「どういう事なんだ!まさか……」
ユーザはギッとフードの集団を睨みつける。すると男達は
「怪人?……何だそれは初耳だ。」
何も知らないのか慌て出す。
「え?」
「え?」
「………………………」
その場はしばらく硬直状態が続いた。
「……お前らは一体何したかったんだ。」
ユーザが低い声でゆっくり問いかける。
「えぇ?オレ達は……まず付喪神をウォータスにばら撒き、人との信頼関係が結ばれた所でそれを一気に引き裂き、そこに生まれた心の穴に我々がつけ込み一気に引き込んでいく。というのが当初の目的だったが!」
そこで男はユーザを指差しこう言う。
「ユーザ。お前がそのウォータスに来た。嬉しい誤算だったよ…………今回この店の依頼でお前が付喪神に話を聞きに単身乗り込むのまでは想定内だった。」
「そこまでかよ!?」
ユーザが驚いていると指を横に振りながら男が笑いながら言う。
「驚くのはまだ早い。我々はユーザを殺してその後、付喪神を利用して大規模テロを行うはずだった。だが何だ!怪人が出てきた?それも町中で暴れてる?もう訳が分からん!笑うしかないよなぁ!!」
そう口々に言いながら彼等は笑い合う。
「だが聞き捨てならんな。我々の注射跡といい心を引き裂くだの大規模テロだの……我々付喪神を道具のように扱いおって!誠に遺憾だな。」
ザッドが冷淡な声で彼らに怒りをぶつける。
「そうだ!そうだ!まーるでオレッち達を悪者に仕立てようとしやがってぇ〜許されっか?許されんぞ!」
ザッドが陽気な声で語るが内には怒りが込められていた。
「あぁ、ボク達は人間と生きて、繋がっていかなければいずれは死んでしまう。それを断ち切ろうだなんて……!許さん!!」
ハーズが今までユーザにも聞かせたことのない程の大声で憤慨する。
「オレも知らず知らずの内に付喪神を心底信用してたみたいだからな。コイツらを許せないのはオレも一緒だ!」
ユーザは自分でも何が嬉しいのかよくわからないが何故か心が付喪神の事を肯定し付喪神の為に心が怒っていた。
「ザッド、網!」
「もう用意している!」
ユーザがザッドを相手に向けて振ると糸が網に変化し彼らを包み込む。なんの事か訳の分からない彼らは逃げる間もなくあっさり網の中包まれた。
「何だコレは!もがいても…取れない!」
怪人でさえ破れない強度の網の隙間は腕一本を倒せるくらいの網目しかなかった。
「怪人を倒すまで大人しくしてろ。」
ユーザは彼らを見下ろし店を出る。早速店の前にいたタキガワに状況説明をしてもらう。
「怪人は町でも、特に西の方に多くいる感じでした!是非気をつけて。命運を祈ります。」
タキガワは手のひらを合わせて目を瞑り祈る。
「分かりました。危ないからもう戻っておいた方が良いですよ!じゃあ!」
「お気をつけて!」
2人は別の方向に走り出す。
「どうなってますの!?キリが無いですわ!」
「どうやら西の方で怪人が出ているようですの!」
その頃診療所は怪人に襲われた怪我人の手当てでてんてこ舞いだった。
「怪人!?ってことはユーザさんも……」
「そうでしょうね……是非ここを利用する事ないよう祈りましょう。」
「私はむしろユーザなら幾らでも解剖も治験もやるけどなー!」
「「不謹慎なこと言うなバカ!」」
診療所のバカ医者は首を絞められ頸動脈を刺された。
「キンノミヤ様!ご無事でしょうか!」
「無事じゃないのはお前だろう。お茶でも飲め。」
全力疾走で事務所に戻ってきたタキガワはお茶を淹れてもらいながら状況を説明する。
「なので逃げましょう!どちらかと言えばこちらは西よりです。なので大変危険です。」
「いや。逃げない。」
キンノミヤはそう言うとブツブツ言いながら頭の中で何か計算する。完全にこの機を金儲けに使う魂胆が見え見えだ。
「怪人の身体って……その手の物好きに高く売れそうじゃないか?」
「そんなまさか!絶対やめて下さい!」
タキガワに手を置きキンノミヤは諭すように優しい声で言う。
「主を信じ、主の為に最善を尽くすのが、お前の最大の仕事だろう。忍者と武士の資格を取っているカント人はそうそういないぞ〜。任せておけ。」
「……御意!」
目を赤くしてタキガワは跪く。