「あぁ〜っ、どうすりゃ良いんだ!何が何でもあの2人を連れ戻さなきゃなんねぇのに!」
空は向かっていったザッドとスイングを探す手立てが無い為ユーザは頭を抱えていた。
「すいません、ボクが依頼したのにスイングの事放っといちゃって……」
「いやいやいや!ショードが謝る必要なんて無いんだよ!」
ショードがユーザに向かって頭を下げるがユーザは手を振って否定する。
「いやすまない。謝るのはオレの方だ。全てオレの監督不行届が原因なんだ……本当にごめん。」
ユーザは目一杯頭を下げる。
「ボク達も止められなくてごめん……」
「すまねぇな……」
ユーザ達が深く深く頭を下げて謝罪していると一緒に遊んでいた子供達が駆け寄ってきた。
「あれ?ユーザ何してんの!」
「なんで頭下げてんの?」
「いや、これはその……」
子供達が口々に聞いてくるのでショードが代わりに説明し始める。
「じゃあオレも探す!」
「ユーザが困ってんなら助けるよ!」
子供達の表情が一変する。
「え?助ける?」
「そうだよ!ユーザ困ってんなら助けるじゃん!」
子供達はユーザを助けようと結託し始める。
「待て待て、お前らで何とか出来る問題じゃ無いんだよ?」
ユーザは子供達を咎めようとする。
「大丈夫!子供だからってオレたちを舐めてもらっちゃ困るぜ!」
「いやぁ……そういう問題じゃなくてぇ…」
ユーザはどうすれば良いか分からず言葉尻が弱くなってしまう。
「みんなユーザさんの言う通りこれはユーザさんに任せて……」
「ショード来い!」
「はぇっ?」
ユーザの事をそっちのけで子供達はショードも巻き込んで作戦会議を始めた。
「なんか盛り上がっちゃってる…………」
ユーザは途方に暮れていた。
「子供はこういうので盛り上がるのが仕事だからね。仕方ないね。」
リンは笑いながら語る。
円陣を組んで子供達はしばらく意見を交わす。
「みんな、家から空飛べそうな物持ってこい!」
そして一人子供が意見すると
「あぁ!」
「おーい!待ってくれ!」
ユーザ達の声に耳もくれず子供達は家へ向かって駆け出していってしまった。
「いや、そんなムリでしょ……あぁ…ユーザさんごめんなさい!ごめんなさい!余計な事しちゃって!」
一人冷静なショードはユーザにまた謝る。
ハーズとリンはユーザに尋ねる。
「何であんなに気に入られてんの?」
「お前、まさかそういう奴だったんだな……オレッち達が知らない内に…………子供に対してなんて事を!」
「いや、一緒に鬼ごっこして、飲み物奢ってだけだけど……ってリンお前人聞き悪い事言うな!どう見てもそういう奴に対する反応じゃなかっただろ!………ハァ、どうすりゃ良いんだマジで……」
ユーザはツッコミだけは相変わらずの勢いだったがやはり今回の事に関して大きな負目を感じていた。
その頃ザッド達は
「ウワァーーッ!師匠ッ!師匠ッーー!大丈夫ですか!?」
「問題無いぞ!お前こそ大丈夫か我が弟子よ!?」
渦潮に飲み込まれ満身創痍に近い状況で会話するのもやっとかっとだった。だが2人はへこたれ無い。
「この渦潮さえ無ければ、帰れるのに……」
「ならば無くせばいい!ここにある物を忘れたか!」
スイングの眼前に飛び込んできたのは鋭利も鋭利。
獲物を獲ることしか考えられないと言わんばかりな釣り針の立派過ぎる輝きだった。
「まさか、この渦を……その針で……んなバカな!そんな事ありえる訳、」
「バカはバカでも馬鹿力だハハハッ!渦が邪魔なら釣り上げてしまえば良い!」
「ならばボクにしがみついて下さい!師匠は渦を!」
スイングにやっとの思いでしがみ付いたザッドは振りかぶり、渦の中心に竿を投げ込む。
渦だろうが波だろうがそれは水をが形を変えた物に過ぎないが針は虚の中にある真実を捕えた。
「うううううおおおおおおお!!」
「いいいいいけええええええ!!」
リールを必死に巻き取り、渦潮を引き上げようとするが渦が逆に糸を巻き込んでいく。
(クッ…!踏ん張りが……足りん!)
ザッドは自身の自重では予想以上に中々踏ん張れず苦戦していた。
だがザッドに諦める気は無かった。
「んぐうぅ……ぐぅっ…!」
満身創痍で引いていると
「何だこの手紙ィ〜!!」
何者かの声と共に空から何かが前方に落ちてきた。と思いきや
「手紙は………濡らしちゃダメか!」
突然その何かは進行方向を変えザッドの前に向かってくる。
「ぐわぁって怪人!?」
「あぁっ!さっきの釣竿!」
ザッドの目に飛び込んできたのはチェラキラだった。それを認識したのも束の間ザッドは怪人と正面からぶつかってしまう。
だがそれによってザッドの体は物理的に後ろに仰け反った。
その反動で一気に竿が渦潮ごと引っ張られその結果
「スイングーー!釣り上げたぞー!」
「やりましたね師匠!」
喜びを分かち合う暇も無かった。
2人はチェラキラに取り押さえられ空へと持ち上げられてしまった。
「つまり、其方はネイションの手下でユーザの事を調べろという命令を遂行するため空を飛び回っていたら我々を見つけたと。そしてなんやかんやで我々を見失いなんやかんやで我々をまた見つけ、今に至るという訳だな。」
「要約、ありがとうございます!」
その後ザッドとチェラキラは打ち解ける事に成功した。
「師匠あんなに怖がっていたのに今は大丈夫何ですか?」
「自然現象を釣り上げた我に敵などいない。で、さっきから何をずっと大事そうに握っている?見せてみろ。」
ザッドはチェラキラの手紙に気づく。
チェラキラ6本ある腕の内3本も使って手紙を握っていた。
「もしかしたら……関連あるかも知れません。」
チェラキラは慎重に手紙を封筒から取り出す。
ザッドはその内容がハッピー・マテリアライズへの依頼だと分かった。
「即座にユーザの元へ戻らねば!」
「あの、」
「何だ!こっちは急いでいる!」
チェラキラは自分の羽を指差し言う。
「多分私の方が飛ぶの早いと思います。」
「「え?」」
「ユーザを早く助けなきゃ!」
子供の1人は家路を急いでいた。
事態が収束に向かおうとも艶知らず。近道をしようと、大通りを抜け、郊外の道を行くと
「ん?」
見知らぬ建物の前で何か言い争う姿が見えた。
「だーかーら!これあたしの!」
「ダメだ!1カレンだけでも絶対もらう!」
「キンノミヤ様やめて下さい!子供相手に大人気ないですよ!」
「何あれ……」
子供はその様子を白い目で見ていた。