バブルの息が掛かったテロリスト集団に命を狙われていた。
「あくまでチェインもジャスティスの傘下という事では無いのか?」
「まぁ、そうなんだろうけど物騒なんてレベルじゃねぇぜ……」
彼らは普段過ごしていると気づかないユーザの異常性を再確認した。
その頃ユーザは診療所にいた中古屋の店主に話を聞いていた。
「良かった。ご無事そうで何よりで。」
「えぇ。ウチに残ってた付喪神が融通きかせてくれたおかげです。」
店主の頭には包帯が巻きついてたが肝心の容態はユーザたちが思っているよりもかなり良く見えた。ユーザは早速本題に入る。
「早速なんですが、何が起こったのか具体的に教えていただきませんか?」
「いやぁ忘れもしませんよ!昨日の夜でしたね。」
店主は語り始めた。
「その時間帯は真夜中でしたね。店の裏においてある商品の整理確認が丁度終わったところです。仕事もひと段落着いたので眠りに着こうとした瞬間何だよ。何者かに額の左側をクリック思いっ切り殴られたんですよ!」
「昨日の真夜中ですね。犯人の特徴なんかは?」
ユーザが尋ねると店主は必死に思い出そうと目を瞑り上を見上げる。
「そうだな〜。確かフードを被ってたような……あぁあぁ確か付喪神の木箱を送ってきた奴らと似た雰囲気だったな。」
「フード、付喪神を送ってきた奴ら?」
「まさかそれって!」
ユーザ達も何かに気づいた。
「ありがとうございます!何か分かった気がしました。お大事に!」
「お大事に!」
そう言うとユーザは即座に診療所を出る。その後診療所裏の路地で座り込み2人は話し合う。
「これって多分…チェインだよね?」
「だろうな?オレも話聞いてて思い出したよ。ジャスティス以外にチェインにも因縁があった事。」
「何か、だいぶ大きい事件になってきたね。」
ハーズが呟くとユーザは意外そうに笑う。
「何だよ心配してるのか?別にオレは自分の記憶に近づけるなら何だってするぜ?それにもう怪人ともやり合ったんだ。今更オレ達に怖いものは無いだろ?」
ユーザの声を聞いてハーズは何か心のつっかえが取れたような気がした。
「そうだね、そうだよね!ボク何言ってんだろう!早く事件解決しないとね。」
「あぁ。だから色々調べないとな。」
ユーザは立ち上がり走り出す。
それを呼び止めるものがいた。
「ねぇキミ!ユーザだっけ?」
「うん?」
ユーザが
振り返るとそこにいたのはシャーバランと雅之だった。
「何でまた?」
よりによってバカ医者ではなくこの2人に呼び止められた心当たりがユーザには無かった。