使うモノ語り   作:イヤマナ ロク

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第63話 魔ジ助かります!

フュールラデディ。

隣国ウォータスと変わらない温帯の過ごしやすい気候だが一つ大きな違いある。

『風の国』の異名に恥じない程に国全体に様々な気流が流れているのだ。

 

そんな国でまた一つ嵐が巻き起こった。

「ちょっと何コレ!?もうこういうのやめてよねホントに!」

「何だよ、そんな大きな声出して」

「これ見てよ!あの手紙書いたのテイでしょ!」

ある男女が居間の中で手のひら位の大きさの球体を囲み騒いでいた。

球体の中にはハッピー・マテリアライズの事務所、そして何かを不可解そうな顔で覗き込んでいる事務所の面々が映し出されていた。

 

「退屈になるからって手紙とラミーを魔力で接続させて手紙に映る景色を映り込ませたのはお前だろ?そんな大きな声出すなよ。」

「そっちじゃない!手紙に込めた魔力の方だって。風の魔力意外に何を足したの!」

女の方が男を問い詰めると男は黙らせるように答える。

「あれは1週間たっても手紙がハッピーえぇなんとかに届かなかった場合、無理矢理でも読んでもらえるようにって為の工夫で、火と氷の魔力も込めたんだ。」

 

「ちょっとユーザさん達は一般人なの分かってる?私達みたいな魔法使いじゃないの!一般人に対してやり過ぎでしょ!ホラ今写った、コレ!」

球には凍ってしまったユーザ達が映し出された。

「いやでも、結果的に読んでもらえたからいいだろ。」

「いやおかしいでしょ!皆さん怖がってるじゃん!何よりユーザさんに会いたかったのにこんなカチンコチンになってるしあと風の魔力でもユーザさん寒がってたし、ホントしっかりしてよね!属性魔法使えんのテイだけなんだから!んもう、」

 

ありったけの怒りを吐き出してもなお納得いっていないのか女の方はドスドス廊下を歩いていった。

さっきまで問い詰められていた男、テイは女の後ろ姿を見てため息を吐きながら小声で呟く。

「はぁ〜どこまでも可愛げのない妹だよ、全く誰に似たんだか。これで手紙がいつまでも読まれなかったらまた責められるし、結局変わんないだけどな。」

愚痴を溢しながらテイは無造作に置かれた球に目をやる。

「全く、こんな顔のどこが良いんだか……とか冗談でも言っちゃいけないよな……ウィードに殺される。」

そう言いながら球に手をかざし呪文を唱えた。

「トジュバニィル・ケントライロス・ロレジテモン」

 

「あれは!」

「見ろ、氷が!」

テイが呪文を唱えた瞬間事務所の前の何をしても微動だにしなかった氷が一気に溶け出す。

「何が起こっているんだ!?」

「私は怒っていないんだ!?」

 

氷が完全に溶けて周りが周りの地面が大きく湿気を持ちユーザ達も気がついた。

「え?オレは何を?」

「ボク達……キンノミヤに掴み込まれてその後…」

記憶を探るが何も分からない。

「何なんだ?やけに地面が湿ってるが……」

キンノミヤも正気を取り戻した。

「キンノミヤお前もか?」

「だな……ってお前ら何ボーッと見てる。」

タキガワ達はあまりにもあっさり事態が解決してしまったので思考が追いついていなかった。

「てか、それ依頼の手紙か?タキガワ見せてくれ!」

「あっはい、」

 

「何だこれ………何というか、引っかかるトコしかない手紙だな。」

キンノミヤの作った冷製スープを啜りながらユーザは手紙を睨む。

「この手紙主ってユーザの事知ってるのかな?」

「少なくともオレは知らない。忘れてるだけかもだけど。」

「記憶のヒントを得られるかもだから行ってみたらどうだ?」

キンノミヤがスプーンで手紙を指差しながら促す。

「でもどこへ来て欲しいから書いてないんだよな。やっぱイタズラか?」

ユーザが手紙をつまみ上げると何か感触に違和感を感じた。

「ん?今度は何だ……」

すると手紙はユーザの手をするりと抜けていき外へ飛んでいく。

 

「どうするの?追いかける?」

「………まぁ結局依頼してる以上は行くしかないよな。イタズラなら注意すればいいし。行ってくる!あとコレ頼んだぞ!」

ユーザはスープを一気にかきこみキンノミヤに何かを押し付けた後ペダルに足をかけ颯爽と行ってしまった。

「よし、じゃあお前も『待つ係』頼んだぞ!」

キンノミヤはタキガワの肩を叩く。

「でも、今確認したら依頼来てましたよ?」

「シャーバランと医者に行かせる。お前はここにいて大丈夫だ。」

「はい、」

項垂れた様子で返事する。

「所でコレは何だ……」

キンノミヤはユーザが去り際に渡してきた紙を見る。それは海の家で買ったジュース12杯分の領収書でキンノミヤの名前が書いてあった。

「アイツ〜〜〜!!」

 

「おっ来た来た。」

テイは球を覗き込みユーザがしっかり追いかけていたことを確認した。

そしてある人物に通信を送った。

「スモン、例の依頼そろそろ来れそうだぞ」

「あぁそうですか。ありがとうございます!でも本当すいませんお手数をおかけしてしまって。」

「別に。数少ない同族なんだからいつでも頼ってくれよ。」

「いやすいません。でも助かります。」

「じゃあ切るぞ。はーい。………これで良し。あとは待つだけだ。」

テイは引き続き球の中のユーザを覗き込む。

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