使うモノ語り   作:イヤマナ ロク

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第46話 物っとばせ!風水の垣根!中編

「何なんだ!ついこないだ出たばっかなのに!」

「ナギ!怪人は神出鬼没なんだ、だからこういう事も受け入れるしかない!」

クリゴとナギ達は情報を聞きつけ一足早く怪人退治に急行していた。

「ギギィ!」

「スーモッ!」

クリゴが応戦していたのはキリギリスと蛾の怪人だった。

「ジャギリスにパピモか。とにかく攻撃を休めるな!空に飛ぶ隙を作らせないようにするぞ!」

「あぁっ!」

 

一方その頃コウモリの怪人、プテラリーザはユーザの情報を目指すべくウォータスの地に、借り受けた人間の姿で降り立った。

「……これが………人間。」

プテラリーザは人間態の力のコントロールがある程度効くようになり、わずかにだが言葉を喋れるようになっていた。

「情報収集……開始。………!」

情報収集をしようと思ったのも束の間プテラリーザは西方面で怪人の気配を感じ取った。すぐに怪人態に姿を変え飛び立つ。

「………ウォータスで……何故?」

ウォータスに訃報に移動していた怪人達は全てネイションが大陸へ移動させたはずだった。なのに多くの怪人がウォータスに潜んでいた。

「これ…も………情報……か。」

そんな事を考えながらプテラリーザは空を切る。

 

それぞれの思いが揺れ動く中、ユーザは必死にペダルを漕いでいた。怪人から逃げ惑う人々を掻き分けながらも出せるスピードで向かっていた。

「ひとまず浜辺に行こう!怪人はそっから来てるらしいし!」

「ならこっちの道だ!大通りでは碌に進めん!」

ザッドが指示した路地の道を狭い道をハンドルを小刻みに動かしながら進んでいく。徐々に強くなっていく塩の匂いが焦燥感をたぎらせていく。

「ほぼ到着だね!」

 

路地を抜けると海が見えてきた。ユーザ達もより一層気を引き締めていく。その瞬間

 

「危ない!」

ユーザが危機を察し槍を引き抜いたが遅かった。巨大な黒く長い物が突然ユーザ達を挟み込もうとしたのだ。

「ギア90!」

リンが起点を効かせなんとか避ける事が出来た。

 

「サンキューリン!」

「いいってことよ!てかアレは何者?」

リンが刺す方向には怪人が立っていた。それは顎に巨大なツノを持ったクワガタのような姿をしていた。

「ディアファだ。クワガタの怪人。」

「ギィラァアア!」

ディアファはユーザを威嚇し吠える。すると顎についているツノが取り外され手元に収まる。

「それ外せんのかよ!」

「それ外せるんだよ!まぁいい行くぞ!」

ユーザは槍を構え単身向かっていく。

 

「ギィラ!」

両腕で横に振り下ろされた槍をディアファは2本の角剣で受け止める。だがユーザはそれを予知していた。

「ハァッ!」

槍を持っていた左腕を離し、ガラ空きになっている腹にパンチの連撃を打ち込む。

「ギァッ!」

怯んだ隙にユーザは槍の刃で次々と切り裂いていく。

「このまま押し込むぞ!」

手を休めず、縦横無尽に槍を振り回し傷を作っていく。だがディアファもタダではへこたれない。

 

「ギラァァ!」

槍の先双剣で受け止めるとそのまま羽を広げ宙に浮く。そして、剣を顎に戻し、そのまま急降下していく。

「ヤバい!空を飛ばれたら避けるしかない!」

猛スピードで迫ってくる顎をユーザは潜り抜ける。顎が刺さった場所は衝撃音と共に穴が開いていた。その後前を向き。飛びながら突進していく。

「ヤッベ!」

これもなんとか避けて、ディアファは建物の壁を突き破る。

 

「どうすんのアイツ!」

「そうだな……」

(あのスピード突っ込まれちゃあザッドの網でも危ういな。怪獣を包めるほど硬い網を作ってもらう暇も無い、こうなったら……)

ユーザはリンの法を見やる。

「スピードにはスピードだ!」

そう言いながらユーザはリンに跨る。

「とりあえず砂浜までダッシュだ!車輪の錬金術師がいると思ってな!」

「あそこに…車輪の錬金術師が…あそこに!」

エンジンのないリンに心のエンジンが着いた。

「ギア13579ー!MAXー!!偶数は嫌いだー!!!」

「着いてこれるかー!!」

 

