使うモノ語り   作:イヤマナ ロク

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第60話 水晶の如き悪性

「無理なのか?もう一度聞くぞ。その通信機能をオレにも出来るようにしてくれないのか?」

 

「………………オレの術は怪人の為の物だ。人間には使えない。」

しばし間をおいてネイションはユーザの要求を断る。

ユーザは顎に手を当てて少しうなった後

 

「そうか………まぁそれなら仕方ないな。でもオレの言った事は絶対だぞわかったな!」

ユーザは通信を切ろうと通信口から離れた瞬間

「おいどういう風の吹き回しだ?そっそんな事を言ってもし、オレが怪人を使って……その……大虐殺をやるかも知れないぞ?お前にはわからんようにな!」

ネイションは早口でユーザに訴える。

 

「お前が…………無理だろ。」

ユーザは平然と答える。

 

「え?」

「そもそもそんな事するようなヤツならオレの事を探る時にとっくにやってるだろうし、むしろそういう事をする怪人を抑える為にお前は動いてんじゃないのか?」

「ッ!!!」

(コイツ……………なんで……!)

ネイションはしばらく何も言い出せず奥歯を噛み締める。

 

「どした?」

「あっあぁ!…………さっきの言葉どう言う意味だ?」

ネイションは内心を隠し通しながら平静を取り繕う。

 

 

「どういう意味って………まぁ………オレにはアンタはジャスティスとかみたいな極悪人とは思えないって事!じゃあな。」

「まだまだ!ちょっと待て。コレで最後だから………」

ユーザは今度こそ通信を切ろうとしたら、再度ネイションに呼び止められる。

 

「んん?何だ何だ?早く言えよ!」

ユーザは唇を尖らせる。

 

「お前今ジャスティスと言ったか?それどこで知った?」

「え?キンノミヤに教えてもらった。キンノミヤっていうのはあのサムライの事な?一緒に戦ったから分かるだろ。じゃ。」

 

「もう……切っていいんですか?」

「ネイションはさっき最後っつったし。」

「待てそれは言葉のあやで……その!」

ユーザは執拗ひ通信を切るように指示するので戸惑いながらもチェラキラは従う事にした。

 

「なんかごめん。耳元で大声出しちゃってさ。」

ユーザは手を合わせてチェラキラに謝罪する。

「いえ、問題ないです。すこしくすぐったかったですが。それよりいいんですか?ネイション様にあんな風に口を聴けるなんて貴方何者なんです?」

 

チェラキラは少しオドオドしながら尋ねる。

(なんというか、ネイションってあんなだけどカリスマ性とかあるんだな………)

ユーザはそれを見てネイションへの忠誠心は本物なのだと悟った。

 

「いや、人間同士だしいいよ。でもやっぱアイツ悪いやつじゃ無いな。怪人を使って何か良からぬ事を企んでる訳でも無いし、それにオレにバレないように色々探りたかったんだろうから、それに水を差すのも悪いしな。アンタも人間を襲う気はさらさら無いんでしょ?」

「はい。必要無いので?え?」

それを聴いてユーザは神妙な表情になり目を合わせ語り掛ける。

 

「他の怪人達にも伝えて欲しいんだけどさ、人を襲う怪人についても調べてくれないか?そもそも怪人って超常大陸でしか生きられない筈なんだよ。だからなんで人里に怪人がやって来れてそのまま活動出来るのかとかさ。一応オレネイションの知り合いだからさ、頼むよ〜。」

ユーザは頭を下げて頼み込む。

(なんでだろう…………)

チェラキラは心の違和感を感じていた。

 

(本来人間の頼みなんて聴こうとも思わないのに………)

彼女の脳裏には真摯な態度で頼み込むユーザの真剣な眼差しがあった。

 

(あまりにも主にそっくりで……で他人事とは思えない位そっくりで………それだけなのに。)

 

「分かりました。善処させていただきます。」

チェラキラの口は勝手に動いていた。

 

「ありがとう!助かった。あぁオレ人待たしてるから行かなきゃなんだ。じゃ!」

ユーザはそのまま付喪神達と共に行ってしまった。

 

「ちょっと待って」

チェラキラも行こうとした時手に風の感触を感じた。

「うわっ!」

風は突風に変わり手紙が手から離れていき、ユーザの元は飛んでいく。 

(忘れてた……やっぱあの手紙ヘン。)

 

「ショードお待たせ!スイングは無事戻ってきたぞ!」

「ありがとうございます。」

 

ショードは帰ってきたスイング掴んで離さなかった。

「お前びっくりしたよ!もういい加減にしろよ!ユーザさん達にも迷惑かけて……んもー!」

スイングを両手でぎゅっと掴みスイングに怒るショードの姿はユーザ達に初めて見せた年相応の姿で微笑ましく見えた。

 

「てか、アイツらに早く伝えたほうが良いんじゃないか?もう戻ってきたし。」

「そうですね。怒ってても仕方無いですよね。」

(うーーーんやっぱ6歳ぐらい子供のメンタルじゃねぇ。)

ユーザは内心そんな事を考えながらショードともに子供達の家を回った。

 

「何だよーコレで空飛ぼうと思ったのによー!ユーザまた浮浮き輪無くしてよ!」

最後の家の子供は布団を体に背負いながら大声で言い張る。

 

「ダメだよ!シャレになんねぇからマジ。」

子供は頬を膨らませるがその後すぐ、

 

「じゃあユーザまた鬼ごっこしてよ!今度は20人呼んでくるから絶対負けねぇから!」

「あぁ、もちろんオレも負けるつもりはない。」

子供とユーザは拳を突き合わせ笑い合う。

 

「これで全部回りました。」

「そっか。じゃあこれで。」

「はい。今回は本当にありがとうございます。」

ショード達と別れユーザは帰路に急ぐ。

 

「ちょっとバタついちゃったからな。急がないと。」

「何かユーザ、どの子にもかなり好かれてたね。意外だった。」

「オレも何でなのか分かんねぇんだよなぁ、てかなんか背中の辺りが涼しくなった?風感じないか?」

ユーザは背中に違和感を覚える。

 

「いや全然だが、熱い地面にいるオレッちへの当てつけか?」

「いやそんなんじゃなくて………ホントに体温がなぁ………」

ユーザは体感温度が背中から下がっていくのを感じる。

 

「我が空の力を得たからな。だからじゃないか?」

「「「それはない。」」」

 

ユーザの背中には例の手紙が張り付いていたが誰もそれに気づかなかった。

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