「ギイイラアアァー!!」

ディアファの闘争心をうまいこと焚き付ける事に成功し、二つの高速隊が砂浜目掛けて突進していた。

 

「今だ!ブレーキ!」

火花が散り、ブレーキパッドが砕ける程の急ブレーキでユーザは宙に浮かぶ。

 

「お前はもちろんこっちを追いかけるよな!」

「ギラ!?」

怪人に懐かれる自らの体質を利用しユーザはディアファを誘導する。ディアファもユーザを追いかけようとするが既に曲がれるほどの遅いスピードでは無かった。だが無理矢理曲がろうとした結果バランスを崩し落下してしまった。

「こっちがお返しだ!!」

怪人の上に陣取った。ユーザは重力を利用しディアファに槍を思い切り突き立てた。

 

「ゼェリャア!」

槍は核を貫きディアファは爆発四散した。

「よっと。目的地にもつけて、怪人も倒せて一石二鳥だろ?」

ユーザは自慢げに呟く。

 

「あっアレ?ユーザさん?おーい!」

どこからか呼ぶ声が聞こえ行ってみたらそれはシャーバランと雅之だった。

 

「お二人さん大丈夫!?」

「えぇ!なっ何とかこの通り。」

(いやぶっちゃけちびってますわ!今すぐ逃げ出したい!)

雅之は震えを何とか我慢して平静を取り繕っていた。

 

「そういえばチェンジャーさんあっちに怪人に追いかけられてました!で怪人はあの船から!」

シャーバランはあっちこっちに指を差し必死に説明していた。

「まぁ落ち着いて。なるほどですね。あの船から怪人が。」

 

ユーザが船に視線を移した瞬間ブブブブブっととてつもない轟音が鳴り響いた。

「えっ!?」

「あぁ……オレ、怪人に懐かれるから……」

気づいた頃には多くの虫怪人達が羽音を立ててユーザ達を囲んでいた。

 

「何コレ…」

「あちゃー囲まれちゃったか……」

シャーバランは圧倒的な数の怪人に圧倒され、雅之は気絶寸前でユーザは頭を抱え、必死に打開策を考えていた。

「一体どうすんの!」

ハーズがユーザに声を張り上げるとユーザは静かに

「隙間だ…。」

答える。

 

「え?」

「何でもいい、とにかく隙間さえ作ればオレがそれを広げて脱出できる。でもこの量の怪人じゃ隙間を作ってもあっという間に埋まっちまう!」

「ユーザ、その隙間というのはどれくらい開ければいい。」

「………3秒。イケるか?」

ユーザが渋々言うとザッドは

「なんだその程度か………行くぞ!」

「おっおぉ!」

ユーザの腕を振り回し、自らの釣り糸を飛ばさせる。

 

「一本釣りキャスト!」

針は勢いよく伸び一匹の怪人を引っ掛かったあとあまりに密集していたので周りの怪人も引っ掛かり4、5匹

同時に釣り上げ、怪人の間に隙間が出来る。

「今やれ!」

「あぁ!」

ユーザは左腕を地面につけ片腕で逆立ちをするような体制になる。そして地面を押し込み出来た隙間の高さまで飛び上がる。そしてユーザは槍を構えブンブンと両腕で振り回す。

「どけどけどけどけぇ!」

槍を振り回す事で怪人を退ける作戦だったが、

 

「コロコロコロコロ!」

「カナカナカナカナ!」

「リーンリーンリーンリーン!」

「ツクツクホーシツクツクホーシ!」

「ミーンミーンミーンミンミンミンミンミーン!」

ユーザに怪人達が寄ってきてしまった。ユーザは押し寄せる怪人達に吹き飛ばされる。

 

「クソッ、隙間の時間は問題なかったのに!」

「オイ、我の手柄を無駄にしおって!」

「でもこうなりゃオレを使うのはダメだな。となると……」

ユーザは必死に辺りを見回す…見回す……見回す………そしてついにシャーバランの服の反射板に目がついた。

「なぁ?それって外せないか?」

「えぇコレ?やってみる!」

シャーバラン自分の服にちらほら張り付いている反射板を引っ剥がそうとするが中々取れない。そんな中怪人達は徐々に距離を詰めていた。だが反射板が取れる気配はない。

「ああっ!まだか!」

「全然取れない〜〜!!そもそも外れないかもしれない〜!!」

怪人が目の鼻の先になるのも時間の問題だった。

 

「もういい!その服ごと寄越せ!」

ユーザは頭を掻きむしりながら叫ぶ。

「分かった!」

シャーバランは早速Tシャツを脱ぎユーザに手渡す。

「ちょっとちょっと!一応女性なのにこんな白昼堂々下着姿なんて!」

雅之が突然叫び出す。

「ハァ?んな事いってられっか!このままじゃ冗談抜きで全員死ぬんだぞ!」

「そうだ!全員死ぬんだ!」

そう言いながらユーザとシャーバランは反射板を日光に当てようとするが中々上手くいかない。

「なんとか反射できれば!」

「ユーザさん、これも使って!」

そう言うとシャーバランはショートパンツも脱いでユーザに手渡す。シャーバランは完全に下着状態になってしまい雅之は内心悶絶していた。

 

「キタ!」

服の反射板に日光が当たり、強い光が怪人を照らす。

怪人が目を塞ぎ日光を避けようとして隙間が出来た。

「シャーバラン今だ!」

ユーザの掛け声で彼女は自転車のフレームとチェーンが繋がった武器を取り出し、思い切り振り回す。

「いまならいける!走れー!」

ユーザはリンにまたがり、シャーバラン達も後に続く。

「とにかく逃げて!」

指示に従いシャーバランは武器と雅之を抱えて全力疾走する。ユーザはリンを方向転換させる。

「覚悟はいいか?全部で21体……キツイと思うがやるしかない!」

実質1対21。圧倒的不利な状況だがユーザ達は怪人の群れに突っ込んでいく。

 

シャーバランは砂浜を喉から心臓が飛び出そうな程に走り走り走り尽くした。とにかく前に足を動かした。

すると突如何かにぶつかりシャーバランは倒れこんでしまう。

息も絶え絶えの中シャーバランの視線に映ったのは藤色の何かだった。

「んーどうしたのかなー?ぶつかったのはキミかなー?」

シャーバランの前にいたのはチェンジャーだった。

「?何かございましたか?随分と肌が露わになられておられますが。」

クランボの質問に雅之が先程までの事も交えながら代わりに説明した。

 

「なるほど。ではユーザさんは砂浜周辺の怪人を一手に引き受けていると。どうされますか?行くも行かないもチェンジャー様の自由意思です。」

「ボクは……」

チェンジャーは俯き目を閉じる。怪人21体はさすがにユーザでも恐らく死ぬだろう。だか自分が行っても足手纏いになる可能性が高い。だがユーザには死んで欲しくない。二つの思いが殺し合っていた。

「勝敗がつかない勝負もあるんだね……」

「はい?」

クランボは首を傾げていると遠くから馬鹿っぽい叫び声が聞こえる。

 

「ユーザ〜〜!!何処にいるの〜!?ココ?アソコ?どっちとのこっち?」

バカ医者だった。ユーザを探しているようだった。

「やっくやくにしてあげるのに〜!どこ〜!」

それを見たチェンジャーの中で何かが変わった。

 

「そうか……バカになるんだ。ボクは今からバカになる!バカダーー!待ってろユーザーーー!!」

チェンジャーは全力疾走でユーザの元は向かった。

「クッ、チェンジャー様に悪影響が!」

クランボはバカ医者を一睨みする。

そこに海から2体の怪人が現れる。

「ダッガー!」

「ゲゴロゲゴロ!」

タガメと怪人ダガーとゲンゴロウの怪人ゲゴロゲンだ。

「待っててねーユーザー!」

チェンジャーは道を塞ぐ2体の怪人に挑む。

 

「ネイション様………どうされますか……?」

プテラリーザは街にいる怪人を羽でがんじがらめにした状態でネイションにテレパシーを送る。返答がちょうど返ってきた。

『別に殺しても構わん。目先の快楽を優先した罰だ。』

「分かり…ました。」

それを聞きプテラリーザは同族を殺す若干の後ろめたさを感じながら手にかける。

 

「砂浜に……!」

プテラリーザは飛び立ち、怪人の気配の温床へ向かった。

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